WW.ジーン


【 キャラクター名 】:WW.ジーン
【 性別 】:女性


特殊能力 『龍翔旋風斬』

超高速ダッシュからの飛び蹴りで敵集団の先頭に先制攻撃を行い、爪を構えたまま旋風のように回転しながら移動することで敵の集団を撹拌する必殺の連携。
両手に装備した爪には毒が塗ってあるためその絶え間無い攻撃は全てが致命の一撃である。

その姿は天より現れ地を薙ぎ払っていく龍の如し。


キャラクター設定

希望崎学園付近にてアルバイトヒーローとして活躍している少女。
一見すると小柄で金髪ツインテールの美少女であり非力に見えるが、その見た目に油断した場合速度特化魔人の脚力による凶悪なキックが待っている。
高速戦闘を実現するべく空気抵抗の少ない装飾が少なく露出度の高い服装を着ているが、誘惑していると勘違いして変な目で見た場合その先にあるのは手を切り刻まれた挙句局部を全力のキックで破壊される末路のみである。

ある日希望崎学園からの仕事帰りに以前助けた学生に遭遇、その学生の推薦により冥王星祭に参加することとなる。



その正体は希望崎学園の魔人教師朝富 航(あさとみ わたる)男性28歳。
WW.ジーンとしての姿と技はかつてネットゲームで使っていたアバターを彼の魔人能力『Enter the REALm』により現実化させたもの。

15歳の時に魔人能力に目覚めた際に自らの能力を暴走させ悪魔と化した魔人"バール"を撃墜、その勢いのままコードネーム"ワールウィンド"としてヒーロー活動をしていたが安定収入を求め教師になるために引退。
希望崎学園では魔人であることを隠しつつ謎の魔人ヒーロー"WW.ジーン"として活動している。


プロローグ

20XX年1月4日、年末年始休暇が終わった街にサラリーマンが再び溢れ始める日。
しかし未だ年末年始休暇の真っ最中にある希望崎学園は寮住まいの学生達による少しの賑わいのみがあり平和そのものだった。
……希望崎学園本体は。

「ヒャッハー!」「キシャシャ~~~!」「ケヒャァーッ!」「イヤッハァー!」

海上に浮かぶ希望崎学園と陸地を繋ぐ連絡橋の上には知能も個性も名前も無い大量の野良モヒカンザコが蔓延っていた。
長期間に渡りまともに戦闘が起こらなかった結果希望崎学園上を漂い拡散することも消失することも無かった中二力が芯を得て生まれたと言われる野良モヒカンザコ達は自らの存在を保証する何かを一切持たないにも関わらず非直接戦闘員をボッコボコにできる戦闘力だけは無駄に持っていた。

「はぁ……何アレ、見てるだけで五月蝿いと言いたくなるぐらいうじゃうじゃいるじゃんか」

論ずるまでも無く存在しているだけで厄介な野良モヒカンザコ達を駆除する案は生物科学部、不可思議保護委員会の反対を受けつつ圧倒的多数で可決、生徒会と番長Gと教師連が交代制で掃除役を受け持つこととなった。
そして魔人生徒を擁する生徒会と番長Gに比べ所持戦力が劣る教師連は外部から傭兵を呼ぶことを決定した。

「いくら報酬に年始ボーナスを付けるからってさあ……放置してたらあんなに湧くものなのか?」

連絡橋の陸地側から野良モヒカンザコ達を双眼鏡で見ている少女、WW.ジーンと名乗る彼女も希望崎学園教師連の要請を請け野良モヒカンザコ掃除をする事になった傭兵の一人である。
寒空の下堂々と肩も腹部も脚も露出ししている彼女の格好を心配する者もツッコむ者も周囲には誰もいなかった、WW.ジーン自身も周囲を見渡すが人の気配は無い。
双眼鏡をバックパックに納め腰に下げた爪を両手に装備すると、腰を深く下げスタートの体勢を取る。"掃除"の時間が始まった。

「シャッ!」
咆哮を発した次の瞬間には野良モヒカンザコ集団の至近距離で飛び蹴りを放つWW.ジーンの姿があった。
「「「ヒャバァーッ!」」」
蹴り飛ばされた野良モヒカンザコとその野良モヒカンザコに巻き込まれた野良モヒカンザコが断末魔を上げる。
敵が現れたと野良モヒカンザコ達が気づいた時には既にWW.ジーンは次の技の体制に入っていた。
「「「「「「ギャバババガァーッ!」」」」」
次々と切り裂かれていく野良モヒカンザコ達、おそらく上から連絡橋を見た場合黒い点の集まりがまるでルンバに掃除されるホコリのように高速で回る何かに掃除されていく光景が見れただろう。
「……龍翔旋風斬!」
必殺技が終われば技名を叫ばなければならない、それは彼女が考える【ヒーローに要求される正しい格好のつけ方】だった。



数十分後、野良モヒカンザコ掃除を終えたWW.ジーンは再び陸地へと戻っていた。今日の仕事は終わった、後はもう家へ帰り寝るのみ。

「はー終わった終わった……帰って寝よ」
「あ、あのすいません!」
「わ゛ーっ!」

仕事が終われば後は"元の姿"に戻って車で帰るだけ、彼女のその考えは突然の声によって打ち砕かれた。

「誰だお……ゴホン、私に何か用があるの?」

キャラ作りを忘れてはならない、【ヒーローに要求される正しい正体の隠し方】を守ることは忘れてはいけない。

「あの!僕は福上 鶴海というんですけど!あの!ワールウィンドさんですよね!?」
「ワールウィ……!?知らない!」

事態は彼女の想定より悪い方向性に動いていた、その過去は下手すれば正体に繋げられてしまう。

「またまたー!僕はちゃんと覚えてるんですよ!」
「私は君を覚えていない!」
「12年前に銀行強盗から助けてもらったんです!その時の記事も持ってます!」
「えーっと……うん、そういうこともあったね、今も元気でよかった、本当によかった、じゃあね!」
「待ってください!」

待てと呼ばれて待つ悪人はいない、しかしヒーローは待てと言われればできるだけ待たなければいけない

「……何か望みがあるなら早く言って?私今忙しくて」
「今希望崎学園で働いているんですか?野良モヒカンザコ退治してましたよね?」
「教師の人達に頼まれたから、働いているわけじゃないわ」
「でも今もヒーロー活動はしているんですね!感激しました!」
「半引退だから、もう大規模な事件には関わらない」
「つまりローカルヒーローですか?」
「好きに考えてもらって構わないって、とにかく名乗るほどの存在じゃない」

まずい流れだ、そう彼女が考えた時にはとうに遅かった。

「実は僕は今希望崎学園に通っててそこで近く冥王星祭というのが開かれるんです」
知っている。彼女、いや普段の姿である"彼"が勤めている職場だ、冥王星祭が受験の終わった3年生のために開かれる息抜きの場というのも知っている。
「それでワールウィンドさん……今は別の名前を名乗っているんでしたっけ?あなたにも出て欲しいんです」
「……本気で言ってるの?」
何が悲しくて女体化したまま自分の職場で人気投票を受けなければいけないのか、もう人気はいらないから平穏をくれ。
「あの、僕は実行委員なんですけど、『目玉が欲しいから誰か有名人を呼んでこい』と言われて、それでどうしても……」

ダメだ、やはり断れない、ヒーローである限り"助けを求める目"を見捨ててはおけない

「……わかった、わかったからその目で見ないで」
「本当ですか!じゃあちょっと来てください!参加書類を書いてください!」


やっぱりヒーローは、やめるべきだったかもしれない。
最終更新:2017年01月08日 14:50