5ターン目
■行動提出SS
また何度目かの暗闇の中で、盟はその暗さが少しずつ浅くなってきていることに気が付いた。光が取り戻されていく。耳の中に水が詰まったような嫌な感覚は失われていき、徐々に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おい、起きろ、盟! 聞こえるか、おい!」
「離せえー!! ワシは、ワシはまだ、満足してないのだ! 離せえー!! いや、オナゴがワシの身体に触れるのは許すがそこなジジイ離せぇーー!!」
「んだとぅ!? チクショウめい、お嬢の身体じゃなかったら全力で潰してくれるものを……」
「ふん、バーカバーカ!!」
自分の声が、口汚い言葉を吐き散らしている。幻聴では無さそうだ。盟は更に神経を研ぎ澄まし、ことの様子を確かめようとした。
目の前を閉ざしていた影が取り払われていき、視界が鮮明になっていくと同時に、床のタイルが目に入った。
「ああ儂の身体!」という声がか細く聞こえたと思うと、喉の乾きと舌の痺れを感じた。
身体が動かない、そして背中に苦痛の伴う重量感。盟は回らない首を無理矢理動かして、自分の親友と信頼する使用人が背中に乗り、腕と足を床に押さえつけているのを見た。その後ろでは心配そうな顔をした逃亡者達と使用人達が盟を見下ろして囲んでいた。
「魂鬻、トランジマン。大体察しは付きますが、これはどういうことでしょう……?」
「あっ、お嬢!?」
「戻ったのか、戻ったんだな!? おっさん盟が重いだろ、腰どけろほら!」
盟の上から体重を移し、魂鬻は盟の上半身を起こして抱きしめた。お互いに、以前対面した時から身体が窶れているのを感じ取った。服も汚れ、顔にも疲労が浮き上がっている。
「皆さんとの再開は喜ばしいですが、私にはするべきことがあります。さて、まずは現在の状況を教えて下さいますか?」
「ああ、そうだな。正直に言えば酷いことになってる。毎日毎日ここに侵入しては破壊していく奴らがいてな。防衛システムの修繕を繰り返して何とか本館への侵入は防いでいるが、そろそろ限界だ」
「そうですか、それではもう覚悟を決めるしかありませんね。良いでしょう、これまでにどのように戦ってきたのかは知りませんが、ここからは撤退戦です。。下界より使いを呼びますので、他の学校に見つからないよう、皆さんは希望崎から離れて下さい」
「お前はどうするんだ?」
「私は最後までここに残ります。この屋敷はこれからも駆け込み寺として機能しなくてはいけません。避難に訪れるひとがいるかもしれません。彼らを見捨てることはしませんよ」
盟は疲れ切った顔をしていたが、その姿勢には分相応以上の決意が固まって見えた。魂鬻とトランジマンは彼女を止めようとしたが、意見を挟むことはできなかった。
「魂鬻、あなたには他に任せたいことがあります。トランジマンもです。使用人の皆さんや逃亡者の皆さんは、私の我儘で危険に付き合わせるつもりはありません。とりあえず下界に隠れ家と生活の場は用意させました。しばらくはそちらをご利用下さい」
「あっし達にも仕事があるんですね。ええ、お嬢が身体を張るってんなら、あっしが引くわけには行きますまい」
「まあ、そこまでして頼まれたら断る訳にも行かないよな…… 良いよ、あたしも付き合う。で、どうすればいいの?」
側近二人が覚悟を決めたことにより、盟の計画が実行に移されることは確定だろう。しかし、この屋敷に残った盟はどうするのか。屋敷が既に学園施設の体を成していないことがバレたならば、廃校処分として残された彼女も労働施設へと連行されるだろう。わだかまりが解かれぬまま、作戦は進行しようとしていた。
「ヤルナ! ホレタゼ嬢チャン!」
その時、彼らの集まっていた所に現れたのは、名もなき野良ゾンビであった。
「ゾ、ゾンビが喋った!!!」
「お、落ち着け、幻聴だ! 集団催眠だよ違いない。みんな疲れてるのさ!!」
一部の人々が混乱している中、次々と新たなゾンビが屋敷へと入り込んできた。盟は冷静に皆を下がらせ、トランジマンに体ゾンビ銃を構えさせながら尋ねた。
「さて、あなた方はどこから来たのでしょう。避難民、というのであれば受け入れていますよ。ただ、侵攻目的と言うならば……」
「ソノ心配ハネエ! 俺タチハ雲丹ヶ原、アストラル・リブズダカラナ! 今マデ嬢チャンノスグ近ク二イタンダゼ!?」
『き、貴様達何をしている、ワシを助けんか。早く、この女を弱らせて意識を落として身体をワシに……』
盟の周囲に嗄れた老人の声が響いた。姿は見えないが、雲丹ヶ原雲母彦のものらしい。消え去ったわけでは無かったのだ。
「ナア頭、モウ止メトコウゼ。言ッチャ何ダガ、アンタ今回失敗バカリダ。今回ハ俺タチノ失敗、敗北ヨ。コレ以上酷イ目二アウ前二諦メヨウゼ」
『何を、貴様達ワシに逆らうのか?』
「逆ラウトイウカ…… サスガニ今回ハコレ以上ツイテイケネーヨ? 俺タチハ嬢チャンに協力スルゼ? マア、色々チャラニハナンネエダロウケド、ソノ勇姿二ホレタッテコトデ……ボランティアダ」
『何で! 何でワシの言うことを聞いてくれないの!? 頭領だよ!ねえ!』
「頭、アンタノモクテキハ永続的繁栄ト不断の繁殖ダロ!? コレ絶対無理ダッテ! 時期モ場所モ悪カッタヨ!」
『……』
「エエト、ソウイウワケデ嬢チャン、俺タチハアンタ二協力スルゼ。アンタ一人デココニ残ルツモリダッタカ? 危ネエゼ! ゾンビノ肉体ヲ得タ俺タチガ護衛スルカラナ!」
「あ、ありがたいです。はい、それでは魂鬻、トランジマン、中断されていた話に戻りましょう。私は、希望崎を落とします!」
「希望崎を落とす!? どうするつもりだよ盟! 説明!」
「フフフ、皆さんが雲丹ヶ原に取り憑かれている間も、私は夜間は束縛から免れることができました。どうやら私に取り憑いた霊は夜が早かったようです」
「お嬢、その辺はいいんで作戦の概要を……」
「あら、眠い目を擦りながら続けた努力は無視ですか、そうですか。いいでしょう、時間が無いですからね。
簡潔に言えば、私は希望崎の収入源を削ぎ落とすための工作を続けていました。まあ、今回の戦乱下で未だ廃校になっていない学校ラインナップを見れば分かると思いますが、どこが優勝しようと来年度からの希望崎への新入生は激減します。また、教育機関としての役割を失ったことを取り上げて国からの補助を無くします。」
「おいおい、あたし達のやることが残ってないじゃないか」
「いいえ、一番大事なのはここからです。それでは説明していきますね……」
to be continued……
※これ以降雲丹ヶ原学園が侵攻した先で下がった施設レベルは、該当校の該当部署生徒が下界避難に説得されて合流した扱いだと思われます
特殊能力発動ダイス!→[9]
栄遙永華 雲丹ヶ原学園の[名高き平和を足下に 永き勝利を掌(て)の上に]は発動に成功した!
■栄遙永華 雲丹ヶ原学園の内政パート!
1)[番長小屋]を強化した!
[番長小屋]の施設レベルが[4]→[5]に上がった!
2)[保健室]を強化した!
[保健室]の施設レベルが[4]→[5]に上がった!
3)防衛属性を変更した!
防衛属性が[ビッチ]→[モヒカン雑魚]に変更された!
LIFEが[3]→[0]に減った!
■栄遙永華 雲丹ヶ原学園の遠征パート!
遠征先が全て埋まっていた!
栄遙永華 雲丹ヶ原学園は遠征できなかった……
栄遙永華 雲丹ヶ原学園は[極都武士高校]に遠征を受けた!
極都武士高校 VS 栄遙永華 雲丹ヶ原学園!
極都武士高校の遠征勢力はモヒカン雑魚[2000]人
栄遙永華 雲丹ヶ原学園の防衛戦力はモヒカン雑魚[500]人
ダイス目[6],[4]により攻撃力[2600]VS防御力[900]
栄遙永華 雲丹ヶ原学園は敗北した……
[番長小屋]の施設レベルが[5]→[4]に下がった!
[保健室]の施設レベルが[5]→[4]に下がった!
栄遙永華 雲丹ヶ原学園の能力発動!
[番長小屋]の施設レベルが[4]→[5]に上がった!
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