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 男の故郷は寒い国だった。

 職業は作家。
 とはいっても、別に売れているわけじゃない。
 年がら年中、見飽きた書斎に籠もってキーボードを叩く。
 たまに同じ仕事仲間と飲みに行ったりする以外には外にも出ない毎日。

 別に、熱意があってこの仕事を選んだのではなかった。
 頭も悪い、運動神経もない、けれど空想することだけは得意だった。
 だからペンを執った。いつしかペンはマウスとキーボードに変わっていたが、文を綴れるなら違いはない。
 ひとり黙々と、空想を描き出す。
 楽しくて、面白い、子供向けの幻想童話――金も殺しも、泥のような三角関係もない優しい世界の夢を。

 作品を書き上げたときの達成感よりも、
 なんともいえない虚しさが勝るようになったのはいつからだったろう。
 結局のところ、頭じゃわかっているのだ。
 自分は別に、熱意やこだわりがあって物を書いているわけじゃない。

 ただ逃げているだけだ。
 大人になりきれず、子供の日の夢にすがっている。
 子供に夢を与えると嘯く度、注がれる哀れみの視線に気づかないふりをし続けていた。

 分かったところで変えられるものでもない。
 そうわかっていても、一度気付いてしまえば止められない。
 やきもきとした想いが汚泥のように積もっていく。
 カーテンも開けずにキーを叩き続けるだけの日々が、何週間か続いた。

 そんな毎日に終わりを告げたのは、とあるニュースだった。

 どこかの国、水平線の果てから終わりがやってきた。
 空が昏い色に染め上げられ、破滅のバックスペースキーが常に長押しされている。
 ワードパッドの文字に、自分が消されるのを防ぐすべはない。
 それどころか、それに恐怖して喚き散らすようなこともできない。そもそも、そういう概念がない。
 破滅に直面した人類は――"そう"なっていた。

 作家なんて職業に、まともな奴はいない。
 父親から酔いに任せて吐かれた暴言だったが、その通りなのだと直感した。

 自分だけが普通だった。
 怖い、死にたくない、まだ終わりたくない。
 当たり前の感情で、頭を抱えていた。
 ただ、やがてそれは――ひとつの勇気に変わる。


 家族さえ入ってこない自分の城。書斎。
 そこに踏み入ってきたのは、美しい青年だった。
 今まで山程書いてきた空想の世界の住人のように、
 澄んだ瞳と輝く髪と、話す者の心を優しく包む穏やかな声。
 話のうまい男だった。彼が持ち込んだとある戦いの話――それは紛れもなく、作家が心から待ち望んでいたもの。

 すなわち、自分でもヒーローになれる非日常。
 世界の救済を掲げて、人ならざる剣士とともに戦場を駆ける。
 不謹慎ながら、夢のようだと思った。
 心が躍った。彼の手を掴んで、自分にやらせてくれと懇願した。

 そうして赴いたのは、地球最後の地となる島国。
 未だかつてない希望に満ち溢れた心で異国の地を踏んだのが、つい数時間前。


 そして、今――それが本当にただの夢でしかなかったのだと、身をもって思い知らされている。


「■■■■■■」

 振るわれる異形の触手。
 それが、麗しき戦士の剣を簡単に跳ね除ける。
 反撃しようとした瞬間、背後へ回り込まれ、ただの一撃で弾き飛ばされる。
 まるでスーパーボールか何かを見ているようだった。
 オーロラのような輝きを見せる鎧は今や土と埃で汚れ、大きな亀裂が入って見る影もない。

「■■■■」

 光の一閃が、より禍々しい光で弾かれる。
 あれほど綺麗に聞こえた声は、ただの悲鳴と呻き声だけになっていた。

「■■■」

 話が違う。
 話が違う!
 彼……セイバーは、自分を最強のクラスだと呼んでいた。

「■■」

 なのに、今のこの有様はなんだ?
 一太刀も浴びせられない。
 それどころか、相手の攻撃さえろくに見えていない。
 こんな有様で――いったい何を救えるという? 何を成せるというのだ?


 歯の根が合わない。
 道理が通らない。
 お前、最強と言ったじゃないか。
 一緒に世界を救おうなんて、どの口で言ったんだ。
 私は――私はお前を信じて、こんなところまでやって来たのに!


「  殺  す  」


 バーサーカーの、底冷えするような声が響く。
 それはまさに、地の底から響く音色だった。
 湧き上がりかけた怒りが、瞬時に絶対零度の風にさらされて鎮火していく。
 鎮火するどころか、炎の形を保ったまま凝結して、片っ端から弾け飛んでいく。
 雷にも似た魔力……によく似た光が、セイバーをひときわ強く吹き飛ばした。

 それを見て、悟る。確信する。
 こいつには勝てない。
 何をどうやったところで、届きっこない。
 セイバーもきっと、弱いサーヴァントではないんだ。
 伊達に最優を名乗ったわけじゃないんだろう。
 彼奴だって、きっと相当に自信があってあんなことを言ったはず。

 ただ――相手が悪すぎる。
 こんなものが相手なら、どんな英雄だろうとただ蹴散らされる以外に能を持たない。

「セイバーぁぁぁぁ!!」

 喉を枯らす勢いで叫ぶ。
 このままでは駄目だ。
 このままでは、セイバーは殺される。
 彼だけじゃなく、多分自分も。
 令呪を使う。
 令呪は単にサーヴァントを強制するだけじゃなく、力を与えることもできるらしい。

 例えば、空間移動のような。
 魔法としか言いようのない芸当だって可能だと、セイバーは言っていた。
 だから――全力で叫ぶ! 死なないために、殺されないために、――勝つために!

「令呪をもって」

 その時、視界に妙なものが入った。
 セイバーと、それを痛めつけるバーサーカー。
 二人の戦いとは全く別に、ひとりの女の子がいた。
 白いもこもこした髪の毛を靡かせて、瓦礫の山を歩んでくる幼い娘。


 その姿に、一瞬だけ気を取られた。
 白い肌に浮かび上がる赤い紋章を見て、
 ようやく、それが「マスター」の証だと気付いて。

 目が合った。
 赤い、赤い目をしていた。

 体が動かなくなる。
 まるで石になったように。
 もう声も出ない。
 最後、バーサーカーの放つ光がひときわ大きくなったのが見えた。
 世界が光に包まれていく。
 そんな光景の中で――

「ごめんね」

 少女の謝罪を聞いた。
 それが、最後だった。


◇◇◇


「終わったね」

 少女は、瓦礫の山に立っていた。
 セイバーとそのマスターは、もう影も形も残っていない。
 バーサーカーの放った光が、全てを消し去ったから。
 人を殺した――ことになるのだろう。
 手をかけたのがバーサーカーなのは確かだが、それで免罪符になると考えるほど、彼女は幼稚ではない。

「……帰ろ、バーサーカー」

 バーサーカーは低く唸り、消える。
 霊体化を完了するや否や、少女は自分の胸元をぎゅっと抑えた。
 はぁはぁと荒い息が漏れる。
 まるで運動をした後のような疲労感だった。

 バーサーカーは強い。
 多分、最強だ。
 そのことは今の戦いを見れば分かる。
 しかし、どうも何のリスクもないというわけじゃないらしい。

 前に、ゲームをしたことがある。
 さわり程度のものだったが、いわゆる「最強キャラ」と呼ばれるものには、決まって弱点があるものだ。
 聖杯戦争における、「最強キャラ」の弱点は……要するに、燃費の劣悪さだ。
 本人に自覚はないものの、大きな魔力を保有する彼女でさえ、長期戦で運用すれば力尽きかねない。


 彼女には、難しいことは分からない。
 ただ、まるっきりの馬鹿でもない。
 バーサーカーをむやみに戦わせてはいけないらしいことは理解した。

 疲れることは辛い。
 苦しいのは、嫌だ。
 でも――もっと嫌なことがある。

 それを避けるためなら、少女は何だってできる。
 大嫌いなことでも、……ひどいことでも、何でも。


 少女の願いは、永遠だ。
 永遠に、大好きな皆で一緒にいたい。
 世界の終焉なんてことは、彼女にはどうでもよかった。
 ただ、結果的に世界も救うことになるというだけのことだ。
 自分がどういうものなのかもろくに知らないまま、少女は狂ったジャバウォックを従えて、往く。進む。


 少女は知らない。
 気づいていない。
 気づけるわけが、ない。
 彼女を守り導くジャバウォックが、何を原動力に動いているのか。

 それは、憎悪。
 この世で最も深い、殺意。
 認められたいという感情の果て、人をやめた化物。
 明日を捨てて、殺すだけを望んだ――未来なきがゆえの「最強」。

 目を合わせる蛇は歩いていく。
 目を増やした神も歩いていく。
 永遠と刹那、交わることのない願いを胸に。
 天然の超生物と人工の超生物が――カゲロウのように生きている。



【クラス】
バーサーカー

【真名】
死神<二代目>@暗殺教室

【パラメーター】
筋力A+ 耐久C 敏捷A+++ 魔力B 幸運E 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
狂化:B
全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

【保有スキル】
超生物:B+
禁断の研究の末に生み出された存在――を、殺すために改造された存在。
マッハ40での超高速移動を可能とし、対先生物質を内包した武器以外から一切の悪影響を受けない。
しかしサーヴァントの格に当て嵌められたせいか、魔力を含んだ攻撃であれば何であれ、ライダーにダメージを与えることが出来るようになっている。
オリジナルの超生物はこれに加えて脱皮機能などを保有していたが、バーサーカーはそれらを持たない。だが単純な出力のみであれば、彼は原典を凌駕する。

精神汚染:A
精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。
ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。

魔力放出(偽):A
正確には反物質エネルギーに部類される力を、光として放出する。
自身の肉体にそれを帯びさせての能力向上や、そのまま光線による砲撃として利用するなど用途は多岐に渡る。

【宝具】
『偽・融し穿つ天空の矛(フェイク・ゲイボルク・イミテーション)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2000 最大捕捉:1人
正確にはバーサーカーではなく、その生涯最後の戦いの舞台を作り出していたもの。
月の破壊者を撃破するために人類の叡智、全ての技術を結集させた人造宝具である。
現代に生まれた科学技術の結晶であるため神秘としては極めて未熟だが、全世界中の殺意を乗せて完成した必殺必滅の一振りであるために、宝具としても上位のランクを持つ。
その逸話上、この宝具の原典である『融し穿つ天空の矛(ゲイボルク・イミテーション)』を個人の持ち物として所持するサーヴァントは存在しない。
宝具発動と同時、バーサーカーを中心として一山を覆う程の巨大な光の結界が展開される。
霊体はこの結界を通り抜けることはできず、接触と同時に肉体が崩壊、それでも無理をして通り抜けようとすれば霊核の溶解に至り、たとえサーヴァントであれども消滅を免れない。
解除条件はバーサーカーの消滅。しかし戦闘開始から90分の経過を合図として、結界と同じ要素で構成された光の柱が結界内全域を押し潰すように降り注ぐ。
この光も人間に対しては何の影響も与えないが、霊体に命中すれば即座に霊核の崩壊、消滅を招く。当然、このタイムリミットが訪れればバーサーカーも確実に消滅することになるだろう。
90分のタイムリミットは、令呪三画の使用によって残り数分単位にまで縮めることが可能である。

『沸騰せよ、我が憎悪(アンチマター・オルタレイション)』
ランク:E 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:-
バーサーカーの根幹にある憎悪を最大限まで増幅させ、狂化ランクを強引に引き上げ、スキル「魔力放出(偽)」による出力を数段上昇させる。
この宝具を使用するにはマスターの指示が不可欠で、令呪は必要としないものの、一度発動すれば只でさえ劣悪な魔力消費は更に膨れ上がっていく。
バーサーカーは長期運用を考えずに生み出された存在であるため、元の状態へ戻すことも不可能。

【人物背景】
最強の呼び名をほしいままにした殺し屋「死神」の弟子であり、成れの果て。
初代を超えることを目的に作り上げられた兵器で、長期運用を考えず、寿命を犠牲とした設計になっている。
彼の行動原理は初代「死神」への憎悪。聖杯に懸ける望みも、ただそれだけである。
非常に強力なサーヴァントだが、その設計理念上、燃費はまさしく最悪。メデューサと人間のクォーターであり、巨大な魔力量を誇るマリーをしても考えなしに戦闘させれば破滅に繋がりかねない。
運用法はなるべく長期戦を避けつつ、確実に倒せる敵を倒していき、聖杯戦争の最終段階で二つの宝具を発動し、閉鎖空間内で残る全ての敵を殲滅するのが最も効果的であろう。

【サーヴァントとしての願い】
初代死神との殺し合い。


【マスター】
小桜茉莉@メカクシティアクターズ

【マスターとしての願い】
みんなと、ずっと一緒にいたい

【weapon】
なし

【能力・技能】
  • 『目を合わせる』能力
目を合わせた相手の動きを一定時間停止させる。
彼女の母は文字通り他人を石にできるほどの力があったが、クォーターの彼女では数分間の停止が限度。

  • 『目を合体させる』能力
終わらない世界、カゲロウデイズを統括する能力。
10の蛇を統括するメデューサ本来の能力で、彼女はそれを受け継いでいる。

【人物背景】
メデューサと人間のクォーターである少女。愛称はマリー。
メカクシ団・団員No.4。人形のような風貌をしており見た目も精神も幼いが、実年齢は百歳を超えている。