悪党たちの交響曲 ◆nY83NDm51E






悪はわたしにからみつき、数えきれません。
わたしは自分の罪に捕えられ、何も見えなくなりました。
その数は髪の毛よりも多く、わたしは心挫けています。
                            ―――詩篇40:13


「……エルフは神を信じない、っちゅうに」

夕刻。スノーフィールド中心部からやや外れた、閑静な住宅街。昔の商館を移築・改装したアンティークショップ。

目つきの悪い痩せた男が、館の西の窓辺でたそがれ、ぼやいている。一人暮らしの、館の主人だ。
黄色いマントに緑のマフラー。ボブカットされた色素の薄い髪の下には、先の尖った長い耳が隠れている。
そう、彼は人間ではない。英霊でもない。生まれつき人間ではない。エルフだ。
正確に言うと、ついさっきエルフの姿と記憶を取り戻してしまった。


まったく、なんてことだ。

わたしが?聖杯戦争の?マスター?英霊ではなく?ゲームマスターでもなく?
仮にもわたし、アノス救国の英雄、の一人だぞ。世界のルールの破壊者で、知名度は大陸級だぞ。
いや、まだ死んでないから英霊にはなれんか。天寿もまっとうしてないのに死にたくないけど。
まあ、現時点で死んで英霊になったところで、わたしは大して強くないか。所詮この世はカネとコネだ。

それじゃあ、シミュレーションしてみるか。『英霊になったフリ』。
問おう、キミがわたしのマスターか。んーと、クラスはランサーにしようかキャスターにしようか。
時々冒険中の不注意で死んだこともあったが、カネとコネがあるから蘇生は楽だ。おかげで天寿を全うできた。千年、長かった。
人間の仲間たちは、百歳にもならないで寿命で死んでいった。はとこも二百歳ぐらいで死んだ。彼らも英霊になってれば会えるだろうか。
確か戦乱に乗じてエルフ帝国を建設し、超英雄になって古竜や魔神王やアトンや邪神と戦ったような気がしなくもないが、忘れた。
とにかく、晩年の百年ぐらいは森に引っ込んでたからな。しばらく見ないうちに、人間世界も随分変わったものだ……。

……むなしい。いくら妄想したところで、現実の自分が貧弱なボウヤであることが変わりゃせんわい。
わたしは、紛れもなく、超英雄や英霊ではなく、精神力抵抗にボーナスもない、ただのレッサー・エルフだ!

エルフ……伝説的な成金冒険者「バブリー・アドベンチャラーズ」の軍師スイフリーは、顔を両手で覆ってうなだれた。


ついてない。酒場でカードゲームなんかしてたのが悪かった。なんであんなとこに召集令状(白いカード)が入ってたんだ。
ババどころの話じゃない、死ねと言われたようなもんじゃないか。ルキアルの罠か。だからわたしは賭け事は嫌いなんだ。
お互いに6面ダイス二つを振った場合、自分の出目は6まで、相手の出目は最低7。これがわたしの基準だ。
一回しか振れない時は、一ゾロ限定。振っても後悔しない選択肢でないといけない。
わたしのサイコロは、わたしを裏切るようにできている。なんとかサイコロ振らずに勝てる方法はないものか。

そして、わたしの苦手なのは、論理の通じない奴だ。理性や打算でなく、無償の善意や感情だけで突っ走る存在だ。
具体的には、狂人と子供。それと一部の女性に、狂信者。エルフは神を信じない。同じ始源の巨人から生じた存在だと知っているからだ。
この戦争に呼ばれた連中は、どうせその手の狂人と女子供と、超英雄や古竜や魔神王やアトンや邪神やキウイみたいなのばっかりだ。
しかもそいつらと殺し合いだ。もろにデスシナリオだ。ゲームマスターは誰だ、出てこい。月か。フェネスか。クリスタニアにこもってろあんな奴。

……脱線しすぎた。とにかく、現状を把握し、対応せねばならん。いつまでも絶望しててもしゃあない。

わたし、セージ(賢者)技能はあるけど、ソーサラー(魔術師)じゃなくてシャーマン(精霊使い)だぞ。
しかもこの世界は都市文明が異常に発達してて、精霊(ともだち)が少ないじゃないか。いてくれるだけありがたいが。
現代都市でエルフのストリート・シャーマンやれってか。『シャドウラン』じゃないんだから。
西の方に森はあるが、わたしはここを拠点にしてるからなあ。とはいえ、戦争が始まるなら身軽な方がいい。
社会的役割も成金の道楽の骨董品屋って程度だし、強敵に襲われたら逃げて隠れよう。早めに荷造りしとくとしよう。

確認のため、センス・オーラ(精霊力感知)しとくか。
光、闇、精神の精霊はいる。冬だからフラウ(氷の精霊)はいる。ここは古民家だからブラウニーもいる。
庭に植物はあるからドライアドやスプライトが呼べる。水は池や川があるし、屋内でも蛇口をひねれば出る。ウンディーネも大丈夫だ。
電気で灯りをつけているから、なまの火が少ない。だが簡単に火がつく便利な道具はある。じゃあサラマンダーもなんとかなる。ロウソクでも点けとくか。
ただ、石畳やコンクリやアスファルトからはノームが呼べないし、屋内ではシルフが呼べない。いつもどおりだな。

まあいい、わたしの必殺技は「インビジビリティ」からの「バルキリージャベリン」だ。スプライトと、無謀と慢心の精霊(バルキリー)はいる。
前回の冒険で獲得した経験点でレベル上げて、やっと精霊使い7レベルか。こっちでもクエストこなしたら、なんぼか経験点入らんかな。

あと幸いに、冒険で獲得した財産、使い切れないほどの魔晶石やらマジックアイテムやらもついてきた。ありがたい、救済措置かな。
でも、他のマスターやサーヴァントからしたら、大量の魔晶石やマジックアイテムなんか垂涎の的だよな。狙われたらやばい。
第一、こんなもん用意してくれるってことは、これ以上のインフレチートな敵と戦え(そして死ね)って言われてるようなもんだ。怖いなあ。
しかし、比較的邪悪でない連中となら、報酬として交渉の具にはなり得るか。お宝惜しんで死んだら何にもならんしな。

現状、仲間がいないのが難点だ。ファイター二人はともかく、はとこやフィリスやグイズノーがおるだけで違うのになあ。
それなら、こっちで作ればいいか。7レベルだから「フルコントロール・スピリット」はあるし、カネでNPCのシタッパーズを雇っても……。
……ああ、仲間ね。サーヴァントね。忘れてた。これが一番の味方だよな。ほんじゃあ、呼んでみようか。出てこいわたしのサーヴァント!


スイフリーが投げた白いカードから出現したのは、見るからに戦士だ。手に抜き身のブロードソードを持っている。
短髪髭面の壮年の男で、額は後退し、目つきは良いとはいえない。右眉の上に刀傷。使い古した胴鎧を着ている。
歴戦の傭兵、それもかなりの悪党、といったところだろう。うん、普通の殺し合いでは頼もしそうだ。

「よう、あんたがオレのマスターか?」
「ああ、わたしの名はスイフリーだ。きみのクラスと真名を名乗りたまえ」
「オレのクラスは『セイバー(剣士)』だ」

おお、やはり。脳内に勝手に書き込まれた情報によれば、サーヴァントの中では当たりだというじゃないか。
だが、男はしばし、真名を名乗るのを躊躇った。

「真名は……どれにすっかな……」
「いくつもあるのか?」
「オレァ、ちょいと込み入った事情があってな。ま、いつも名乗ってた方が楽か」

男は、意地の悪そうな笑みを浮かべながら名乗った。

「アシェラッド。アシェラッド・ウォラフソン。千年前にくたばった、しがねェノルド戦士さ」

ノルド戦士。えーと、この世界に関する脳内情報によれば、古代の北方の海賊戦士たちか。
アレクラスト大陸だと、バイカル王国にいるような連中だな。まあ、冒険者の同類だ。

「よろしく、アシェラッド。普段はセイバーと呼べばいいんだね」

にこやかに挨拶。相手は悪党、信頼関係を築いておかねば、いつ寝首をかかれるかわからんからな。
ところが、男はニカッと笑い、信じられないことを口にした。

「ああ。言っとくけど、オレは英霊の中じゃハズレもいいとこだぜ。ツキもなけりゃ、知名度もねェ。
 どこかのお嬢ちゃんかと思わせて出て来る、一発ネタの出落ちだ。残念でした」

それを聞いて、スイフリーは膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れ込んだ。

……詰んだ。今、わたしの聖杯戦争、っていうか人生(エルフだが)が終わった。



「おおい、マスターさんよ。そうがっかりすんなよ。言い過ぎたか。大丈夫、なんとかなるって」
「そ、そう言われてもね……」

セイバーに励まされ、スイフリーはなんとか気を取り直した。
ひとまず別室へ移り、主人がワインと食事を用意する。主従はテーブルを挟んで晩餐を取りつつ、落ち着いて互いの情報を交換し合う。

「トンガリ耳のエルフ(アールヴ)ねェ。ほんとにいたんだな」
「きみのいた世界とは別世界の出身だがね。精霊魔法も使えるよ。ああ、こっちじゃ『魔術』って言わないといけないのかな?」
「大して変わんねェだろ」
「世界法則の問題で、結果がその時代の科学技術で再現できる魔法は『魔術』ってことになるらしい。便利な世の中になったものだ」
「けど、千年経っても殺し合いか。人間て奴ァ、そこんとこは進歩しねェな。あんたはエルフだが」
「まったくだよ。……って、誰かにこの耳を見られたら、人間じゃないとひと目でバレてしまうな。
 切り落としたくもないし、髪やフードやイヤーマッフルで隠しておこう。それとも、付け耳だと言い張ろうか」

ささやかな晩餐は、和やかに続いた。
彼は悪党ではあるが、いきなり襲いかかってくるような狂人ではない。また頭脳も明晰で、充分に理性的、打算的だ。
百人ほどの戦士団の長であったというから、長年の経験で戦略、戦術をわきまえているはずだ。
希望を持とう。今は彼と協力して、この難局を切り抜けるしかない。抜きん出た戦闘力がなくとも、作戦を考える頭は二人分だ。

「オレァな、生前は何十年も悪党ばかりと暮らしてきた。だから、そいつがバカか利口か、信用できるかできねェか、ひと目でわかる。
 あんたは、見るからに、こすずるい小悪党のツラだ。カネも力も欲しいが、てめェの命が一番大事で、大それたこたァしたくねェ。だろ」
「当たらずといえども遠からず、ってとこだな。仲良くしようじゃないか、悪党同士。運命共同体だ」

スイフリーは、苦笑いして酒杯(ゴブレット)を挙げる。セイバーが応じる。

「それで、スイフリーさんよ。あんたの願い事ってのは何だ?」
「もちろん、生きて元の世界に戻りたいよ。恋人や妻子が待ってるわけじゃないが、仲間や友人がいる。
 運命だかなんだか知らんが、勝手に殺し合いに呼び寄せられて困ってるんだ。こんなところでわけもわからず死にたくない」
「ふゥん、分かりやすい目的だ。聖杯ってな、何でも願いが叶うってのに、欲のないことだね」
「わたしは、元の世界ではそれなりに成功して裕福だったんだ。こっちでもそれなりだが。
 全く欲しくない、と言えば嘘になるが、今さら邪悪な聖杯の力なんていらんよ。何かを手に入れるなら、自分が納得できる方がいい。
 もともとエルフの寿命は長いから、細く長く生きれば生きれるし。それでも冒険に出たのは、人間を観察するためだ」
「観察?」
「人間がかくも繁栄している理由を突き止め、我らエルフの千年王国を……なに、冗談だよ」


セイバーはワインを何杯も飲み干し、料理をむさぼり食ってから、核心に触れた。

「しかしよ、元の世界に戻るってこたァ、結局は聖杯を獲得するってことだぜ。つまり、殺して勝ち抜くしかねェ。
 参加者にはバカみてェに強い奴もいるだろう。悪党も善人も、あんたみてェに生き残りたいだけの奴も、無力な女子供もいるかもな。
 そういうのも殺すってことだ。あんたにその覚悟はあるかい? 一応、聞いときてェ。オレァ職業柄、日常茶飯事だが」

スイフリーは、びくりとした後、渋面をして答えた。

「……覚悟はしているよ。わたしも英雄と呼ばれた冒険者だ、生き延びるために人を殺したことは何度もある。
 ここで殺し合って生き残れ、っていうなら、やるしかない。心は痛むが、わたしが罪を墓場まで持って行こう。
 殺し合いたい奴らだけが、勝手に殺し合ってればどんなにいいか……」

目を閉じ、唾を飲み込む。脳裏に仲間たちや、あの変な女の顔が浮かぶ。改めて、自分は今、異世界で孤独なのだと感じる。
彼らに再会できたとして、この異常な体験を、黙ったままでいられるだろうか。スイフリーは拳を握り、歯を噛みしめる。

「……いや、悪人以外と殺し合わずに脱出できるなら、それに越したことはないさ。なるべくそっちに望みをかけよう。
 究極的には、我々を理不尽に突然呼び寄せた、邪悪な月のせいだ。せめてすべてが、月の作った幻影、悪夢に過ぎないと思いたいね」

「そーかい。それを聞いて安心したぜ。オレが仕える主人は、オレが仕えたくなるような奴であるべきだからな。
 あんたはまだ甘ちゃんだが、少しは見込みがありそうだ。我が先祖アルトリウスの名にかけて、あんたを守ると誓おう」

セイバーは片手を挙げて宣誓する。契約は成立だ。

「心から感謝するよ。では、きみの望みは何だね」
「あー……大してねェな。生きてる間にやりてェこと、やれることは大体やったし、次の世代に後も託した。
 強いて言えば『故郷を守る』ってことぐれェだが、まァ、今さらだ。汚れ役として使い潰してくれて、構わねェよ」
「そうか。じゃあ、わたしの目的のために協力してくれ。と言っても、きみにも報酬があった方が、お互いに信頼できるだろう。何かないかね」

セイバー……アシェラッドは、眉根を寄せ、遠い目をして西を見た。日はとうに沈んでいる。

「……理想郷(アヴァロン)」

「?」

「オレの母親の寝物語だ。戦争も奴隷もねェ、平和な理想郷。それが西の大海の彼方にあるという。
 ご先祖サマはそこへ行って、戦の傷を癒やしているそうだ。オレも、そこへ行きてェ。
 『英霊の座』だの、月だの、なんとか大陸だのじゃァなくてな」

飄々としていたセイバーの声音と顔つきが、次第に凄味を帯びていく。

スイフリーは、不意に異様な気配を感じた。饐えた血の臭い、腐臭。殺気と冷気。狂喜の笑い声。鉄の擦れ合う音。
薄暗い部屋の隅に、黄色く濁ったオーラを纏った亡者たちがうずくまっている。武装したノルド戦士の亡霊だ。

「行って、そいつをぶん殴りてェ。それだけさ」













【クラス】
セイバー

【真名】
アシェラッド@ヴィンランド・サガ

【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷B 魔力D 幸運D 宝具C(EX)

【属性】
中立・悪

【クラス別スキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。彼の血筋による加護。

騎乗:C+
騎乗の才能。幻想種を除き、大抵の乗り物を人並み以上に乗りこなせる。更に船舶を乗りこなす際、有利な補正が掛かる。

【保有スキル】
心眼:C
人生の中で培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

人間観察:C
人々を観察し、理解する技術。その人間の本質・才能を見抜くことに長けている。嘘や裏切りも見抜く。

嵐の航海者:D+
船と認識されるものを駆る才能。集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。
大軍を率いた経験はないためこんなものだが、小集団を率いてのゲリラ戦はお手のもので、えげつない手段を用いても敵を妨害し生き残る。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。それほど魔力を必要としない。


【宝具】
『約束されぬ勝利の剣(リョースアールヴ・スヴェルズ)』
ランク:E- 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1人

セイバーの持つ剣(スヴェルズ)の腹から光(リョース)を放ち、相手の目をくらませる。彼が生前に用いた戦法(原作6巻)。
別名ハゲフラッシュ。特に破壊力はない。非常にしょぼいネタ宝具なので、魔力消費はない。視力がある者なら誰にでも効果はある。

『果てしなく遠き理想郷(ニヴルヘイム・ナグルファル)』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:40人

生前にセイバーが用いた、竜頭のロングシップ。ノルド戦士の亡者たちが水上は漕ぎ、また陸上は担いで運搬する。頑張れば空も飛べるかも。
マスターとセイバー他数人を、荷物ごと載せて移動できる。ただし目立つので、普通に自動車を利用した方がよさそうである。ぶつければそれなりに痛い。
魔力を注げば、周囲に冷たい濃霧を起こして隠蔽することができる。ロングシップなしで濃霧だけ出すことも可能。

『終わりなき戦争の世界(ヘルヘイム・ヴァルハラ)』
ランク:C(EX) 種別:結界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人

セイバーが死後に堕ちたとされる世界(原作10巻)を再現した固有結界。彼自身は「現世(うつしよ)そのもの」「クソどもの掃き溜め」と語る。
深い地の底、石柱が立ち並ぶ泥沼で、ゾンビのような無数のノルド戦士たちが、笑いながら永遠に殺し合いを続けている。
ここに堕ちた者には亡者たちが襲いかかる上、その者が殺害した人の霊が泣きながら纏わりついて離さない。
戦意・殺意・敵意・悪意を持つ者や意志なき殺戮者、過去に誰かを殺した者は、自分と同等以上の力でこの世界に縛られ、いかなる力でも永遠に脱出できない(マスターは除外可能)。
そうした意志を失って空っぽになり、心の底から罪を悔い改め涙を流した者は脱出できるが、亡者たちはその後も精神の中に永遠に取り憑き、常に手足を引っ張る。
またセイバーは、この世界から任意の数十名を召喚し、霊体として使役できる。最期まで彼の友だった狂戦士ビョルン、数キロ先までの物音を聞き分ける「耳」などである。
亡者たちは基本的に戦うことしか頭にないが、セイバーの命令には従う。強さは鍛えた人間の戦士並だが、傷ついて斃れてもすぐに蘇る。結界の中なら、セイバー自身も。

【Weapon】
『ヴァイキング剣』
生前に使っていた幅広の剣。比較的高品質と思われ、セイバーの剣技により兜ごと人間を一刀両断するほどの威力を持つ。セイバーがセイバーたる所以。

『手斧(ハチェット)』
小振りな斧。セイバーはこれを投擲して、10数m離れた相手に正確に命中させることができる。回転も加わっているため、当たれば手足や首が切り飛ばされる威力。

【人物背景】
デンマーク出身のノルド戦士。短髪で髭をたくわえ、ローマ風の胴鎧を身に着けている。百人ほどの戦士団を率い、ヴァイキングや傭兵として長年暮らしてきた。
とある出生の秘密を持つが、普段は飄々とした人物。頭脳は明晰、手腕は冷酷非情。剣の腕も相当に立ち、自分を囲んだ多数の戦士相手に大立ち回りを演じた。
アサシン、バーサーカー、アヴェンジャーなどの適性も持つが、今回はセイバーとして参戦。バカや「美しくねェ奴」は大嫌い。

なお、ノルウェーなどの伝承には、アスケラーデン(灰小僧)という名前の妖精が登場する。
伝承では、他の者が失敗するところを知恵と胆力で成功する知恵者、という役回りで描かれる事が多い。
ただしその際、障害を取り除くために選ぶ手段は、必ずしもフェアなものではない。

【サーヴァントとしての願い】
理想郷へ行って、ご先祖様をぶん殴る。
やることは大体終わってるので、マスターに使い潰されても別に構わない。あまりに理不尽な命令には従いたくないが。

【方針】
手段を問わず、マスターを守る。とりあえずマスターと相談し、いろいろ作戦を立てておく。
濃霧や船や亡者を展開すると目立つので、序盤は伏せ、いざという時の切り札とする。警戒と情報収集のため、「耳」は首だけ呼んでおくか。
殺し合いは本当にうんざりするほどやってきたので、必要以上の殺しはしない。オレじゃなくてトルケルとか呼べやと思っている。


【マスター】
スイフリー@ソード・ワールドRPGリプレイ第三部(バブリーズ編)

【weapon】
『銀製・高品質の槍』
戦士としての装備。銀製の武器はアンデッドなどに与えるダメージが大きい。

『高品質の硬革鎧』
戦士としての装備。軽く丈夫で、行動を阻害しない。

『毒無効化の指輪』
とある魔術師が所持していた指輪。身につけた者に対する毒を完全に無効化する。「眠りの雲」や「酸の雲」も無効。

『使い切れないほどの魔晶石』
とあるドラゴンから貰った、魔力を込めた大量の宝石。スイフリーの生命線。限度はあるが、魔力供給に苦労することはない。
外見はトパーズに似ており、大粒でも指の股に挟める程度(「デーモン・アゲイン」表紙より)。古代魔法王国では通貨であったという。

『ファストフィンガー』
敏捷度を上昇させる指輪。素の敏捷度も高いので、通常の人間相手には先手を取って行動できる。

『パリーパリー』
回避力を上昇させる指輪。

『抗魔の守り(アミュレット・オブ・カウンターマジック)』
魔法抵抗力を上昇させる護符。

『魔力のカード(翼)』
古代語魔法が付与された、使い捨てのマジックアイテム。破りつつコマンドワードを唱えると魔力が発動する。
このカードには「フライト(飛行)」が込められており、使用すると1時間だけ最大時速50kmで飛行できる。誰でも使用可能。

『使い切れないほどの財産』
莫大な財産。人間が普通に暮らして一生使っても使い切れないぐらいはある。生活費には困らないし、大概の物品は手に入る。


【能力・技能】
『エルフ』
肉体を持つ幻想種たる妖精の一種、エルフ族である。先祖代々物質界に住み着いているため、肉体的には人間と大差ない(混血も可能)。天寿は千年。
人間よりやや優れた器用度・敏捷度・知力・精神力(スイフリーは人間並み)を持つが、反面で筋力と生命力は人間にやや劣り、身長も少し小柄で華奢。
しかし妖精界・精霊界とのつながりにより、自然現象を司る精霊(スピリット)と自由に会話でき、彼らの力を借りることが出来る。
なお耳が尖っているため、これを見られると即座に人間ではないことがバレてしまう。「付け耳だ」とかごまかすことは可能。

『精霊使い(シャーマン)技能7レベル』
高度な精霊魔法(サイレント・スピリット)が使える。精霊はともかく、結果自体はおおむね現代の科学技術で再現できるので「魔術」扱いか。
使用者は金属製(銀やミスリルを除く)の鎧を身に着けていてはならず、口がきけ、片手と指が自由に動かせる状態でなければならない。
使用には精神力を消費するが、「使いきれないほどの魔晶石」がある限り、およそ気にせずに使用できる。威力や効果時間・効果範囲の拡大も可能。
ただし使用する場合は、それに対応する自然の精霊がその場に存在することが前提となる。水中で火矢は使えないし、石畳からは石礫を飛ばせない。
また威力的に、多分サーヴァントには効きが悪い。隠蔽・撹乱・諜報活動、マスターを狙う、敵の行動の妨害、防御や撤退・不意打ちの支援、といった使用法が主となろう。
なお「デーモン・アゲイン!」でのスイフリーの精霊使いレベルは6だが、ここでは獲得した経験点で7にレベルアップしている。冒険者レベルも7なので各種抵抗は高め。

シャーマン基本技能(消費なし):インフラビジョン(赤外線視認)、センス・オーラ(精霊力感知)、サイレント・スピリット(精霊語)

  • 7レベルまでの精霊魔法
 大地:転倒、拘束、穴掘り、石礫、地割れ
 水 :水浄化、水膜、水中呼吸、水上歩行、沈没、水圧軽減
 火 :火矢
 風 :遠耳、静寂、沈黙、避矢、必中矢、音声操作、竜巻
 光 :光霊
 闇 :闇霊、恐怖
 植物:緊縛、透明化、植物支配、魅了、植物の家
 精神:撹乱、混乱、勇気、昏睡、戦乙女の槍、戦乙女の加護
 建物:家事雑用
 生命:(女性専用のためスイフリーは使用不可)
 他 :下位精霊支配、精霊壁(各種)、下位精霊完全支配

『戦士(ファイター)技能5レベル』
かなりの技量を持つ戦士である。ただしスイフリーは筋力も生命力も低いため(一応エルフにしては筋肉質だが)、もっぱら攻撃の回避に用いる。
素の敏捷度が高い上に、ファストフィンガーやパリーパリーを装備しているので、回避に徹していれば通常の攻撃はなかなか当たらない。

『賢者(セージ)技能3レベル』
各種学問に関する総合的な理解や知識の深さを表す。ただし異世界「フォーセリア」の知識であるため、地球ではあまり役に立たない。
宝物鑑定や薬品調合、フォーセリアにも存在する物品に関しての一般的な知識については適用可能か。知識に過ぎないので策略とは無関係。

『神算鬼謀』
ある種のメタ的な視線と知識を持ち、高速であれこれ策を考えて先を読み、あらゆるルールの裏と穴をつくことができる非凡な発想力。
その小賢しい小細工が、世界の法則を変えることすらあるかも知れない。彼の世界の創造主の一人(剪定者でもある)が中の人だったという。心の声は関西弁。


【人物背景】
ソード・ワールドRPG(無印)リプレイ第三部の主要登場人物。エルフの男性。140歳。TRPGにおける「和マンチ」の代名詞的存在。
伝説の英雄「成金冒険者達(バブリー・アドベンチャラーズ、略称バブリーズ)」の一人。誇り高く高慢で冷静で知的でお調子者。自称美形。
人間観察のため故郷の森から大都会に出てきたが、研究のし過ぎで「染まって」しまい、今や裏読みと打算と小細工が大好きな陰謀・策略・口車の達人に。
エルフらしい理知的な判断を、人間並の俗物さ、ダークエルフ並の冷徹な邪悪さをもって発揮する。故に「あの耳は付け耳だ」「あの肌は白粉だ」と噂された。
その知謀はアレクラスト大陸最高の軍師「指し手」ルキアルにも匹敵するとされるが、基本的には臆病なほど慎重であり、必ずしも邪悪で冷酷非情な人物ではない。
彼の策謀は、貧弱な自分の生命や仲間たちを守るためのものが多く、しばしば物事を疑い過ぎ、曲解し過ぎることもある。感情的になることもある。
また考えるのに疲れると無策の力押しに走る傾向もあるが、仲間が暴走を止めてくれるのを期待してもいる。苦手なのは子供と狂人、正義の神ファ■■。
ここでは、リプレイ「デーモン・アゲイン!」終了後、しばらくしてからの参戦となる。ルールは完全版以前の旧版に準拠。あんまり厳密に適用しなくてもよい。
キャラクターデザインは中村博文。挿絵により金髪だったり銀髪だったりするが、「デーモン・アゲイン!」時点では青髪っぽい。

【マスターとしての願い】
帰りたい。めっちゃ帰りたい。でも聖杯は明らかに邪悪。どうしよう。

【方針】
死にたくない。聖杯を獲得するしか帰る方法がないならやるしかないが、悪人以外はなるべくなら殺したくない。
敵からは基本的に逃げ隠れ、目立たないように行動する。いつでも引き払えるよう、片付け・荷造りは済ませておく。魔晶石やマジックアイテムは極秘の切り札。
殺し合いに乗る者同士をぶつからせ、乗らない者同士で協力するのが、今のところは最善の策か。相手の裏切り、殺し合いを助長する各種介入は当然と考える。
現代の科学技術や知識・情報も積極的に活用し、早いとこ信頼できる強力な仲間(コネ)を得たい。突然の無差別範囲攻撃等で叩き潰されないよう、いろいろ策を考えておく。
亡者の群れは悪役っぽいしトラウマもあって嫌だが、生き残るためには好き嫌いは言えない。ダークエルフ化したらどうしよう。



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最終更新:2017年02月01日 15:53