風と星に抱かれて… ◆T9Gw6qZZpg





「コヨミちゃん。ちょっとだけお買い物していかない?」

 空を染めていた暖色が、夜の闇にじわじわと溶かされ始めていく中での一言だった。
 ライダーを名乗る彼女の唐突な提案は、コヨミ達が取っていた行動の中断を意味していた。
 そんなことをしている場合じゃないわ、と否定するのは簡単なはずであった。それなのに口にしなかったのは、コヨミ自身の心が少なからず疲弊していたためだったのかもしれない。
 或いは、もしもコヨミの隣にいたのが彼であったならば同じことを言ってくれていたのだろうと、最早無意味な期待が脳裏を掠めてしまったためだろうか。






 コヨミは、人間ではない。

 笛木奏という一人の男の妄執のために幕を開けた生贄の儀式、サバト。数十人の人間の生命を犠牲にするのと引き換えに、既に亡き笛木奏の一人娘である笛木暦が現世に蘇生するはずであった。
 しかし、サバトは態勢の不完全さ故に失敗。その結果として残されたのは、運良く生き残った操真晴人という青年が得た魔法使いの力。そして笛木暦と同じ形の肉体に、どれほど近かろうと決して笛木暦そのものではない別の人格を宿したコヨミという生命であった。
 身体の核となる『賢者の石』に魔力を供給し続けない限りいずれ肉体の機能を停止させるコヨミの生命活動は、コヨミの目に映る“普通の”人間とは全く別物だ。そもそも、コヨミ自体が死者の肉体を魔力で動かしている人形のようなものなのだ。
 そんな、生命活動と呼ぶのも本来ならばおかしな話であるコヨミの在り方がいつまでも続くわけも無く、この肉体は既に限界を迎えつつあった。
 笛木奏は、それを頑なに認めない。
 今度こそ万全の態勢でサバトを開けば良い話だ。それさえ叶えば、コヨミは笛木暦として甦るのだ。
 その思考に囚われた笛木奏は、数え上げるのも億劫になるほどの人々を絶望と死の中へと叩き込もうとした。そして笛木奏に抗う者達の手が僅かでも及ばなければ、あの時、一千万を超える人間が犠牲となってしまっていた。
 そのいずれもが、今の笛木奏にとっては些末なことだったのだろう。理知的に言葉を連ねる彼は、その内面をとっくに狂わせていた。笛木暦を喪った絶望と、コヨミという最後の拠り所しか笛木奏には残されていなかったのだ。

 もう、やめて。

 人を絶望に崩れ落ちさせることがいかに惨いか、彼は晴人の隣で何度となく目にしてきた。そして理解しているから、よりにもよってコヨミを原因として何千何万もの絶望を生み出そうとするなど、決して受け入れられない。
 叶うならもっと生きたかった、彼等と共に時間を過ごしたかったと願う想いに嘘は無い。
 でも、幾つもの悲嘆と悔恨で積み上げた自分一人のためだけの希望と引き換えなら、そんなものは要らない。

 だから、もういい。

 このまま静かに眠り、コヨミのために誰を絶望させることも無くなれば十分だ。
 せめて、そのために一つだけ願うのが許されるならば。
 最後までコヨミの希望であろうとしてくれた彼が、最期に側にいてくれたら。きっとそれだけでコヨミは満たされたまま逝ける気がした。
 だから、最大の機会を逸して尚目的に固執する笛木奏を説得して止められないかと思い、その一方でふと目にした白いカードに目が留まり、自分でも意識しないままにそのカードを手に取り、

 気付けば、この箱庭の世界、聖杯戦争という蠱毒に等しい儀式のための場に幽閉されていた。

「よかったー、ラーメンの麺もちゃんと売ってる。パスタばっかり並んでるからちょっと不安になっちゃったけど、これであと野菜と……チャーシューも多分あるわよね。何ポンドにしよう」

 訪れたスーパーマーケットの食品売り場の一角でしゃがみこみ、袋入りの麺を手に取り見比べる彼女が、聖杯戦争におけるコヨミの従者として召喚されたサーヴァントであった。
 何も彼女は自らのペースでコヨミを身勝手に連れ回しているわけではない。むしろ、つい先刻までコヨミの意向通りに動いてくれていた。

 コヨミの体内に宿る『賢者の石』を託せる相手を、探してほしい。

 聖杯戦争それ自体を、正しいとか間違っているとか口出しする立場でないとは思う。しかし聖杯の獲得に伴う痛みを、コヨミ自身のために誰かに押し付けるのは嫌だった。
 だからこそ今度こそ未来を諦めたコヨミの、一つだけの心残りが『賢者の石』の処遇であった。
 本当ならば、晴人に渡したかった。しかしこの地に晴人が招かれたという確証も無く、恐らく晴人とはもう再会出来ない可能性の方が高いと察したコヨミの下した、妥協と諦念も含んだ決断。
 コヨミが生命を終えた後、残される『賢者の石』を晴人へ手渡せる方法を持つ者を。それが無理ならせめて、せめて、『賢者の石』を笛木奏のように悪用することを疑う必要の無い者を。
 その願いを聞き届けてくれたから、ライダーは日中から日暮れ時に至るまでコヨミと共に街を飛び回ってくれた。コヨミ以外のマスターを探すため、そして万が一コヨミを狙うマスターと遭遇した時にコヨミを守るために。
 尤も、今のところは完全な空振りであり、次は街のどこへと向かえばよいだろうか。
 ……と考えていたはずが、どういうわけか、今はこうして食料の買い出しに至っているのであった。

「ライダー」
「何? コヨミちゃん」
「私、ご飯を食べる必要無いのよ。あなたもね。魔力を貰えばそれでいいの」
「……あー、言ってたわね。大丈夫、分かってる」
「だったら、こんなの買うだけ無駄じゃないの?」

 人形のコヨミ。サーヴァントのライダー。二人共に、食事を摂る必要が無い。
 ライダーに関して言えば摂取自体は可能だとしても、不可欠というわけではない。それでも食事を取るとしたら、ただの趣味以上のものではない。
 今のコヨミ達には達成する意味の無い目的であるのに、こうしてライダーはコヨミを付き合わせている

「コヨミちゃん。ただ栄養を摂るだけだったら、別に料理なんてしなくてもいいわよ。でも食べ物の味を楽しんで、テーブルに座ってお喋りを愉しむ。そういうことも、ご飯を食べる時には大事じゃない? 栄養と同じくらい、ね」
「……だから、それは精々あなたが楽しめるだけじゃ」
「ううん。これからあたし達が出会う人達のためなの。あたし達の願いを叶えてもらうんだから、お礼とおもてなしをしなくちゃね」
「それで、料理?」
「言ってなかったっけ? あたしって生きてた頃はラーメン屋もやってたの。元々料理は好きだし、特にラーメンなら誰にも負けないって自信あるんだから」

 そう言って、ライダーは買い物籠を片手に立ちあがった。どの麺を買うかは決めたようだ。

「ちゃんとその人のことを理解するために、こうやって準備してるのよ」
「その誰かにいつ会えるか、まだ分からないじゃない」
「いつか必ず会う。でしょ? だったら、今のうちにね」
「……私よりポジティブね。あなた」
「希望を捨てちゃったらお終いだもの。一日中思い詰めてるより、ほんのちょっとくらいこうやって気を抜いた方が楽じゃない?」

 どうやらただの奔放ではなく、彼女なりにコヨミを気遣っての選択であったようだ。
 未来を憂える今のコヨミの心境に対して、まずは気分転換。そしてコヨミ達の目的がいずれ達成されるのだという前提で物事を進めて、安心感覚を持たせる。
 ……コヨミ一人では間違いなく思い付けなかった発想だった。
 もしも彼女がコヨミの心身を案じてくれていなければ、未来の展望が全く見えない状況の中でコヨミは塞ぎ込んでしまっていた、だろうか。身体の完全な魔力切れを待つまでも無く。
 そう考えると、「コヨミを絶望させない」という発想に基づいてのライダーとの時間を無意味と言うわけにもいかない。
 たとえ、気休め程度であっても。希望を忘れまいとする人が側にいるだけで、いくらか安堵出来た気がした。

「コヨミちゃん。あたしはあとネギとか卵も買ったら買い物終わりだけど、他に見たいところある? ……って、お金はコヨミちゃんが出すんだから、あんまり贅沢も……」
「いい。疲れてるから、一回休みたい」
「そっか」

 日本と比べても、米国のスーパーマーケットは規模が段違いに大きい。正直なことろ、店内を歩き回るだけでも今のコヨミには少しばかりの苦労が伴っていた。
 もしもコヨミの身体が今より活発に動けるものであったならば、観光気分で見て回るくらいは出来ただろうか。
 それもやはり、もう意味の無い仮定であるけれど。






 きょろきょろと周囲を見回し、人目に触れる心配の無いことを確認する。
 今から二人で行うことは何としても他人に見られるわけにいかず、そのためにわざわざ二人だけで物陰に身を潜めているのだ。
 ライダーのサーヴァントである彼女が、自らの力を発揮するために必要な行為をこれから行うのだ。

「コヨミちゃん。またお願いね」
「…………うん」

 少しだけ屈み、ライダーの目線がコヨミと同じ高さとなる。
 普段コヨミの意識しているパーソナルスペースよりもぐっと近くに寄ったライダーの容貌が映る。
 大人びた顔立ちは、今の彼女がコヨミの肉体より上の外見年齢で召喚されたことを訴える。コヨミへの熱を帯びた視線は、同性であっても一瞬目を逸らしたくなるもので。
 栗色にも橙色にも見える髪を掻き上げ、ライダーは左耳を露出させる。染みの無い頬と同じ白さを見せつける耳朶に、紅色が輝いていた。
 すっと、コヨミはライダーへと顔を寄せる。吐息のリズムが聞こえる距離よりも、さらに距離を詰めていく。
 そして。
 唇を、そっと接触させた。
 次の瞬間、ライダーの姿は朱く、紅く、変わっていく。

「――マテリアライズ」

 コヨミが接吻した、ライダーの左耳に装着された紅玉(ルビー)のピアス。それは、彼女の携えた宝具の片割れだ。
 ライダーのマスターとなった者が認証の証として唇を触れさせることで、ライダーは自らの真の力を発揮するための衣を身に纏う。
 神秘を宿した宝石を介して、ライダーは“変身”する。
 灼ける炎熱のような眩い光と共に、彼女の衣装は暖色のスーツへと変わっていた。

「じゃ、しっかり掴まっててね。袋も持たなきゃ駄目だし」
「袋くらい私が持つわ」
「……いいの?」
「少しくらい、私にも仕事させて」

 そう言って買い物袋を抱えたコヨミの身体を、ライダーが抱え上げる。
 ふわ、とライダーはそのままアスファルトから両足を離し。ひゅん、と速度を付けて飛び立った。重力任せに落下するようなこともなく、二人は夜空の中を滑空する。赤いマフラーがばたばたと風に靡くのが聞こえた。
 横抱きにされるこの体勢はまるでラブロマンス映画のワンシーンのようにも思えて。それを言えば、女性が他者に口付けをすること自体がロマンチックな状況だと気付く。
 同性相手に、まるで恋人同士のような振る舞い。
 一人の少女として、相手にするとしたら他の誰かが良かったと思わないわけではない。

「……やっぱり、こういうのって男の子にされたいかな」
「別にいいわ」

 しかし、そもそもコヨミにとっての「誰か」に該当するのは何者か。
 こういう場合は、やはり晴人が最適解になるのだろうか。
 結局、コヨミから晴人へと向ける感情は家族愛と恋愛のどちらに近しいものだったのだろうか。
 分からない。
 二人で寄り添うのがあまりにも当たり前になり過ぎて、普遍的な言葉で改めて定義する必要性を感じなくなっていたから。
 もしもこの疑問を晴人にぶつけたら、何と答えてくれたのだろうか。
 とりとめもなく空想に耽りながら、コヨミは眼前のライダーの姿をぼんやりと眺めていた。

「…………本当はね、あたしもコヨミちゃんにはもっと生きてほしいなって思ってる」

 その視線に気付いたのか気付いていないのか。ふと、ライダーがぽつりと零す。

「こんな風に抱き締められる誰かと、これからを生きてほしかった。それが本音。もしも望まれたら、あたしは迷わず戦える。守るだけじゃない、奪う側の人間にだって、なれるわよ」
「……あなた」
「仕える人のために尽くす従者。それがオトメ、それがあたし。その自覚くらい、あるわ。サーヴァントである以前にオトメとして、他人に優先順位を付ける覚悟も出来てる」
「でも、私はそんなこと命じたくない」
「知ってる。自分のために誰かを絶望させたくない、でしょ……生きたいって思うのは誰だって当たり前なのに、コヨミちゃんは何一つ悪くないのに。なんで、なんで」

 ライダーと目を合わせるのが何となく辛くなって、視線を落とす。
 脚を持つ手に力が込められるのが見えて、感じられた。

「でも、コヨミちゃんが自分で考えて、自分の意思で決めたことだもん。か弱い女の子が、それでも必死になって。だったら、もう口出ししない」
「……」
「出来ること……コヨミちゃんの最後の願いを叶えるって決めた。命じられたからじゃなく、あたしの意思で」
「……ねえ。なんで、急にそんな話をしたの?」
「寂しそうに見えたから、かな」

 抱き止めてくれて。心情を想ってくれて。そして励ましてくれる。
 ただ力を的に振るうだけでない触れ合い方は、人の救い方として何度となく見届けて来たものだった。
 本当なら、同じ方法でコヨミの接してくれるのは彼のはずであった。それなのに彼とは最早永遠に引き離されて。
 このまま何も出来ず、一人で朽ち果てることになっていたのだろう。もしも、ライダーと出会えていなければ。
 人の救う力を持たないコヨミの運命は、ライダーとの邂逅で少しずつ変わっていく。

「コヨミちゃんの希望を受け継いでくれる誰かに会えるまで、あたしがコヨミちゃんの……最後の希望になる。だから、寂しい思いをしてほしくないなって。そう思ったら、なんか口が勝手に動いちゃった」

 あはは、とライダーは笑った。
 穏やかで、でも射抜く視線は揺るぎなく真摯に見えた。
 彼に救われた多くの者達も、きっと、こうして思わず息を漏らしてしまったのだろう。

「ライダー……ありがとう」
「舞衣」
「え?」
「あたしの名前。舞衣、鴇羽舞衣。やっぱり、二人でいる時くらいは名前で呼んでほしいかな」
「うん……ありがとう、舞衣」
「ん」

 いつの間にか、この街におけるコヨミの自宅が眼下に見つけられる場所まで来ていた。
 身寄りのいない独り身の少女という役割に相応しい、待つ者など誰もいないコヨミの家。
 星の光に照らされた町並みを眺めながら、風を肌に感じた。

「……寒いわよね。早く家に入ろ」
「大丈夫よ」

 背中に回したライダーの手に、そっと触れる。
 手袋越しにその細やかな指を、宿した熱を感じ取れたような気がした。

「だって、今も十分暖かいわ」











【クラス】
ライダー

【真名】
鴇羽舞衣@舞-乙HiME

【パラメーター】
筋力A 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運C 宝具A(『炎綬の紅玉』解放時)

【属性】
中立・善

【クラススキル】
  • 対魔力:C
魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

  • 騎乗:C
乗り物を乗りこなす能力。
生前目にしたことのある乗り物であれば乗りこなすことが出来るが、未知の乗り物には発揮されない。

【保有スキル】
  • 乙HiME:A
古の科学技術による戦闘能力、およびその能力の使い手。通称オトメ。
正式名称は乙式高次物質化能力(乙Type Highly-advanced Materialising Equipment)。
マイスターオトメの中でも、真祖を守護する五柱の候補者と謳われていたライダーのスキルランクは極めて高い。
体内に宿した大量のナノマシンを活性化させることで得られる高次物質化エネルギーを使い、オトメ専用のローブや武装を纏う。
ナノマシンは非戦闘時でも利用者の体力向上や、負傷・疾病に対する早期治癒といった効果を発揮する。

オトメは世界唯一のオトメ養成機関「ガルデローベ」での鍛錬を経た後、自らの認めた主人に仕えることを責務とする。
即ち、契約者である主人の側に立ち、その者を守る時にこそオトメは自らの本領を発揮すると言える。
ライダーは「マスターとの距離が近い」ほど、戦闘に際して有利な補正を得られる。
また、活動に伴うマスターへの魔力負担が(能力を過度に酷使しない限りは)著しく軽減される。
史実においてこのような効果は観測されていないが、「オトメはマスターを護る者である」という原則の一解釈として付与された。

  • 魔力放出(炎):C
武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
ライダーの場合、魔力を炎に変換するスキルとして扱う。発生量を調節可能のため、実際の燃費は特に悪いわけでもない。
発生させる炎を攻守の手段とする他、自身の格闘での攻撃力を向上させることも出来る。
さらには、他者に対して同様の効果を付与することも可能。

  • 気配遮断:D
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。
空間の狭間に位置する未開の地「黒い谷」に迷い込んで消息不明となった経歴から、低ランクのスキルとして得た。
宝具非解放時のライダーはサーヴァントとしての気配を高確率で察知されない。

【宝具】
  • 『炎綬の紅玉(クリスタルエナジー・フレイムルビー)』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:2人
オトメの体内に埋め込まれたナノマシンの制御を行うマイスターGEM。
ライダー自身が左耳に付けているピアス型と、契約者用の指輪型の一セット。それぞれに紅色の宝石が埋め込まれている。
指輪を付けたマスターが「認証」をすることでナノマシンの活性化が開始、戦闘形態への変身(マテリアライズ)が可能となる。
言い換えれば、この宝具はライダーの意思だけでは解放することが出来ない。
認証の行為として契約者がライダーのピアスに口付けをすることで初めて解放される。
オトメと契約者はGEMを通じて痛覚を共有している。一方の受けたダメージはもう一方にそのまま伝わり、致命傷による死も例外ではない。

契約者用の指輪は、ライダーが召喚された瞬間にマスターであるコヨミの肉体に吸収された。
生前の鴇羽舞衣が持っていた炎綬の紅玉の片方が、猫神ミコトに飲み込まれたまま出てこなかったという逸話の影響と思われる。この状態でも認証は可能。
そしてオトメとマスターの主従関係は唯一無二。一度関係を築いた二人は、その縁を解かない限り生涯を添い遂げる運命にある。
故に、最早この聖杯戦争においてコヨミ以外がライダーの契約者となることは絶対に有り得ない。

なお、元々『賢者の石』を宿すコヨミの体内で契約者用の指輪が現在どのような状態となっているのか、現時点では観測する方法が無い。

  • 『神竜・火之迦具土(カグツチ)』
ランク:A 種別:対人・対軍宝具 レンジ:- 最大補足:1体
白い巨体を持つ竜。「チャイルド」や「結界破りの竜」と呼ばれていた。
ライダーの意思によって召喚されるが、必要な魔力量の大きさ故に実質的に令呪の消費が必須。
主な攻撃手段は口から吐く火炎弾であり、その威力はライダーの魔力放出スキルによる攻撃力をも上回る。
ライダーの持つ騎乗スキルのランクでは扱えないはずの亜竜であり、乗るにしても振り回されながらの無理矢理な形にならざるを得ない。
尤も、ライダーは自力で飛行可能であるのに加えてカグツチも自律的に行動するため、そもそも騎乗する必要性自体が無いのだが。

カグツチが持つのは、巨竜の姿で生前の鴇羽舞衣と交戦した逸話、宿された力を失い小型の獣の姿となって以後に生前の彼女の下で暮らした逸話のみ。
巨竜の姿で生前の鴇羽舞衣と共闘したという逸話を持たず、鴇羽舞衣もまたカグツチを完璧に乗りこなしたという逸話を持たない。
本来ならば彼女は『ライダー』のクラス適性が決して高いと言えないはずなのだが、それにも関わらずカグツチは騎乗可能な宝具として顕現する。
それは既存の逸話を都合良く統合した結果か、若しくは更に別の要因があるためか。
真実を理解することはライダー自身にも叶わない。

ただ、事実だけを言うとすれば。
カグツチは『鴇羽舞衣』と共に戦う竜(チャイルド)である。
そして、竜を従える彼女は、コヨミのために戦う『ライダー』である。

【weapon】
マテリアライズによって纏うローブと宝輪。
宝輪から発生させる炎を主な攻撃手段とする。

【人物背景】
マイスターオトメの一人。ジパング将軍家嫡男の鴇羽巧海頭忠頼を実の弟に持つ。
将来への迷いの答えを出すため旅に出るが、黒い谷と呼ばれる未開の地に迷い込み、猫神ミコトに捕まり出られなくなる。
その後は黒い谷での生活に馴染んでおり、黒い谷が現世に復帰した後でもそこでの生活を続けていた。
昔は自らの感情に振り回されて苦い経験をしたらしく、それを経たからか包容力のある性格となっている。

【サーヴァントとしての願い】
コヨミちゃんを守りたい。
最期まで、希望を持ったままでいてほしい。

【備考】
鴇羽舞衣が登場するのは『舞-乙HiME』TV本編の第23話以降、およびOVA版『舞-乙HiME Zwei』。
はっきり言って出番はかなり少ないので、上記を視聴するだけでも把握は可能である。
戦闘シーンはOVA版に多少ある程度。動画サイト等でアクションゲーム版も参照するのが望ましいかもしれない。
なお、シリーズ前作『舞-HiME』に登場する鴇羽舞衣はあくまでよく似た別人であるとされる。
しかしキャラ造形のベースになっているため、理解度を深めるためなら視聴する意味はあるかもしれない。



【マスター】
コヨミ@仮面ライダーウィザード

【マスターとしての願い】
静かに命を終わらせたい。

【weapon】
『賢者の石』と呼ばれる魔法石を体内に宿している。
コヨミの活動のエネルギー源であり、定期的に魔力を供給しないとコヨミの肉体は活動を停止し、やがて崩壊する。
しかし既に肉体の限界が近づきつつある現在のコヨミでは、魔力を供給したところでその効果は薄い。
ライダーへと供給する必要のある魔力量は極めて小さく、しかしその分コヨミ自身の肉体の維持にも魔力を要する状態である。

この魔法石に大量の魔力を注ぎ込むことで、死者蘇生のような奇跡にも等しい魔法を実現出来るとされる。
尤も必要とされる対価は未知数であり、一千万を超える人間の生命を犠牲にして一人を生き返らせる可能性があるという程度。

【能力・技能】
人間の振りをしたファントムの正体を見抜く能力を持つ。
もしかしたらサーヴァント相手にも何らかの効果があるかもしれない。

【人物背景】
サバトと呼ばれる生贄の儀式の生き残りとなった少女。
その正体は、サバトの黒幕である笛木奏の実娘の亡骸に別個の意識を宿した「人形」。
ファントムとの戦いの中で笛木が多数の犠牲を出してでもコヨミ(の肉体と娘の意識)を完全に蘇生させようとしていることを知った。
そのことを嫌い、既に死者である自分は今度こそ命を終わらせるべきであると決める。
サバト失敗後に笛木に再び連れ去られた後~晴人と再会する前のどこかの時間軸からの参戦。

【方針】
誰かを犠牲にせずに眠れるならそれで良い。聖杯へ何かを願う気も無い。
自分が死んだ後に『賢者の石』を晴人に手渡せる人、または『賢者の石』を悪用しないと信じられる人に出会いたい。






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最終更新:2017年01月08日 18:58