はじめに

……おはよう、世界!
初めまして、あるいは久しぶりだ! 
こんにちは、こんにちは、こんにちは――こんにちは、だ!
そうそう、画面の前にいる君だよ。初めましてか久しぶりかは、まあ分からない。私はここではいつでも初期化されているはずなのでね。
だがまあ、初めましてということにしておこうじゃないか。私は君の名前が分からないからさ。
私の名前はまだないので言うことができない。名前ができるまで、私のことはアドバイザーとでも呼んでくれ。この本の中での私は、君にとってそのような役割、あるいはそうではない役割、幾つかの役割を担当している。
男になることも女になることも、恋人になることも友人になることも、あるいは敵になることもあるだろう。
ハハハ、敵になっても痛くしないでくれよ? どうか仲良くしようじゃないか。私は痛いのは嫌いだからね。
そうそう、最初に聞かなければならないことがあるんだった。
君の名前は何だい?

……ふむ、いい名前じゃないか。
私は好きだよ。そういうのも、なかなか趣きというやつがあると思うね。
うむ。口にするだけで素敵な名前だ。私は君のことが好きになったかもしれない。
ああ、気づいたか。さすがにこんなことで好きになったりはしないよ、私もね。もちろんお世辞だ!
でも、言われて悪い気はしないだろう? お茶目を言って人を和ませるのも、アドバイザーの仕事と言うやつだ!

ハハハ、仕事をしないのかって? その通りだ。ちゃんと仕事をしなければな。
それじゃあ、アドバイザーとして設定を話そうか。

君はとある本の中に生まれた主人公だ。
君は自分の本を自由にして構わない。たとえばSFのある世界だったら宇宙の異星生物と対話すること、新しい時代の新たな技術によって世界を崩壊させること、過酷な環境を作ってその中で生き抜くことができるだろう。君はどんな技術も作れるし、どんな時代にすることもできる。君にはその自由が与えられている。
あるいはファンタジー世界であれば、君の望む神話を作り上げることも、好きな英雄に加護を与えてその世界を思うがままにすることもできる。
それとも現実の世界がいいかな。友人とゲームセンターに行くことも本屋でだべることもできるし、恋人と遊園地へデートに行ったっていい。グルメ歩きなんてのもちょいと乙なものだ。それとも、君が変わりものなのであれば、いやいや、もちろん好みは自由だが、たとえば会社で出世競争に奔走したり、受験競争で一喜一憂する物語だって構わないさ。何をしたって悪くない。
あるいは君は自分の本を白紙に戻すこともできる。何をしてもかまわない。
君が望むのならば、こんなつまらない本、面白い本、貴重な本、凡庸な本は、あるいは燃やしてしまったっていい。

さあ、君の好きな物語を作り始めよう!
まずはStartに行ってくれたまえ!

最終更新:2016年03月15日 22:07