ゲフレイバール事件
年月日:1629年
場所:ロフィルナ連邦共同体、エールミトナ星系、ゲフレイバール
結果:ニーネン=シャプチロフィルナ連邦共同体両国の国交締結交渉に進展
交戦勢力
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
招民院統合遠星系軍艦隊臨時統合艦隊 ロフィルナ連邦宇宙軍連合艦隊
指導者・指揮官
ライエンジャルチ=ニャンクタルヒュ
ダロン=プナグマンネーシ
シャグタルニ=レディトゥヴィネルチ
エレーン・アルヴェンスト
イェルトス・ヴィ・ブロームウィースト
ルーラティン・ギスタウシース
戦力
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
カヴマー級主力戦艦4隻
ウィジャナスラナント級主力戦艦3隻
セトナーチ級惑星強襲艦オラム
ヒュー級シュトム6隻
クワントローフェ級シュトム2隻
スレトマナン級シュトムタインクナール
SH1級試作シェドゥーチャ8隻
輸送機母艦2隻
試作型MSNワープ専用艦2隻
他補助艦艇3隻
コルナーヤ級独立強襲母艦2隻
フリュクレップス級巡航戦艦1
ルドラトリア級巡航戦艦3隻
ネルトリーア級巡航戦艦7隻
ソレイモス級レーザー駆逐艦42隻
メルバ級戦術統合支援艦2隻
他、航空火力支援艇200隻
損害
ニーネン=シャプチ ロフィルナ連邦共同体
負傷1名 負傷3名

 ゲフレイバール事件は、1629年エールミトナ星系第8惑星の軌道上で勃発したニーネン=シャプチロフィルナ連邦共同体双方の軍事衝突である。


経過

 シンテーア暦16世紀中葉頃からニーネン=シャプチはエフューラフト国立天文台の観測によってチャグマ=ダプラ星系近傍の星系に星系外知的生命体文明が存在すること感知していた。ニーネン=シャプチ招民院はその文明が支配しているであろう領域に調査船を派遣し、その文明に対する各分野の研究が着手された。
 17世紀前葉、その文明がロフィルナ連邦共同体であるということが判明する。ちょうどこの頃、星系外知的生命体文明への平和的接触と友好を世論は望んでおり、ダロン=ファムイが第36代星衛主席に就任するなど、国際派の風潮が高まっていた。
 1618年のシ=ギーラム事変で国際的孤立を懸念したニーネン=シャプチ政府はロフィルナとのファーストコンタクトを実行することとなった。クヌージェ=イレ=タルノー星衛主席はロフィルナと接触をすべく、当時創設されて間もない招民院遠星間艦隊の第一艦隊と第二艦隊を統合した統合遠星系艦隊を派遣することにした。

 この命令を受けてニーネン=シャプチ統合艦隊ニーネン=シャプチ遠星系艦隊提督ダロン=トレプガン=シャ=サトゥーチ=プナグマンネーシ率いる試作MSNワープ専用艦を2隻を含むニーネン=シャプチ統合遠星系艦隊はエールミトナ星系へ侵入。間もなくして、ロフィルナ連邦共同体連邦議会は当該星系の外縁部のセンサーに大規模な熱源を感知。当初政府は宇宙海賊ゴルヴェドーラによる襲撃であると誤認し、厳戒体制を敷いた。内惑星艦隊ロヴィンエルナ方面軍、ツォルマール方面軍からなる連合艦隊が出撃し、外惑星艦隊も臨戦状態となる。連邦宇宙軍府は第6代常任最高議長エレーン・アルヴェンスト侯爵(当時43歳)政権に対し、更なる防衛予算の拡充を要求して、クーデター実行を示唆した。

 10日後、ロフィルナ政府の予想通り第8惑星ゲフレイバールにてニーネン=シャプチ艦隊と接触した。ニーネン=シャプチ艦隊の構成艦は、ロフィルナ側にとって、これまでのゴルヴェドーラ艦艇の外観とは明らかに異なるフォルムだったために警戒していた。ニーネン=シャプチ艦隊に向けて接近の意図を問う交信を試みるも全く応答がなく、拡散信号弾による意思疎通を試みた。

しかし、試作型MSNワープ専用艦(ミェイセン=ダーフ、mieisen-da^f)の至近距離に射出したことが問題となり、強度の警戒を招いてしまう。ニーネン=シャプチ遠星系艦隊提督ダロン=プナグマンネーシは直ちに迎撃発砲許可命令を下し、ニーネン=シャプチ艦隊全艦が対空斉射を行って信号弾を消滅させ、次いでロフィルナ艦隊に対しての砲撃を開始。戦闘に突入し、ロフィルナ連合艦隊旗艦フリュクレップス級巡航戦艦のネルトリーヤの機能が一時的に麻痺する事態となる。

 時の内惑星艦隊司令部は、明らかにゴルヴェドーラのものとは異なる集団であるとの結論に達するが、敵性であることには変わりなく隷下の全軍に全ての火器の使用を許可した。数の力で当該集団の制圧を試みるも、主力戦艦のフィエシ粒子砲による攻撃を受け、ロフィルナ主力艦は次々に機能が麻痺させられ、更に複数の艦載機が撃墜させられた。

 遂に全面的な攻勢に踏み切ろうとした時、ロフィルナ連合艦隊旗艦ネルトリーヤに向けて急速接近してきたヒュー級シュトム艦モラケに横付けされ、ロフィルナ連合艦隊旗艦の艦内にニーネン=シャプチ軍歩兵が侵入。数発の銃撃戦の後、ニーネン=シャプチ軍歩兵が翻訳デバイスを利用してロフィルナ語で「交戦の意思はない」と伝え、戦闘を中断する意思を見せた。ロフィルナ軍は直ちに全軍に対する停戦の命令が下され、戦闘は中断された。この艦内戦闘でロフィルナ側は負傷者3名、ニーネン=シャプチ側は負傷者1名を出した。接触してから僅か1時間弱の間の出来事である。

停戦後交渉

 旗艦ネルトリーヤでの艦内戦闘が終結すると、ロフィルナ連合艦隊最高司令官は無用な混乱を避けるために隷下の艦隊に対して緘口令を敷くよう厳命しつつ、本国政府に事件の経過を報告し、連邦理事会も話が纏まるまでは様子見に徹することで一致した。ロフィルナ連合艦隊旗艦の艦内にてロフィルナ側からはロフィルナ連合艦隊最高司令官のイェルトス・ヴィ・ブロームウィーストと惑星ロヴィンエルナから連邦宇宙軍府外事部長官ルーラティン・ギスタウシースの二名、ニーネン=シャプチ側からは招民院統合遠星系軍臨時統合艦隊ダロン=トレプガン=シャ=サトゥーチ=プナグマンネーシと招民院外交部艦隊附属課特務大使シャグタルニ=ドゥールート=タ=ギール=レディトゥヴィネルチの二名が交渉に参加した。
 ロフィルナ側はプェルクマイスト・ゲートの範囲外から飛来してきた先進文明であろうニーネン=シャプチに対して危機感を抱いており、ニーネン=シャプチ側もまた本国からそう遠くない場所に強権国家があるということになれば国防上の重大事項であると懸念していた。
 連邦宇宙軍府外事部長官のギスタウシースは「交戦の意思がないのなら何故撃って来たのだ」とニーネン=シャプチ側の招民院附属外交官のレディトゥヴィネルチに尋ねた。これにレディトゥヴィネルチは自国艦隊に対して、ましてや星系間をワームホール航行するためになくてはならないMSN艦を攻撃してきたことに対して強く抗議し、青く光る不明弾をMSN艦の至近距離に射出した意図と経緯を問い、そのような行為は攻撃の意思があると判断されてもやむを得ないのではないかと訴えた。連合艦隊最高司令官ブロームウィーストは困惑して事の経緯を説明した。

 そして、両国は具体的な交渉についてに話題を移した。ここで問題となったのはロフィルナ側が現状鎖国体制下にあることだった。「開国するということは、鎖国の崩壊によって他国文化が流入し体制の崩壊を招く恐れ、つまり安全保障上の懸念から難しいことである」と連合艦隊最高司令官ブロームウィーストは伝えたが、臨時統合艦隊提督のプナグマンネーシは「ニーネン=シャプチにとって銀河内近傍の星系の宇宙進出文明との接触はこれが初めてであり、人民は国交締結を望んでいる。国交を結ばなければ人民たちはある日突然、チャグマ=ダプラの地表を埋め尽くすほど未知の宇宙船艦隊が一方的に侵略してくるかもしれないという恐怖に晒すことになるからだ」と反論した。ブロームウィーストはしばらく否定的な表情を浮かべて押し黙っていたが、艦隊附属課特務大使のレディトゥヴィネルチが「今後、あなたたちは隣人がパニックになったからと言って自分の脇腹に刃物を刺してきても、それを笑って許すことができますか?」と脅した。これにロフィルナ側二人は苦々しくうなずき、国交締結交渉のための首脳会談を承諾した。
 プナグマンネーシ提督はこの事件で生じた損害の補填はひとまず双方互いに自国の中だけで完結することを提案し、連合艦隊最高司令官ブロームウィーストはそれに同意した。ニーネン=シャプチはこの対談終了後すぐに艦隊を撤収させることとし、ロフィルナも同様に艦隊を撤収させることとした。

首脳会談

 ニーネンの望みは、単純に我が国との交流を深めて両国の関係を強化することにある。つまり、ゆくゆくは同盟関係の構築を念頭においているものと見られた。鎖国体制を維持したい我が国としては厄介な問題であることに違いはないが、衝突を避ける最善の策として当面は我が国の鎖国を維持すること。その間に両国政府の情報を積極的に交換して信頼関係を深めていく。ことを急ぎすぎると双方の社会にとって無用な混乱を齎す可能性があることに言及し、あくまでも段階的な措置を踏んで各種分野の連携を確立させることを提案した。無論、ニーネンで保護されている当方の民を帰国させることも忘れない。

 ロフィルナ側の思わぬ提案と手渡された芸術品の数々に一定の安堵を得たニーネンの使節団は、先の内容をもう一度確認し、年内にロフィルナ国内の港を限定的に開放するよう求めたのである。連邦理事会は、各種分野における専門家の入国に限ってこれを認めるとの意向を伝え、ニーネン側の同意を得た。交渉妥結後、アルヴェンスト政権は速やかに新たな文明国との接触を報じて混沌とした様相を深める国内情勢の収束を試みたのである。連邦宇宙軍府は、先のニーネン艦隊との戦闘データを事細かく解析して対処法の研究を加速させた。

補足事項

 接触当初の段階で、ニーネンの側がロフィルナ語表記の旗を掲げるなどして対応してれば無駄な犠牲を出さずに済んだかもしれない。とはいえ、ニーネン艦隊もロフィルナ軍の正確な実力を把握しておらず、それがゆえに強度の防衛体制を取らざるを得なかった。一方、ロフィルナ側はニーネン艦隊による軍事的なデモンストレーションとして受け止めており、後の締結交渉の場でそれを指摘するが、ニーネンの使節団は艦隊の至近距離に青の実体弾を発射したロフィルナ側の失策を突いて不問に付するよう要求したのである。先の戦闘において、実力の差を見せ付けられたロフィルナ側に反論する意図はなく、不毛な争いを避けることを確認した上でニーネンとの協議を進めた。

関連項目