ロフィルナ革命
年月日:1788年~1793年
場所:極東宙域エールミトナ太陽系圏・第三惑星ロヴィンエルナ
結果:双方疲弊による停戦(事実上政権側が勝利)
保革共立体制が成立
主な交戦勢力
政権軍(総称) 反乱軍(総称)
公共局治安維持軍
警保局中央武装警察
国家憲兵隊
連邦惑星軍
内惑星艦隊
救国臣民統一戦線
学徒防衛隊
連邦特別区・北洋帝国正規軍
その他の自治体正規軍(公国・州軍・自治軍等)
ロフィルナ社会民主同盟・統合革命軍
自由ロフィルナ抵抗軍
ケルジャーナ共同体
テレッシェス教導戦線
スクルカーヤ首長国
マルスラーマ侯領自治軍(途中から政権側となる)
中央洋ケルフェリーナ列国同盟(グレスバルド公国、フェルドナ公国、ラズリア公国)
指導者・指揮官
連邦理事会 統合革命軍
ヴァンス・フリートン第10代連邦理事会常任最高議長
ローツェルド・クラルプランダル連邦理事会副議長(後に臨時執政官となる)
ゾヴィリック・アルヴェンスト社会民主同盟総書記、パレスポリナ中央委員会代表
イェルサ・フォールリング統合革命軍元帥
戦力(民兵含む)
政権軍 反乱軍
総戦力 259万人
巡航戦艦3隻
宇宙空母1隻
艦載機/100機
中小宇宙艦艇29隻
基地戦闘機3152機
汎用機動戦闘車15465両
海上艦艇135隻
潜水艦83隻
歩兵245万人
総戦力3000万人超
基地戦闘機662機
汎用機動戦闘車3415両
海上艦艇53隻
潜水艦25隻
歩兵2985万人
損害
政権軍 反乱軍
105万人 2442万人
その他の犠牲者/負傷者・行方不明者
犠牲者:3000万人超 負傷者・行方不明者:集計不可能
【戦争名】
近世ロフィルナ内戦

このページの設定記述は議論の余地が残っています

 近世ロフィルナ内戦(通称、ロフィルナ革命)は、シンテーア暦1788年の同時多発テロ事件に端を発して、93年に至るまで長期化した惑星内紛争の総称である。連邦国内において、長らく抑圧されてきた貧困層が武力蜂起し、政権側の諸勢力と衝突した。加えて、構成各国の少数民族やカルト教団、独立過激派等が連鎖的に立ち上がったことで混迷の度合いを深めた。

 勃発当初の段階では、政府の方針として早期に平定することを目指したが、その後、予想を遥かに超える数の正規軍部隊が離反し、瞬く間にロフィルナ本星の全域に波及する事態となった。一方、敵対する諸外国の追撃を恐れた連邦国防軍(連邦宇宙軍、連邦惑星軍)は今次紛争への介入を極力行わず、最終防衛ラインの維持に徹した。(シ暦1790年ファールリューディア講和条約の締結後に介入)


革命に至るまでの背景

文明開化と大軍拡

 時は1747年。ロフィルナ連邦共同体は、既存のロボティクス技術を刷新する未曾有の大変革時代を迎えた。また、インテグラシオン統合連邦との交渉が功を奏し、フォーリーメード平等貿易協定を締結する。これにより、高度な経済発展を遂げた連邦共同体であるが、得られた富の殆どを新たな兵器の開発に費やすなど、劣悪ではないが良好とも言えない統治が続いた。1755年に亜光速戦闘爆撃機トラソルティーアを配備し、本格的な軍拡の時代に突入する。1760年にインテグラシオン内戦が勃発すると、第三機動艦隊を派遣し、同国政府を支援した。更に過去最大規模の特殊遠征海兵を投入。夥しい数の犠牲者を出すも、1765年に勝利を迎え、同国との友好関係を確固たるものとした。

シャグマ=ラゴン戦争

 しかし、1770年代に差し掛かるとシャグマ=ラゴン星系の情勢が悪化し、再び臨戦状態となる。1780年、独立運動を主導する同星系の植民地政府が総督府と衝突。ついには自由解放諸国の介入を招く可能性すら現実味を帯びてきた。ここに至って、時のフリートン政権は新式ミサイル(T-03RKSB4.戦略宙間重力ワープミサイル。通称、バラノッド4)の配備を承認し、直後に発射態勢に入らせる。この動きを警戒したヴァルエルク共和国も臨戦状態となり、両者の緊張は最高度に達した。

 事態の打開のためにロフィルナ政府は穏便に事を解決するよう紛争当事者に呼びかけたが、聞き入れられず、情勢は悪化の一途を辿る。1782年。内戦不干渉の原則が仇となって、強い行動を取れないロフィルナ政府の危機感をよそにヴァルエルクが参戦し、植民地政府に対する支援を行った。当然、ニーネン本国を始めとする新秩序同盟諸国は総督府を支援し、代理戦争の様相を呈する。

 1783年、全面戦争に突入して参戦要請を受けたロフィルナ政府であったが、早期の停戦を求めるなど事実上の中立宣言とも受け止められる冷淡な対応を取った。これにより、新秩序諸国との関係は悪化の一途を辿っていく。しかし、ヴァルエルク政府はロフィルナのZHL戦力の脅威を訴え、公然と領空侵犯を繰り返すなどの挑発行為を重ねた。

 そのような経緯を経て、一気にフリートン政権に対する追及を強めた当時の連邦宇宙軍府は、独断でヴァルエルクの侵犯機を撃墜し、バラノット4をスィトローク星系に発射する。当然これらは全て撃墜されることになるわけだが、『次は10発では済まない』などと表明してヴァルエルク国民の激発を招いた。対するヴァルエルク政府は強烈な怒りを露にし、1785年、ついにロフィルナ連邦政府に対する最後通告(謝罪と賠償要求)を行う。進退窮まった時の常任最高議長ヴァンス・フリートン侯爵は連邦宇宙軍府の圧力に屈して参戦を決断した。

ツォルマール攻防戦

 1787年、海賊艦隊ゴルヴェドーラが襲来し、第五次海賊戦争が勃発する。過去最大規模の航空艦隊を擁するゴルヴェドーラの脅威を前に連邦共同体の5星系は終始防戦を強いられた。戦時体制下において、全てのセーフティネットがストップしているロフィルナ国内の惨状は年々深刻化の一途を辿っており、大量の餓死者を出す様相となる。そうした状況の中、1788年に雌雄を決するヴァシュデコールの戦いで未曾有の大敗を喫したロフィルナ連邦宇宙軍(外惑星艦隊)は、全面的な撤退を決断し、順次エールミトナ星系に後退した。彼らが目にした光景は―――無惨にも変わり果てたツォルマールの町並みで、艦に乗船する多くの将兵が敗色濃厚であることを悟った。

 そして来るべき×月×日。その時が訪れる。追い討ちをかけるようにツォルマールに迫ったファルトクノア艦隊を前に時の連邦宇宙軍府は撤退命令を下し、残る艦隊のほぼ全てをロヴィンエルナに引き下げた。ここに至って、完全に見捨てられたことを悟った時の公国首相×××は、自らブリッジに立ち、次のように厳命したのである。『諸君らが行うべきはただ一つ。死守せよ』

 そうして始まったツォルマール攻防戦において、ファルトクノア艦隊と対峙することになったツォルマール方面軍(内惑星艦隊)であるが、先の海賊戦争において半壊状態となった防衛艦隊に士気はなく、時の巡航旗艦長×××の凶弾によって×××は非業の最期を遂げた。恐慌状態に陥った多くのツォルマール難民がロヴィンエルナに逃げ出すも、彼らを迎えたのはフリートン政権の改革に屈した最終防衛艦隊であり、一切の慈悲もなく全て撃沈される。辛うじて防衛線に食い込んだ一部の難民もまた例外なく射殺された。時は×月×日。そのような経緯もあって、極度の飢餓に喘ぐロフィルナ国民の不満はついに爆発。革命の火蓋が切られるのであった。

交戦勢力概要

 便宜上、体制側に組した組織を政権軍として扱う。反体制側に組した組織は個々の利害に基づいて行動しており、共通の敵である連邦理事会を打倒するという意味では一致しているものの、イデオロギーが異なるため必ずしも協力関係というわけではなかった。また、自治体政府を相手に軍事行動を起こし、中央との衝突を避けた組織もある。本項では、今次紛争において大規模な軍事作戦、支援活動、破壊活動を行った組織のみ記載したい。


政権軍


連邦議長府・公共安全管理局治安維持軍

 通称、公共局。重要施設の警備や監視業務、治安維持を担う軍事組織で、通常の警察力だけでは対応できない場合に出動する。いわゆる国内軍に相当する組織であり、重武装。独自の装甲車両に加えて、人型支援機や輸送機、海上艦艇をも有する。暴徒の鎮圧に際しては、目標を完膚なきまでに壊滅させることを基本原則としており、その行動に一切の迷いは見られない。そのため、内務省との折り合いが悪く衝突してしまうことも度々ある。

連邦内務省・警保局中央武装警察

 通称、中央武警隊。公共局と同じく、国内の治安維持を主任務としているが、こちらはより軽機動で市街戦に特化した部隊編成となっている。基本的にアサルトライフルや軽支援火器、スナイパーライフルなどで武装した部隊編成となっており、必要に応じて無反動砲も用いる。治安維持軍が出てくると阿鼻叫喚の地獄となるので早期制圧に血道を上げている。

連邦内務省・国家憲兵隊

 主要都市の警備や儀礼行事、省内の規律維持を担う。本来は秩序を保つことに特化していたが、今次内戦の泥沼化を受けて駆り出された。基本的には正規部隊の後方に配備されており、攻略後の事後処理に徹している。あくまでも秩序の回復を優先することから、灰燼に帰すことも辞さない治安維持軍を制止することも度々あった。

連邦国防省・連邦惑星軍

 陸海空軍を指揮下に収める惑星防衛機構で、実質的な正規軍として活動している。ファールリューディア講和条約の締結まで不介入を貫いていたが、緊急事態レベルが引き下げられたことを受けて参戦した。連邦宇宙軍や治安維持軍と比較すると錬度の面で劣るものの、装備の質にかけては最も充実しており、内戦末期における都市奪還作戦の主翼を担った。

連邦国防省・内惑星艦隊ロヴィンエルナ方面軍

 ロフィルナ本星の防衛を担うが、シャグマ=ラゴン戦争末期の再編成(戦力集中)を経て強大化した。最終防衛艦隊。体制の維持に欠かせない主戦力であり、ファールリューディア講和条約の締結まで不介入に徹した。1790年に緊急事態レベルが引き下げられたことを受けて参戦し、加速度的に戦線を押し戻すことに成功している。

救国臣民統一戦線

 政権支持派の中では最大の勢力基盤を誇る。準軍事組織。司令部が正規軍の将兵で占められていることを除けば、全軍が民兵で構成されており、錬度も治安維持軍と比較して遜色ないほどの質の高さを保っている。基本的にニーネン=シャプチを始めとする主要先進国の銃火器を用いているため、政権軍が劣勢の中にあっても善戦を重ねた。一方で路上生活者や違法組織の構成員、その他の暴走族など潜在的な反動分子に対する憎悪が強く、度々集団リンチにかけるなど様々な残虐行為が問題となった。戦後、新たに成立した保革共立政権によって訴追され、徹底的な報復を受ける結果となる。

ルドラトリア学徒防衛隊

 内戦の初期段階において、急遽編成された。学園都市ルドラトリアの武装組織。その名の通りに同学園都市の学生を中心に構成されており、強制的に駆り出された者が殆どである。そのため、錬度も低く士気も低い。戦場から逃げ出す者すらいる始末で、戦力としては数えられなかった。女子供を含む下級民兵が肉壁のように酷使された結果、多数の内通者が生まれて政権軍を苦しめる様相となる。

連邦特別区・北洋帝国テラソルカトル

 ロフィルナ本星の中で高度な自治権を保つ。セヴェレデーラ大陸の大部分を支配しており、長らく連邦理事会と対立した。各種の免税特権を有し、独自に小規模の宇宙艦隊を持つが、連邦議会に参与する資格がなく、開国以前の長きに渡って強烈な不満を燻らせていた。内戦の初期段階においては敵対陣営に組することを計画していたが、1789年に北洋帝国皇帝が社会民主同盟党員の凶弾に斃れると、世論が紛糾。結果的には政権側で参戦する流れとなった。

その他の自治体正規軍

 ロフィルナ連邦を構成する自治体正規軍。多くの場合は公国軍を指してそのように総称されることが多いが、実際には州内の自治領を統治する地方領主の軍隊も戦った。そのため、度々公国政府に対する反乱が起きており、中央集権を図るべきかの論争が続く大きな要因の一つとなっている。今次紛争においても多くの地方領主が政権側に組したが、マルスラーマ侯領のように独自の目的を掲げて反旗を翻した領邦もある。

反乱軍

ロフィルナ社会民主同盟・統合革命軍


統合革命軍旗

 今次紛争において最も大規模な戦力基盤を誇る。元々は貧困層が寄り集まって発足したテロ組織で、長らく連邦の裏社会に甘んじていた。時には違法薬物を売り捌くこともあり、明確な政治理念があるのかすらも怪しい犯罪組織として忌み嫌われた。しかし、ロフィルナ艦隊がツォルマール攻防戦で未曾有の大敗を喫すると、国民の不満が爆発。急速な治安の悪化に乗じる形で勢力を伸ばし、遂には国家体制をも脅かす強大な軍事組織に急成長を遂げた。更に正規軍から離反した多くの将兵が雪崩れ込むと、少なくない数の国会議員が参加表明を行う。

 やがて彼らが党内の主導権を握ると、名実共に強力な政治結社として生まれ変わった。次に問題となったのは、党内で貴族制の廃止を掲げる過激派の存在であり、内戦末期においては血で血を洗う不毛な武力闘争に発展している。結果的には元正規軍将校が率いる主流派の浄化作戦によって駆逐されたが、更に暴力性を増した過激派の自爆テロを受け、夥しい数の犠牲者を出した。戦後は庶民院、同胞院に議席を伸ばし連邦議会の第一党に躍進。新たに成立した保革共立体制の名の下に競争原理と社会保障を両立する大胆な政策を実行した。今日に至っても根強い支持率を保っており、ロフィルナ革命を象徴する事実上の独裁政党として君臨し続けている。

自由ロフィルナ抵抗軍

 ロフィルナ社会民主同盟に呼応して武力蜂起した自由主義者の政党で、連邦の完全民主化を主張した。現体制の打倒を目指す意味では社会民主同盟と共通の理念を持つものの、社会保障政策のあり方を巡る細かな見解の相違から戦後連立政権を発足させることで合意していた。そのため、研鑽主義を掲げる同党の過激派からは『裏切り者』と謗られ、血で血を洗う不毛な武力闘争に発展している。結果的には党内で主導権を握る社会リベラル派が勝利し、健全な民主主義政党として生まれ変わるが、内戦末期に敗退を重ねラスリア公国の地域政党に甘んじる結果となった。

ケルジャーナ共同体

 バレントラ公国において長らく差別されてきた歴史を持つ。ケルジャーナ人が集う独立過激派のテロ組織であり、公国政府を相手に戦った。種族の特性を生かした野戦行動で公国首都を陥落させるほどの活躍を見せたが、国境付近で態勢を立て直した公国正規軍の反撃を受け、未曾有の大敗を喫する。戦後、改めて行われた公国選挙で躍進し、第二の勢力を誇る地域政党に生まれ変わった。

テレッシェス教導戦線

 旧暦時代に猛威を振るった技術抑制主義を掲げる。エルドラーム旧約聖教系の過激派であり、現代社会の失敗を主張した。ロフィルナ版ゴルギズムかと見紛うほどの破壊活動を繰り広げており、『発展の歴史そのものが罪である』と断じる(実際には原点に立ち返って全てをやり直すことを趣旨としており、ゴルギズムではないことを教団の指導者は強調している)。標的となったのは、現地政権(デラノス公国政府)の支持基盤となっている知識層で、技術者や科学者、それに組する支援者など夥しい数の人間が殺害された。

 教導戦線が勢力を伸ばした背景として、社会的弱者に対する極端な隔離政策が行われた歴史があり、教育程度の低い貧困層をスラム街に追いやった結果、不満が爆発した経緯がある。先に述べた通り、極端な抑制主義を掲げることから目に付く物すべてを破壊した。一度、旧暦時代に戻って全てを償うことを主張する。それがゆえに連邦国内で争う全ての武装勢力から叩かれた。ロフィルナ社会民主同盟、自由ロフィルナ抵抗軍とは一時的に不可侵協定を結んでいる。(内戦末期に教導戦線が大敗を喫すると再び敵対関係となった)

スクルカーヤ首長国

 旧暦時代の北洋帝国に征服された歴史を有する。文明統一機構移民船団に見捨てられた植民地の一つで、長らくテラソルカトルの圧政に苦しめられた。幾度となく独立戦争を起こしており、今次紛争においても帝国軍の主力が出兵した後に武力蜂起している。また、過去例を見ないほど大規模な戦力を誇ることから、帝都防衛軍を壊滅寸前まで追い詰めた。内戦末期、政権軍の勝利が濃厚になると帰国した帝国主力の総攻撃を受け、未曾有の大敗を喫する。戦後は筆頭公爵の後ろ盾を得て一定の自治権が認められた。

マルスラーマ侯領自治軍

 時は1570年代、エリッツ・ウェリックショーム(第5代常任最高議長)の時代。既存国家の多くが解体される中で減封に処された歴史を持つ。今次紛争においてはセドルナ公国からの独立を求めて決起し、勝利を重ねた。公都コルナンジェを占領後は連邦理事会との交渉に入り、同国における二元君主制を確立させることで合意している。その後は政権軍に加担し反転、社会民主同盟を始めとする反政府勢力をセドルナ本島から駆逐した。

中央洋ケルフェリーナ列国同盟

 グレスバルド公国、フェルドナ公国、ラズリア公国の三ヶ国によって結成された。何れの国家もセドルナ公国と接しており、中央洋における最大の反乱勢力となって自由ロフィルナ抵抗軍を支援している。社会民主同盟に対しても同様の支援を行っており、同党がルドラトリア戦線で大敗を喫した際には決死の救出作戦を実行した。後にグレスバルド、フェルドナの二ヶ国が降伏し、ラズリア公国も同様の運命を辿るかのように思われた。しかし、予想に反して頑強な抵抗を続けるラズリア公国軍を前に連邦理事会が停戦交渉を打診。その結果、同国への免責を条件に社会民主同盟との共闘関係を打ち切ることを表明する。戦後は抵抗軍の移住希望者を受け入れ、自由ラズリア行動党を発足させた。

中立組織

源ロフィールナ・エルドラーム新約聖教自警団

 今次紛争において難民の保護活動を行った。厳正中立を掲げており、どちらか一方のシンパである場合は教会内から即座に追放している。そのため、人道上問題と見る向きもあるが、治安維持軍などに踏み込まれることを恐れた教会指導部は苦渋の決断の末に断行した。救国臣民統一戦線、テレッシェス教導戦線、ロフィルナ赤軍、暴風旅団など数多くの過激派と交戦し、多数の殉教者を出している。

その他の無法集団

ロフィルナ赤軍

 内戦末期に社会民主同盟から放逐された。過激な武装集団。貴族制の完全廃止を掲げており、民間人も巻き込む様々なテロ事件を引き起こしている。政府のシンパと見られる者を無差別に拘束し、強制労働を課した。内戦末期に差し掛かると反物質自爆テロを断行。1000万を越える数の犠牲者を出すなど凶行の限りを尽くしている。一部の戦闘員は戦後ツーンカに亡命し、海賊艦隊ゴルヴェドーラと手を組んだ。

暴風旅団

 内戦末期に勢力を増したテラソルカトルの無法集団。この世に存在するありとあらゆるものを憎んでおり、目に触れるもの全てを灰燼に帰した。テレッシェス教導戦線すら非難声明を発する、正真正銘のゴルギスト集団である。帝都が消滅して無法地帯と化したテラソルカトルの空白地帯に広まった。そのため、内乱鎮圧に特化する治安維持軍の本隊が殲滅作戦を展開。夥しい数の犠牲者を出した。

経過

シンテーア暦1788年・革命勃発

 ロフィルナ社会民主同盟が一斉に蜂起し、本星の西側を除く全土に波及。続いて自由ロフィルナ抵抗軍が結成され、非常事態レベルが最高度に達する。公共安全管理局治安維持軍、内務省国家憲兵及び警保局中央武装警察、対テロ即応部隊が出動。ロフィルナ内戦勃発。内惑星艦隊ロヴィンエルナ方面軍、連邦惑星軍各隊は今次紛争への介入を極力行わず、外敵の追撃に備える旨を表明した。時の常任最高議長ヴァンス・フリートン侯爵が連邦宇宙軍の指揮権を事実上掌握したとの報道が流れる。ニ大公は紛争当事者に向けて遺憾の意を表明。必要とあらば双方の仲裁を行う旨を表明した。

 ロヴィンエルナ攻防戦ファルトクノア陸軍第619航宙技術実証研究大隊隷下の第二降下中隊がヨガーラニア大陸パレスポリナ地方に降下。ロフィルナ社会民主同盟(ロフィルナ赤軍)に対する技術支援を開始する。

 連邦共同体の各種治安維持部隊、陸戦防衛部隊の多くが離反し、雪崩れ込むようにして統合革命軍と合流。連邦理事会に衝撃が走る。南のヨガーラニア大陸において、パレスポリナ中央委員会が発足。同委員会による指揮の下で、連邦第三首都(海洋観光都市テオトラ)を含む多くの主要都市が制圧された。続いて、中央洋東側に位置するエルヴァナール公国・連邦第二首都フォーリーメードが陥落し、治安維持軍が後退。連邦惑星軍各隊も後退し、連邦史上において稀に見る大規模な紛争となる。連邦理事会は、中央洋西側のセドルナ公国・連邦第一首都ルドラトリアを死守する構えで、未曾有の市街戦が繰り広げられた。

 ロフィルナ本星中央洋諸島は、政府と反体制派が入り乱れる混沌とした様相を深めていた。南のヨガーラニア大陸は完全に社会民主同盟(統合革命軍)の支配下となる。一方、北のセヴェレデーラ大陸に位置する連邦特別区・北洋帝国テラソルカトルは静観の構えを見せており、対立する双方の疑念を深めた。

 東のナハルドーラ大陸は概ね政府による統制が維持されていたが、散発的な戦闘が続いており、各地で自爆テロが横行するなど緊迫した情勢となっていた。西側諸大陸の情勢は比較的安定していて自治体政府による統制が維持された。しかし、今次紛争によって増加した難民が大挙して押し寄せると、現地住民との衝突が頻発。徐々に混迷の度合いを深めていった。

 セドルナ公国プロメニル州・連邦第一首都ルドラトリアの防衛を治安維持軍が担う。続いて救国臣民統一戦線が出動し、学徒防衛隊が発足。反政府軍に対する抵抗を続けた。自由ロフィルナ抵抗軍は社会民主同盟との交渉に入り、内戦が終結した後に連立政権を組むことで合意。連邦理事会による露骨な徴集に反発した学生らが離反して続々と反乱軍に志願した。以上の流れで、ルドラトリアは今次紛争の諸勢力が入り乱れる魔女の釜の如き様相を呈する。

セヴェレデーラ大陸南東部のバレントラ公国において少数民族のケルジャーナ人が蜂起。
ケルジャーナ共同体の樹立を宣言して同公国における武力闘争を開始した。

詳細はバレントラ内戦にて記載。

 セヴェレデーラ大陸南西部のデラノス公国において、カルト集団であるテレッシェス教団が武力蜂起。源ロフィールナ・エルドラーム新約聖教から分派した異端の組織であり、全土の征服を目論む。社会民主同盟や抵抗軍の理念に反するので共闘はないものと思われたが、共通の敵である現体制(連邦理事会)を打倒するまでの間は相互不可侵を維持することで合意に達した。

詳細はデラノス内戦にて記載。

中央洋南部に位置するグレスバルド公国自由ロフィルナ抵抗軍を支援することを宣言。
続いて、同中央洋南東のフェルドナ公国、南西のラズリア公国が離反し、政権軍を追撃した。
三ヶ国による合意で中央洋ケルフェリーナ列国同盟が成立。連邦共同体の完全民主化を掲げた。

 本来、グレスバルドの指導者は「保守的な立場から改革を行う」との意向を述べており、中央との対立を望まなかったが、年々高まる国内世論の突き上げで遂に反乱軍の側につくことを余儀なくされた。フェルドナ公国の指導者も中央と領民の間で板ばさみとなり、戦局を見て参戦を決断。ラズリア公に至っては完全に自暴自棄の様相を呈しており、酒の勢いで参戦を決断したことが後の彼の遺書から明らかとなっている。

 源ロフィールナ・エルドラーム教会自警団は今次紛争における中立を宣言。「難民の保護活動に取り組む」との声明を発した。教会の敷地内では、反政府軍のシンパや無法者が多数紛れ込んで混沌とした様相を帯び始めるが、治安維持軍に踏み込まれることを恐れた自警団が厳しい内部統制を行って順次放逐される流れとなった。

シンテーア暦1789年・北洋帝国参戦

巡礼中の北洋帝国皇帝が社会民主同盟支持者の凶弾に斃れる。
同国世論の突き上げを受けて、同国政府が統合革命軍に対し殲滅宣言。直後に連邦理事会との連携を表明した。
ここから徐々に巻き返しが行われていく流れとなる。

正規軍の出撃で手薄となった帝国本土においてスクルカーヤ首長国が武力蜂起し、社会民主同盟との共闘を宣言。
旧暦時代の帝国に征服された歴史を持ち、長年に渡る独立の悲願を達成するため、多くの戦士が立ち上がった。

詳細はテラソルカトル内戦にて記載。

 中央洋西側に位置するセドルナ公国アムルバーヤ州マルスラーマ侯領が武力蜂起し、セドルナ政府軍と衝突。ウェリックショームの改革で減封に処された歴史を持ち、同侯爵領の公国化(セドルナからの分離独立)を要求して連邦理事会を悩ませた。中央の介入を恐れたセドルナ政府は自治体法を根拠に最高議長を牽制し、同侯爵領の早期制圧作戦を開始した。

詳細はセドルナ内戦にて記載。

その他の公国、自治区においても武装勢力が蜂起し分裂の危機に瀕する。

 ヨガーラニア大陸北東部のペズライ自治区において、多数派であるメロイラ族(ペズライ・メロ社会民主同盟)が少数のファラ族を虐殺する事件が発生。同大陸において主導権を握る中央委員会(社会民主同盟パレスポリナ中央委員会)の是正指導でペズライ正規軍による凶行は止まったが、先のファラ族政権転覆から勢いづいたメロイラ族の暴走は留まるところを知らず、夥しい数のファラ族が虐殺された。また、住処を焼かれて逃げ惑うファラ族難民をエルドラーム教会が保護し、メロイラ系武装勢力との間で激しく睨み合う事態となる。

 ペズライ自治区と接する東の大国ルワゴラモビア公国が非難声明を発し、同自治区に侵攻。直後にファラ族からなるペズライ解放戦線が国境を越えて同自治区に対する制圧作戦を開始した。ヨガーラニア公国・パレスポリナ中央委員会は共通の敵である連邦理事会を打倒するため、被害を最小限に抑えるよう勧告した。

詳細はペズライ戦争にて記載。

バレントラ公国軍がケルジャーナ共同体の本拠地に侵攻。同国主要都市において激しい市街戦となる。
中央の介入を恐れた公国政府は自治体法を根拠に最高議長を牽制。自力で治安回復に努めることを強調した。

シンテーア暦1790年・政権軍の反撃

治安維持軍各隊が第二首都フォーリーメードを奪還。北洋帝国軍は南下を続行しヨガーラニア大陸まで侵攻した。

帝国空軍による爆撃が激しさを増す。

反転攻勢で勢いづいた治安維持軍本隊がグレスバルド公国フェルドナ公国ラズリア公国領に進軍。

 中央洋東側のエルヴァナール公国・連邦第二首都フォーリーメードにおいて治安維持軍が非武装の市民デモ隊に対して無差別発砲。これに怒った現地の警官隊が治安維持軍に対して応戦し、国家憲兵までもがこれに乗じて治安維持軍各隊を攻撃した。当然のことながら連邦理事会において問題となり、連邦惑星軍が出動。双方の間を割って入る形で事態の沈静化を図った。


 先の治安維持軍に対する反逆行為にあたるとして連邦内務省に公安の行政管理官が強制執行を実施。一部職員による暴動を受け治安維持軍が発砲する。後に関係者を処断し、内務省の暫定指揮権を行政管理官が掌握。内務省長官を更迭し強制連行した。常任最高議長フリートン侯爵に対する辞職要求デモが激しさを増したが、当の侯爵は「言われるまでもなく政権を維持するつもりはない」と主張。しかし、あくまでも『鎮圧と改革』を訴え、反体制派を全て壊滅させた上で統治機構の改革に取り組む意向を示した。

スクルカーヤ首長国が北洋帝国領南東部を制圧。中央部の帝都に向けて進軍を開始した。
テレッシェス教導戦線デラノス公国全土を掌握し、北洋帝国南西部に侵攻。同国方面軍は中央部に後退した。
北洋帝国宰相は『本隊が戻るまで死守せよ』との命令を下し、首都圏の守りを固めた。

 セドルナ公国軍がアムルバーヤの戦いで大敗を喫する。同国南東部を掌握したマルスラーマ軍が公国軍を追撃。ただし、ルドラトリアに対する攻撃は厳に控えるよう厳命が下され、中央との衝突は避けられる見通しとなった。マルスラーマの敵は、あくまでも公国軍で中央の体制転覆を図る気は毛頭なかったからだ。とはいえ、中央が公国軍に組する可能性があるので、その他の反乱勢力との不可侵を維持した。

 ●セティスカトールプ講和条約の締結でシャグマ=ラゴン戦争が終結。ファルトクノア政府は、独自の停戦条件を提示するなどしてロフィルナ政府を揺さぶった。進退窮まったフリートン侯爵は、再びZHL兵器の使用に踏み切ることを示唆。焦土作戦も辞さない構えを強調した。自由解放連合が非難声明。全面戦争の危機に直面したが、最終的には代替案に合意する流れとなる。


 後顧の憂いを払拭した内惑星艦隊が今次紛争に介入。航空支援を開始し、同陸戦部隊による各方面の制圧作戦も始まった。反乱勢力に激震が走る。対外警戒レベルが引き下げられたことを受けて、北洋帝国宙軍が本国東西における対地爆撃を開始。連邦惑星軍が出動し、反乱軍に対する攻勢を強めた。

 フリートン政権が総辞職。後任としてクラルプランダル副議長が臨時執政官に就任し、鎮圧の続行を宣言した。緊急事態法に基づく措置で最高議長選挙は行われず、『内戦終結後に改めて新体制を発足させる』との政府見解が示された。しかし、係る条項に解除の期限はなく、庶民院の解散も行われないので完全に独裁体制となる。連邦理事会の圧政に耐えかねたニ大公が共同大権の発動を示唆したが、筆頭公爵が行方不明となっている現状、法的根拠を問われて暫しの沈黙を余儀なくされた。行方不明になった経緯はシンテーア暦1788年・ネッツェレール作戦の影響項目にて記載。

クラルプランダル臨時執政官は、社会民主同盟の要職を占める元正規軍将兵に原隊に戻るよう警告した。
一部将兵が投降したが、依然として頑強な抵抗を続ける統合革命軍の戦意は凄まじく各地の戦線は一進一退の様相を呈した。

シンテーア暦1791年・反乱軍後退

治安維持軍の制圧作戦でグレスバルド公国軍が首都圏に後退。フェルドナ公国全土で総力戦となる。
ラズリア公国軍は依然として強固であり、数次に渡る連邦軍部隊の上陸を阻止した。
同国海軍による救出作戦で多くの難民が続々とラズリア領内に入り、武器を手に取って戦う道を選んだ。

 セドルナ公国プロメニル州・連邦第一首都ルドラトリアから統合革命軍が撤退し、南部諸州に後退。学徒防衛隊はこの時点を以て警戒待機の体制に移行したが、救国臣民統一戦線は治安維持軍とともに追撃を行うことを宣言した。一方、プロメニル州におけるマルスラーマ軍の猛攻でセドルナ公国首都コルナンジェ(公国直轄区)が陥落。マルスラーマ候領当主イェルバーニ・ヴィ・モルザンバーレが記者会見を開き、連邦理事会との交渉に入ったことを明かした。

 自治体法の制限で最低限の行政介入しか認められていない中央の弱みを突いて、マルスラーマ侯領の公国化とセドルナ公国からの分離独立を要求。対する連邦理事会はモルザンバーレの要求を拒否し、セドルナ公国における二元君主制への移行を提案した。征伐対象として指定されることを恐れたモルザンバーレは同理事会の提案を受諾したが、ルドラトリアで公国軍の再編を指揮しているセドルナ公が猛烈な抗議を行って両者の緊張を煽ったのである。

 結果として、『統治能力を欠いている自治体への介入は合法である』との政府見解が示され、対立する双方の勢力に停戦命令が下された。が、これに怒ったセドルナ公が『反乱を起こせば地位の向上を見込めるのか』と皮肉を述べて介入の無効を訴える事態となる。ともかく、和平交渉を継続する方向で合意し、その他の反乱勢力の駆逐に向けて協力する流れとなった。しかし、戦局次第で何処にでも転びかねないモルザンバーレの性格を危ぶんだ連邦理事会は、セドルナ平定後に改めて彼の処遇を検討することで一致した。

 北洋帝国中央部の防衛軍が国土回復作戦を開始。帝国宙軍による対地爆撃を受け、スクルカーヤ首長国が南東部に後退していく。また、テレッシェス教導戦線も制圧下の帝国南西部を固める作戦に転じた。一部の狂信者は聖地であるデラノス公国に帰還したが、内惑星艦隊、連邦惑星軍、治安維持軍各隊が同国本土に侵攻し、激しい戦いとなる。公国領主を始め、罪のなき一般市民を虐殺した咎により、モルザンバーレのような厚遇を受けることは叶わず徹底的な鎮圧の憂き目を見た。

北洋帝国海軍の上陸作戦が功を奏し、ヨガーラニア公国連邦第三首都・海洋観光都市テオトラを奪還。

 ユエスレオネ連邦にてツォルマール管理行政法案が可決。これにより、ツォルマールの行政権はファルトクノア共和国からユエスレオネ連邦に移行する流れとなった。占領軍の圧政が収まったことを受けて筆頭公爵の無事が正式に確認される。連邦理事会の誤算は、彼が本星への渡航を画策していることを把握していなかったことで、後に総辞職に追い込まれる結果となった。

シンテーア暦1792年・南北の激戦

 南方情勢―――中央洋セドルナ公国において政府軍各部隊が主要都市の多くを奪還。同盟軍主力は南方のヨガーラニア大陸への後退を余儀なくされた。グレスバルド公国が降伏し、続いてフェルドナ公国も降伏。自由ロフィルナ抵抗軍主力はラズリア公国に後退した。必然的に同公国に対する制圧作戦が激化する流れとなったが、あくまでも徹底抗戦を貫くラズリア正規軍の猛攻で消耗戦の様相を呈する事態となる。内惑星艦隊が高高度からの爆撃を強化。暫しの忍耐を余儀なくされた。

 一方、比較的安全な海域を迂回してヨガーラニア大陸北部に上陸した北洋帝国軍は橋頭堡を死守。帝国宙軍、内惑星艦隊による支援物資の投下で辛うじて持ちこたえていたが、数で圧倒的に勝る社会民主同盟各国軍の猛攻を受けており、北洋帝国主力の全滅は『時間の問題である』と叫ばれた。焦りを募らせた連邦理事会がラズリア本土に対する無差別爆撃を示唆し、ラズリア政府も鹵獲した反応兵器の使用に踏み切ることを警告した。

 北方情勢―――帝国南東部の奪還を目指す北洋帝国地方軍は数次に渡る攻勢を行ったが、スクルカーヤ首長国の抵抗を受けて再度首都圏(中央部)への後退を余儀なくされた。そのため、同国南東部の更に南に位置するプラルザード自治区から救国臣民統一戦線が侵攻し、挟撃する作戦を取った。連邦正規軍の殆どが南半球の戦線に割かれているため、強力な陸戦兵器を有するスクルカーヤ陸軍に苦戦する様相となり、膠着状態に陥る。帝国南西部を固めるテレッシェス教導戦線は、保有する戦力の殆どを帝国征服に割いており、聖地(デラノス公国)の陥落は避けられない見通しとなった。

 デラノス公国主要都市を解放した連邦軍は、泥沼の様相を呈している南半球を平定するため、早期の撤退を望んだが、恐慌をきたしたデラノス国民の懇願で見捨てるわけにもいかず、最低限の防衛部隊を残して北の教導戦線本隊を牽制する策に出た。この時点において、強固な防衛体制を築いているテレッシェス教導戦線はデラノス本土の再奪還を検討したが、帝国中央から攻めてくる解放軍との戦いで本隊を分けることは叶わず、同国南東部におけるスクルカーヤ首長国の反撃を待つことにした。

 プラルザード自治区の東側。セヴェレデーラ大陸の最南東部に位置するバレントラ公国においては、自治体地方軍の猛攻でケルジャーナ共同体が崩壊し、女子供を含む多くのケルジャーナ人が連行されて順次公開火刑に処される事態となる。国内外における反動勢力の増長を恐れた連邦理事会が是正勧告を行って圧力をかけたが、同国政府は自治体法を根拠に『内政干渉にあたる』と非難。中央の要求を拒絶した。

 これに怒り狂った北洋帝国軍が偉大なるバレントラを熱唱。『奪うが良い。殺すが良い。我らは必ず駆けつけようぞ』。バレントラ国歌にある革命の歌詞を皮肉った恫喝であり、公国政府に激震が走った。法を遵守するのであれば連邦理事会はバレントラ公国の側に立たなければならないが、先の公国政府による凶行で国内世論の突き上げを受けており、形式的に小規模の部隊を派遣して公国政府を説得する流れとなった。

 南方情勢―――フリートン侯爵の母ルフィリアと妻のヨバンナが社会民主同盟過激派に拉致され監禁される事件が発生。解放の条件として、同戦闘員らは現政権との停戦交渉に協力するよう要求した。しかし、フリートン侯爵はこれに明確な返答を行わず、『交渉の用意がある』との返答を行った。実際には時間を稼ぐことを意図した作戦であったが。

 直後、ヨバンナ侯爵夫人に対する集団暴行の様子を捉えた映像が流され、ルフィリアの首を跳ねるところまで放送された。犯行に及んだテロリストはもちろんのこと、彼らと通じていた『裏切り者』も早々に特定され、ガルムラット大佐率いる治安維持軍の精鋭部隊によって皆殺しにされた。救出されたヨバンナ侯爵夫人は意識不明の重態で以後の消息は不明となる。

 フィルトヴァーダル州イドゥニア侯領―――セドルナ公国の最南端に位置する小さな島で、代々フリートン家が治める。セドルナ本島において大敗を喫し、海を渡って上陸してきた統合革命軍との戦闘で夥しい数の犠牲者を出した。また、ラズリア砲兵部隊による間接射撃を受け、イドゥニア島内全域が焦土と化していく。侯領首都エルタンディークにおいて激しい市街戦。中央洋の南方に位置することから反乱軍(特にラズリア正規軍)の射程圏内に収まる。そのため、以後七日間に渡って公国政府の援軍を待たねばならない状況となった。

詳細はイドゥニア攻防戦にて記載。

ヨガーラニア公国連邦第三首都・海洋観光都市テオトラにおいて大規模な市街戦。
数次に渡る統合革命軍主力部隊の奪還作戦により、夥しい数の死傷者を出す。

シンテーア暦1793年・内戦終結

 連邦理事会、ラズリア公国間の停戦交渉で同国政府に対する免責と戦後保障の協定が結ばれる。これを受けて自由ロフィルナ抵抗軍は解散。新たに自由ラズリア行動党が発足し、同国政府による庇護の下で合法化される流れとなった。この時点において、ラズリア主要都市の殆どが空爆による甚大なダメージを被っていたが、一度たりとも連邦陸軍(連邦惑星軍、治安維持軍)に本土を侵されることなく停戦に至った。以後、ラズリア公国は社会民主同盟との共闘関係を打ち切り、表面上の中立を貫く流れとなる。

 中央洋の平定がなされたことで連邦惑星軍、治安維持軍本隊がヨガーラニア大陸に上陸。北洋帝国軍は同国本土を平定するため、全面撤退した。救国臣民統一戦線スクルカーヤ首長国テレッシェス教導戦線に対する総攻撃を開始。バレントラ公国政府はケルジャーナ人に対する絶滅計画を撤回し、戦後保障の政策に転じた。デラノス公国の防衛は、セヴェレデーラ大陸に帰還した北洋帝国本隊の手に委ねられ、北半球における反乱勢力の駆逐は時間の問題となる。

惑星ツォルマールに多数のヴェフィス人が入植。ヴェフィス語が浸透していく流れとなる。
連邦筆頭公爵は、ツォルマールにおける戦後処理の公務を終えた後に本星に渡航することを決意していた。
速やかに全軍の指揮統制権を掌握する計画で、連邦理事会に対する事前通告は控えられた。

 南半球ヨガーラニア大陸情勢。連邦軍主力部隊の猛攻により社会民主同盟各国軍は更なる後退を強いられる。泥沼の様相を呈する事態に。しかしながら、主戦場となった本星各主要都市の被害は甚大で早期の復興が求められることから政府関係者と同党幹部が停戦交渉を開始。ほどなくして双方の合意がなされた。社会民主同盟内部で主導権を握った元正規軍の将兵らが『浄化』と称する内部粛清を断行して過激派との激しい銃撃戦となる。

●グロノヴェイル停戦協定の概略
  • ヨガーラニア大陸南部諸戦線における双方部隊の撤収。軍事境界ラインを設置する。
  • 連邦理事会はパレスポリナ中央委員会を含む全ての同盟関係者を免責し、政党組織として合法化。憲法改正を進める。
  • 然る後に社会民主同盟は保有するZHL兵器を全て連邦軍に引き渡すこと。また、中央委員会の解散も行う。
  • 以上の合意内容を履行するため、相互監視を継続。最終的には軍事境界ラインを撤廃し、早期の復興に努める。

 連邦筆頭公爵がロフィルナ本星に到着。ツォルマール租借の間、第一首都を仮の公居として定める旨を表明した。直後、三元君主が大権を発動し、全軍の指揮統制権を掌握。政府・反体制派双方に対して即時停戦するよう呼びかけた。命令に従わない双方の部隊を抑止すべく公室の近衛師団が出動。連邦理事会の面目は丸潰れで彼らの総辞職は避けられない見通しとなる。社会民主同盟主流派はこの動きを歓迎し、直ちに停戦協定の内容を履行するよう求めた。直後、同党過激派が徹底抗戦を表明。貴族制そのものを廃止するべきだとして最後の突撃を開始した。

 北洋帝国、救国臣民統一戦線の猛攻で壊滅の危機に瀕したスクルカーヤ首長国ではあるが、三元君主の意向を汲んだ帝国政府が一定の自治権を与えることを提案し、首長国指導部の妥協を促す流れとなった。なお、極度のカルト思想を持つテレッシェス教導戦線は徹底的な鎮圧作戦によって瓦解した。帝国南西部において、教導戦線指導者の死亡を確認。

北洋帝国テラソルカトル。{NZWP攻撃(自爆テロ)を受け帝都メルクヴィンリルが消滅。1000万余の死者。
スペースコロニー連結体:ビョルセン・セドルナ301A-8-16爆散。152万余の死者。
スペースコロニー連結体:ビョルセン・エルヴァナール280A-9-11爆散。200万余の死者。
スペースコロニー連結体:ビョルセン・ヨガーラニア305A-6-25爆散。125万余の死者。

 ファルトクノア共和国による対赤軍支援の疑惑が生じる。講和条約を締結しているにも関わらず過激派に技術提供を行ったファルトクノアに対し、ロフィルナ政府が非難声明。対する共和国政府は『事実無根の妄言である』として政権軍を支援する意向を表明した。

 過激派組織ロフィルナ赤軍が犯行声明。極左の中の極左を自称し各地で無差別テロを繰り返した。近衛師団、北洋帝国、社会民主同盟主力部隊からなる新生救国軍、{ファルトクノア共和国陸軍の猛攻を受け早期に壊滅。後に状況の完全収束宣言がなされた。しかしながら、帝国宰相を含む全閣僚の死亡で混乱の極みにあるテラソルカトルは群雄割拠の様相を呈し、暴風旅団による略奪が横行した。治安維持軍本隊が同国に展開して早期の制圧に乗り出す。筆頭公爵の承認を得た同国南西部の有力貴族が臨時政府を発足させて対抗。各地で次期皇帝の座を争う諸侯らの調停に血道を上げた。

 ファルトクノア共和国は事実上では秘密裏にロフィルナ赤軍に対して支援をしていたものの、目的は本来反乱軍側であった赤軍を支援し、ロフィルナ情勢を悪化させて政権軍側の勢力弱化を狙ったものであった。新生救国軍が成立するとこの目的自体が瓦解した。このため、支援は国際的信用を得て、またファルトクノア共和国に対抗できるWP戦力を持ったロフィルナ赤軍を殲滅し、後顧の憂いを断つためにファルトクノア陸軍省が断行したものであった。ロフィルナ赤軍は「ウェールフープ技術はファルトクノア陸軍によるもの」として暴露したが、新生救国軍司令部は分裂を図る妄言として無視された。

今次紛争における死傷者行方不明者は実に5000万を突破し、連邦共同体の国力を大きく減退させた。
クラルプランダル臨時政権が総辞職。以降は三元君主による親政の解除まで筆頭公爵が臨時執政官となった。

 連邦円卓会議は反体制派である社会民主同盟主流派との協定を履行し、これを合法化。速やかに憲法改正を進めることを強調した。近世ロフィルナ内戦完全終結。同党の議会参政権を承認し、保革共立体制が成立。北洋帝国臨時政府(連邦特別区)は筆頭公爵に対し相応の保障を要求した。また、筆頭公爵の勅令で庶民院選挙における供託金制度が廃止され、多くの泡沫候補が乱立。混沌とした様相を呈し始める。

戦後の影響

 今次紛争における未曾有の損害で崩壊の危機に瀕した連邦共同体は、生存権と競争権を両立させる共立路線へと舵を切った。尤も、貴族優位の権威主義体制であることに変わりはないが。少なくとも自治体レベルにおいては平民の地位向上が図られ、貴族による不当な奴隷的拘束も禁じられた。また、領国政府と中央の関係を見直し、自治体法の再改正が行われる。結果、これまでに不可侵領域とされていた領主内政権にメスを入れる流れとなり、連邦理事会の介入基準も厳格化。中央と公国、自治区、その他の公共団体による不合理な対立構造は徐々に是正される見通しとなった。

シンテーア暦1793年・7月以降の情勢

 連邦筆頭公爵アルバス・エルク・レミソルトインフリーはフリートン侯爵に対する逮捕命令を発し、近衛師団隷下の中隊が彼の邸宅に突入。罪状は先(1788年)の海兵隊クーデター未遂事件に係るニ大公に対する政治的恫喝(国家反逆罪・分裂罪・大逆罪・不敬罪)で、同侯爵の身柄は即時拘束された。また、先の大戦において、本星に後退した外惑星艦隊や防衛を担う内惑星艦隊に対する砲撃と拿捕を命じて指揮系統を超法規的に奪取した罪。プランバール粛清の最中で本星に押し寄せた無実の難民や貴族階級の女子供に至るまで虐殺した罪も問う。

 連邦惑星軍将兵らと不当に密約を交わし、徹底抗戦を唱えた諸侯らに対して極刑をチラつかせた事案についても追求。法の穴を突き、公正な裁判手続きを行わずに政敵の処刑を命じたことについても追求する。1790年に発生した血のフォーリーメード弾圧事件で非武装の市民デモ隊に対する治安維持軍の鬼畜極まる所業についての監督責任を問うてフリートンを訴追した。侯爵位を剥奪。これに対して一部の保守系議員らが大々的に抗議運動を展開したが、怒れる三元君主と国内世論の圧力に押し潰され、暫しの沈黙を余儀なくされた。

 筆頭公爵は緊急事態条項の一部解除令を発動し、庶民院が解散。

 各連邦公国における総選挙の結果、社会民主同盟が絶対安定多数を勝ち取り庶民院第一党となって保守派に激震が走る。自由進歩党が野党第一党へと転落し、公正愛国や独立発展党に至っては支持率1%の極小勢力へと落ちぶれた。事実上の一党優位体制が成立。社会民主同盟党首が次期の連邦首相として推挙され筆頭公爵の承認を得る。

 連邦庶民院(下院)は完全に同党の支配圏となって貴族院(右院)の保守派を圧迫した。良識の府である元老院(上院)も、社会民主の躍進を考慮にいれつつ、生活保障関連法の修正案を練る必要に駆られたのである。専属議員(貴族)と代議士(平民)が列席する同胞院(左院)に至っては完全に紛糾の様相を呈しており、殆どの代議士枠が社会民主同盟所属の議員に取って代わられた。身の危険を感じた専属議員の一部が造反して関連法は無事成立する見通しとなる。

シンテーア暦1794年・新憲法公布

 国民年金.メディカル皆保険制度を廃止。医療費を全て無償化の上、生活保障関連法も施行された。必然的に壊滅状態となった連邦宇宙軍の復旧は後回しにされる見通しとなり、一部の進歩党議員が懸念の意を伝える。公正愛国、独立発展党議員らに対する襲撃事件が多発するも、連邦筆頭公爵は形だけの懸念を表明するだけで何ら具体的な措置も講じなかった。シャグマ=ラゴン戦争介入以前に連邦宇宙軍府を支援した多くの貴族が爵位を剥奪されて公職追放と全財産没収の地獄を見ることになる。

 貴族会の再編が進んだ結果、新ロフィルナ経済連合が最大勢力となって社会民主同盟を支援することを宣言。『関連財閥が所有する各種の自動工場の利益を再分配し、循環型の経済を実現しよう』とのスローガンを掲げた。続いて、貴族会第二勢力となった管理主義連邦共同体が社会民主同盟を支援し、段階的に貴族制の廃止を進めるべきとの提言を示した。新経連との火花が散る。貴族会第三勢力へと転落したヴェイルストレーム貴族連盟は、これまでの資本主義路線に軌道修正をかけることで合意し、福祉と軍備の両立を強調。自由進歩党の強力な支持母体となって徐々に巻き返しを図っていく流れとなる。

 連邦議会(同胞院)において過半数の議員が憲法改正案に賛成し、貴族会投票にかけられた。改正の発議から30日以後120日以内に投票期間を設ける。国家の民主化を促す内容ではないので批判の声もあがったが、共同体独自の人権条項と社会福祉に関する規定が盛り込まれ、『一歩前進した』との論評が主流となる。(無論、保革共立政権による情報統制が敷かれていたことには触れてはいけない)

開票の結果、賛成多数となり、翌年に施行される流れとなった。

シンテーア暦1795年・新リヴァダー計画始動

 同胞院の賛成多数により、安楽死改正法案が成立。個人の自由意志で自殺する権利を認める。加えて、人工知性の定義と基本的権利に関する法律の改正案が成立し、業務用アンドロイドの製造が始まった。各方面から反発を招く様相となったが、働かずに遊んで暮らしたい下層国民と更なる市場の効率化を望む財閥の利害が一致し、完全に封殺される流れとなる。業務用アンドロイドに人権はないので後の時代において大きな問題となった。


シンテーア暦1796年・親政解除

 フリートン元侯爵の裁判で、彼個人が所有する全ての財産を没収する旨と国外追放処分の判決が下される。この生ぬるい結果に至った理由は、新たにフリートン家の当主となった女侯爵(姉君)による全面的な支援で強力無比な弁護団が結成されたこと。やり方はどうであれ、体制を守ることに全力を尽くしたフリートン元侯爵の功績を無視すべきではないとの主張が繰り広げられたことによる。

 元侯爵の姉君は、単に弟を守るだけではなく、先の暴政で甚大な被害を被った各界の有力者に謝罪して個別に賠償を行うことも忘れなかった(続いてジエール帝国連邦と何らかの闇取引も交わしたらしいが真相は不明)。一家の財産の98%を支出して卓越した政治力を発揮する。思わぬフリートン家の巻き返しに舌を巻いた筆頭公爵は、女侯爵による一連の事態収拾の手腕を高く評価し、ヴァンス・フリートン元侯爵の罪を減刑するよう通達した。

ロフィルナ本星の復興支援事業を加速。一定の国民的和解はなされたとして三元君主による親政の解除宣言が発せられた。

第11次連邦理事会が発足。この時を以て常任最高議長の任期は終身制から4年2期制へと移行する。