旧代ダン=ラ=ハン語
dan-la-hangga^sh iepch i-makoumi
発音 däɴ lä häŋɡaːʃ (j)e̞pt͡ʃ
話される国 ニーネン=シャプチ
話者数 約260億人
話者数の順位 1位(国内)
言語系統 ・スムラント=アイユヴァン語族
・北部トゥア=グヤーグ語派
・マシャタラン諸語
・ダン=ラ=ハン語
表記体系 ダン=ラ=ハン文字
公的地位
公用語 ニーネン=シャプチ
統制機関 執政院・国教院
 旧代ダン=ラ=ハン語とは、スムラント=アイユヴァン語族北部トゥア=グヤーグ語派に属すマシャタラン諸語の一言語。アース連邦の言語類型論的には膠着語または孤立語に近いとされている。
 ニーネン=シャプチの事実上の公用語の一つに数えられていた。



音韻

子音

 ダン=ラ=ハン文字で子音を表す文字は[j]や[β̞](または[w])を除いて21種類ある。

子音の一覧

表記 発音 備考
p [p]
b [b],[v] br,brrとb+複合母音の時のみ[b]で発音する
m [m],[ɱ] 唇歯音の直前では[ɱ]で発音する
f [f]
t [t]
d [d]
n [n],[ɴ]
r [r]
s [s]
sh [sh],[ɕ] 口蓋化子音
j [ʒ],[ʑ] 口蓋化子音
lh [ɬ] 口蓋化子音
lg [ɮ] 口蓋化子音
lhl 不明 口蓋化子音
l [l] 英語の発音でいう「ライトL」が主流
k [k]
g [ɡ],[ɣ] 母音の後ろではしばしば[ɣ]で発音することがある
rr [ʀ],[ʁ] 口蓋化子音。単語や話者ごとに微妙な発音の違いがあることがある
h [h] 後ろの母音がi、uで始まるものは禁則扱い
chs [t͡s]
ch [t͡ʃ],[t͡ɕ] 口蓋化子音

声門閉鎖音

 [ʔ]は以下の文字で使用される。
 ・sの前のsh
 ・shの前のs
 ・chの前のt
 ・dtの前のd
 ・tdの前のt
 ・kgの前のk
 ・gkの前のg
 ・hfの前のh

lhlの発音について

 調音方法としては頬袋と歯茎の隙間に気流を通しながら歯茎の裏に舌をつけて頬袋の気流と共に破裂させる無声音である。
 歯茎の隙間から気流を通しつつ頬袋に気流を溜め、歯茎の裏に舌をつけた状態から頬袋の気流を一気に開放させて「ひゅたー」と発音する文字を表す。言葉では説明しづらくIPAの表記もまだされていない。

複合母音を後ろに取る場合の発音の変化

 ほとんどの子音が複合母音を後ろに取る場合、その発音が変化する。
 ・ia、iu、ieを後ろに取る場合、軟口蓋化([◌ʲ])が発生する。日本語でいうところの「カ」が「キャ」になるような変化である。
 ・ただしiuの場合、話者によっては円唇前舌広めの狭母音([ʏ])を用いることもある。
 ・ua、ui、ueを後ろに取る場合、唇音化([◌ʷ])が発生する。日本語でいうところの「カ」が「クヮ」になるような変化である。
 ・ただしuiの場合、話者によっては非円唇中舌狭母音([ɨ])を用いることもある。

母音

 ダン=ラ=ハン語の母音には長短の区別がある。また、単母音、複合母音、二重母音、三重母音、長母音、特殊母音の六種類の区分があり、それらの順位によってアクセントが決定される。

単母音

 単母音はアクセント順位が最も低い母音の種類である。従って、その単語は単母音のみで構成されている場合にのみアクセントにならず、単母音が複数ある場合には一番前の音節をアクセントとする。
 /o/を除く全ての単母音は^(長音記号)をつけると長母音になる。

表記 a i u e o
発音 [a],[ä] [i],[ɪ] [u],[ə] [e],[e̞] [ɑ]

複合母音

 単母音を二つ続けた母音であるものの、単母音とは異なった発音をする。複合母音の前に子音が来ない場合、複合母音は「子音+母音」の形になり、子音が前に来た場合は子音の種類を変えたり別の母音になる。
 複合母音のアクセント順位は二重母音より低く、単母音より高い。アクセントになりうる複合母音が複数ある場合、アクセントは一番前に来る。
 全ての複合母音は^(長音記号)をつけると長母音になる。

表記 ia iu ie ua ui ue
発音 [ja],[jä],[ʲa],[ʲä] [ju],[jə][ʲu],[ʲə] [je],[je̞][ʲe],[ʲe̞] [β̞a],[β̞ä],[ʷa],[ʷä] [β̞i],[β̞ɪ],[ʷi],[ʷɪ] [β̞e],[β̞e̞],[ʷe],[ʷe̞]

二重母音

 単母音を二つ続けた母音で、単母音とほぼ同じような発音である。二重母音のアクセント順位は三重母音より低く、複合母音より高い。アクセントになりうる二重母音が複数ある場合、アクセントは一番前に来る。
 全ての二重母音は^(長音記号)をつけると長母音になる。

表記 ai au
発音 [aɪ] [aə]

三重母音

 単母音を三つ続けた母音で、「二重母音+複合母音」や「複合母音+複合母音」と形式である解釈される。ごく一部の単語には母音が4つ以上つくものもあり、それらも含めて三重母音という。
 ただし^(長音記号)をつけると長母音になる。

表記 aiu aie uia
発音 [aɪ̆ʏ] [aɪ̆je̞] [β̞ɨ̆jä],[ʷɨ̆jä]

長母音

 長く高く発音する母音である。/o/を除く全ての単母音は^(長音記号)をつけると長母音になる。
 長母音は最もアクセントの順位が特殊母音と同じく最も高い。従って強制的に長母音と特殊母音が複数ある単語では一番前の長母音または特殊母音がアクセントになります。

  • 長音化単母音
表記 a^ i^ u^ e^ ou
発音 [aː], [äː] [iː],[ɪː] [uː],[əː] [eː],[e̞ː] [ɔː],[oː]

  • 長音化複合母音
表記 ia^ iu^ ie^ ua^ ui^ ue^
発音 [jaː],[jäː],[ʲaː],[ ʲäː] [juː],[jəː],[ʲuː],[ʲəː] [jeː],[je̞ː],[ʲeː],[ʲeː̞] [β̞aː],[β̞äː],[ʷaː],[ʷäː] [β̞iː],[β̞ɪː],[ʷiː],[ ʷɪː] [β̞eː],[β̞ e̞ː],[ʷeː],[ʷe̞ː]

  • 長音化二重母音
表記 ai^ au^
発音 [aɪː] [aəː]

特殊母音

 特殊母音は長母音以外の全ての母音を無視してアクセントになる例外の母音である。発音はこの特殊母音は単母音の中間的なものと位置づけられており、必ず長音になる。

表記 io oe
発音 [yː] [œː]

綴りと発音

 ダン=ラ=ハン語では、発音しづらい部分を省略したりしなかったりすることがある。また、発声的に難しい音節が消えることもある。そのような表記や発音の例外について紹介する。
 sh, j, ch, lh, lg, lhlは口蓋化子音といい、ダン=ラ=ハン語における特にiを嫌う発音グループである。現代ダン=ラ=ハン語ではsh、j、ch、lh、lg、lhl、rrの七種類がこれに該当し、古代スモラヌンプラエ語ではそれぞれ[s]、[z]、[t]、[ç]、[ɡʰ]、[çɹ]、[ʍ]と発音されていたとされている。
 そのため、これらの音の直後のsh、j、chは/ɕ/、/d͡ʑ/、/t͡ɕ/、と発音する。例えばshuch(晴れ)という単語は概ね[ʃəˑt͡ɕ]と発音される。
 また、口蓋化子音に複合母音がついた場合、またはアンシェヌマンによって複合子音になってしまう場合は、複合子音の一文字目を発音しない。例えばmakrishiut(民族)は[mäkrɪʃuˑt]と発音される。
 軟口蓋鼻音ngはほとんどの場合末子音のみに現れ、原則的に頭子音には現れない。ngを語尾に持つ単語の後ろに母音がつく場合には緩衝音としてgが挿入されます。例えば、spiang(8、八)という単語に遊置詞の属格接尾形-a^shを挿入する場合には、spiangga^sh[spʲäˑŋɡaːʃ]と発音する。

文型

語順

 原則的にはVSO型(動詞―主語―目的語)である。しかし、根本的にはV1語順(先頭に動詞を必ず置く語順)の言語であるため、VOS型の文型を取る場合もある。詳細は後述を参照。
 句の語順はNA型(名詞―修飾語)の語順を取る。すなわち、形容詞や副詞、または句は後置修飾の形式を取る。

倒置法

 文語においてVOS型の文にすると倒置法になる。倒置法は聞き手に対して目的語を強調したり、主語の行う動作を強調したりする印象を与える効果がある。

補語

 補語とは、ダン=ラ=ハン語におけるコピュラ動詞であるpnai(~になる)、nai(~である・~だ)の直接目的語のことをいう。
 ダン=ラ=ハン語の形容詞は英語や日本語のように修飾する対象なしに文に置くことができず、専ら名詞を修飾するための品詞であるため、英語のSVC文型のような形を取ることはない。そのため、コピュラ動詞の主語と目的語がイコールで結ばれている状態にあるその目的語のことを補語と呼ぶのである。

活用接頭辞

 ダン=ラ=ハン語では原則的に以下の接頭辞をつけることで名詞を別の品詞に活用させることができる。
  • 動詞化の活用接頭辞a-
  • 原形の語頭がbの名詞を動詞化する活用接頭辞am-
  • 原形の語頭が単母音の名詞を動詞化する活用接頭辞an-
  • 上記以外の動詞化接頭辞の例外としてau-などの形も見られる。
  • 原形の語頭が主にs、sh、ch、lh、lgの場合の名詞を形容詞化する活用接頭辞i-
  • 原形の語頭が主にそれ以外の場合の名詞を形容詞化する活用接頭辞is-
  • 原形の語頭が主にs、sh、ch、lh、lgの場合の名詞を副詞詞化する活用接頭辞e-
  • 原形の語頭が主にそれ以外の場合の名詞を副詞化する活用接頭辞es-
 ただし、品詞活用を行う場合、その名詞が活用した後活用接頭辞の母音を語尾に付加、または単母音置き換えを行うことや動詞化の場合は第一音節が長音化する場合、形容詞化や副詞化の場合は後ろから二番目の音節が長音化する場合があるなど、以上のパターンに当てはまらないものが多いため学習者は注意が必要である。

名詞

品詞の活用(活用接頭辞/活用接尾辞)

 ほとんどの名詞は、名詞を原形として動詞、形容詞、副詞の全てまたはいずれかに活用する。
 例えばtelmi(色)という名詞は以下のように活用する。
telme:【名詞】色、色合い
a-telme:【動詞】染まる
i-telmi:【形容詞】鮮やかな
e-telme:【副詞】鮮やかに・目立って
 ダン=ラ=ハン語では通常telmeなどの名詞を原型とし、それぞれ接頭辞a-をつけると動詞形、接頭辞i-をつけると形容詞形、接頭辞e-をつけると副詞形の品詞活用と呼ぶ。
 ただし、nai(~である)、mau(可愛い)などsaf-ag(少しずつ)など一部の語彙に限っては原型が名詞以外の品詞である。

名詞の数

 ダン=ラ=ハン語の名詞には四種類の名詞の数がある。それぞれ対応した示数詞と呼ばれる接頭辞または接尾辞を対象の名詞に置くことで示す。

数の種類 示数詞 単語の例 意味・役割
単数形 なし maft(一日・ある日)
shapch(シャプチ正教)
抽象的な事柄や一つしかないもの、
または特定のものを表す
双数形 ki-または-i(^)k ki-maft(二日)
nalik(一対の耳)
二つで一対になる名詞を表す
組数形 na-または-a(^)n na-maft(数日)
sua^mam(渡り鳥の群れ)
いくつかでひとまとまりの名詞を表す
主に3から8までが対象となる
複数形 tu-または-u(^)t tu-maft(日々)
si^nggut(無数の光)
不特定多数の名詞を表す
主に10以上からが対象となる

 示数詞を置くことによってその名詞の発音が単母音、複合母音、二重母音、三重母音、長母音の形以外の形式になる場合、接頭辞の場合は緩衝音'nが、接尾辞の場合はその語尾の母音の置換、または以上の形になるように変化させる。

kaine(肩)→kainik(両肩)
baiu(命)→baiut(無数の命)

 また、動詞よっては示数詞をつけることで意味が変わるものもある。

a-pagch(片足で踏む)→a-ki-pagch(両足で踏む)

人称代名詞

 ダン=ラ=ハン語の人称代名詞は四つの人称を持つ。
 格変化がなく、特に主語の場合は省略形を用いることもある。

.a-nipch ius i-niai
.a-nipch'us i-niai
 アニプチュス ィニャイ
 (ありがとう)
 (注)上下どちらの例文も同じ発音である。

人 称 表 記 発 音 意 味
一人称 ius [jɪ̈s]
ニ人称 uesh [β̞e̞ʃ] あなた
三人称 ings [ɪŋs] 彼、彼女、それ
四人称 oush [ɔːʃ] 彼、彼女、それ、(物語上の)私、私とあなた

 人称代名詞の名詞の数は二人称と四人称に限って特殊な語形を用いる。
--- 単数 双数 組数 複数
一人称 ius iusik iusan iut
二人称 uesh uesheg uengsh uech
三人称 ings ingsik ingsan iut
四人称 oush ousheg oungsh ouch

四人称

 ダン=ラ=ハン語の四人称は以下の三つの性質を包括している。

三人称所有者としての四人称

.angs a-iam uesh ja-niuli^ nai^ mai-iu^lta^sh lau
.she ,a-iam ius ja-oush
 あなたはユールトさんの友達であるニュリーさんを知っていますか。
 はい。私は彼女を知っています。

 例文では、話し手である私(ius)と聞き手であるあなた(uesh)、そして二人が共通で知っていると思われるユールトさんという人物(ings)という登場人物がいる。この「ユールトさん」という人物の友達や夫婦や子供など、すなわち三人称で呼ばれる人や物に関連した人や物を指す場合、四人称を用いる。

物語人称としての四人称

.karsh kun-maftra^rr ,iach a-ka^ch kapnia^rr kun-shutourrie
“.a-niniot oushaifi^shjut ja-iesh a-ile-spashiai frai-trem-bni^t nin ma-iusht na”
 ある時、カプニャーグ博士は言いました。
 「私は、自分と同じ境遇を辿った人を見捨てることはできない」

 物語やおとぎ話などに代表される、伝聞を人に話す際における登場人物の一人称に用いる。これは物語だけでなく、噂話や西洋言語学でいうところの直接話法などでも用いることがある。

包括的一人称複数としての四人称

..a-fnie^ ousha^nai ma-bni^t sha-kangs-nikra^ i-densi e-lalgte
 大きなニクラーの木の下であなたと私、仲良く遊びましょう!

 包括的一人称複数とは「私とあなた」あるいは「あなたと私」という意味で用いる人称代名詞のことを指す。双数で用いる場合には「私たち二人組とあなたたち二人組」といった意味で用いられること。「私の友達とあなたの友達」などの包括的三人称複数は四人称で表すことができない点に注意。

指示代名詞

 ダン=ラ=ハン語の指示代名詞は四種類が使われており、対象物の距離ではなく、話し手と聞き手の関係によってそれらの種類を選んで用いる。
代名詞 日本語訳 意味
kiu これ 話し手の近くにある対象物
diu それ どちらにも近い対象物
siu それ 聞き手の近くにある対象物
pniu あれ どちらにも遠い対象物

 そのため、ダン=ラ=ハン語と他の言語を比較する時に指示代名詞の種類が異なる場合がある。

.nai kiu ma-sepga^sh
これは象です。

.nai diu ma-iusika^sh taupnauik
この人たちは私たちの両親です。

 ダン=ラ=ハン語には13種類の格を持つ。格を標識するのは遊置詞という品詞であり、遊置詞にはそれぞれ接頭形と接尾形がある。

格の種類 接頭辞/接尾辞 意味・役割
主格 なし 主語を表す
属格 sha-/-a(^)sh 「~の」を意味する。所有や意味上の主語や目的語を表す
与格 cha-/-a(^)ch 「~に」を意味する。動詞の間接目的を表す
対格 ja-/-a(^)j 「~を」を意味する。他動詞の直接目的を表す
具格 ma-/-a(^)m 「~で」を意味する。手段や道具の目的語を表す
所格 ka-/-a(^)k 「~で」を意味する。場所や位置の目的語を表す
呼格 なし/-i(^)che 呼びかける際に単独の名詞または名詞句に用いられる
また換体句という修辞法で表現する際にも用いられる
節格 ua-/-au 複文(節)の中の主語を表す
内格 fra-/-a(^)fra 「~の中へ(に)」を意味する。
「~の中から」とする場合は出格と組み合わせて用いる
出格 sa-ks-/なし 「~から」を意味する
入格 fai-ks/なし 「~まで」を意味する
通格 li-ks/なし 「~を通って」を意味する。期間も表す

.nai ius ma-meli^
.nai ius meliam
 私、メリーさん。

.jai ius ka-krich sha-uesh e-srap
.jai ius uesha^sh kricha^k e-srap
 今、あなたの後ろにいるの。

接頭形と接尾形

 格を持つ名詞を作る場合、その遊置詞の接頭形か接尾形かのどちらかを選ぶことができます。接頭形を用いる場合は前置修飾の形をとり、接尾形を用いる場合は後置修飾の形をとります。通常、文語(いわゆる書き言葉)では接頭形、口語(いわゆる話し言葉)では接尾形が好まれます。

私、メリーさん。
.nai ius meliam
 コピュラ動詞naiの目的語を取る場合には具格(ma-または-am)を用いる。

今あなたの後ろにいるの。
.jai ius ka-uesha^sh krich e-srap

名詞の数

 ダン=ラ=ハン語の名詞には単数、双数、組数、複数の四種類の数があります。それぞれ名詞に接頭辞または接尾辞をつけることで数を表します。
数の種類 示数詞 単語の例 意味・役割
単数形 なし maft(一日・ある日)
shapch(シャプチ教)
抽象的な事柄や一つしかない
もの、または特定のものを表す
双数形 ki-
-(^)ik
ki-maft(二日)
nali(^)k
二つで一対になるものを表す
組数形 na-
-(^)an
na-maft(数日)
sua^man(渡り鳥の群れ)
いくつかでひとまとまりになるものを表す
複数形 tu-
-(^)ut
tu-maft(日々)
si^nggut(光)
不特定多数の名詞や不可算名詞を表す
 名詞の語尾が母音の時、接尾辞がくっつくことで単母音、複合母音、二重母音、三重母音以外の形になってしまう場合、その名詞の語尾の母音を無視します。
kaine(肩)→kainik(双肩)
baiu(命)→baiut(数え切れない命)

疑問文

 ダン=ラ=ハン語の疑問文ではangs(アンス)という付加詞をつけることによって疑問を表す。E語やその他の言語のように疑問を表す記号(クエスチョンマーク:?)が存在しない。また、平叙文と疑問文のイントネーションの違いがない。

「何」を聞くangs疑問文

 angsは「」という意味で目的語に用いることで「○○は何ですか?」または「○○は何をしますか?」という文章になる。
 この目的語に用いられるangsを主語と入れ替え、angsを主語とすることによって「○○とは(一体)何ですか?」のような語調を強めた、または強調された意味になる。

これは何ですか?
.nai kiu^ ma-angs

一体何をしたのですか?
.tai angs ma-siu^

「肯定か否定か」を聞くangs疑問文

 angsは文頭または文末に置くことで、肯定か否定かを聞く文になる。つまり、「○○は△△ですか?」または「○○は△△を…しますか?」といった文章を作ることができる。

これはクッキーですか?
.angs nai kiu^ ma-sani

あなたはドアを開けますか?
.angs a-chengga uesh ja-ki-sas

疑問挟置詞の用法

 疑問挟置詞にはchse|angs(どこ)、nui|angs(なぜ)、ie^|angs(誰)、jut|angs(どういう意味)、pel|angs(いくつ)、pash|angs(いつ)の六種類がある。これらの挟置詞に含まれるangsangs単独の用法と同じように名詞として目的語または主語に置くか、文頭に置きます。angsでない方は文頭に置く。

ここはどこですか?
.chse nai kiu^ ma-angs

そこはどこにありますか?
.chse nai siu^ ka-angs

あなたがたくさん食べ物を食べるのはなぜですか?
.nui a-miu^rr uesh ja-tu-ma^niu i-spki jou-angs

なぜあなたはたくさん食べ物を食べるのですか?
.nui angs a-miu^rr uesh ja-tu-ma^niu i-spki

動詞

 動詞に品詞活用の接頭辞a-がつく。
 ダン=ラ=ハン語の語順はV1語順であり、動詞は概ね文頭に置かれる。ただし、接合詞や付加詞は動詞の前に置かれる場合があるので、必ず文頭に来るとは限らない。
 ダン=ラ=ハン語の他動詞目的語を一つしか取らない。辞書に[ ]で示されている格が目的語を取る格である。それ以外の修飾句は補語と呼ばれる。
 文の時制や態で語形が変化することはなく、節(副文)の動詞のみ活用が起こる。

コピュラ動詞

 ダン=ラ=ハン語ではコピュラ動詞と呼ばれるものが4つある。通常、動詞には接頭辞a-を伴うがコピュラ動詞にはそれがない。また、コピュラ動詞が取る目的語の格は通常具格(ma-/-a(^)m)になる。
コピュラ動詞 カタカナ 日本語の意味
nai ナイ (ma-/-(^)am)~(で)ある、~だ
tai タイ (ja-/-(^)aj)~(を)する
jai ジャイ (ma-/-(^)am)~(に)いる、居る、ある
pnai プナイ (ma-/-(^)am)~(に)なる

関連項目

最終更新:2020年12月28日 09:02