アポラ動乱
年月日:1743年01月06日 - 1747年XX月XX日
場所:アポラ星系国際連盟 アポラ星系全域
結果:アイローム社派陣営の勝利
交戦勢力
アポラ星系国際連盟
市民連合軍
有志諸国部隊
アンドロイド帝国
指導者・指揮官
戦力
損害
アポラ動乱

 アポラ動乱(ロトン語:)はシンテーア暦1742年から47年までアポラ星系国際連盟において続いたアイローム社派とリヴァダー社派の対立による反乱、またはアンドロイドの動乱、あるいは事実上の内戦である。
 同時期に起こったマーカス内戦の一部として数えられることもある。


勃発までの経緯

仮初の星間国家

 1740年までのアポラは下記のような、いくつかの問題を抱えていた。
  1. アポラは内向きには国際機関の立場をとっていたため、アポラの中でも影響力を持つ十大国のそれぞれの思惑によって機能不全を起こしていた。最たる例として、先の時代のアクース内戦ではアポラの代表者の発言の立場が出身構成国で毎回異なるという事態になったことが挙げられる。
  2. 政策では、技術力の向上のためにマーカス連邦に派遣していたエンジニアの送還に失敗したり、自国企業のこれ以上の買収を防ぐために関税の吊り上げや買収の法規制を行おうとするも協商連合諸国らに買収された企業による圧力でこれも失敗するなど、政策の失敗が相次いでいた。
  3. 経済状況は共通通貨の強硬採用でインフレ率の実体経済との乖離が起ったり、アンドロイドの過剰供給で失業者を多く生んだため社会保障費が吊り上がって赤字国債を増やし続けたりなど、重大な問題を抱えていた。
これらの不安定かつ曖昧な国内情勢は、大宇宙の国際社会からはアポラを立場の不明瞭な信用を置きづらい国家として映すこととなった。

アンドロイドをめぐる心象

  • アポラの民衆はアンドロイドに関して複雑な心象を抱えていた。人間のように見える得体のしれない異邦人はアポラの民衆の職を奪った敵のような存在である一方で、彼ら自身も過剰な供給で労働先がなく同様に雇用からあぶれる姿は同情の余地もあった。
  • アンドロイド企業としては国家を挙げて契約したアポラは良い取引先であり、契約が取り消されることを惜しむアイローム、リヴァダー両企業はアポラの政府に取り入って制御した。アンドロイドの人権に関してはおおむね大宇宙全体の情勢と一致。ただしアポラ支社はかつて一つのコメトリアス社であったものを分割していたため、本社から派遣された役員以外の社員たちはもどかしさを隠せないままでいた。
  • アンドロイドらは、自分たちが目的であった本来の労働を全うできない状況と、ほかの種族からの薄くなっても消えない偏見の視線に悩まされる状態となった。また、後述するオレンジの花事件以降、人を殺すアンドロイド、人を庇うアンドロイドなど、製造されたメーカの間柄と関係なくアンドロイドとヒューマノイドなど他種族との接し方を考える議論が活発化し、過激なものでは有機種族の廃絶を訴える派閥も登場した。

動乱前夜の情勢

オレンジの花事件と世論の分断

 1737年、人間に憎悪感情を向けたアンドロイドが無差別の殺害を行おうと試みて近くにいた少女の殺害を図ったものの、別のアンドロイドが庇って少女を守るという事件が起こった。これは守られた少女の手に持っていたものからオレンジの花事件といわれる。この事件に関わったアンドロイドは双方ともにアイローム社製であったため注目が集まった。この事件を発端にアポラ国内ではアンドロイドと他種族との間柄や関係性についての議論が起こるようになり、国内では多くの勢力が興った。
 アポラ・アイローム支社はこの事件に対し、今後アンドロイドがこのような挙動にならないようにすると他種族に向けて発表した。アポラ・リヴァダー社はこの一連の流れをチャンスと見てアンドロイドの増産を図ったが、これは銀河の潮流であったアンドロイドの人権に対して「思考の制限」を行っているという意見が噴出し批判にさらされた。
 1739年、民衆の動きに応じて星連構成国同士でも次第に態度が分かれていき、ついには十大国同士での動きへと変化していった。しかし思惑のバラバラな十大国では星連全体としての態度がまとまらず、ギリギリの投票でアンドロイド人権に対し優越するアイローム陣営に付く流れとなった。

暴露

 1740年、サーヴァリア企業連合による圧力で星連とウビウリ首長国共同体間の協定が破棄され資源の入手方法が失われ、サーヴァリアとの外交関係の悪化により一層経済事情が悪化し始めていた。まもなくしてディガイナのラジオ放送によって政府が粉飾、秘匿してきた赤字国債が暴露される。これによってアポラに国債を返済する能力がないとエルミア共和国エルトリア王国の著名な信用格付け会社に債務不履行、デフォルトの烙印を押された。同日、星連では中小国ら過半数の賛成により緊急決議が発令され、十大国はこれらに関する責任を追及された。十大国うち七か国はこの決議の開催そのものを拒否した。星連の議場は十大国により機能を停止し、星連憲章は効力を失った。同年、前星連本部長だったエンヴァイス・アリドールらが事態の鎮静化を図るための平和演説中に暗殺された。これにより星連は一層不安定な状況に置かれる。また当時の星連軍は各国軍から提供される形で運営されており、ここで一部構成国が星連軍への部隊の提供を停止する事態となった。この時ウビウリは金融危機の救済案としてウビウ・アポラ国際国有銀行を設立しこの危機に対して助け舟を出した。
 一方このころ、アポラの債務不履行も飛び火する遠因となりながら、マーカス連邦においてマーカス内戦が勃発。アイローム社リヴァダー社による対立が本格的な戦闘を起こし始めていた。アポラに存在した両企業の支社も対立を深め始め、互いのアンドロイドの囲い込みを開始した。また、アイローム社から支援を打診されるも、十大国による紛糾のため派遣は決定せず、最終的に臨時の星連本部長であったテリオン・カパートによる直接交渉によって8個大隊の派遣が決定された。この星連本部長の決議を無視した越権行為は本来では大事になるはずであったが、もはや財政破綻のみならず域内の崩壊が始まっていた星連はこの暴走行為を制御することはできなかった。リヴァダー社はアポラ・リヴァダー支社経由でこれら星連の行動を強く非難し、リヴァダー社製アンドロイドの新規輸入を停止した。

派兵と即時撤収

 1741年16月7日、星連政府の機能が停止している中で、星連構成国部隊によって当初の契約よりも規模の少ない5個大隊がマーカス連邦に派遣された。同年、アポラ・アイローム支社とアポラ・リヴァダー支社の両企業は星連政府の要請を受け、本社の意向に背いて中立を保つことを宣言した。同年ウビウリが失業した星連の労働者の積極的な雇い入れ、二度目となる経済支援を星連に行った。
 1742年7月18日、当時の星連本部長であるカパートが、星連のおかれている困難な状況の解決の交渉のため航空機で移動していたところ、何者かによって撃墜される事態が発生した。直後リヴァダー社製のアンドロイドが暴走してアイロームアンドロイドの殺傷を始めたため、アポラのアイローム、リヴァダーの両支社は中立宣言を破棄。アポラ・リヴァダー支社は「アイローム社によるハッキング」と発表し、一方のアポラ・アイローム支社は「リヴァダー社による自作自演」とした。星連政府は事態の鎮静化を図るものの、星連本部長不在の影響で有効打を打つことができず後任のファイド・ヴァルダ臨時星連本部長が指名されるまで行動を起こせなかった。またこの影響で星連政府はマーカス連邦に派遣していた大隊を即時に呼び戻す事態となり、このアンドロイドの暴走を発端としてアポラ動乱が勃発したとされるのがのちの時代の定説である。同年ウビウリによって星連の大手銀行に対し監査が実行されるも、混乱で詳細の判別に大幅な遅れが生じることとなり、一部データは動乱で破損したことがのちにわかった。

動乱の経過

崩壊する星連

有志諸国の参加

構成国崩壊と入り乱れる組織

光明と反撃

二大企業支社の壊滅

アンドロイド帝国と虐殺

「運命の6時間」

鎮圧

戦後

当時の各国との情勢

マーカス連邦

ファルトクノア共和国

登場人物・組織

星連政府

 アポラ星系国際連盟政府、自国益を優先する十大国の大半の国家により壊滅した。その後はファイド・ヴァルダらによる「Aion Filvaitz(アイオンの矢)部隊」が編成され、最終的にのちに奇跡と称される星連全土の奪還を果たした。
  • ファイド・ヴァルダ
    臨時として指名された星連軍出身の星連本部長。最期は動乱最後の戦いである巨大機構兵器との戦いで戦死。最終軍階級は大将。死後、勲章が星連によりいくつも与えられている。ファーダとは同期。
  • ゼルケン・アノス
    初代連盟本部長ゼルケン・シダーファイの曾孫。ヴァルダとともにアイオンの矢部隊として戦い、戦後は十大国体制より再編された星連議会の初代議長を務める。
  • サイザー7世
    キヤナ第二連邦帝国君主。窮地に立った星連政府に動乱の最初から最後まで寄り添い、海外企業との交渉や、アイオンの矢に対する資金供給を行った。
  • カージオン・ブランダンド
    キヤナ第二連邦帝国の連盟代表使節。サイザー7世の幼馴染で聖剣同盟の出身。動乱後にユノアと組んでAJVFに参加、星連本部長となる。
  • レーネン・キルダ
    ラフィス共和国の連盟代表使節でイーレ市民連合党の橋渡し役を務めた。のちの社会労働党初代党首でありゼルケン・アノスの学友。
  • ヴァイル・レーネル
    エオラム州共同体の連盟代表使節で、蒼天の飛行隊との橋渡し役を務めた。のちの社会労働党二代目当主であり、シルキン・ユノアの後輩にあたる。
  • ハンゲンフォルタイナー・ファーダ

イーレバゼア市民連合

 イーレ地域とバゼア地域でで壊滅した構成国の都市に住まう市民・アンドロイドが組織した民兵組織。フランヴェント帝国の首都リモアを中心に戦闘活動を行った。

蒼天の飛行隊

 エオラム大陸州上空で活躍した航空部隊に始まった民兵組織、最終的にエオラム大陸全土の解放を援助した。
  • フェレル・ターテ
    蒼天の飛行隊「深紅の翼」、赤い悪魔とも呼ばれた飛行隊のリーダー。キルレート50超えをたたき出すエースパイロット。
  • ベルノイ・ゼリヤ
    蒼天の飛行隊「黄金の翼」、飛行隊のサブリーダーでターテのライバル。
  • アポラス・リライア
    蒼天の飛行隊「白銀の翼」、アンドロイドで地上部隊と飛行隊の連携を務めた。

アポラ・アイローム社

 かつてコメトリアス社だったものが分割され、そのうちアイローム社に買収されたもの。
  • アイニエス・バルダイオン
    アポラ・アイローム支社長。ゼラエ・ストラメウトに感化され、若いころ彼の元で助手を務め技術の研鑽を行った。
  • リャン・シャンタオ
    アポラ・アイローム支社技術部長兼副支社長。フェイナス・トルメイカはコメトリアス社時代に後輩であり恋仲だった。
  • メイラル・ネルヴトーユ
    アポラ・アイローム社員。メイラル・ナナの父親。

アポラ・リヴァダー社

 かつてコメトリアス社だったものが分割され、そのうちリヴァダー社に買収されたもの。
  • フェナイス・トルメイカ
    アポラ・リヴァダー支社長。コメトリアス社時代にはリャン・シャンタオと先輩、後輩の関係にあった。
  • キュラペネポス・ファノイ
    アポラ・リヴァダー支社技術部長。アイルヴァド・ロトイアとはかつての同僚。

イヴェル・アーラプト機械国

 Ivel-Aalaptはロトン語で新しい世界を指す。有機生命体を炭素生命と名付け、これまでの星連の失策は炭素生命による治世に欠陥があったとして、アンドロイド(珪素生命)による新しいアポラを建国しようとする国家運動である。
  • ジルク・ガルター
    元アポラ・アイローム支社社員、メイラル・ネルヴトーユの後輩であり、アンドロイドの中でも屈指のメカニック。
  • アイルヴァド・ロトイア
    元アポラ・リヴァダー支社情報部門長。ガルターによって改造され、イヴェル・アーラプトの参謀、強力なハッカー。

関連項目

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最終更新:2022年03月31日 02:29