- キャストの演技を聴いて、キャラクターの方向性が変わった
岡田「内田(雄馬)さんのアフレコを聴いて、『すごく主人公声だよね』っていう話になったんです。
もともとアインのルックスも、『この子、ほかの作品だったら主人公でもおかしくないよね』って言ってて。
ちょうどアフレコが始まったあたりが、アインの今後の身の振り方を考えていくタイミングだったので、
演技を聴いてから『アインはこうしていこうか』と方向性が変わっていきましたね。 」
長井「ガエリオも松風(雅也)さんの人のよさそうないい声で、どんどんキャラクターが立っていって。
当初はマクギリスの友達ポジションくらいにしか考えていなかったんですけど、やっぱり根が優しい人っていうのは声からにじみ出てしまうので(笑)。
予定していたものとは違う方向に成長していったキャラでしたね。 」
──少年たちは「間違ってる」とか「正しい」とかではないところで動いている。ただ、そんな鉄華団を前にしたメリビットさんが、第24話で「こんなの間違ってる」と顔を覆うシーンは、ハッとさせられましたし、胸が苦しくなりました。
長井「そう感じていただけたならよかったです。俺らもあそこはメリビットさんがいてくれてよかったと思いました。」
岡田「どう考えても鉄華団は間違ってることしかしていない。でもオルガたちは自分を信じているから、シナリオとしては間違ってることを正しいことのように言わせなくちゃいけなくて。
だけど彼らの行為を否定してくれる人がいないと、鉄華団側からの視点しか映し出せない……と模索していたんですけど、メリビットさんがいてくれて助かりました。」
岡田「あの最後のシーンは、シナリオ提出の日の早朝に急遽思いついた話だったんですよ。」
長井「俺もシナリオを読んで「あ、死ぬんだ!?」ってビックリしたんです。もともとカルタが亡くなることは想定していたんですけど、だんだんカルタのキャラが立ちすぎて、殺せない雰囲気にもなっていたところだったので。」
岡田「監督も危惧していた部分だと思うんですけど、物語の終盤ということもあり、この先でカルタが亡くなる展開を描こうとすると、もともと決定していたほかのキャラクターの死と、タイミングが同時になってしまう。
それだとカルタのことをちゃんと描いてあげられなくなるので、それはかわいそうだなと思っていたんです。
そのときに、亡くなるんだったらガエリオのところで最期を迎えてほしい、というせめてもの思いからあのシーンが浮かんで、早朝に慌てて書き直したんです。」
長井龍雪(監督)
「彼の過去やゴールに関しては最初から決めていた通りで、それに対するガエリオの関わり方に多少の変更があったぐらいです。
ガエリオは最初どの程度対立させるか決めかねていたんですが、第1期でキャラクターが際立ったことで、マクギリス対ガエリオとその結末が明確になりました。」
――幼少期に抱えていたバックグラウンドが明らかになったことで、ファンが持っていた彼への印象は激変したと感じます。
「マクギリスの結末自体に変更はありませんでしたが、そこへ至る過程にはさまざまな変遷があり、結果的に彼はわりと早い段階で満足してしまったという形になりました。
ギャラルホルンの改革を主張する一歩で、「幼少期の思いを遂げる」という気持ちを強く持ってしまったんでしょう。」
――阿頼耶識の話ですが、ガエリオが使用した阿頼耶識システムも、これまでとは異なるものでした。
「ガエリオのは疑似阿頼耶識(阿頼耶識TypeE)というべきものです。アインの脳を含めた阿頼耶識システムに、自分の体を強制的に使わせるものです。
ですからガエリオが強かったというより、あのシステムが強かったというのが正しいんです。
ガエリオはひたすらマクギリスをフレーミングして、それに対して最適化された行動をアインが行っているという形ですね。
システムが初めて明かされた第43話、アニメーターさんの動かし方から、役者さんのお芝居も含めて、とても印象的なシーンになったのではないかと思います。
それこそ第1期のラスボスとしてアインが存在感を示したことが、この活躍につながっています。」
――最終的にエピローグガエリオのダメージが癒えてないことが、非常に気になりました。
「最終回は阿頼耶識システムごと、首に刺していたプラグを除去してしまったので、足が不自由になってます。
それはガエリオにとって、「もう戦うことはない」という決意の表れなんです。
システムをそのままにしていれば、普通に歩けたはずですが、もうモビルスーツには乗らないと決意したんでしょう。
最後、陽気に振舞っていたのは彼らしいですね。」
岡田麿里(シリーズ構成・脚本)
「ガエリオが唯一ちゃんと成長している子かなって思います。鉄華団は最初に思ったことからズレない子たちが多いんですよ。
オルガにしてもけっこうそういうところがあるんですけど。シノは馬鹿だけど大人っていうか。
ガエリオさんは、大人としての分別はある上で、知らないことも多くて、アインくんとかと出会っていくことでちゃんと成長してる、みたいな(笑)。
書きやすいのはユージンなんですけど」
――最初の印象はかませ犬的なライバルなのかな?と思ったんですが、とても印象的で豊かなキャラクターになりましたね。
「ガエリオは監督もノーマークだったんで、手が入れやすかったのもあります(笑)。
「成長」って言ってしまうと、ちょっと違うかもしれないんですが物事や事件が起こったとき、動いていくキャラクターをつくりたいなと。
そう思ったとき、ガエリオだったらできるんじゃないかなと思ったんです。
マクギリスはそもそも動じない人ですし、アインもああいうタイプのキャラクターですから。
いろんなところで「ガエリオが好き」と言っているんですが、それは個人的に納得のいくポジションで書けるキャラクターという意味でとても気持ちが乗ります。」
――ガエリオもある意味、主人公的な印象を受けますね。悲運のヒーローという感じで。
「そこは気づかれないように、こっそりと変えてきたつもりなんです。ガエリオをガッツリと変えた瞬間って、カルタが死んだ時でしょうね。」
「ガエリオは、第一期のときから思いも寄らぬ方向に転がっていったキャラクターで、勝手に成長してくれたんですよ(笑)。
もちろん鉄華団だって成長してないわけじゃないんですけれども、シンプルな行動原理が最初からある。
成長されるって、揺らぐことでもあるので。
鉄華団の反動として、『揺らぎのキャラクターを作りたい』っていう欲求が湧いてきて、それをガエリオに託したというか。」
「一方でラスタルというのは、そんなガエリオを駒として見ている存在ですが、そこには彼に対する礼儀や節度もちゃんとあって。
なのである意味、彼の描き方は『お仕事もの』に近いと思います。」
「『お仕事もの』として考えたときにラスタルみたいな考え方の人っていうのは、すごく厄介な敵になるんじゃないかと。
そこに成長するガエリオが加担することで、個人の欲望で動くマクギリスは苦しめられていく。
本来だったら、(鉄華団の)一番の敵になるはずのマクギリスなんですけどマクギリスも三日月も同じような立場にしたいということになりました。」
「マクギリスの正解の導き出し方は、ある意味で鉄華団より自由。そういう存在って恐ろしいと思うんです。
それをラスタルは、常識的に動いてる人を使って抑えていく(笑)。それができる強大さですね。 」
「ガエリオはマクギリスへの執着込みで、自分自身が持っていないものへの飢えがあるんですよ。
鉄華団やヒューマンデブリもそうですけど、個々のキャラクターが持つ『飢え』みたいなのは描きたいと思っていました。 」
「それぞれの関係性としては、自分の中で考え方が変わる、もしくは考え方が揺らぐときにいたパートナー、つまり、宿命的な対にはしたいと思っていました。
マクギリスの中にも、確実にガエリオが彼の中に食い込んでいて。」
「第一期のマクギリスとガエリオ戦のシナリオを書いていたときに、たまたま松風さんとアフレコ現場で話したんですよ。
そのとき、松風さんに『マクギリスのこと、好きですか?』って聞いたら、『好きですよ』と答えて下さったのですが
そのときの声の印象や表情がすごく印象に残って、それを参考にしてシナリオを書いた部分があります。」
「キャラクターの要請からは逃げられないものがあって、彼らの意にそぐわない方向性にはしたくないというのが第一にありました。
その中で導き出されたのは、「失ったものは多いけど、もう幸せになる未来しかない」ということですね。」
「幸せになる可能性を感じさせるところまでは、絶対に描きたかったんです。」
「ライドの復讐心を膨らませて、テンションを上げて描くのがアニメとしては正しい方向なのかなとも思います。
でもその道を選ぶと、結局は「鉄血のオルフェンズ」第3期の話にしかならないんです。
また新たな因果が生まれて、戦いが始まり、再び犠牲を強いる物語にしかなりえないんですよ。」
小川正和(プロデューサー)
――振り返ってみれば、アインやガエリオといったギャラルホルン勢のほうが主人公的なドラマがありましたね。
「ここで三日月に感情移入されてしまうのも、怖い側面はありますからね。
そう考えると、ガエリオのようなキャラクターに感情移入してもらったほうが、日本はまだまだ大丈夫という気がします(笑)。
ガエリオのようにまっすぐに生きてきた人間って、アニメでも貴重な存在ですから。」
――ここまで印象的なキャラクターになるとは意外でした。
「そもそもアインもガエリオもお話を進めていく中で、膨らんでいった結果です。
そこはオリジナル作品の面白さではないかなと思います。
ただ、人気があるから作中で良い扱いになるということはちょっと違うなと思いますので、第2期もコンセプトは変わらないと思います。」
――ギャラルホルンはどうなっているんでしょう?
「第1期の影響で「ギャラルホルンって大したことないんじゃないの?」と世界に思われてしまっているかもしれませんが、ギャラルホルンの全容はまだ出てきてませんからね。
そこにラスタルやイオク、ジュリエッタなどの新キャラクターが絡んでくる形になります。
ギャラルホルン側だけでも、ストーリーが成り立つといえば成り立つぐらいです。
でもあくまで『オルフェンズ』は鉄華団の話ですから、ギャラルホルンに喰われすぎないように意識していますね。」
「マクギリスは、ジュリエッタにとっては、ラスタルの邪魔になる存在です。
ところが、ヴィダールにとっては、そう単純ではなく、複雑な思いが渦巻いてるようです。ジュリエッタも『強くなりたい』と考えていますが、
そうした心に葛藤を抱くふたりは、やはり”主人公側っぽいキャラクター”と言えるでしょうね。
みなさんは忘れつつあるようですが、ふたりが所属するギャラルホルンは、治安維持など『正しいこと』をする組織です。
だから、ふたりも普通の作品ならば、立ち位置的には主人公側の『いい人』なのです。」
「それぞれの思いや行動原理が物語の展開に結びついていきます。ジュリエッタはラスタルを守るために、ヴィダールはマクギリスの真意を確かめたうえで、
それぞれのMSで戦場を駆けることになるでしょう。」
「ガエリオは全編を通してすごくいい人。ただし生まれついての立ち位置がマクギリスと違いすぎたのでそこには超えられない何かがあった。
ガエリオは最終話でもっと早く理解していれば…と言っていたの含めてマクギリスには想いが届いていたかもしれないがそこがちゃんと交わらないのがこの世界の難しいところ」
「ただしガエリオのいい人は「立場」があってのもの。石動の思想を否定したように特権階級の生まれと言う部分からは逃れられない。
またラスタルは清濁併せ呑む形で見せしめに汚い事もやってるけど治安維持の為であって悪い人間ではない。
ガエリオはそんなラスタル側に着いたからギャラルホルンと言う枠から出ていない訳でそこもマクギリスとは決定的に違う。」
「元はマクギリスの友人Aだったのに松風さんの演技でここまで成長した。チャドやダンテもそうだけどその最もたる例はガエリオ。 」
「三日月が戦うラスボスをどうするかでしたね。ポジションで言えばラスタルが大ボスですが、三日月にラスタルは見えていないし、ラスタルと三日月で最後MS戦というのもおかしな感じです。
三日月は敵を、ただオルガや鉄華団にとって邪魔なものとしか認識していませんから。
ただ、監督には当初から最後は多数の一般兵たちに物量でやられるというビジョンがありましたから、形式的にはそこに収まったともいえます。
その代わりではないんですが、マクギリスの前にはわかりやすい形でガエリオという存在がいてくれました。
マクギリスはバエルを手にしてから空回っていると言われましたが、それもしかたがないことなんです。
ガエリオが生きてラスタルのもとにいると察した時点で時間の猶予がなく、彼にはバエルの威光を利用する以外にすべはなかったんですよ。
もしガエリオがいなかったらラスタルの勢力を第1期に見せた策謀や手腕でジワジワと削れたのかもしれませんが、
あの時点ではすでに対抗できるものがギャラルホルンの象徴しかなかったんです。」
――ラスタルはマクギリスがバエルに向かったことを、手を誤ったと評しましたが。
「ラスタルにしてみればそうでしょうが、マクギリスの根本は、アグニカ・カイエルにあこがれ、悲惨な境遇から抜け出したいと願った少年なんです。
はっきり言ってしまえば第1期でガエリオを殺しきれなかった時点でこうなるのは必然だったのかもれません。
タイトルどおりマクギリスと三日月たちは孤児(オルフェンズ)という出自ですが、三日月たちには鉄華団という「家族」があり、マクギリスはどこまでいってもひとりだったことが、よりバエルという存在に走らせたとも言えるでしょう。」
形部一平(メカデザ)
https://i.imgur.com/DqqThVx.jpg
形部「僕は第23話のトルーパーの登場シーンが一番好きです。
僕のかっこいいモビルスーツが、かっこよくでてきて、「うれしい~!」って思いました(笑)」
海老川「形部さんのお気に入りシーンですよね」
※略
鷲尾「ガエリオも最初は弱い感じかと思ったんですけど、意外と強かったですね」
海老川「序盤の印象からだと少し弱く感じますね」
鷲尾「クライマックスなんて、三日月とガエリオ、どっちが主役なんだよって感じでしたし(笑)。
三日月はもう戦い方がひどかったですから」
形部「マン・ロディが串刺しになった時、うちの息子は呆然としてましたからね(笑)。
海老川「グリムゲルデも形部さんの息子さんに嫌われているのではないかと……(笑)」
形部「でもバルバトスの方がもっと嫌いみたいです(笑)」
一同「(笑)」
形部「主役機にやられるために存在しているわけですから、それはしょうがないです(笑)」
https://i.imgur.com/jMGi4HX.jpg
海老川「最終話を見て、やったぜグリムゲルデ!マクギリス最高!って人はあまりいないかもしれません。
あそこでグリムゲルデを応援していたのは、自分も含めごく少数の方々だったかも……」
鷲尾「マクギリスにも三日月にも、感情移入できなかったですね(笑)。どうしてもガエリオを応援してしまいます」
インタビュアー『たしかに、ガエリオに感情移入してしまいましたね(笑)』
https://i.imgur.com/p3sESRg.jpg
(メカデザ三人の締めの言葉)
形部「バルバトスをなんとかしてやりたいっていう気持ちは変わらないです。
ですから今まさにモリモリと積み上げているところです。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います」
海老川「第一期で取り組んだことの下地を踏まえ、第二期がしっかりと進んでいると思います。
自分もバルバトスを倒せるようなMSを頑張って考えたいと思います(笑)」
鷲尾「三日月の戦い方は、見ていると、ちょっと心が痛むんですけど(笑)。
今後もバルバトスはバルバトスらしく描いていきますので、ご期待ください」
伊藤悠(キャラ原案)
ガンダムエース(編集者)
ガンダムインフォ
ガエリオ・ボードウィンが40ポイント超えの支持を獲得した。49話を見ると、ガエリオは憎しみだけで戦っていたのではないことがわかる。
幼なじみのカルタ、慕ってくれた部下アイン、かわいい妹のアルミリア、そして自分自身。
多くの人の信頼を犠牲にして、力で時代を変えようとするマクギリスを退治しようとしたのであって、マクギリス本人にはいまだ親しみを忘れてはいなかった。
優しい。優しすぎる。こんなガエリオにバレンタインのチョコをあげたら、たとえケンカしていたとしても、とてもいいモノを返してくれそうだ。
家柄もいいし、財力も充分なのだから3倍とはいわず、10倍くらいになりそうだ。
マクギリス・ファリドが37ポイント強の支持を得た。「王者は孤独である」というその言葉どおりの末路をたどったマクギリス。
しかし、その金髪の美しさといい、見事な体躯、他を圧倒する知力は人を引き付けずにはおかない。
あの三日月ですら「チョコレートの人」とあだ名をつけるほど印象深い人である。対するガエリオはかわいそうに「チョコレートの隣の人」と認識されている程度なのだ。
人々の期待を裏切りクーデターを仕掛けたのだが、アルミリアへの愛は本物であったと思いたい。
ただ、プレゼントのお返しについてはガエリオのように10倍とはいかず、5~7倍返しのような気がする。
そんな印象が3.4ポイント差となって現れたのではないだろうか。
意外だったのはラスタル・エリオンの支持率の低さである。財力は申し分ない上に、使うべきところにはきちんとお金や手間暇をかけそうな緻密な人なのにだ。
やっぱりヒゲがいけなかったのだろうか。そして、もう一つ意外だったのは、オルガ、三日月などの鉄華団のメンバーが、軒並み5ポイント以下という低い支持に留まっていたことだ。
オルガは無駄遣いしていないから、ここぞとばかりになんかすごいモノをくれそうだし、三日月なんか、望めば子どもを作ってくれるのだぞ~。
しかし、ふたりの悪いところは、なんとな~く忘れそうな所である。
雪之丞さんなんか、「すまねえ、忘れてた」といって頭をなでなでして終わりかもしれない。重要でないこと、急ぎでないことはついつい忘れてしまいそうな雰囲気がある。
グレートメカニックG(ツイ担当)
なんだかなぁ
悪意のある記事要約が掲示板やまとめサイトに張り付けられているようですが
そもそも炎上をあおる目的なので、要約内容に踊らされないでください。
うーん……そもそもうちは世界観、メカ、デザインに偏った媒体ですから、世界の枠組みや成り立ちを語る際に
世界を統べる組織のギャラルホルンを中心に記事構成になるのは自然です。
むしろ主人公である鉄華団サイドは、王道の一般アニメ誌さんが厚くやってますし。うちは変化球媒体ですよ。
とりあえず読んでない方には、読んでもらうのが一番でしょうね。
それこそドラムロオンリーで8ページとか、巻頭見開き主力戦艦でバーン!とか、00の量産機だけで特集とか
ジェガンで巻頭特集とか、古い読者さんは「グレメカがいかに偏っているか」を理解してくださっているのでいつも助かります。
最終更新:2018年11月21日 17:28