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P |
(志保にセンターを頼んでから数日が経った。 公演に向けて、レッスンをしてるはずだけど……) |
志保 |
はぁ、はぁ、……ふぅ。 今の感じね。忘れないうちにもう1回……。 |
P |
志保、ダンスの振り付け確認か? ……今日も、誰とも一緒じゃないんだな。 |
志保 |
はい。ひとりで練習した方が効率がいいので。 プロデューサーさん、何か用ですか? |
P |
いや、ちょっと様子を見に来ただけなんだが……。 |
(センターに決まってから、志保は前にも増して ひとりで練習るようになった気がする) |
やよい |
うっうー! おはようございまーっす! |
伊織 |
ちょっと、やよい! そんなに急がなくても……。 あら、プロデューサーと志保じゃない。 |
志保 |
お疲れさまです。 |
P |
お疲れさま。やよいと伊織も、自主練か? |
やよい |
はいっ! 今度のライブで、伊織ちゃんとふたりで ペアになって踊るダンスの練習です~。 |
伊織 |
目立つパートだから、みっともないのは絶対イヤだし、 さすがに少しは練習しておかないとね。 |
ま、今日は他の仕事もあるから、軽く合わせるぐらい しかできないけど。はあ~、人気者ってツライわ♪ |
やよい |
えへへっ、伊織ちゃん! ふたりでダンスするの、 今からす~っごく楽しみだねっ! |
でも振り付けがむずかしいから、 私、ちゃんと出来るか、ちょっと心配だけど……。 |
伊織 |
なに弱気なこと言ってるのよ、らしくないわね。 ちゃんと出来るようになるために練習するんじゃない。 |
それに……あんたなら大丈夫よ。頑張り屋だし…… わ、私もついているんだから。そうでしょ? |
やよい |
伊織ちゃん……。 うんっ、ありがとう! えへへっ♪ |
志保 |
…………。 |
P |
志保、休憩がてら、 伊織達の練習を見学してみたらどうだ? |
志保 |
え? ……いえ。まだ自分の振り付けを 確認してる最中なので、やめておきます。 |
P |
まあ、そう言わないで。何か気づくことも あるかもしれないし。……ふたりも別にいいよな? |
伊織 |
ええ、構わないわよ? 観客がいた方が、やりがいがあるくらい♪ |
やよい |
じゃあ、今からやってみますね。えへへ、ドキドキ するけど頑張りまーす! 志保ちゃんも応援してね! |
志保 |
……わかりました。 それじゃあ、見学させてもらいます。 |
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やよい |
1、2、3、4……それで、最後にキメポーズ! いぇい!! |
志保 |
…………! |
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伊織 |
ふぅ、お疲れ様! ……まあ、こんなものかしら? 初めてにしては、なかなかよかったんじゃない? |
P |
確かに踊れてはいたな。 でも、まだミスが多いぞ? |
伊織 |
わかってるわよっ。仕方ないでしょ、振り付けが 決まったばかりなんだから。細かいトコはこれから! |
志保 |
ミスって……ほとんど気づかなかった。 自然で、キレイで……これで初めてだなんて……。 |
伊織 |
あら、志保。もしかして、 私達のレベルの高さに驚いちゃったかしら? |
志保 |
っ、別に……。 |
伊織 |
ふん、素直じゃないわねー。他の子をよーく見て、 いいとこを参考にしなきゃ、成長できないわよ。 |
あんた、次の定期公演のセンターなんでしょ? そんな調子じゃ、先が思いやられるわね。 |
やよい |
もう、伊織ちゃん、そういう言い方したらダメだよっ! 志保ちゃんは一生懸命なんだから……めっ! |
伊織 |
な、なによ、私はただ、ちょっとハッパをかけて やらなきゃって思っただけで……。 |
やよい |
ごめんね、志保ちゃん。伊織ちゃんは、 「頑張ってね」って言いたかっただけだって。 |
伊織 |
ちょっと!? そんなこと、ひとことも言ってないでしょ!? |
P |
……あ、そういえばふたりとも、次の仕事は? 時間無いって言ってたよな、さっき。 |
やよい |
あっ、そうでしたっ! ありがとうございます、 プロデューサー! 伊織ちゃん、行こっ? |
伊織 |
そ……、そうね。それは言ったわね……。 それじゃあ志保、しっかりしなさいよ? |
志保 |
…………。 |
P |
志保、ふたりのダンスは参考になったか? ずっと食い入るように見てたけど。 |
志保 |
……はい。 |
正直、すごいと思いました。出だしからひきこまれて、 ミスがあったことにも気づかなかった……。 |
どうして、そう感じたのかはわかりませんけど……。 ふたりの実力が、すごいから……なのか……? |
P |
それだけじゃないはず……って顔だな。 俺も、実力やレベルは関係ないと思う。 |
秘訣は、わりと単純なことじゃないかな。 あのふたりは、ただ……。 |
ライバル関係なだけだ。それだけだよ。 |
志保 |
……なに言ってるんですか? あんなに仲がよさそうなのに。 |
P |
仲がいいから、お互いに相手がまぶしいんだよ。 認め合えている友達だから、楽しく高め合える。 |
だからふたりのダンスは、観ている人がつい 引きこまれるほど、輝いて見えるんじゃないかな。 |
志保 |
友達だから……。 |
P |
それに、一緒にいる時間が長いと息も合ってくる。 お互いの動きのクセも、わかってくるだろうし……。 |
志保 |
ああ……。だから、ひとりだけ頑張ってもムダだって、 言いたいんですね。 |
P |
ムダってことはない。センターは目立つから、 ミスしないよう、きっちりと覚えることも大事だ。 |
ただお客さんが観てるのは、センターひとりじゃ ないからな。メンバー全員で作るステージだ。 |
見た人をひきこむ、一体感のあるステージを作るよう 働きかけるのも、センターの大事な仕事だと思うよ。 |
志保 |
センターのしごと………………。 |
それでも、やっぱり私は、 個々のレベルを上げる必要はあると思います。 |
レベルが低ければ、そもそも 人と合わせることすら、できませんから。 |
P |
ああ、ひとりひとりの技術も大切だぞ。 文字通り、切磋琢磨してほしいな。 |
志保 |
…………。 |
とにかく……プロデューサーさんの 言いたいことはわかりました。 |
なので、これからは個人の練習と並行して、 矢吹さん達とも練習したいと思います。 |
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ガチャッ! |
可奈 |
志保ちゃん! ホントに一緒に練習していいの!? |
志保 |
……! |
茜 |
じゃじゃん! しほりんのことが気になって、レッスン ルームを覗いてた茜ちゃんと愉快な仲間たち登場ー! |
ねえねえ驚いた? ジャストタイミングでの フレンズ登場に驚いちゃった!? |
可奈 |
それで志保ちゃんっ! 一緒に練習していいってホント? ホントにホント!? |
志保 |
え、ええ……そうね、矢吹さん。仕事のために 必要なことをするのは、当たり前でしょ。 |
可奈 |
やった~! 志保ちゃんと茜さんとレッスンだ~♪ みんなでレッスン~♪ うきうきレッスン~♪ |
茜 |
も~。だから、茜ちゃんは最初から言ってたのに~。 |
プロちゃんに言われるまで 気づかないなんて、しほりん遅いよ~。 |
志保 |
気づかないって……何にですか? |
茜 |
一緒にレッスンする大切さだよ! 茜ちゃんと一緒に レッスンできるなんてついてるねって言ったんでしょ? |
志保 |
あれって、そういう意味だったんですか。 ……わかりづらいですよ。 |
茜 |
そこは頑張って読み取ろうよ! そのくらい出来る ようにならないと、茜ちゃんみたいになれないゾ? |
P |
はは、みんな仲いいな。 俺が心配することもなかったか? |
志保 |
いえ、仲は別に……。でも、参考にはなりました。 ありがとうございます、プロデューサーさん。 |
可奈 |
もー! 別に……ってなに、志保ちゃん!? |
「別にルンルンです」? 「別にランランです」? ねえねえっ!? |
志保 |
別に、どっちでもないわ。 |
茜 |
ふたりだけでイチャイチャするなんてズルいぞ! 茜ちゃんも混ぜろ~! ぎゅぅ~!! |
志保 |
ちょっ、ふたりとも、あまり……くっつかないでっ。 |
P |
(仲間とわかり合えたら、志保の輝きは、 きっと格段に増すことだろう) |
(今度のセンター公演は、志保が見られる番。 仲間と一緒に、見ている人を魅了する番だ!) |
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(ライブ後) |
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(志保が初めてセンターを務めた公演は、無事に幕を おろした……のだが、歓声がいまだに鳴り止まない!) |
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可奈 |
茜さん、志保ちゃん、お疲れさま! お客さんも すっごく喜んでくれて、すっごーく楽しかったね~♪ |
茜 |
にゃーはははははっ! 茜ちゃんにかかれば、当然の結果なのだー! |
しほりん、可奈ちゃん! 最後までよく茜ちゃんに ついてきたね! あとでナデナデしてあげるよ~! |
P |
みんな、お疲れさま! 練習の成果がバッチリ出た、 いい公演だったな。息もピッタリだったぞ! |
志保 |
確かに上手くいきましたが、それは言いすぎです。 |
細かいズレがいくつもありましたし。 小さなミスもたくさんありました。 |
P |
なんだ、もう反省会か? もちろん、まだまだ課題はあると思うけど。 |
茜 |
そうだね~。しほりん、ターンの時、コケそうに なってたしね! 茜ちゃんの目はごまかせないのだ! |
志保 |
そういう茜さんこそ、高くジャンプしすぎて タイミングがズレてたじゃないですか。 |
茜 |
なんとっ!? まさか、気づかれていたとは……。 しほりんの目も、ごまかせないのだ! |
志保 |
あと、可奈もステージの前に出る時につまづいて、 練習の時と同じミスしてたわ。 |
茜 |
にゃ? |
可奈 |
え? ……あ、ごめんね志保ちゃん。 誰の話? |
志保 |
? 可奈の話に決まってるじゃない。 |
可奈 |
私……そっか! えへへっ、ありがとう! |
茜 |
あれ? あれれれれ~? しほりんって、 可奈ちゃんのこと名前で呼んでたっけ?? |
志保 |
え? あ……! |
可奈 |
志保ちゃん……! |
志保 |
ち、違います。今のは、その……。 |
可奈 |
いいの志保ちゃん! これからも可奈って呼んでね? 私も志保ちゃんって呼ぶから! もう呼んでるけど! |
志保 |
そ……そう……。 |
可奈 |
やった~! えへへっ、うれちいな~♪ 今日から可奈は、可奈かな~? |
志保 |
……。 |
茜 |
プロちゃん、聞いた聞いた? 今しほりんがデレたよね? デレりん現るの巻だよね? |
志保 |
聞こえてますよ。よくわかりませんけど……。 たぶん、全然違いますからっ。 |
P |
あはは、わかったわかった。ほら、3人とも、 そろそろ片付けが始まるから、控え室に戻るぞ。 |
志保 |
そ、そうですよね。わかりました。 |
可奈 |
え~。なんだか、今はもっと…… いっぱい、おしゃべりしたいな~。 |
茜 |
そうだね可奈ちゃん! 茜ちゃんも超しゃべり足りない から、みんなでプリン食べに行こう! レッツゴー!! |
志保 |
私は遠慮します。 家で弟が待っていますから。 |
可奈 |
え~、まだお昼ちょっと過ぎだよ~? 志保ちゃんも一緒に行こうよ~。友達でしょ? |
志保 |
と……っ。 |
茜 |
そうだよ! みんな美味しいプリンを食べるのだ~! よっ、プロちゃんの太っ腹! |
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(え……っ) |
志保 |
そんなこと言われても……困ります。 |
茜達 |
じろじろじー……。 |
志保 |
ジロジロ見られても困ります! |
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(手を取りあえる仲間に、友達に囲まれるほど…… 志保は新たなステージに進めるだろう) |
(ひとりのアイドルとして……。 ひとりの、少女として) |