空間固定術式の開発

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作成者:玄霧,雅戌 #ls() #contents *部品構造 -大部品: 空間固定術式の開発 RD:46 評価値:9 --大部品: 術式の概要 RD:9 評価値:5 ---部品: 空間転移を止める術式 ---部品: 予兆の検知 ---部品: 空間のゆがみを抑止する ---部品: その規模と出力 ---部品: 管理中枢の構造 ---部品: 影響圏について ---部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 ---部品: 位相のずれた世界への複数展開 ---部品: 霧の結界が展開されたケースの例 --大部品: 開発しなければならない理由 RD:6 評価値:4 ---部品: 転移魔法の濫用を知る ---部品: 空間転移の危険性の認識 ---部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 ---部品: 大統領からの開発への認可 ---部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 ---部品: 国民への説明 --大部品: 術式の開発過程 RD:9 評価値:5 ---部品: 転移魔法の術式研究 ---部品: 宰相からの技術協力 ---部品: 原理の分析と抑止技術の開発 ---大部品: 数学河童氏の指導 RD:3 評価値:2 ----部品: 数学河童氏を招いた経緯について ----部品: 指導の結果 ----部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 ---部品: 限定的な実験と実証 ---部品: 確立された術式の実用化 ---部品: 研究情報の秘匿性 --大部品: 術式中枢の敷設 RD:5 評価値:3 ---部品: 機密設備としての設計 ---部品: 選りすぐりの術者による施術 ---部品: 敷設箇所の整備 ---部品: 魔力供給方法とその維持 ---部品: 術式の保全環境 --大部品: 防備体制について RD:17 評価値:6 ---大部品: 術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿 RD:14 評価値:6 ----部品: 大神殿再建の経緯 ----部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 ----部品: 祭神:白蛇様 ----部品: 蛇神の僧侶たち ----部品: 基本的な設備 ----大部品: 物理的な防備 RD:4 評価値:3 -----部品: 地理的な防備の厚さ -----部品: 警戒要員の配置 -----部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 -----部品: 人以外の監視設備 ----大部品: 魔法的な防備 RD:5 評価値:3 -----部品: 外部からの書き換え対策 -----部品: 術式の構造的強度 -----部品: 魔法による検知 -----部品: 警報魔術の敷設 -----部品: 神性による防備 ---大部品: 法的な防備 RD:2 評価値:1 ----部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 ----部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 ---部品: 防衛部隊の出動環境 *部品定義 **部品: 空間転移を止める術式 空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。 この術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。 具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。 **部品: 予兆の検知 空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。 このゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。 **部品: 空間のゆがみを抑止する 空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。 そのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。 原理としては消音装置等と近い。 **部品: その規模と出力 術式そのものの設備は、およそ5立方メートルのサイズである。 普段は探査術式が広範囲に展開され続けている他、術式の設備箇所の周辺にだけ、常に転移を打ち消す効果が張り続けられている。 これは常時展開する範囲を絞ることで平時の魔力の消費を抑えることと、予知できない速度のアタックにより設備を破壊されることに対する備えとしての仕組みである。 この状態であれば魔力供給は余力を残したまま行う事ができる。 空間のゆがみを検知した際に全力稼働となり、自空間固定術式の展開圏を拡大し、その歪みを中和したのち、省力状態へと戻る。 全力稼動時の魔力消費は大きいため、連続しての転移阻止の際は魔力触媒の追加投入が必要になるとともに、転移を試みる者への対処という根本的な問題の解決が必要となる。 **部品: 管理中枢の構造 5立方メートルほどのモノリスの表面に術式が刻まれている。 術式の用途は大きく分けて3つであり、空間のゆがみを検知する探査術式とゆがみの中和術式、それらの出力を増幅するための補助術式であるとされる。 これらは偽装としての役割も持ち、モノリス中枢に埋め込まれた空間固定術式の本体(にして非常用の予備術式)を隠す効果を持ちながら、空間固定術式の効果を維持している。 本体とされる術式はモノリス内に埋められた宝玉に刻まれており、供給される魔力は一度ここにため込まれたのち、必要量がモノリスに流される事になる。 **部品: 影響圏について 探査術式は常時一国を覆うだけの稼働が可能。ゆがみを打ち消すための全力稼動状態でも一国をまるまる覆う事ができる。 術式の出力を上げることで影響範囲を更に拡大することも理論上できるが、相応に魔力消費量が上がるために別途準備が必要となる。 **部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。 そのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。 機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。 **部品: 位相のずれた世界への複数展開 空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。 これの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。 転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。 **部品: 霧の結界が展開されたケースの例 玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。 この場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。 霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。 もちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。 **部品: 転移魔法の濫用を知る 玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。 そもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。 魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。 **部品: 空間転移の危険性の認識 空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。 空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。 空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。 このことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。 **部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。 国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。 なお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。 **部品: 大統領からの開発への認可 空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。 この技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、 まず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。 空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。 後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。 **部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。 法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。 空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、 付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。 **部品: 国民への説明 そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。 この認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。 共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、 問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。 なお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。 **部品: 転移魔法の術式研究 空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。 どういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。 非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。 国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。 人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、 転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。 これらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。 **部品: 宰相からの技術協力 空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、 宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。 当然ながら最高機密である。 **部品: 原理の分析と抑止技術の開発 転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。 転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、 かつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。 転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。 あとはその実現性である。 **部品: 数学河童氏を招いた経緯について 空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。 転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。 魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。 玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。 **部品: 指導の結果 数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。 あえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。 レポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。 これにより、術式理論の基礎が完成するに至った。 **部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。 よって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。 基礎理念の完成と共に、数学河童氏には 「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」 「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」 と、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。 数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。 当然ながら、手厚い御礼と共にである。 **部品: 限定的な実験と実証 具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。 当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。 数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。 これによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。 **部品: 確立された術式の実用化 技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。 広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。 とはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。 **部品: 研究情報の秘匿性 再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。 この計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。 また、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。 **部品: 機密設備としての設計 藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、 これらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。 必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。 **部品: 選りすぐりの術者による施術 術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。 規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、 白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。 これまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。 **部品: 敷設箇所の整備 秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。 藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。 国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、 そこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。 **部品: 魔力供給方法とその維持 大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。 その集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。 魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。 但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。 魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。 消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。 **部品: 術式の保全環境 術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。 そもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、 国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。 定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。 **部品: 大神殿再建の経緯 そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。 過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。 そして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。 国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。 **部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。 そのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された 形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。 なお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。 宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。 仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。 **部品: 祭神:白蛇様 玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。 白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。 この神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。 **部品: 蛇神の僧侶たち 祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。 健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。 彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。 **部品: 基本的な設備 泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。 そのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。 地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。 表に出しにくいもの、の理由は様々。 **部品: 地理的な防備の厚さ 大神殿という施設がまず防御性の高いものである。 警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。 **部品: 警戒要員の配置 環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。 警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。 有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。 **部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。 具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。 給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。 また、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。 **部品: 人以外の監視設備 警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。 そのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。 (低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ) 設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。 **部品: 外部からの書き換え対策 術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。 探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。 この術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。 **部品: 術式の構造的強度 空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。 もちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。 **部品: 魔法による検知 術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。 ここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。 それぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。 これは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。 政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。 予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。 **部品: 警報魔術の敷設 物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。 通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。 主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。 (位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため) **部品: 神性による防備 大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。 魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。 **部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。 この際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。 共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、 予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。 処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。 **部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。 『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。 **部品: 防衛部隊の出動環境 警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 どういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 *提出書式 大部品: 空間固定術式の開発 RD:46 評価値:9 -大部品: 術式の概要 RD:9 評価値:5 --部品: 空間転移を止める術式 --部品: 予兆の検知 --部品: 空間のゆがみを抑止する --部品: その規模と出力 --部品: 管理中枢の構造 --部品: 影響圏について --部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 --部品: 位相のずれた世界への複数展開 --部品: 霧の結界が展開されたケースの例 -大部品: 開発しなければならない理由 RD:6 評価値:4 --部品: 転移魔法の濫用を知る --部品: 空間転移の危険性の認識 --部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 --部品: 大統領からの開発への認可 --部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 --部品: 国民への説明 -大部品: 術式の開発過程 RD:9 評価値:5 --部品: 転移魔法の術式研究 --部品: 宰相からの技術協力 --部品: 原理の分析と抑止技術の開発 --大部品: 数学河童氏の指導 RD:3 評価値:2 ---部品: 数学河童氏を招いた経緯について ---部品: 指導の結果 ---部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 --部品: 限定的な実験と実証 --部品: 確立された術式の実用化 --部品: 研究情報の秘匿性 -大部品: 術式中枢の敷設 RD:5 評価値:3 --部品: 機密設備としての設計 --部品: 選りすぐりの術者による施術 --部品: 敷設箇所の整備 --部品: 魔力供給方法とその維持 --部品: 術式の保全環境 -大部品: 防備体制について RD:17 評価値:6 --大部品: 術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿 RD:14 評価値:6 ---部品: 大神殿再建の経緯 ---部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 ---部品: 祭神:白蛇様 ---部品: 蛇神の僧侶たち ---部品: 基本的な設備 ---大部品: 物理的な防備 RD:4 評価値:3 ----部品: 地理的な防備の厚さ ----部品: 警戒要員の配置 ----部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 ----部品: 人以外の監視設備 ---大部品: 魔法的な防備 RD:5 評価値:3 ----部品: 外部からの書き換え対策 ----部品: 術式の構造的強度 ----部品: 魔法による検知 ----部品: 警報魔術の敷設 ----部品: 神性による防備 --大部品: 法的な防備 RD:2 評価値:1 ---部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 ---部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 --部品: 防衛部隊の出動環境 部品: 空間転移を止める術式 空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。 この術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。 具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。 部品: 予兆の検知 空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。 このゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。 部品: 空間のゆがみを抑止する 空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。 そのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。 原理としては消音装置等と近い。 部品: その規模と出力 術式そのものの設備は、およそ5立方メートルのサイズである。 普段は探査術式が広範囲に展開され続けている他、術式の設備箇所の周辺にだけ、常に転移を打ち消す効果が張り続けられている。 これは常時展開する範囲を絞ることで平時の魔力の消費を抑えることと、予知できない速度のアタックにより設備を破壊されることに対する備えとしての仕組みである。 この状態であれば魔力供給は余力を残したまま行う事ができる。 空間のゆがみを検知した際に全力稼働となり、自空間固定術式の展開圏を拡大し、その歪みを中和したのち、省力状態へと戻る。 全力稼動時の魔力消費は大きいため、連続しての転移阻止の際は魔力触媒の追加投入が必要になるとともに、転移を試みる者への対処という根本的な問題の解決が必要となる。 部品: 管理中枢の構造 5立方メートルほどのモノリスの表面に術式が刻まれている。 術式の用途は大きく分けて3つであり、空間のゆがみを検知する探査術式とゆがみの中和術式、それらの出力を増幅するための補助術式であるとされる。 これらは偽装としての役割も持ち、モノリス中枢に埋め込まれた空間固定術式の本体(にして非常用の予備術式)を隠す効果を持ちながら、空間固定術式の効果を維持している。 本体とされる術式はモノリス内に埋められた宝玉に刻まれており、供給される魔力は一度ここにため込まれたのち、必要量がモノリスに流される事になる。 部品: 影響圏について 探査術式は常時一国を覆うだけの稼働が可能。ゆがみを打ち消すための全力稼動状態でも一国をまるまる覆う事ができる。 術式の出力を上げることで影響範囲を更に拡大することも理論上できるが、相応に魔力消費量が上がるために別途準備が必要となる。 部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。 そのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。 機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。 部品: 位相のずれた世界への複数展開 空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。 これの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。 転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。 部品: 霧の結界が展開されたケースの例 玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。 この場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。 霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。 もちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。 部品: 転移魔法の濫用を知る 玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。 そもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。 魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。 部品: 空間転移の危険性の認識 空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。 空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。 空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。 このことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。 部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。 国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。 なお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。 部品: 大統領からの開発への認可 空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。 この技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、 まず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。 空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。 後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。 部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。 法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。 空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、 付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。 部品: 国民への説明 そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。 この認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。 共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、 問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。 なお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。 部品: 転移魔法の術式研究 空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。 どういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。 非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。 国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。 人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、 転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。 これらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。 部品: 宰相からの技術協力 空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、 宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。 当然ながら最高機密である。 部品: 原理の分析と抑止技術の開発 転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。 転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、 かつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。 転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。 あとはその実現性である。 部品: 数学河童氏を招いた経緯について 空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。 転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。 魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。 玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。 部品: 指導の結果 数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。 あえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。 レポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。 これにより、術式理論の基礎が完成するに至った。 部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。 よって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。 基礎理念の完成と共に、数学河童氏には 「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」 「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」 と、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。 数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。 当然ながら、手厚い御礼と共にである。 部品: 限定的な実験と実証 具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。 当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。 数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。 これによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。 部品: 確立された術式の実用化 技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。 広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。 とはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。 部品: 研究情報の秘匿性 再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。 この計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。 また、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。 部品: 機密設備としての設計 藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、 これらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。 必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。 部品: 選りすぐりの術者による施術 術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。 規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、 白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。 これまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。 部品: 敷設箇所の整備 秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。 藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。 国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、 そこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。 部品: 魔力供給方法とその維持 大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。 その集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。 魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。 但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。 魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。 消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。 部品: 術式の保全環境 術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。 そもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、 国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。 定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。 部品: 大神殿再建の経緯 そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。 過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。 そして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。 国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。 部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。 そのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された 形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。 なお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。 宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。 仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。 部品: 祭神:白蛇様 玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。 白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。 この神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。 部品: 蛇神の僧侶たち 祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。 健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。 彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。 部品: 基本的な設備 泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。 そのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。 地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。 表に出しにくいもの、の理由は様々。 部品: 地理的な防備の厚さ 大神殿という施設がまず防御性の高いものである。 警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。 部品: 警戒要員の配置 環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。 警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。 有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。 部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。 具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。 給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。 また、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。 部品: 人以外の監視設備 警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。 そのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。 (低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ) 設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。 部品: 外部からの書き換え対策 術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。 探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。 この術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。 部品: 術式の構造的強度 空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。 もちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。 部品: 魔法による検知 術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。 ここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。 それぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。 これは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。 政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。 予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。 部品: 警報魔術の敷設 物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。 通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。 主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。 (位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため) 部品: 神性による防備 大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。 魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。 部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。 この際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。 共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、 予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。 処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。 部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。 『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。 部品: 防衛部隊の出動環境 警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 どういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 *インポート用定義データ [ { "title": "空間固定術式の開発", "part_type": "group", "children": [ { "title": "術式の概要", "part_type": "group", "children": [ { "title": "空間転移を止める術式", "description": "空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。\nこの術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。\n具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "予兆の検知", "description": "空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。\nこのゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "空間のゆがみを抑止する", "description": "空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。\nそのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。\n原理としては消音装置等と近い。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "その規模と出力", "description": "術式そのものの設備は、およそ5立方メートルのサイズである。\n\n普段は探査術式が広範囲に展開され続けている他、術式の設備箇所の周辺にだけ、常に転移を打ち消す効果が張り続けられている。\nこれは常時展開する範囲を絞ることで平時の魔力の消費を抑えることと、予知できない速度のアタックにより設備を破壊されることに対する備えとしての仕組みである。\nこの状態であれば魔力供給は余力を残したまま行う事ができる。\n\n空間のゆがみを検知した際に全力稼働となり、自空間固定術式の展開圏を拡大し、その歪みを中和したのち、省力状態へと戻る。\n全力稼動時の魔力消費は大きいため、連続しての転移阻止の際は魔力触媒の追加投入が必要になるとともに、転移を試みる者への対処という根本的な問題の解決が必要となる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "管理中枢の構造", "description": "5立方メートルほどのモノリスの表面に術式が刻まれている。\n術式の用途は大きく分けて3つであり、空間のゆがみを検知する探査術式とゆがみの中和術式、それらの出力を増幅するための補助術式であるとされる。\nこれらは偽装としての役割も持ち、モノリス中枢に埋め込まれた空間固定術式の本体(にして非常用の予備術式)を隠す効果を持ちながら、空間固定術式の効果を維持している。\n\n本体とされる術式はモノリス内に埋められた宝玉に刻まれており、供給される魔力は一度ここにため込まれたのち、必要量がモノリスに流される事になる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "影響圏について", "description": "探査術式は常時一国を覆うだけの稼働が可能。ゆがみを打ち消すための全力稼動状態でも一国をまるまる覆う事ができる。\n術式の出力を上げることで影響範囲を更に拡大することも理論上できるが、相応に魔力消費量が上がるために別途準備が必要となる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "高物理域技術による空間転移が起きた場合", "description": "高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。\nそのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。\n機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "位相のずれた世界への複数展開", "description": "空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。\nこれの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。\n転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "霧の結界が展開されたケースの例", "description": "玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。\nこの場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。\n霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。\n\nもちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "開発しなければならない理由", "part_type": "group", "children": [ { "title": "転移魔法の濫用を知る", "description": "玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。\nそもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。\n魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "空間転移の危険性の認識", "description": "空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。\n空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。\n空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。\nこのことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "転移魔法を封印する術式の開発決定", "description": "危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。\n国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。\nなお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "大統領からの開発への認可", "description": "空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。\nこの技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、\nまず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。\n空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。\n後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割", "description": "転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。\n法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。\n空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、\n付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "国民への説明", "description": "そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。\nこの認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。\n共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、\n問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。\n\nなお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "術式の開発過程", "part_type": "group", "children": [ { "title": "転移魔法の術式研究", "description": "空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。\nどういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。\n非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。\n国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。\n人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、\n転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。\nこれらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "宰相からの技術協力", "description": "空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、\n宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。\n当然ながら最高機密である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "原理の分析と抑止技術の開発", "description": "転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。\n転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、\nかつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。\n転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。\nあとはその実現性である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "数学河童氏の指導", "part_type": "group", "children": [ { "title": "数学河童氏を招いた経緯について", "description": "空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。\n転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。\n魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。\n玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "指導の結果", "description": "数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。\nあえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。\nレポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。\nこれにより、術式理論の基礎が完成するに至った。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "問題が起きた際の相談と、協力のお礼", "description": "全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。\nよって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。\n\n基礎理念の完成と共に、数学河童氏には\n「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」\n「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」\nと、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。\n\n数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。\n当然ながら、手厚い御礼と共にである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "限定的な実験と実証", "description": "具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。\n当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。\n数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。\nこれによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "確立された術式の実用化", "description": "技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。\n広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。\nとはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "研究情報の秘匿性", "description": "再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。\nこの計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。\nまた、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。", "part_type": "part" } ], "expanded": true }, { "title": "術式中枢の敷設", "part_type": "group", "children": [ { "title": "機密設備としての設計", "description": "藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、\nこれらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。\n必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。", "part_type": "part" }, { "title": "選りすぐりの術者による施術", "description": "術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。\n規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、\n白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。\nこれまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。", "part_type": "part" }, { "title": "敷設箇所の整備", "description": "秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。\n藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。\n国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、\nそこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。", "part_type": "part" }, { "title": "魔力供給方法とその維持", "description": "大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。\nその集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。\n魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。\n但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。\n魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。\n消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の保全環境", "description": "術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。\nそもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、\n国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。\n定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "防備体制について", "part_type": "group", "children": [ { "title": "術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿", "part_type": "group", "children": [ { "title": "大神殿再建の経緯", "description": "そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。\n過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。\nそして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。\n国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の隠蔽設備としての大神殿", "description": "一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。\nそのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された\n形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。\n\nなお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。\n宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。\n仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "祭神:白蛇様", "description": "玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。\n白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。\nこの神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "蛇神の僧侶たち", "description": "祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。\n健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。\n彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。", "part_type": "part" }, { "title": "基本的な設備", "description": "泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。\nそのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。\n地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。\n表に出しにくいもの、の理由は様々。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "物理的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "地理的な防備の厚さ", "description": "大神殿という施設がまず防御性の高いものである。\n警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "警戒要員の配置", "description": "環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。\n警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。\n有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。", "part_type": "part" }, { "title": "警戒要員への定期的な監査と待遇の安定", "description": "専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。\n具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。\n給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。\nまた、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。", "part_type": "part" }, { "title": "人以外の監視設備", "description": "警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。\nそのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。\n(低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ)\n\n設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "魔法的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "外部からの書き換え対策", "description": "術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。\n探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。\nこの術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の構造的強度", "description": "空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。\nもちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "魔法による検知", "description": "術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。\nここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。\nそれぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。\nこれは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。\n政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。\n予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "警報魔術の敷設", "description": "物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。\n通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。\n\n主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。\n(位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため)", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "神性による防備", "description": "大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。\n魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。", "part_type": "part" } ], "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "法的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "空間転移魔法の禁止に関する法令", "description": "空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。\nこの際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。\n共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、\n予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。\n処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "転移可能状況を作り出そうとすることの禁止", "description": "転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。\n『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "防衛部隊の出動環境", "description": "警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 \n元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 \nどういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 ", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true } ], "expanded": true } ]
作成者:玄霧,雅戌 #ls() #contents *部品構造 -大部品: 空間固定術式の開発 RD:46 評価値:9 --大部品: 術式の概要 RD:9 評価値:5 ---部品: 空間転移を止める術式 ---部品: 予兆の検知 ---部品: 空間のゆがみを抑止する ---部品: その規模と出力 ---部品: 管理中枢の構造 ---部品: 影響圏について ---部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 ---部品: 位相のずれた世界への複数展開 ---部品: 霧の結界が展開されたケースの例 --大部品: 開発しなければならない理由 RD:6 評価値:4 ---部品: 転移魔法の濫用を知る ---部品: 空間転移の危険性の認識 ---部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 ---部品: 大統領からの開発への認可 ---部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 ---部品: 国民への説明 --大部品: 術式の開発過程 RD:9 評価値:5 ---部品: 転移魔法の術式研究 ---部品: 宰相からの技術協力 ---部品: 原理の分析と抑止技術の開発 ---大部品: 数学河童氏の指導 RD:3 評価値:2 ----部品: 数学河童氏を招いた経緯について ----部品: 指導の結果 ----部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 ---部品: 限定的な実験と実証 ---部品: 確立された術式の実用化 ---部品: 研究情報の秘匿性 --大部品: 術式中枢の敷設 RD:5 評価値:3 ---部品: 機密設備としての設計 ---部品: 選りすぐりの術者による施術 ---部品: 敷設箇所の整備 ---部品: 魔力供給方法とその維持 ---部品: 術式の保全環境 --大部品: 防備体制について RD:17 評価値:6 ---大部品: 術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿 RD:14 評価値:6 ----部品: 大神殿再建の経緯 ----部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 ----部品: 祭神:白蛇様 ----部品: 蛇神の僧侶たち ----部品: 基本的な設備 ----大部品: 物理的な防備 RD:4 評価値:3 -----部品: 地理的な防備の厚さ -----部品: 警戒要員の配置 -----部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 -----部品: 人以外の監視設備 ----大部品: 魔法的な防備 RD:5 評価値:3 -----部品: 外部からの書き換え対策 -----部品: 術式の構造的強度 -----部品: 魔法による検知 -----部品: 警報魔術の敷設 -----部品: 神性による防備 ---大部品: 法的な防備 RD:2 評価値:1 ----部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 ----部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 ---部品: 防衛部隊の出動環境 *部品定義 **部品: 空間転移を止める術式 空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。 この術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。 具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。 **部品: 予兆の検知 空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。 このゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。 **部品: 空間のゆがみを抑止する 空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。 そのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。 原理としては消音装置等と近い。 **部品: その規模と出力 術式そのものの設備は、およそ5立方メートルのサイズである。 普段は探査術式が広範囲に展開され続けている他、術式の設備箇所の周辺にだけ、常に転移を打ち消す効果が張り続けられている。 これは常時展開する範囲を絞ることで平時の魔力の消費を抑えることと、予知できない速度のアタックにより設備を破壊されることに対する備えとしての仕組みである。 この状態であれば魔力供給は余力を残したまま行う事ができる。 空間のゆがみを検知した際に全力稼働となり、自空間固定術式の展開圏を拡大し、その歪みを中和したのち、省力状態へと戻る。 全力稼動時の魔力消費は大きいため、連続しての転移阻止の際は魔力触媒の追加投入が必要になるとともに、転移を試みる者への対処という根本的な問題の解決が必要となる。 **部品: 管理中枢の構造 5立方メートルほどのモノリスの表面に術式が刻まれている。 術式の用途は大きく分けて3つであり、空間のゆがみを検知する探査術式とゆがみの中和術式、それらの出力を増幅するための補助術式であるとされる。 これらは偽装としての役割も持ち、モノリス中枢に埋め込まれた空間固定術式の本体(にして非常用の予備術式)を隠す効果を持ちながら、空間固定術式の効果を維持している。 本体とされる術式はモノリス内に埋められた宝玉に刻まれており、供給される魔力は一度ここにため込まれたのち、必要量がモノリスに流される事になる。 **部品: 影響圏について 探査術式は常時一国を覆うだけの稼働が可能。ゆがみを打ち消すための全力稼動状態でも一国をまるまる覆う事ができる。 術式の出力を上げることで影響範囲を更に拡大することも理論上できるが、相応に魔力消費量が上がるために別途準備が必要となる。 **部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。 そのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。 機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。 **部品: 位相のずれた世界への複数展開 空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。 これの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。 転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。 **部品: 霧の結界が展開されたケースの例 玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。 この場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。 霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。 もちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。 **部品: 転移魔法の濫用を知る 玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。 そもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。 魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。 **部品: 空間転移の危険性の認識 空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。 空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。 空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。 このことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。 **部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。 国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。 なお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。 **部品: 大統領からの開発への認可 空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。 この技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、 まず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。 空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。 後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。 **部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。 法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。 空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、 付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。 **部品: 国民への説明 そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。 この認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。 共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、 問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。 なお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。 **部品: 転移魔法の術式研究 空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。 どういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。 非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。 国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。 人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、 転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。 これらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。 **部品: 宰相からの技術協力 空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、 宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。 当然ながら最高機密である。 **部品: 原理の分析と抑止技術の開発 転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。 転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、 かつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。 転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。 あとはその実現性である。 **部品: 数学河童氏を招いた経緯について 空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。 転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。 魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。 玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。 **部品: 指導の結果 数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。 あえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。 レポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。 これにより、術式理論の基礎が完成するに至った。 **部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。 よって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。 基礎理念の完成と共に、数学河童氏には 「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」 「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」 と、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。 数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。 当然ながら、手厚い御礼と共にである。 **部品: 限定的な実験と実証 具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。 当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。 数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。 これによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。 **部品: 確立された術式の実用化 技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。 広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。 とはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。 **部品: 研究情報の秘匿性 再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。 この計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。 また、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。 **部品: 機密設備としての設計 藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、 これらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。 必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。 **部品: 選りすぐりの術者による施術 術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。 規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、 白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。 これまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。 **部品: 敷設箇所の整備 秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。 藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。 国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、 そこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。 **部品: 魔力供給方法とその維持 大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。 その集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。 魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。 但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。 魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。 消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。 **部品: 術式の保全環境 術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。 そもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、 国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。 定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。 **部品: 大神殿再建の経緯 そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。 過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。 そして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。 国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。 **部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。 そのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された 形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。 なお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。 宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。 仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。 **部品: 祭神:白蛇様 玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。 白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。 この神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。 **部品: 蛇神の僧侶たち 祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。 健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。 彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。 **部品: 基本的な設備 泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。 そのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。 地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。 表に出しにくいもの、の理由は様々。 **部品: 地理的な防備の厚さ 大神殿という施設がまず防御性の高いものである。 警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。 **部品: 警戒要員の配置 環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。 警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。 有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。 **部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。 具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。 給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。 また、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。 **部品: 人以外の監視設備 警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。 そのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。 (低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ) 設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。 **部品: 外部からの書き換え対策 術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。 探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。 この術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。 **部品: 術式の構造的強度 空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。 もちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。 **部品: 魔法による検知 術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。 ここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。 それぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。 これは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。 政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。 予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。 **部品: 警報魔術の敷設 物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。 通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。 主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。 (位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため) **部品: 神性による防備 大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。 魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。 **部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。 この際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。 共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、 予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。 処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。 **部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。 『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。 **部品: 防衛部隊の出動環境 警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 どういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 *提出書式 大部品: 空間固定術式の開発 RD:46 評価値:9 -大部品: 術式の概要 RD:9 評価値:5 --部品: 空間転移を止める術式 --部品: 予兆の検知 --部品: 空間のゆがみを抑止する --部品: その規模と出力 --部品: 管理中枢の構造 --部品: 影響圏について --部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 --部品: 位相のずれた世界への複数展開 --部品: 霧の結界が展開されたケースの例 -大部品: 開発しなければならない理由 RD:6 評価値:4 --部品: 転移魔法の濫用を知る --部品: 空間転移の危険性の認識 --部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 --部品: 大統領からの開発への認可 --部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 --部品: 国民への説明 -大部品: 術式の開発過程 RD:9 評価値:5 --部品: 転移魔法の術式研究 --部品: 宰相からの技術協力 --部品: 原理の分析と抑止技術の開発 --大部品: 数学河童氏の指導 RD:3 評価値:2 ---部品: 数学河童氏を招いた経緯について ---部品: 指導の結果 ---部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 --部品: 限定的な実験と実証 --部品: 確立された術式の実用化 --部品: 研究情報の秘匿性 -大部品: 術式中枢の敷設 RD:5 評価値:3 --部品: 機密設備としての設計 --部品: 選りすぐりの術者による施術 --部品: 敷設箇所の整備 --部品: 魔力供給方法とその維持 --部品: 術式の保全環境 -大部品: 防備体制について RD:17 評価値:6 --大部品: 術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿 RD:14 評価値:6 ---部品: 大神殿再建の経緯 ---部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 ---部品: 祭神:白蛇様 ---部品: 蛇神の僧侶たち ---部品: 基本的な設備 ---大部品: 物理的な防備 RD:4 評価値:3 ----部品: 地理的な防備の厚さ ----部品: 警戒要員の配置 ----部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 ----部品: 人以外の監視設備 ---大部品: 魔法的な防備 RD:5 評価値:3 ----部品: 外部からの書き換え対策 ----部品: 術式の構造的強度 ----部品: 魔法による検知 ----部品: 警報魔術の敷設 ----部品: 神性による防備 --大部品: 法的な防備 RD:2 評価値:1 ---部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 ---部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 --部品: 防衛部隊の出動環境 部品: 空間転移を止める術式 空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。 この術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。 具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。 部品: 予兆の検知 空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。 このゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。 部品: 空間のゆがみを抑止する 空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。 そのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。 原理としては消音装置等と近い。 部品: その規模と出力 術式そのものの設備は、およそ5立方メートルのサイズである。 普段は探査術式が広範囲に展開され続けている他、術式の設備箇所の周辺にだけ、常に転移を打ち消す効果が張り続けられている。 これは常時展開する範囲を絞ることで平時の魔力の消費を抑えることと、予知できない速度のアタックにより設備を破壊されることに対する備えとしての仕組みである。 この状態であれば魔力供給は余力を残したまま行う事ができる。 空間のゆがみを検知した際に全力稼働となり、自空間固定術式の展開圏を拡大し、その歪みを中和したのち、省力状態へと戻る。 全力稼動時の魔力消費は大きいため、連続しての転移阻止の際は魔力触媒の追加投入が必要になるとともに、転移を試みる者への対処という根本的な問題の解決が必要となる。 部品: 管理中枢の構造 5立方メートルほどのモノリスの表面に術式が刻まれている。 術式の用途は大きく分けて3つであり、空間のゆがみを検知する探査術式とゆがみの中和術式、それらの出力を増幅するための補助術式であるとされる。 これらは偽装としての役割も持ち、モノリス中枢に埋め込まれた空間固定術式の本体(にして非常用の予備術式)を隠す効果を持ちながら、空間固定術式の効果を維持している。 本体とされる術式はモノリス内に埋められた宝玉に刻まれており、供給される魔力は一度ここにため込まれたのち、必要量がモノリスに流される事になる。 部品: 影響圏について 探査術式は常時一国を覆うだけの稼働が可能。ゆがみを打ち消すための全力稼動状態でも一国をまるまる覆う事ができる。 術式の出力を上げることで影響範囲を更に拡大することも理論上できるが、相応に魔力消費量が上がるために別途準備が必要となる。 部品: 高物理域技術による空間転移が起きた場合 高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。 そのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。 機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。 部品: 位相のずれた世界への複数展開 空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。 これの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。 転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。 部品: 霧の結界が展開されたケースの例 玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。 この場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。 霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。 もちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。 部品: 転移魔法の濫用を知る 玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。 そもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。 魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。 部品: 空間転移の危険性の認識 空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。 空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。 空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。 このことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。 部品: 転移魔法を封印する術式の開発決定 危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。 国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。 なお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。 部品: 大統領からの開発への認可 空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。 この技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、 まず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。 空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。 後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。 部品: 抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割 転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。 法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。 空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、 付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。 部品: 国民への説明 そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。 この認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。 共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、 問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。 なお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。 部品: 転移魔法の術式研究 空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。 どういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。 非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。 国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。 人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、 転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。 これらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。 部品: 宰相からの技術協力 空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、 宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。 当然ながら最高機密である。 部品: 原理の分析と抑止技術の開発 転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。 転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、 かつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。 転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。 あとはその実現性である。 部品: 数学河童氏を招いた経緯について 空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。 転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。 魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。 玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。 部品: 指導の結果 数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。 あえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。 レポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。 これにより、術式理論の基礎が完成するに至った。 部品: 問題が起きた際の相談と、協力のお礼 全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。 よって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。 基礎理念の完成と共に、数学河童氏には 「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」 「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」 と、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。 数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。 当然ながら、手厚い御礼と共にである。 部品: 限定的な実験と実証 具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。 当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。 数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。 これによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。 部品: 確立された術式の実用化 技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。 広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。 とはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。 部品: 研究情報の秘匿性 再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。 この計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。 また、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。 部品: 機密設備としての設計 藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、 これらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。 必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。 部品: 選りすぐりの術者による施術 術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。 規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、 白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。 これまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。 部品: 敷設箇所の整備 秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。 藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。 国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、 そこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。 部品: 魔力供給方法とその維持 大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。 その集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。 魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。 但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。 魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。 消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。 部品: 術式の保全環境 術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。 そもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、 国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。 定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。 部品: 大神殿再建の経緯 そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。 過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。 そして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。 国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。 部品: 術式の隠蔽設備としての大神殿 一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。 そのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された 形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。 なお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。 宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。 仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。 部品: 祭神:白蛇様 玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。 白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。 この神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。 部品: 蛇神の僧侶たち 祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。 健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。 彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。 部品: 基本的な設備 泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。 そのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。 地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。 表に出しにくいもの、の理由は様々。 部品: 地理的な防備の厚さ 大神殿という施設がまず防御性の高いものである。 警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。 部品: 警戒要員の配置 環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。 警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。 有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。 部品: 警戒要員への定期的な監査と待遇の安定 専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。 具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。 給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。 また、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。 部品: 人以外の監視設備 警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。 そのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。 (低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ) 設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。 部品: 外部からの書き換え対策 術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。 探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。 この術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。 部品: 術式の構造的強度 空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。 もちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。 部品: 魔法による検知 術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。 ここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。 それぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。 これは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。 政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。 予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。 部品: 警報魔術の敷設 物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。 通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。 主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。 (位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため) 部品: 神性による防備 大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。 魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。 部品: 空間転移魔法の禁止に関する法令 空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。 この際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。 共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、 予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。 処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。 部品: 転移可能状況を作り出そうとすることの禁止 転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。 『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。 部品: 防衛部隊の出動環境 警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 どういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 *インポート用定義データ [ { "title": "空間固定術式の開発", "part_type": "group", "children": [ { "title": "術式の概要", "part_type": "group", "children": [ { "title": "空間転移を止める術式", "description": "空間転移は世界を崩壊させかねない危険な技術であり、その濫用は抑制されなければならない。\nこの術式は、その名の通り空間転移魔法やそれに類する技術による空間転移が発動した際にそれをキャンセルするための術式である。\n具体的には、転移技術の前段階として発生する時空の振動を感知し、これを中和することで転移を停止させる機能を有する。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "予兆の検知", "description": "空間転移が起きる際、その予兆が必ず発生する。時空のゆがみともいうべき振動である。\nこのゆがみを素早く察知するための探査術式が組み込まれており、これは常時励起状態にあるため、空間転移の予兆を即座に感知できる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "空間のゆがみを抑止する", "description": "空間転移というのはつまり、空間をゆがませたことで生じる距離感覚のずれを利用して移動する技術である。\nそのため、予兆を検知し、空間を捻じ曲げる波長の逆波長をぶつけることで空間の歪みを防ぐ、という手段をとっている。\n原理としては消音装置等と近い。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "その規模と出力", "description": 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"高物理技術による空間移動も原理そのもの(予兆が出てから歪みが発生して移動してくる)は同じである。\nそのため、高物理の存在が空間移動してきた際も、同様に発動し、空間移動を防ぐことが可能である。\n機械式の空間固定装置は別途どこかに存在するはずだが、原理は同じであっても手段(物理域)が違うため、相互に邪魔しあうものではない。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "位相のずれた世界への複数展開", "description": "空間固定術式の効果範囲内であれば空間転移は理論上全て阻止されるはずであるが、世界の裏側とされる別の位相の世界へと移った相手の空間転移に対しては、その効果を発揮できない事がわかっていた。\nこれの対策として、位相の少しずれた世界、さらに少しずれた世界、という、比較的利用されやすい裏側の世界にも空間固定術式を展開している。\n転移技術が有効に作用する範囲にある位相の世界というのは決して多いものではないため、同系統の手段への対応はこれで阻止が可能となっている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "霧の結界が展開されたケースの例", "description": "玄霧藩国(A世界側)で行われていた空間固定装置の対策例として、霧の結界を使って世界を自分のいる箇所だけ一部切り離し、空間固定装置の影響から外れたところで改めて空間転移を行う、という抜け道が使われていた。\nこの場合、結界によって切り離された世界が辿り着きうる位相にある世界座標を調べ、その位相においても空間固定術式を展開する事で対応が可能となる。\n霧の結界による位相ずらしの原理が解明されたことによって、別手段の位相ずらしによる空間転移へも対応ができるようになったのである。\n\nもちろん、更なる抜け道が発生しないためには、法的規制や代替手段の明確化、国民の認識の変化が必要になる。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "開発しなければならない理由", "part_type": "group", "children": [ { "title": "転移魔法の濫用を知る", "description": "玄霧藩国民の主な移動手段として、転移魔法が多用されているという事が発覚した。\nそもそもA世界においては空間固定装置の力で転移魔法が使われていなかったはずであったため、これは大変な驚きをもって受け取られ、緊急の対策事案として認識された。\n魔法文明の強くなりがちなB世界の玄霧藩国においても、転移魔法の多用は確認されうる事態であったため、急ぎこの対策が取られる事となる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "空間転移の危険性の認識", "description": "空間転移は、空間を歪めることで距離の概念を無視して移動するという技術である。\n空間を歪められた世界は歪められるごとにダメージを受け、繰り返して空間を歪められればいつかは崩壊してしまう。\n空間転移が禁忌とされるのは、便利だからでも犯罪に利用できるからでもない。世界を深刻な危険にさらす技術だからである。\nこのことは広く共有され、絶対のルールとして公示されることとなった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "転移魔法を封印する術式の開発決定", "description": "危険な空間転移が多用されているとわかったところで、この魔法が多用される状況を止めなければならない。\n国民の意識への訴えかけや法整備は当然として、技術的にも抑制をかけなければならないと考えられ、転移魔法を封印する術式の研究・開発が決定された。\nなお、この技術はB世界でのみ使われる想定であり、魔法技術の危険性がB世界よりも高くなるA世界においては、安全性が確認されるまでは使う事ができない。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "大統領からの開発への認可", "description": "空間転移の封印技術の開発をするためには、まず空間転移技術について知らなければならない。\nこの技術そのものが禁忌とされるものであるため、研究に携わる人員がごく限られたものに絞られるのは当然として、\nまず共和国大統領是空とおる氏にこの開発計画についての認可を得る必要があった。\n空間固定技術の必要性は共有できているため、後は開発環境の機密防衛と、施設の防御がしっかり行えるかどうかの査定を受けるのが目的である。\n後に共和国令として『空間転移を行う者の無条件処刑』が発布される見込みがある事もあり、多くの処刑者を出さずに問題を解決することは大統領の意にもかなっていた。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "抑止策の大枠とその中における空間固定術式の役割", "description": "転移魔法の抑止策の中で、空間固定術式の在り方は中核であるがすべてではなく、他にも多数の施策が存在する。\n法的な転移魔法の禁止、国民への啓蒙と代替移動手段の開発・明示などがそうであり、ただ国民を縛るだけでない、より穏当かつ安全な決着のつけ方が目指された。\n空間固定術式によって世界へのダメージを抑制している間に、空間転移の危険性の認識の共有とそれに頼らない生き方を根付かせる事が本義であり、\n付帯効果として、外部勢力による空間転移を利用した攻撃を阻止する事も設定されている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "国民への説明", "description": "そもそも国民にとって、それまで当たり前のように使われてきた転移魔法がいきなり禁止されるとなればそれは大ごとであり国からの不当な圧力と感じられうる。\nこの認識を是正して正しい意図を伝えるためには、空間転移の危険性の共有が不可欠であり、それを踏まえて安全のために転移魔法を封印する術式が使われる旨を布告されることとなる。\n共和国令において『空間転移者の無条件処刑』が発布される見通しが高い(他の禁止技術についても同じである)ため、その実行によって多数の処刑者が出る前に、\n問題を穏当に解決し、世界と国民に対する被害をより小さく、それぞれがより良い結果を受け取る必要がある旨が強く公示された。\n\nなお、国民に対しては『転移魔法の封印術式』として説明され『空間固定術式』としての説明はされていない。これは技術の詳細が伝わる事による危険を避けるためである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "術式の開発過程", "part_type": "group", "children": [ { "title": "転移魔法の術式研究", "description": "空間固定術式の開発にあたって、まず最初に行われる必要があったのは、既に行われている転移魔法の実態の解明である。\nどういった術式を使って、どういった原理による転移が行われているのか。それを調べる必要があった。\n非常に危険な研究であるために担当者はごく限られており、藩王玄霧弦耶、摂政階川雅成が自ら研究に参加する事となっている。\n国民のうち、情報の秘匿に対する理解と信頼のできる人材に協力を仰ぎ、合意の上で人道的かつ危険でないやり方での研究が行われた。\n人道的、というのはつまり、苦痛を伴う人体実験や対象の感覚・感性を塗り替えてしまうような精神的浸食の禁止であり、危険でないとは人体損壊や拷問などが行われない事のほか、\n転移失敗による死傷や行方不明の阻止、また実験目的の転移が多発する事の禁止などである。\nこれらの失敗を抑制する上で、基礎的な空間転移知識を外部から得ることは必要不可欠だった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "宰相からの技術協力", "description": "空間転移の基礎原理については、魔法によるものでも科学によるものでも共通(アプローチは異なる)であるため、\n宰相府により一部情報を提供してもらう事によって研究時の事故や危険を防止する事となった。\n当然ながら最高機密である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "原理の分析と抑止技術の開発", "description": "転移魔法についての理解と分析が進んだところで、ようやく抑止技術の開発に移れる。\n転移の発生する仕組みがわかれば、後はその発生を阻害する条件を探し、その条件の中から世界に対するダメージがより小さく、\nかつ実現性の高い手段を探すだけの作業である。\n転移魔法自体が高度な術式である以上、その成功条件というのも限られるものであるため、阻害方法を探す事は難しくはなかった。\nあとはその実現性である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "数学河童氏の指導", "part_type": "group", "children": [ { "title": "数学河童氏を招いた経緯について", "description": "空間転移の阻害術式を実現させる上で、玄霧藩国独自の魔法理論では技術力の不足が多数発生した。\n転移に関する問題解決のために残された時間は限られているため、自国のみでの解決を断念した藩王玄霧は、個人としての友人であり神々との仲介者である鷺坂祐介氏に協力を要請。\n魔法理論に詳しく、助力を得られそう、かつ実際に呪いについて解呪の数式を計算した経歴のある、数学河童氏を紹介してもらう事に成功した。\n玄霧は即座に数学河童氏に事情を説明するとともに協力を要請し、藩国へと招いて技術協力を取り付けている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "指導の結果", "description": "数学河童氏は数学の神であり、魔法も、突き詰めていけば理論から生まれるものである。\nあえて「魔法理論」と呼ぶが、解析した空間移動魔法の波形とその逆波形の割り出しなど、様々な問題に関して玄霧藩国側で解析・開発した理論をレポートに起こし、それを数学河童氏に提出。\nレポートをチェックして頂き、不備の指摘等に始まり、一部の理論については授業の形式で教えていただくことが出来た。\nこれにより、術式理論の基礎が完成するに至った。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "問題が起きた際の相談と、協力のお礼", "description": "全てを数学河童氏に頼ることでも問題の解決は可能だろうが、それでは術式の中身は藩国にとってのブラックボックスとなり、保守管理ができない。\nよって術式の開発は最終的には玄霧藩国が自国技術の発展によって行い、数学河童氏にはその発展(と抑制)の指導を受ける形を通した。\n\n基礎理念の完成と共に、数学河童氏には\n「ご協力のおかげで光明が見えました。心より御礼申し上げます」\n「あらゆる問題に対し可能な限り藩国で解決できるよう努力をしてまいりますが、もし国内のみでの解決がどうしても難しい出来事が起きた場合、相談に乗って頂けますと幸いです」\nと、礼を述べると共に自助努力の意志を伝え、いつかまた相談に乗って頂く可能性についての打診を行った。\n\n数学河童氏には藩国を代表する感謝の証の一つとして、畑でもいだのち綺麗な河で冷やした美味しいきゅうりと、藩国特産品であるワサビ弁当・・・の、子供用であるかっぱ巻きをお土産として進呈した。\n当然ながら、手厚い御礼と共にである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "限定的な実験と実証", "description": "具体的な術式理論の目途が立ってきたところで、実際に効果があるかどうかを試す実証実験が行われる事となった。\n当然、いきなり全国規模で展開するわけにもいかないし想定外の失敗のリスクもあるため、効果範囲はごく狭く、これも他と同じく極秘のものとして行われた。\n数回のトラブルで実験中断を挟んだものの、試行錯誤とと技術の開発により、確度のきわめて高い実証結果が得られるにいたった。\nこれによって、空間固定術式の実用化の道が正しく開かれた事になる。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "確立された術式の実用化", "description": "技術としての信頼性が確保されたことで、後はこれの規模を拡大させるために安定化を目指さなければならない。\n広い範囲に、一定の効果量を、半永久的に持続させる事のできる仕組み、というのは、これまた技術的にハードルが多数存在する難しいものである。\nとはいえ既存の技術と理論を少しずつ拡張して安定化していく作業なので飛躍の度合いは小さく、幸いにして玄霧藩国の藩王と摂政はこういう作業がとても好きだった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "研究情報の秘匿性", "description": "再三語られてきたことだが、この研究内容は非常に危険なものであり、決して外部に知られてはいけない情報として扱われている。\nこの計画が実施されている事を知るもの自体が多くなく、仮に知ってしまった場合は重い守秘義務が課せられる事となった。\nまた、大統領がこの件を危険度の高い案件だと考えた事もあり、定期的に直接の監査を実施してくれたことも、機密保持の観点から非常に助けられるものだった。", "part_type": "part" } ], "expanded": true }, { "title": "術式中枢の敷設", "part_type": "group", "children": [ { "title": "機密設備としての設計", "description": "藩国の重要施設であり、そういった機能を持つ術式が用意されていると発表はされているものの、術式の実際の場所や機能の詳細、設備状況などは当然ながら機密であり、\nこれらが外部に流出しないような敷設計画が立てられる事となった。\n必要な資材や魔力の流れなどは多くのダミー情報の中に紛れさせ、物資や人の流れなどからの特定が非常に難しくなるよう細心の注意が払われる事となる。", "part_type": "part" }, { "title": "選りすぐりの術者による施術", "description": "術式の起動のためには、実力の高い術者が必要不可欠となる。\n規模の大きな術式であるために研究段階の頃のような2名体制ではさすがに手が足りず、このためとして特別に国外から、\n白魔法使い・マジカルポリスを擁するゴロネコ藩国のYOT氏、理力建築士・錬金術師を擁する共和国随一の大魔法使いたる海法紀光氏の協力を得る事となった。\nこれまた、両名の参加については複数の偽装が行われ、表向きは国交と貿易に関する別の目的で来国したことにされている。", "part_type": "part" }, { "title": "敷設箇所の整備", "description": "秘密の術式敷設箇所としては、大神殿の地下が選ばれた。\n藩国施設の中でも特に安全性が高いのと、環状線の駅が近いために元々防備が厚い施設だからである。\n国家としての玄霧藩国は医療技術の高さによって神殿による治癒効果を願うものが少ないが、駅に近いモニュメントとしての神殿は人々になじみのあるものであり、\nそこの安全性が高い事に不信を抱かれる懸念は低いと考えられた。", "part_type": "part" }, { "title": "魔力供給方法とその維持", "description": "大神殿はそもそも魔力的なスポット、東国では地脈や龍脈と呼ばれる場所に建てられている。\nその集中する魔力を地下の術式基点に回し、平時はこれを蓄積しつつ弱く展開、有事の際には蓄積したものを放出する。\n魔力だまりに自然に集まる魔力を蓄積している関係上、維持に関してはコストが抑えられている。\n但し、想定以上の放出を行う際などは追加の魔力源を供給するなど、細かな配慮が必要となる。\n魔力を追加補充する場合は、術式の設備と接続された祭壇に魔力触媒をを設置することで緊急の魔力源とすることが出来る。\n消費魔力が大きいため、国で産出された魔力触媒の中でも特に魔力含有量の多いものがこのために用意されている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の保全環境", "description": "術式の効果が常に維持できるよう、保全のための定期点検と修繕が行われている。\nそもそも術式に接触できる人間がごく限られていることや、術式への接触を秘密裏に行わなければならない事から頻度はあまり多くないが、\n国内の各所で一日に三回の探査術式の発動確認(探査術式が届いているかどうかの確認)が行われる他、半年に一度程度の間隔で、術式本体への接触と機能状況の確認と保全が行われている。\n定期的な機能検査とメンテナンスこそが安定した設備の稼働を支えるのである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "防備体制について", "part_type": "group", "children": [ { "title": "術式の防衛および隠蔽設備としての大神殿", "part_type": "group", "children": [ { "title": "大神殿再建の経緯", "description": "そもそも、玄霧藩国としては地形の改善等がひと段落し、駅ビルの完成を目途に大神殿を再建する予定であった。\n過去の恩義を藩王玄霧は忘れておらず、大神殿を作業予定の上位に入れていたのだ。\nそして、今回の空間固定術式の設置場所として地理・条件共に最適だったため、これを更に繰り上げ、最優先とした。\n国民には心のよりどころとして、憩いの場としてのシンボルが必要であると伝えられている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の隠蔽設備としての大神殿", "description": "一般国民には、大神殿の地下に空間固定術式の起点があるなどとは一切知らされていない。\nそのため、隠蔽設備としての再建という側面は強かったが、本来の大神殿の用途は全て兼ね備えたものが再建された\n形だけではなく、本来の用途に足るものを作ることで「隠蔽設備としての性能」も上げることとなるからだ。\n\nなお、術式中枢は大神殿地下の宝物蔵の更に奥にあり、宝物庫内のある仕掛けを正しい手順で起動させなければ道が開かない。\n宝物庫そのものが立ち入り禁止の警戒区画であり、信頼性の高い歩哨によって常に外部からの立ち入りがないよう監視されている。\n仕掛けの解除方法は藩王と摂政以下のPC数名と、一部の信頼性のごく高い国民のみが知っている。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "祭神:白蛇様", "description": "玄霧藩国で古くから祀られている大神殿の守護神は、巨大な白い蛇である。\n白蛇様と呼ばれるその巨大白蛇は、一説によると、かのウィングバイパー神と同一視される実在の神である。\nこの神に秘密で大神殿に空間転移封印術式を設置する事などあり得てよい話ではないため、藩王玄霧が事前に白蛇様にその旨を申し入れ、設置の許しを得る事となった。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "蛇神の僧侶たち", "description": "祭神が白蛇様のため、この大神殿に通い・泊まり込んで修行する神官・僧侶たちは、「蛇神の僧侶」と呼ばれる。\n健康と医学をつかさどるとされる白蛇様の加護か、蛇神の僧侶たちはエルフにしては体格が良いものが多い。\n彼らの誰かが常に大神殿にいるため、問題が起きた際にはいち早く察知できる。", "part_type": "part" }, { "title": "基本的な設備", "description": "泊まり込みの僧侶(神官たち)が日頃の生活を送るための炊事場やトイレ等の必要な設備はそろっている。\nそのほかには白蛇様を祭る祭壇、緊急時の避難場所としてのスペースとしての手入れもなされている。\n地下にはいろいろな表に出しにくいものをしまう秘密蔵もあり、ここにはしっかりと警備員がつけられている。\n表に出しにくいもの、の理由は様々。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "物理的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "地理的な防備の厚さ", "description": "大神殿という施設がまず防御性の高いものである。\n警備の人数が根本的に多いだけでなく、緊急時の避難施設として作られている事から物理的な耐久性も高い。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "警戒要員の配置", "description": "環状線の駅の警備部隊(大神殿の警備を兼ねる)とは別に、極秘任務部隊としての警戒要員も配置されている。\n警備系の職員の中で特に信頼性の高いと判断された人員が選ばれ、他の警備部隊に紛れながら空間固定術式に関連する設備への干渉がないかを常に警戒している。\n有事の際は戦闘部隊を呼び出す他、施設の警備段階を強化する権限を持つ。警備を解除する権限は藩王摂政しか持たないため、誤って警備を強化してしまった場合は華族が直接出向かなければならない。", "part_type": "part" }, { "title": "警戒要員への定期的な監査と待遇の安定", "description": "専属の警戒要員は機密に触れる役職にあるため、彼らの素性や素行は情報保全のための調査対象に含まれる。\n具体的には定期的な素行と金回りの調査などだが、もちろん締め付けが強い分だけその待遇はよい。\n給料も他の同系職よりも高いし、交代制による24時間の監視体制を維持する負担がある分だけ休日も多い。\nまた、常に同じ人員が配置されているわけではなく、一定期間ごとに入れ替えが行われ、癒着などが発生しづらいよう対策が取られている。", "part_type": "part" }, { "title": "人以外の監視設備", "description": "警備や警戒に関する人員の目視による監視も重要だが、それだけでは見逃してしまう可能性もある。\nそのため、大神殿の入り口と、秘密蔵に向かう道には魔法による記録装置がつけられている。\n(低物理域版監視カメラ。観測した情報を特定の場所に画像として出力する機能を持つ)\n\n設置の理由としては、大神殿には貴重なものも多く、有事の際には避難所にもなっているため、安全性を求めて、と発表されている。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "魔法的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "外部からの書き換え対策", "description": "術式そのものに触れずに空間固定術式を解除するのは不可能と言っていい。\n探査魔法も歪みを打ち消す魔法も、あくまで発生しているのは魔法による現象であり、これを(更に相殺して効果の及ばない空間を作ることが絶対に不可能とは言えないが)解除する事は出来ない。\nこの術式を停止または改変したいならば、中枢に物理的に接触する必要がある。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "術式の構造的強度", "description": "空間固定術式を解除しようと考える人間が中枢設備にたどり着いた場合も、術式の停止や書き換えについては強い封印が施されており、藩王と摂政の2名が揃っていなければ認証することができない。\nもちろん、中枢設備を物理的に破壊されてしまえばそれまでではあるが、中枢のモノリス部分を破壊された場合でも、真の中枢である宝玉が無事ならば短時間の術式維持が可能である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "魔法による検知", "description": "術式中枢に接触するためには、大神殿に入り、大神殿の一般進入禁止区画に入り、警戒の特に強い宝物庫に入り、そこで仕掛けを解除して術式中枢への道を開けなければならない。\nここに至るまでに人的、映像的な監視が幾重にも張り巡らされているが、その他にもう一つの警戒線が敷かれている。\nそれぞれの侵入経路となっている扉、廊下などの各所に、感知魔法の術式が設置されているのである。\nこれは特定の施設への入退館記録をつけるための魔法と同じもので、『人が通った』という記録を指定された場所に出力する機能を持つ。\n政庁の機密を取り扱う施設でこれらは出力され、術式中枢への接触が予定通り行われているか、予定外の接触が起きていないかを監視する役割を果たしている。\n予定外の侵入が検知された場合、即座に対応部隊の出動が要請されるのは他の監視機構と同じである。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "警報魔術の敷設", "description": "物理的侵入ではなく、魔術的に術式への不正な干渉があった場合、こちらもその干渉の成功失敗に関わらず、警戒要員及び藩国華族に対して即座に連絡が伝わるよう、警報魔術が施されている。\n通達があれば素早く対応に動くこととなり、賊を捕まえたり術式の保全を行ったりといった対策が取られる。\n\n主にこちらは、位相をずらした場所にある固定装置に対するアクションに対応するために使用される。\n(位相をずらしたところにある装置には、魔法などで干渉しないと直接作用できないため)", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "神性による防備", "description": "大神殿に敷設されているということは、すなわち邪悪からの攻撃に対して神による防御が行われているという事でもある。\n魔法的攻撃だけでなく、闇の勢力による干渉があれば、これは大神殿に祀られた神への攻撃ともみなされる。", "part_type": "part" } ], "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "法的な防備", "part_type": "group", "children": [ { "title": "空間転移魔法の禁止に関する法令", "description": "空間固定術式の展開に先立ち、空間転移魔法の使用と手段を問わず空間転移を行う事そのものの禁止が法的に定められる。\nこの際、空間転移以外にも増殖、時間移動、自律行動、共通夢の利用、科学との融合など、魔法に対する禁足事項が規定されており、これらへの違反は重罪にあたる。\n共和国全体に対して大統領令による同様の禁止令が発布される見込みであり、こちらは違反者の即時処刑という最終防衛線としての意味合いを持つため、\n予防令として藩国からの禁止令が発布される事となった。\n処刑者が発生する前に藩国令によって違反者が出ないよう制限を行うとともに、生活上違反をしていた者がこれを是正するための期間とその準備を行う目的である。", "part_type": "part", "expanded": true }, { "title": "転移可能状況を作り出そうとすることの禁止", "description": "転移をすることだけでなく、転移が出来るような環境を作ろうとすることも禁止されている。\n『空間固定術式の抜け穴を探す』『空間固定術式を破壊する』『対空間固定術式を開発する』等は法的にも禁止なのである。", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true }, { "title": "防衛部隊の出動環境", "description": "警戒部隊や各種設備の監視情報を受けて、異常があれば即座に対応部隊が派遣される事となる。 \n元々、大神殿は藩国の主要施設の一つであるために移動経路が整っており、有事の際は藩国で編成された対応部隊が迅速に駆け付けられる環境がある。 \nどういった部隊が向かう事になるのかは、そのターンの玄霧藩国の編成状況に左右される。 ", "part_type": "part", "expanded": true } ], "expanded": true } ], "expanded": true } ]

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