善き魔法使いであるための心得

作成者:雅戌

善き魔法使いであるための心得

大部品:魔法使いにおける技術倫理
善き魔法使いとその誓約
魔法使いとは、強い力を持った存在である。
魔法という技術を高度に修得した専門家であり、力が強い分だけ世界に対する影響力も高い。
であるからして、世の専門家の多くがそうであるように、魔法使いもまた、
その力の使い所を適切な倫理観で持って考え、善き魔法使いであろうとしなければならない。
その選択を助ける一つの基準として『善き魔法使いであるための心得』は存在する。

技術倫理とはモラルであり法ではない
この誓約は、法的拘束力を持つものではない。
破る事が法に触れる訳ではなく、守る事が人々の助けに繋がる類のものである。
原則、倫理とはそういったものであり、だからこそ、これを守る者が善き存在であると示すことができるのだ。

善き魔法使いが守るべき条項
一.天下万民のためにあるべし
魔法使いの力は、天下万民を幸せにするために使われるものだ。
私利私欲で振るわれる事のないように努めなければならない。

一.その力の大きさを忘れざるべし
魔法という力を持たない者の目に、魔法使いは脅威として映り得る。
力の大きさが持つ可能性と危険性をよく理解し、責任を持った行いを心がけなければならない。
魔法は使わなくて済むのであれば使わない方がよく、必要最小限の行使を心がける事が良い結果を生む。

一.自らの心を偽らざるべし
自分の心が何を求め、その状況でどうすべきと思っているのかをよく自覚し、
そこから目をそらさないよう努めなければならない。
人が過ちを犯す前、心はその行いを咎めていることが多いはずだ。
心の声をよく聞き、自らに恥じない行いを貫くことが善き魔法使いへの道である。

一.正しき行いと信じるならば勇気をもってこれを行うべし
正しいと思ったことを実行するのは怖いことでもある。
だが本当に正しいと思うのであるならば、恐れず一歩を踏み出さなければならない。
行動しなければ、胸の内の正しさがその価値を示せなくなってしまうからだ。

一.正しきを知るためにまず多くの事を知るべし
善悪の境界線を引くためには、その判断基準となる情報を多く持っていなければならない。
教養なしに正しさを求めだすと、人は簡単に独善へと流れていってしまうし、失敗も増える。
魔法使いの修行のうちの何割かが、より多くの知識を学ぶために使われるのは、こういった事情による。

一.考えの異なる者の存在を認めるべし
自らが常に正しい、と考える事なかれ。
世界には多種多様な考え方をする人々がいる。
その正誤に関わらず、価値観の違いからくる意見の相違が起きることを、受け入れていなければならない。
傲慢な考えは捨てねばならず、他者との意思疎通と認識の共有については、善き魔法使いであるならば忘れずにいなければならない大事なことだ。

一.常に世界を広く見るべし
自分の物差しのみで世界を測ろうとしてもダメなことは多く、それが認識の齟齬を産むと失敗の元となる。
他人の視点で物事を想像し、考えてみるのは大事であるし、多様な視点を意識する事は問題の解決手段の模索にも役立つ。

一.権威の内にあってはこれの正当性を見極めるべし
権威・権力というのは人を従える力である。魔法使いの魔法と同じく、大きいがゆえに危険を伴う力であるため、
もし権威と近しくなることがあった時は、その在り様が正しいかをしっかり見極めなければならない。
人を従える力であるが故に多数の利益を優先して少数の切り捨てを行いがちであるし、力が強いゆえに歯止めが効きにくく、ふとしたことで正しさを失ってしまう。
周囲の人間が権威に従うのであっても、その判断が正しいかどうかを冷静に判断することが権威者のためでもある。


一.数多き人の中にあって自分を忘れざるべし
集団の中にいるとき、人は無意識のうちに周囲の意図を探り、その空気を読んでいる。
空気に合わせた言動を心がける事が円滑な人間関係を助けるからであるが、この空気を守るためにルールを侵すのでは順番が逆である。
ルールを守った上で円滑な人間関係を築くことが大事なのであり、集団がルールに反していたならば、空気に反してでもこれを正すべく動くのが善きありかたとされる。
正し方として、公然と反対する事に限らず、公的機関への秘密裏な報告も含まれる。
公的機関は、密告者の立場がその後悪くならないよう配慮しなければならない。

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雅戌 法令
最終更新:2017年09月07日 21:45