玄霧藩国かく戦えり > T20版


system4前夜

 藩王・玄霧弦耶は頭を悩ませていた。摂政・階川雅成もまた、頭を悩ませていた。
 二人の脳裏に浮かぶ言葉は同じである。「人が足りない!」
 時は蒼梧藩国立国ゲーム真っ只中。いよいよ蒼梧藩国を助けるための各国での動きが必要となってきていたタイミングである。
 この時点で玄霧藩国の実働国民は藩王、摂政、以上二名! という感じなのだった。
 しかし、光明はやってきた。IBLの新人説明会の日程がすべて終わった頃、何をどう間違ったのか続々と入国申請が届いたのである。
 新規プレイヤーから九条イズミ、萩野真澄、あご、佐藤ぶそあの四名が。そして既存プレイヤーからマリモ、小鳥遊の二名が参入。
 玄霧藩国の稼働人数は驚きの四倍となった。(嬉しいけどどうしてこうなったと、率先して驚いていたのが藩王と摂政の二人であったことは言うまでもない)

設問対応待ったなし!

 立国ゲームは終了し、蒼梧藩国の立国は成った。しかしそれは新たな戦いへと向かう準備期間でしかなかった。
 各藩国向け設問の置き土産である。
設問199:国に応じた兵器工場、民間工場、学校、資源採掘所、病院、輸送施設施設を作ってよい
設問200:独自性の高いアイテム、兵器を3種類まで登録できる。
設問201:独自性の高い職業を三種類まで登録できる。
設問202:自国の特徴的地形をアイドレス化できる。
設問203:独自性の高い種族を1つ登録できる。
設問204:独自性の高い食品、特産品を10まで登録できる。
 右も左も分からないド新人を四人も抱えた状態で、この設問に対応するアイドレスを作らねばならないという壁が玄霧藩国の前に立ち塞がった。
 なおこのとき、system4のルール理解がなかなか進まず、既存プレイヤー四人もまたアイドレスってどうやって作るんだと頭を抱えていたという噂がまことしやかに流れている。
 しかし、彼らはめげなかった。立国ゲームで得られた戦訓や、まだぎりぎり行われていた質疑でもってルールの確定を行い、国民達で分担して設問に対応するアイドレスを続々と作り始めたのだ。
 芝村さんの「趣味のアイドレスはくだらないものも含めてたくさん作っておくといいよ」という言葉を信じて、設問と関係あるようなないようなアイドレスも作り出すPLたち。
 2週間に一度どこかへ消える藩王と摂政とPL数名(アイマスライブへ行っていた模様)
 そしてついに訪れる締め切り。時間が足りないと阿鼻叫喚の様相を呈するチャットワーク。
 完成したアイドレスのダブルチェックが終わっていない。アイドレスは完成しているけれど提出ページが無い。
 締め切り当日の23:50に提出ページが完成し、最後のチェックを行い、藩王・玄霧弦耶が汗をだらだら流して目をぐるぐる回しながら芝村さんへ提出した。
 しかし、とあるPLは語る。「設問提出が終わった後の玄霧さんは、『俺、変身ヒーローのアイドレスを作るんだ』って清々しい顔で笑ってましたよ」と。
参考URL:https://www65.atwiki.jp/kurogiri_all/pages/119.html

玄霧藩国、共和国共通職のフィクサーになるってよ……

 立国ゲームの置き土産はまだまだ存在していた。その一つが、共和国共通職100個の作成である。
 この主担当として裏で働いていたのが、我らが摂政・階川雅成その人である。ここに無名騎士藩国のGENZさん、玄霧藩国のマリモを加えたメンバーで共通職作成班は立ち上げられた。
 階川雅成は考えた。せっかく大部品の流用というシステムがあるのだから、出来るだけ手間をかけずにこの設問をクリアしたい、と。
 手順としてはこうである。
1.共和国全体から大量に共通職業の案を募集する
2.集まった職業に優先度をつけ、最低限国が回るのに必要な職業をリストアップする
3.多くの職業が共通して持つであろう職能を共通大部品という形で作成する
4.共通大部品にプラスして職業固有の部品を1つか2つだけ追加して共通職を完成とする
 この計画を実行することで、大量の職業を少ない手間で作ろうと考えたのだ。
 しかし、彼の前に大きな問題が立ち塞がった。
 人が、足りないのである。(またかとか言ってはいけない)
 折しも各国は自国向けの設問対応で手がいっぱいいっぱいという時期だった。並行してACE奪還作戦の準備や共和国環状線の建造も進んでいた頃合いである。どこも人が足りていなかった。
 藩王会議で呼びかけても集まらない。ツイッターで募集をかけても集まらない。にゃんにゃんにゃにゃーん、にゃんにゃんにゃにゃーん、だ。
 そして彼は苦渋の決断をくだした。玄霧藩国、この時の稼働人員8名。共和国でも人数的に余裕のある国であった。
 階川雅成は玄霧藩国から小鳥遊、佐藤ぶそあを新たに共通職作成班へ迎え入れた。いや実際にはたすけてー! と声を上げたら寄って来たのが自国民だったという涙ぐましいエピソードなのだがそこはそれ。
 共通職作成班の主要メンバー、実に5人中4人が玄霧藩国民となってしまったのである。
 そこから数週間。新たに参加したメンバーと共に大量の共通大部品を準備して、いよいよ最後の仕上げが始まった。
 ここにきて各国余裕ができ始め、最終段階での共通職作成チャットは盛況であった。何人もの共和国PLが集まり、共通職業の部品を書き、ほとんど2日で80職以上を作り上げるという恐ろしい作業効率を見せた。
 階川雅成が当初に構想した、高速で大量の職業を作る、という作戦は成功したのだ。

 ……しかし。懸念点があった。共通大部品の多くは玄霧藩国のPLが作ったものである。非常によろしくない影響が出るのでは、と芝村さんへ相談に向かった階川雅成に返された言葉は無情であった。
「共和国のほとんどの国が使う共通職のフィクサーか。うまい事やったね」という言葉に血の気が引く音を聞いたという。
(なお最終的に、全ての共通職を「共和国藩王会議」名義で文殊へ登録することで、この問題は無事に回避された)
参考URL:https://www35.atwiki.jp/kurogirihankoku/pages/568.html

予言を聞いてのたうち回るの巻

 無事に設問提出を乗り切った頃には、立国ゲームの取りまとめと医療施設の共同開発、さらに食糧生産地の流用フィーバーなど諸々で威信点が1500を超えていた玄霧藩国。飛躍の時である。
 意気揚々と芝村さんの予言を聞きに行く玄霧藩王。そこで返された言葉は次のようなものであった。
玄霧藩国には……恐ろしい、爆発が見える。空間固定を急ぐのだ……しかも魔法型で……魔法の馬が空を飛ぶのが見える。火の玉の呪文、なんと強い……結界呪文もある。 しかし魔力がいりそうだ……
 爆発、という言葉を聞いて騒然とする藩国民。
 なんでも、玄霧藩国の設定国民は「国内で空間移動してはいけない」というルールを「霧の結界で位相をずらして別世界で移動すればオッケー」と解釈していたらしく、バンバン空間移動していたということらしい。
 急遽対応を迫られる玄霧藩国首脳陣。さらに空飛ぶ馬に火の玉の魔法、結界呪文に魔力生産地と作った方が良さそうなものがどんどこ増えたのだ。
 藩国のマンパワーが全力投入され、ああでもないこうでもないとアイドレスを作り始める。
 しかし、それだけでは全然足りていなかったのだ。

演習・藩国動作テスト・こんなこともあろうかと

 アイドレスsystem4の総合演習と藩国動作テストが開催された。
 各国で「国民が生活できない!」「うちのPCが木人に殴り倒された!」などと続々と絶叫の上がった開催前イベントである。
 例えば国民が当然享受できるインフラとして「情報拾得」はありますか、というものがあった。玄霧藩国には新聞屋さんもテレビ局もない、これは絶望的と思われた。
 しかし「こんなこともあろうかと」と名乗り出てきた人がいる。萩野真澄である。
 「趣味のアイドレスはくだらないものも含めてたくさん作っておくといいよ」という芝村さんの言葉を覚えているだろうか。
 これを真に受けて大真面目に図書館アイドレスを評価6で作り、PC用職業として司書アイドレスまで装備していたのだ。情報拾得はなんとかなるぞと快哉を上げるPLたち。
 それだけで止まることなく、玄霧藩国の各地から続々と「こんなこともあろうかと」を引っ提げてプレイヤーが集まって来た。
 食事のバリエーションなら任せろ! さすらいのうどん職人・九条イズミ!
 護身柔術にかくれんぼ、痒い所に手が届く技術の宝庫・あご!
 生活施設を任せる騎士が足りない? 帰って来たぜこの時に、復帰PL・久藤睦月!
 それでも足りない施設や技術をせっせと作り、玄霧藩国は無事にアイドレス作成作業を完了させたのである。

挑め、編成パズル。増やせ、設定国民。

 伸びに伸びた締め切りを超えて、ついにやってきた編成フェイズ。
 出てきたルールの文字と数字の海に溺れて「しょしき……?」「ねんりょーしょーひけーさん……?」とむずかしー事はよくわかってないプレイヤーたち。
 分からないながらも編成用のアイドレスを文殊に再登録して、部隊編成の方針が藩王会議で決まるまで固唾を飲んで待つ藩国民。
 やがて、会議室の重い扉が開き、ACE奪還作戦指揮官にして共和国軍事大臣の階川雅成が帰って来た。
 ボロボロにやつれた満身創痍の姿で彼は語る。目だけは爛々と輝いていた。
「玄霧藩国の割り当ては、評価15の低物理戦闘火炎の魔法使い部隊を2つ。評価11以上の支援幻影使い部隊を2つ。支援魔法医部隊を評価11以上で3つ。降下部隊支援の評価11以上名医部隊を1つです」
 マジで? という顔をするPLたち。
「しかし摂政。食料はともかくとして、魔力も燃料も足りませんが。あと工場を動かす低物理資源も」
「食料を57、魔力を87、燃料を11まで使って構いません。低物理資源も含めて輸入の段取りをつけてきました。レンジャー連邦とるしにゃん王国、世界忍者国には足を向けて寝られませんね」
 そう言うが早いかすぐに次の作業へと向かう摂政・階川雅成。その背を見送ってから、PL達も慌ただしく作業を再開した。
 編成作業を開始してすぐに、大きな問題に直面した。
 そう、もうお分かりだろう。人が、足りないのである。
 足りないと言ってもリアルのプレイヤーの話ではない。編成するための設定国民だ。
 編成要求にプラスして治安維持を考えると、火炎の魔法使いが17人。幻影使いが12人。魔法医が9人。名医が2人。警察官が3人。消防士が2人。必要だった。
 編成担当PL・佐藤ぶそあは空を仰いだ。設定国民を考えるのが絶望的に苦手だったのである。
 しかしその背中をばしーんと叩いてにっこり笑うPL・あご。親指を立てて任せろと歯を見せる九条イズミ。既に黙々と設定国民のデータを書き始めている萩野真澄。
 編成ルールとかむつかしーことはふわっとしか分かってないけど設定国民考えるのは得意だよ、というPLもまた玄霧藩国には存在したのだ。
 さらにはこんなこともあろうかと、立国ゲームの頃から粛々と作り貯められていた職業別設定国民名簿なるものまで存在した。
 一晩で20人近い設定国民をNWへ送り出すという破格のバックアップもあり、編成作業は見事締め切りに間に合った。

ACE奪還作戦始動

 ユーザーイベントフェイズが開始された。
 クロス・アクシャの調査と殲滅作戦は、調査中に逃げられるという結果に。玄霧藩国にも入り込まれたらしい。
 ともあれ、幕は上がった。A世界へ逆侵攻をかけてACEを奪還する。ここからはノンストップだ。
 帝國と共同で行われたこの作戦の前線指揮官として立ったのが、共和国軍事大臣・階川雅成である。
〇EV202-001 ミッション A世界への逆侵攻作戦 
1 宰相府にメンバーを集める。 難易25 
 階川雅成は淡々と答えた。この時のために準備をしてきたのだ。焦りはない。ただ少し、手が震えているだけだ。
「編成部隊R93,R94,R95:レンジャー連邦のコリブリ1~3にE198:宰相府藩国ドッグバッグチームβの合算を主行動者とします。
 越境活動の許可は大統領および宰相に戴きます。RD合算160+112+76+130=478で評価15です。
 これに、支援としてE200:宰相府藩国のオペレーター部隊アルファの評価11によるオペレート。R92:レンジャー連邦 デルタ1の評価13の護衛部隊をつけてシフトかけます」
 芝村さんも淡々と答えた。
「はい。評価25で成功」
 ここから先は事前準備の量と、その部隊で何ができるかの把握、突発事態への機転。全てが問われる。
 脚色は抜きに、階川雅成と是空大統領の戦いを生で見てもらった方がいいだろう。
参考URL:https://sites.google.com/view/idress4topics/t20/ev202-001
 この時、応援席にいた藩国PL達が口々に「雅成さん格好いい」「完全に主人公してる」「もう雅戌藩国でいいんじゃないかな」「何てこと言い出すんですか藩王」「ジョークだ、ジョーク」などと褒めたたえていたと会話記録が残されている。

ウェーブ2:忍び寄るクロス・アクシャの魔の手

 ユーザーイベント、そしてウェーブ1として処理されたACE奪還作戦は成功した。それも大成功と言ってよいものだった。
 興奮に沸く玄霧藩国。お疲れ様です、どうぞ一息ついてくださいと階川雅成へ温かい言葉が集まる。
 しかし次の大波はすぐそこに迫っていた。
66 玄霧藩国でクロス・アクシャとそのシンパを武力鎮圧する 難易20(治安)
 治安維持イベントの襲来である。
 これあるを見越して警官部隊は編成していた。しかし、ユーザーイベントの段階で玄霧藩国にもクロス・アクシャが逃げ込んできたよという話を受けて、治安維持にあたらせる、との宣言もしていた。
 この警官部隊が動けるかどうかが焦点となった。
 もしも出せないのであれば、「幻影使いによる人口密集地の巡回 」アイドレスの存在を根拠として、幻影使い部隊をメインに警察署をシフトに使い、さらには虎の子のイラストまで出しての対応と言う事になるだろうと予想された。
 ルール的に行動済みとなるかどうかを確認したところ、まだ提出できる、との回答が芝村さんから得られた。
 すわっ、と警察官部隊をメインに、警察署と幻影使いの巡回をシフトとして評価20の治安維持部隊を提出。
 評価は届いた、安心だ、と一息つく藩国民。
 そして無慈悲に下される判定。
敵の魔法が強力過ぎて武力鎮圧に完全失敗した。玄霧は亡命した。評価は足りていたのだが……。
玄霧弦耶:解散との所申し訳ありません。亡命先がどこになるかは決める形でしょうか?すでにどこかで受け入れられてますでしょうか?
芝村裕吏:きめていいよ
玄霧弦耶:許可得られましたので、ゴロネコさんに亡命させていただきます
 ルール的に、対抗勢力があるような判定の場合は、難易と同値の評価提出ではほぼ引き分け、となることが判明する。
「設定国民が火炎の魔法とか幻術とかめちゃくちゃ使ってきたのでは」
「警察官では太刀打ちできなかったか」
「相性が悪かったですかね」
「逆に考えよう。撤退には成功してるから部隊は無傷だ」
「ウェーブ3! ウェーブ3で再奪還です!」
 まだ負けてない、逆転の目はある。
 この時点ではまだ、火炎の魔法使い部隊も魔法医部隊も余力があった。
 もちろん、その余力はT20開始前に予測された森の魔物への備えではあったのだが。
(またこのとき、クロス・アクシャ対応を経済の側から行おうとしていた共和国経済大臣・玄霧弦耶は、スカーレットオーダーの発布による武断への方針転換で一度ぶっ倒れている)

ウェーブ3:玄霧藩国かく戦えり

 ウェーブ3はウェーブ2をも超える大波で襲い掛かって来た。
 ウェーブ2で難易と提出評価がほぼ同じ値だった藩国は絶大な被害を出しており、ここでの死傷者への緊急医療対応が求められたのである。
緊急医療を行う PC死亡もどうにかするなら40 国民と負傷だけ20
 絶望的な難易40が、各国PCの前に立ち塞がった。
 名医部隊、漢方医部隊、魔法医部隊、ヘリによる負傷者輸送、ヘリの整備部隊、様々な国から医療能力持ちが集って全力を尽くした。
 玄霧藩国からも魔法医部隊、設定国民だけでは足りず魔法医PC小鳥遊。さらにPCとして名医アイドレスを持つ久藤睦月が参加。イラスト班としてあごも参加。
 医療国家の面目躍如と言える全力ぶりであった。
 主評価17、シフト限界の+17、イラスト合作+6で見事に評価40へと届いた。多くの命が救われたのである。
 しかし、医療対応だけで終わることはなかった。
 亡命政府となっていた玄霧藩国であるが、森の魔物への対応に求められるであろう低物理戦力として、火炎の魔法使いと幻影使いを編成していたのである。
 偵察に成功した結果、火が弱点の判明したトロールの撃滅部隊として、弱点のない根喰龍への遠距離戦力として、続々と出撃していった。
 それだけではない。クロス・アクシャに制圧されている玄霧藩国からはシープホーンという無限に学習する強敵までが現れていた。
 シープホーンを倒すには評価99が必要であると明言された。システム的に不可能であるため、別の解法を出す必要があった。
 シープホーン討伐は、楡の木からの超戦士出現、誘導からの柔道技炸裂までの流れで行われた。こちらは実際のログを見た方が分かりやすいだろう。
参考URL:https://sites.google.com/view/idress4topics/t20/wave3
 シープホーンの脅威が去った玄霧藩国へ、藩王・玄霧弦耶が火炎の魔法使いを持つPC・九条イズミと、幻影使い部隊を伴って再制圧へと乗り出した。
 国はひどいありさまであった。
 クロス・アクシャは全滅していた。そして、国民もまた。
玄霧藩国を再占領する 難易10 (低物理歩兵のみ)
階川雅成‏:共和国、玄霧藩国より設問94、玄霧藩国の再占領を提出させていただきます。
誘導や超戦士の方の戦闘によってシープホーンの脅威が国内より離れ次第、迅速に活動を行うものとします。
http://cwtg.jp/oripbbs/nisetre.cgi?no=357

芝村裕吏:玄霧藩国はひどいありさまだ。特に敵の抵抗もなく占領した。絶望的な被害でとても国を維持できそうもない。
 必死に生存者を探し回る藩王・玄霧弦耶と護衛の九条イズミ。
 そのころ、藩国壊滅の知らせを受けた亡命政府では、まだ動ける治療能力持ちがどれだけいるかを試算していた。
 PLの人数が多い玄霧藩国は、この期に及んでもまだ余力を残していた。
 このときの余力は魔法医持ちのマリモ、萩野真澄、佐藤ぶそあ、ここに王猫・テラ様を加えて評価12の魔法医主判定。さらにあん摩マッサージ指圧師かつ鍼師かつ灸師で評価8を持つPC・あごの多角的な診療行為でシフトをかけても評価16というものだ。また、魔法医のイラストは未提出のものが一つ残っていた。
 設定国民への医療行為のみならば評価20という難易がウェーブイベント71の緊急医療で提示されていた。評価16ではここにすら届いていない。
 各国全力での合作でイラスト評価+6である。一枚のイラストで+4シフトというのは、あまりにも負担が大きすぎると思われた。
 しかも、国が維持できないレベルとなると、ほぼすべての設定国民が対象であろう。難易は20よりもさらに上がると思われた。
 頼みの綱は評価40の治療判定を行えるという華佗先生のみであると藩国内では意見が一致した。
 そもそも、ウェーブイベントは残りひとつ。医療イベントが出るかどうかもまだ分かっていなかった。
 治療イベントで難易42とか言われたら、華佗先生の治療に魔法医全員で押しかけてシフト+1をもらって手伝いに行った魔法医のイラストですと言ってだしてシフト+1でどうにかしよう。
 主評価と差がありすぎて爆発するかもしれないけど、と悲壮な決意を固めるPL達。
 そして、最後のウェーブイベントが現れた。
イベント100 玄霧藩国の人員を華佗が助けた。 難易0
 このとき、玄霧藩国のチャットワークは、歓声に揺れた。
 藩王・玄霧弦耶は何度も何度も礼を言っていた。
 魔法医マリモが華佗先生へ駆け寄って、医療行為の手伝いを始めた。
 玄霧藩国は、T20を戦い抜いたのだ。

 そして、T21へと戦いは続く。

次回予告

 4日間の公休日。疲れを癒し、リアル威信点を回復させるPL達。
 そこへやってきた新たな仲間。蒼梧藩国の羽黒さんを通じて紹介された謎のゲーマーの正体とは。
 次回「その名はニム」
 お楽しみに!

タグ:

佐藤ぶそあ
最終更新:2017年10月30日 21:09