東京がある限り、奴は何度でもやって来る―――――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
この東京都内の三画の令呪。
それは、2012年に完成した東京スカイツリーをはじめとする三つの重要区域に、それぞれ一画ずつ配置されていた。
東京に、「奴」を呼び出すのは、東京自身であると言っているかのようである。
おかしな話ではない。
多くの人の意思が介在する、この東京という町。
そこに集中した魔力や、元々のこの地の地脈や霊脈を考えれば、サーヴァントを呼ぶに十分な力を持っていても変な話ではないのだ。
必ずしも、意思を持つものばかりが魔術師の資格を持つとは限らない。
あらゆるものが、この東京に連れてこられるように。
たとえここが偽りの東京都であったとしても、その力まで持ってきているとするのなら――。
東京の方から、ヤツを呼んだとしても、何も変な話ではない。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――人間は過ちを犯す。
過ちは犠牲を作り、犠牲が生まれれば憎しみが生まれる。
そして、「奴」はその憎しみによって誕生し、街を破壊するのであった。
――ゴジラ。
今更知らぬ者はいないだろう。日本を何度も襲い続けた不滅の怪獣王の名である。
体長は、およそ50メートルから100メートルほど。
人間を蟻のように踏み潰し、人々が時間をかけて作り上げた建物たちを通りすがりに瓦礫にしてしまう。
それは、この地球上で最も大きく、最も孤独な生物である。彼と背を並べる者は滅多に現れない。
何故、こんな巨大な怪獣が生まれ、文明を壊しつくしてしまうのか。
……それは、偏に人間が悪魔的な実験をしてしまったからだ。
敵国を叩き潰し、自国を守り、地球を壊す為の禁断の兵器・水爆。
それが、ゴジラの住まう海に放たれた時、彼は不死身の体を手に入れてしまった。
野生の怪物は一瞬にして海底の平和を奪われ、戸惑い、人界に迷い出てしまった。
静かな海から、喧噪の絶えない文明へ。
ゴジラは、水爆を生みだし、戦争を生みだしたあの文明の地を、踏みつぶしていく。
崩れるビル。燃える街。逃げ惑う人々。先の大戦を追体験するかのような光景。
それは、忘れもしない――1954年の出来事であった。
やがて、ゴジラは一人の科学者の苦悩と葛藤の末に、人類の手で撃退された。
人が兵器で生み出してしまった悲劇は、人が兵器を使って幕を閉じた。
……しかし、果たして、彼はそう簡単に滅びるだろうか?
誰も忘れるはずのない1954年のあの悪夢は、どの世界にも共通して起こった。その出来事を忘れた者はいないだろう。
ある世界では、現実に。ある世界では、スクリーンの中に。
それから、再びこの日本にゴジラの現れなかった世界線は、殆どないであろう。
それは、地上にまだ、戦争があり、決して戦争を風化させない為だ。
世界で唯一原子爆弾を落とされたこの日本に住まう人々の悲しみが、ゴジラに乗り移った以上、ゴジラは何度でも形を変えて現れる。
そう、何度でも。
ゴジラは、その身を地上に現し、全てを破壊する事で、世界にそれを訴える。
たとえ、それが月上の東京であっても、奴はこの街に迷い込むだろう。
そして、きっと吠えるに違いない。
「アアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァォォォォォォォォオオオゥン……………」
まるで、赤子が泣いているように……。
遠い海から、そんな声が、聞こえたのだった――――。
【クラス】
ゴジラ
【真名】
ゴジラ@ゴジラ
【パラメーター】
筋力EX 耐久EX 敏捷EX 魔力EX 幸運EX 宝具EX
【属性】
混沌・中立
【保有スキル】
怪獣王:EX
世界一有名な怪獣としての存在感。
その巨体を自在に暴れされ、あらゆる都市を破壊し尽くす。
【宝具】
『破壊神降臨(キング・オブ・モンスター)』
ランク:EX 種別:対全宝具 レンジ:地球全土 最大捕捉:全人類
ゴジラとしての上陸と破壊の逸話から生まれた宝具。
この英霊そのものの性質であり、放射能火炎を吐き、尻尾をふるい、東京の街を破壊する。
そして、人類が作り出してしまった最悪の兵器を吐き出しながら、何かを訴えかけるように暴れ尽くす。
ただし、このあまりに強力で巨大な肉体の維持には負担が大きく、普段はサーヴァントでありながら普通に現界する事ができず、東京湾の海で霊体化している。
魔力が充分に溜まると共に、東京湾で現界して上陸、魔力が切れる直前まで暴れまわり、魔力が枯渇しそうになると東京湾に戻って霊体化し、再び東京に現れる為に魔力を貯蓄する。
この宝具がある限り、ゴジラは現界の際にも、そんなルーチンを踏襲しなければ戦えない(時に鳴き声が聞こえたり、気配を感じたりという事はある)。
ちなみに、外見はいろいろあるが、どんなゴジラが現れるのかは不明。それこそ、出てくるたびに違うかもしれない。ただしトカゲみたいなやつは出てこない。
【Wepon】
なし。
【人物背景】
日本で一番有名な怪獣。
【方針】
誕生次第、東京の街を無差別に破壊する。
【マスター】
東京都@現実
【人物背景】
日本国の首都。関東地方に位置する。
都庁所在地は新宿区。
面積:2,190.90平方キロメートル(境界未定部分あり)
総人口:13,506,607人(推計人口、2015年12月1日)
人口密度:6,160人/平方キロメートル
都市の地脈・霊脈がそのままマスターとして成立しており、重要施設に一画ずつ令呪を持つ。ちなみに、その一つは東京スカイツリー(墨田区)。
東京に住まう人間の数だけ無尽蔵な魔力を持つが、それを全て毟り取るわけではなく、あくまで地脈・霊脈、人口からごくごく微弱な魔力を受けている。
その為、流石に『ゴジラ』の継続的な現界には至らず、『ゴジラ』は長時間魔力をためて、ようやく数分~数十分の現界をしてまた、魔力をためる為に帰っていく形になってしまう(ゴジラ自身も肉体維持の為に、残りの魔力から撤退の自己判断ができる)。
ちなみに、人間でも何でもないが、令呪の存在によって魔術師の資格を受けている為、令呪を失えば東京都も参加資格を失う。
候補作投下順
最終更新:2016年03月03日 23:08