──遠い国では、ずっと未来もまだ人と人との戦争が続いていた。



 長い長い、干上がった砂漠があった……。
 硝煙の匂いが砂埃に混じって鼻孔をくすぐり、猛禽類が空を飛び交うこの世の地獄がそこだった。
 猛禽類は、その戦争によって生まれた大量の屍を貪るだけ貪って、無責任に飛び去って行く。

 その土を踏んでいる人間たちは、互いに武器を取って殺し合った。
 武器を持たない人間は、明日あるともしれぬ命を抱えて逃げ惑っていた。
 日々潤っていくカラスたちに対して、人々の暮らしは貧しくなり、簡単にどうにでもなる飢餓と病とが国中に広がっていった。人を殺すのは人だけではなかったのだ。
 その日を暮らすのが精一杯の者たちが何百人と溢れ、平和な島国に住む者ならば小悪党でさえ罪悪感に目を覆ってしまうような「死」は繰り返されてきた。

 おそらく、この後、また何年とまた同じ事を繰り返すであろう、終幕のない劇場が、戦争。
 そこに巻き込まれた人間にとっても、耐えがたいこの世の地獄なのである。

(──……始)

 ……そして、元来、英霊の多くは、常にそうした戦場に活躍したものだった。
 戦争を指揮した者もいれば、戦争を終わらせた者もいる。
 戦争の中で慈善活動を行った者もいるだろう。


 ──この時、聖杯が呼んだ英霊もまた、そんな場所で人を救い続けた男だった。


(──……お前は、今、どこにいる)

 彼は、ある世界の遠い戦場で、語り継がれた英霊である。

 人とも獣とも判然とせぬ奇妙な怪物が現れ、戦地で人々を救い続ける……という伝説が、まさしく彼の事だった。
 いや、それはもはや伝説というより、この世界に置かれた一つの奇異な現実に他ならない。
 進歩し続ける超技術の未来には、最早、新しい神話など発展せず、そして、広まらなくなるのである。
 彼は人の前に確かに現れた。
 故に、彼は「伝説」であり、多くの人が前にした「現実」だった。

 幾歳月が流れても、彼は人を救う事を辞めなかった。
 いつか折れても誰も責めないだろうに、彼はまるで誰かを助ける事そのものが本能や、あるいは運命づけられた人生であるように、誰かを救い続けたのだ。

 あらゆる時代に、人々は何度もその男の姿を捉え、その男に接触し、その男にマイクを向け、時には非難さえもした。
 男は何を言われても、ただ黙しながら、人を救い続けた。

(──……なあ、俺はまだ戦い続けている。お前は今、一体どこで何をしているんだ……)

 新しい戦争が始まる度に、今度こそは一人でも多くの命を救い出し、人としての生涯が普通に閉じるまでを支えながら生きていくその運命は過酷であった。
 ただの兵士だけではなく、戦意のない者たちも傷を追い、近しい人を失い、時に利用され、時に殺される。
 親しかった子供が頭に穴を開けられ、虚ろな瞳で砂漠を見つめる。立ち寄った村の人間がすべて、同じ形をした真っ黒な墨の塊になる。
 かつて誕生を喜ばれ、男もそれを喜んだはずの子供が、眉に麻薬を埋め込まれて、家族に銃を向ける。
 助けた少年が成長し、歪んだ思想に芽生え、新たな戦争の首謀者となる。

 ──あの悲壮な地獄を、何百年も、繰り返し、繰り返し、繰り返し、その目で見て、男はその憤りと悲しみを噛みしめ続けていた。

 それでも彼は、運命と戦うのを、決して辞めなかった。
 死体の山の中で、命や精神をすり減らしながら、眠る事も食事をする事も忘れて、生き続けた。
 これから、人と人との争いで百万人が死ぬとしても、その中の千人、百人、十人……いや、その中の一人でも良い。
 彼は、その命を助ける為に、これから先の何百年を生き続ける運命と戦う理由を見つけ出せた。
 そして、いつか、世界中の人々を助ける夢を果たすまで……。

(──お前は、人として生きられたか? みんなが生きて、そして死んでいく、その傍にいられたのか? 始……)



 ──たまに、昔の夢を見て。



 それから、彼は、そこから遠いアジアの平和な島国で──今はどんな街並になっているかもわからない故郷で。
 今この時にどうして暮らしているのかさえも知れぬ友の事を思い浮かべながら。
 いつか……遠い昔に、友に告げた言葉。
 それを時折思い出す。

『──俺は、運命と戦う。そして、勝ってみせる』

 あの言葉の通り、彼は英霊の座につくまで、運命と戦い続け、そして人の中で伝説となったのだ。


 何万年にも渡る自らの本能との戦いの果て、彼は運命に勝てたのかはわからない。
 英霊となり、聖杯戦争に呼ばれたその時に、彼が死ねていたのかも、誰も知れない。
 それは遠く、人類が時の流れに負けて真っ当に滅んだその時の話であるかもしれない。
 彼が誰かに救われ、友と二人で背負っていた運命が誰かの手で平和に終えられた時の話かもしれない。

 自分の終わりが何だったのかは、現世に顕現した時の当人の意識の中でも全て忘れられている話である。
 だが、少なくとも、多くの人の信仰がその男に集まったその男が、何らかの形で全てを終えた何時か、「英霊」としての座につくのは当然の事であった。


 ────男の名は、「剣崎一真」といった。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「……」

 西木野真姫が聖杯戦争のマスターとしての記憶を呼び覚ましてから、最初に行ったのは自らのサーヴァントの検索だった。
 赤みがかったカールの髪先をくるくると指先で弄びながら、彼女は息を飲み、それらしいデータのスクロールを続ける。
 ちなみに、肩まであるそのもふもふヘアーを手で巻いて遊ぶのは、彼女の普段の癖だ。
 こうしてサーヴァントの検索を真っ先に行ったのも、ガリ勉とまでは行かずとも日夜勉強する癖が根深い真姫が故だ。

 検索機能を使用するのがほぼ聖杯戦争のマスターに限られる条件から、安易に検索機能を使うべきではないのだろうが、彼女の実家が病院を経営している都合で、真姫は何かと理由をつけながら違和感もなく病院内に立ち寄れる。
 病院内の医師に度々挨拶される真姫の様子を見れば、誰であっても真姫がこの病院の関係者だと解する事が出来る筈だ。

 つまり、真姫は聖杯戦争が始まった時点で、財力の面でも情報の面でも少々有利であったのだが、だからと言って、自分の命がかかっている手前、安心はできない。
 それどころか、むしろ、この後には、検索機能を持つ重要施設に勤めている親が敵に狙われるリスクまで生じているのだから、一般人である真姫にとって、相変わらず息もつけない日々は続いているくらいである。
 病院内に現れる人間を、患者や医師も含めて疑い、情報秘匿の為に検索施設そのものに手を出すサーヴァントが現れるのではないかと恐怖する事も珍しくはない。
 しかし、今はそんな不安も頭の隅に寄せ集めて、サーヴァントの情報を閲覧していた。

『剣崎一真』

 おそらく、現在持っている情報から察するに、彼の名前は『それ』で間違いないだろう。
 真名までは聞く事がなかったが、それは、彼自身がすぐには名乗らず、真姫の方からもいきなり聞く事を躊躇った為であった。

 召喚直後は聖杯戦争について話していた二人であったが、偶々近くにいた『敵』が戦闘に割り込んだのだ。
 それに対応して、剣崎は即座に、『なにものか』へと変身──見事、『ライダー』のサーヴァントを打ち倒した。
 さすがの手際である。
 ただ、お陰で、じっくりと真名を聞くタイミングを逃したのである。
 それ以来だ。──最低限のコミュニケーションしか取らず、彼に対して、聖杯戦争の会話は殆どしなかった。

(──)

 敵の実力が少々高かったのが、何よりの原因だった。──変身を解いたセイバーの姿を見た時、その身体から、健常者と異なる色の血が流れたのである。
 セイバーは、「緑色の血」を垂らしていたのである。
 その血に、真姫が「病者」としてでなく、「怪物」としての意味があるのをどこかで悟ってしまったが故だろう。
 彼が英霊であり、そして、真姫の理解を超えたモノに変身していた──それが、そんな想像の所以だ(実際、検索したデータを見る限り、当たらずとも遠からずである)。

 自分の知る常識と、大きく構造が異なるモノを見かけた時、「拒絶」と行かないまでも、どこか壁を作ってしまうのは、やはり人の常だった。
 医者の卵という立場では、そうした異形に耐性がなければ当然いけないのだが──まだ高校生で医学を本格的に識って慣れるにはまだ早い真姫では無理もない。

 それから、剣崎自身もまた、聖杯戦争においては、サーヴァントの名前など名乗る必要はないと踏んでいたのかもしれない。
 彼は、呆然とする真姫を前にも、ただ黙していた。
 そして、即座に真姫の周囲から姿を消した。
 ……まあ、それは、文字通り、視界に入らないだけで、真姫の近くでその護衛を行っている筈だが。

(……変な話よね。私を護衛してるセイバーに直接訊けばいいのに、わざわざ検索するなんて。意味わかんない)

 そうは言うが、やはり、真姫にも、気になるものは気になるのである。
 直接訊くのは躊躇われるが、独自で彼の真名を調査する事くらいは出来る。
 元々、サーヴァントの立場をいち早く考慮し、彼の人格を無視して置物のように扱っていた部分もあったお陰か、この矛盾した行動も行えたわけである。

 彼が持つ緑の血の理由とは何なのか──と、好奇心も手伝って、調べてしまった。
 結果、こうして、こっそりと検索をして、セイバーの真名が「剣崎一真」である事まで特定するに至ったというわけだ。

(剣崎……カズマ……でいいのよね?)

 セイバーとして召喚され、真姫の友人となった落ち着いた茶髪の青年──と思しき英霊のデータが存在した。
 現物は、顔立ちの整った長身の日本人男性というくらいの特徴しかなく、初めて会った時にはさして英霊としての風格は見られなかったが、その直後に発生した戦闘は彼が何者なのかを真姫に知らしめた。
 ビートル(甲虫)の鎧に身を包み、剣と札(トランプ)を使って戦う青い騎士としての戦いの姿──その圧倒的なまでの強さとタフネス。
 そして、命を削りあう戦闘の返礼として、僅かながら流れ出た緑の血。これは、少なくとも健康体の人間が流す血液の色ではなかった。
 ここまでのデータがあれば、充分に検索が出来た。

 彼は名前を名乗らなかったが──まさしく、彼はこのデータにある男「剣崎一真」に違いあるまい。

(えーっと、英霊としての活躍やこれまでの経緯は──)

 スクロール。
 そこには、彼が英霊たる所以や、敵に見つかると不味い弱点なども事細かに記されている筈だ。

 そして、データによると、剣崎はある世界では多くの信仰を集めた男である事が分かった。
 元々は、日本国内で「都市伝説」として謳われた仮面ライダーの一人だが、それが集めた信仰はまだ少ない部類である。
 ……問題はその後だ。

『仮面ライダーブレイド』
『ジョーカーアンデッド』

 彼は仮面ライダーとしての戦いを「自らが不死の怪物になる」という形で終えて世界を救い、それからは戦地で子供を救い続ける事に従事したというのである。
 その為、彼の世界において、あらゆる時代、あらゆる紛争地帯でその目撃情報が残っており、人類史では長くその世界に君臨し続けたのだ。
 その応酬として、多くの信仰を集めている──つまり、かなり強い部類に入るサーヴァントである。
 突如巻き込まれた真姫の手には余るかもしれないレベルだ。

 剣崎は、ある時代には救世主であり、ある時代には災厄であり、ある時代には怪物であり、ある時代には神であった。……そんな存在だった。
 まあ、性格の情報は、曲解されている時代よりも、実像通りの性格として受け入れられている時代の方がはるかに多く、現世から転じて「混沌」や「悪」の属性を架される事もなかった。
 いわゆる、「無辜の怪物」という程ではない。
 いずせにせよ、それだけの時代で信仰を集め続けた剣崎一真がサーヴァントとして具現できる存在になるのも当然であろう。

(……そういう感じじゃなかったけど)

 真姫は、ふぅ、と一息つき、丸い座席の上で無意味に回りながら、「剣崎一真」のデータの整合性をひとまず疑った。
 剣崎という男の姿を見ても、そんな長い時間を生きた人間には見えなかったからだ。
 ごく普通の現代の若者、と何ら変わらない人相であるように思う。

 変わっている点といえば、やはり──先日拝む事になった、その「緑色の血」であろうか。
 だが、それだけだった。
 元はといえば只の人間であり、「アンデッド」という怪物に変わったのは後天的な問題である。
 性格には、普通の人間からはぐれた部分はない。──いや、そのかたくななまでの「救済」の意思は、確かに人間離れしているかもしれないが。

(弱点らしい弱点はナシ、みたいね。元の世界に帰るまでなら、何とかなりそう……?)

 元々、率先してこの聖杯戦争に参加したわけではない真姫は、剣崎一真のこの「性能」を、脱出の為に使わせてもらおうと考えていた。
 真姫の方針は、この聖杯戦争から一刻も早く降りる事にある。死にたくないし、戦いたくもないのだ。
 しかし、その為には他サーヴァントの猛攻から生き延び、聖杯にも仇なす用意がなければならない故、セイバーこと剣崎がサーヴァントでも強力な部類に入る事には一安心していた。
 当初からセイバーには「脱出を望んでいる」と話しており、彼も協力的であったが故に、殆ど滞りなく方針は定まったわけだ。

 一仕事終えたという訳で、今日はこれから帰って、勉強をして、明日以降にまた、脱出の事を考えよう、と真姫は考えていた。
 明日以降は、やはり、μ'sとしての活動も視野に入れておかねばなるまい。
 たとえ、他のサーヴァントとの殺し合いが始まるとしても、仲間と日々顔を合わせ歌い踊るのが彼女の習慣なのだ。

 そう、習慣。
 当たり前の習慣。

 ──真姫の頭に、再度、先ほどのデータが戻る。

(仲間ともう会えない、か……)

 真姫は、考えてしまうわけだ。
 剣崎一真という男が生涯抱えたとされる運命──その過酷さを。

 真姫にとっても、μ'sの仲間は大事だ。
 たとえ卒業した後の話であれ、二度と彼女たちに会う事ができないなどという話は聞きたくないし、想像もしたくない。
 仲間の前から姿を消した彼の場合、家族や親しい人にさえも会えないわけだ。
 それを、数万年という長い時の中で行うなんて──。


 サーヴァントである剣崎を、道具として扱う……?


 そうして割り切ろうとしていた自分に対して、ふと疑問符が湧いた。
 やはり、剣崎も人間と言える──その相手に対して、こんな冷徹なスタンスで居続けなければならないのだろうか。
 真姫は、もう一度……今度は、「剣崎一真」を知り、それからどうすべきかを考え直す事にした。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「……」

 病院の外の駐車場で、送信痩躯の男は目を閉ざして腕を組み立っていた。
 彼こそが、丁度、真姫が見るパソコンの中で映されている「剣崎一真」という男に違いない。

 真姫の近くに敵性サーヴァントが寄らないよう、ここでずっと護衛を行っていたのである。──これは真姫の予想通りだ。
 寡黙な守護者も、今の彼には似合っていた。
 マスターと口を利かないのは少々馬鹿らしいかもしれないが、知る限りの聖杯戦争の内容を知った後は、このスタンスでも別に良い。

 剣崎一真、という男は、本来かなり明るい性格であるものの、多感な少女を相手にするのはどうも苦手な方かもしれないと思っていたのだ。
 栗原天音も、手なずけるのは始の方が得意だったくらいである。

「──サーヴァントか」

 病院の外で、剣崎が呟いた。
 近くにいた「サーヴァント」に対して、いち早く気配を感知したというわけだ。
 勿論、それくらいは出来なければ意味がない。

「ああ」

 ひらかれた剣崎の双眸が映していたのは──近寄る大男だった。
 身体を揺らしながら歩いている。背には弓を背負っていた。まさに英霊のそれである。
 身長は剣崎と同じほどであるものの、真横に大きく、固い筋肉を味方につけているのが見て取れた。
 髭を蓄えた強面の貌と合わせて、並みの人間ならば見るだけで威圧されてもおかしくはない。
 しかし、剣崎は慣れていた。

「目的は、何だ?」

 真昼の病院で、弓を背負った敵のサーヴァント──それは、彼が『アーチャー』である事を示していた。
 弓、という武器には、剣崎もよく知る男の思い入れがある。
 しかし、アーチャーというクラスは、遠距離射撃を得意とするクラスであり、こうも近寄ってくる理屈はない訳だ。
 銃器を使う者も多いが、そんなサーヴァントが真っ向からやってくる理由は数少ない。

「──戦いさ!」

 答えは明朗だった。
 弓を背負っているアーチャーであるが、剣の腕も確からしく、大剣を顕現して対峙する。
 こうして、アーチャーが弓以外の武器を使うのは珍しい。

「そうか……。
 ──だが、何故だ? 何故、お前は戦う──」

「サーヴァント同士だ、戦う理由など必要ないだろう。貴様も武器を取れ。
 キャスターのクラスならば数日程度時間を与えるが、それ以外ならば俺と戦え──」

 戦いそのものが目的ときている。
 マスターの意思さえもどの程度反映されているのかわからない野蛮人だ。
 いや、まだマスターの記憶が覚醒していないのか、あるいは、その上でマスターにルールを教えていないのかもわからない。
 これが聖杯戦争の難儀な所で、マスターの近くでサーヴァントが顕現すると限らないというわけである。
 彼の場合、アーチャーのクラスでありながら、思想は全く、狂戦士(バーサーカー)そのものだ。

「──」

 本質的に戦いを嫌っている剣崎は眉を顰めた。
 それを見て、アーチャーも戦いを渋る性格であるのを認め、すぐにそれに対応した「方法」を行った。

「……そうか、わけもなく武器を取る気はないというわけか。
 ならば、すぐに理由を作る。──こちらから先に命を取らせてもらうぞッ!」

 アーチャーは、駆け出し、その大剣を振りかぶるようにして剣崎に接近する──。
 隙はあえて大きくしているようだ。この一撃で芽を刈り取ってしまわぬようにだ。
 剣崎の身体へと肉薄する図体も、そのまま駆け抜けて剣崎にぶつかりそうな速度である。
 この奇襲に必要なのは、相手に、「本当に殺しにかかってきている」という認識を植え付ける事──「戦い」が彼の目的だからだ。
 そうすれば、どんな相手でも自らの手の内を見せてくれる。 
 アーチャーはそうまでして、戦いたいらしかった。

「くっ……!」

 剣崎は、すぐに身をひるがえしてそれを避けた。
 ──仕方がない。このまま放っておいては、被害を出すに違いないのだ。
 人を守る為にならば、剣崎一真は何度だって武器を取る。
 今は、その時だった。自らの身と、マスターの身と、あるいは病院の人々でさえも守る覚悟が、彼の手に収束される。
 そして、『宝具』はその手の上で顕現される。

(もう一度、俺に力を貸してくれ……BOARDのみんな)

 宝具の名は──『魔物飼いならす剣の紋(ブレイバックル)』。
 そして、もう一つは、トランプと同じく五十二枚存在する『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』の一枚、スペードのAのカード。
 アーチャーは、彼が武器を取り出し、腰に装着したのを確認して、ニタリと笑った。
 心を落ち着けるように身体を上下に揺らし、剣崎の出方を伺う。
 最初から、敵が本気になってくれるのを待っていたのが彼だ。
 剣崎が戦う準備を終えるまでならば、アーチャーは待ち続けるだろう。

「──変身!」

 ──Turn Up──

 剣崎の、この場での二度目の変身が始まる。
 彼の目の前に現れた、変身者のゲート──オリハルコンエレメント。

「はああああああああああ!!」

 それを、剣崎は疾走して潜った、彼の身にブレイドアーマーが装着される。
 資格を持つ人間しか潜りえないのがこのオリハルコンエレメントだ。勇気さえも試される。
 人々を守る覚悟と勇気を伴った、剣崎のもう一つの姿──その名は仮面ライダーブレイド。
 カブトムシの力を持つ青い鎧に身を包んだ、人類の守護者である。

「ウェイッッッッ!!!!!!!」

 ブレイドは、叫びながら、腰につけた剣を構え、その小さな剣をアーチャーに向けて凪いだ。
 アーチャーは、大剣を縦に構えてそれを防ぎ、笑った。
 敵を傷つける意思を持って放った斬撃である。
 ブレイドも少しは驚いたに違いない。──こんなにも自在に、あの大剣を操るなんて。

 しかも、敵はその状況で喋る余裕を伴っていた。
 ブレイドが必死になって叩きつける一撃を、あまり意に介していないらしい。
 ただ、戦いが始まった喜びだけはあるようだった。

「──鎧を身に着けた……、その剣、『セイバー』というわけか」

「ああ……!」

「ならばこそ、戦い甲斐がある……最強のクラス『セイバー』のお前とならなァッ!!」

 アーチャーは、その筋力でブレイドの攻撃を跳ね返す。
 生身の人間でありながら、鍛えあげたその肉体は、仮面ライダーの力さえも退ける。

「……なぜ、お前はそんなに闘いたがるんだ……! マスターの願いの為じゃないだろぉッ!?」

「マスターなんて関係ないのさ!」

 ブレイドが数歩後退し、また、アーチャーの巨大な剣がブレイドに向けて襲い掛かった。
 今度は、手加減抜きに、ブレイドの鎧を砕かんと振り上げられる。
 思った以上によろける。──アーチャーの力は、アンデッドよりも強かった。

「くらえッ!!」

 ──そして、それは狙い通り、次の瞬間にブレイドの鎧の肩の装甲に叩きつけられている。
 本当に素早い動き。
 硝子が砕けるように肩のアーマーが砕け、中にある剣崎の肉体までもを傷つける。

「くッ!」

 よく磨かれた剣──そして、それを苦も無く操る、よく鍛え上げられた怪力。
 強き弓兵だ。──敵は果たして、何者か。
 もしかすると、ロビン・フッドなど、有名な英霊なのではないか、とブレイドは思う。

「ぐあああああ……ッッ!!」

 痛みが、左肩から全身に駆け抜ける。
 ブレイドにこうしてダメージを与えられるのはなかなかの実力者だ。
 戦闘経験は高いものの、この二日間での「仮面ライダーブレイド」としての戦いは──実に数万年以上のブランクがある故、少しの鈍さがある。
 だが。

(……俺は、!)

 そう──こう見えても剣崎自身の耐久性は高いのだ。
 何せ、不死の怪物だ。
 自己犠牲的な戦い方だって、彼は辞さないし、実際にしてきたのである。



「俺は、戦えないマスターの為の、剣になる……その為に、負けるワケには行かないッ!」



 故に、どういう形であれ、こうして接近し、攻撃を当てた時点で──アーチャーの敗北は確定した。
 肉を切らせて骨を断つ覚悟で──カードをラッシュし、ブレイドはアーチャーに攻撃を放とうとする。

 ──Slash──
 ──Thunder──

 傷つく左肩を動かし、カードは醒剣ブレイラウザーにラッシュされる。
 スペードの2──スラッシュリザードと、スペードの6──サンダーディアーの力を借りた。
 カードに封印されたアンデッドたちの能力を借りて、ブレイドは敵に攻撃を放てるのだ。
 この距離ならば、斬撃に対しては、かなり有効である。

「──ウェェェェェェェイッッ!!!!」



 ──Lightning Slash──




◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 ──それから数十分が経過した。



 外はすっかり夕暮れである。
 傷つき、病院の壁にもたれるように寝そべっている剣崎の前には、真姫がいた。
 剣崎は、あのまま、見事アーチャーを断ち、勝利せしめた。
 アーチャーの一撃は強かった──故に、「肉を切らせて骨を断った」とはいえ、切れた肉は勝利しても尚痛いわけである。

「──ほら、これでオッケーよ。効くかわからないけどね」

 病院から持ってきたのか、救急箱で剣崎に応急処置を行う真姫。
 剣崎と真姫とが行ったのは、実に二日ぶりの会話だった。

「……」

 サーヴァントである剣崎には、人間の消毒法などナンセンスだ。
 それは真姫の知識が薄いせいもあるが──だとしても真姫は、剣崎が人間でない事くらいは知ってしまっているので、やはりナンセンスな事には違いないかもしれない。
 せめてもの思いやりか、あるいは、再び会話を取り戻す為の口実なのか、剣崎は考えたが──どちらにせよ、ありがたい事に違いなかった。
 この傷を与えた強敵も、この包帯を巻いてくれている人間も……剣崎がいま刻んでいる新しい仲間だったのかもしれない。
 無邪気にはにかみながら、剣崎は真姫に礼を言う。

「ありがとう、マスター……」

「真姫でいいわよ」

 間髪入れずに、そう返した真姫。
 視線はぷいと向こうを見て、こんな所で視線を交わし合うのを避けた。
 恥ずかしいのだろう。──剣崎には、こうした女心は何万年かかってもわからなそうだが。

「……」

 こんな風に告げたのは、真姫もせめて、従者ではなく人間として彼に接したいという考えに至ったに違いない。
 セイバー、そして、マスターというのでは、あまりに機械的な関係だ。
 それではいけない、というのが真姫の自力で出した結論だった。

 目の前にいるのは、剣崎一真という一人の男。──別の世界で、人間を救う為に頑張ってくれた、普通の「人間」だ。
 真名が発覚しては不味い(と言っても、検索すればわかってしまうのだが)ので、一応、真姫の方からは「セイバー」としか呼べないが、そのくらいの形式性は許してもらおう。
 まだ余所余所しさは抜けないが、それでも何とかうまく、「人間同士」の関係に治そうとする。

 で、過度に尊敬を強調して「セイバーさん」と呼び敬語を使うのも変だったし、ぱっと出てきたのは、μ'sの先輩に対する時のようなフランクな喋り方だった。
 仮にも成人男性に対して、タメ口は流石にまずいが、「成人男性」である事と、「人間」である事と、「サーヴァント」である事と、「人を救った人間」である事とが複雑に混ざり合った結果、これが一番自然だと思ったわけである。
 これも今更直すと却って変だ。……ただでさえ、口を利かなかったせいで少し気まずいというのに。

「真姫ちゃん、俺の事、全部調べたんだよな……」

 すると、一番訊きたかった事を、剣崎は訊いた。
 真姫は少し躊躇してから、剣崎を横目で見て答えた。

「ええ。調べられる限りは全部ね」

「俺がアンデッドだって事も」

「……ええ」

「そうか」

 それだけ聞くと、感想もなく、剣崎は立ち上がった。
 少し気にしているようだが、剣崎はもとより、半分獣のようになりながら人を救った男。
 この程度で、元の明るさを消し去る人間ではない──真姫が普通に接してくれるというのなら、それで十分なわけだ。

 怪物と虐げられる事だって慣れている剣崎だ。
 だから、この二日、真姫が自分を避けていた事も全て無かった事にする。
 剣崎はまた、この東京で、仮面ライダーブレイドとして戦う──。それがまるで、昨日の事のようで、彼には不思議な感覚だった。
 日本という国で、今を生きる人間がいる……。それをこんなに近くで見ている……。

「……」

 だが、その事を考えるのは辞めた。
 いや、辞めるというより、あんまり深く考える事でもないと思ったのだ。



(──本当に、昨日の事みたいだからな。この国にいるのが……)



 懐かしい日本でのアンデッドとの戦いの日々は、今更回想するまでもない。
 このまま、自分の住む牧場に帰りたくなるほど、この場所は足になじんだ。
 日本という国が自分の故郷で、自分にとって最も吸いたい空気があるのだろう。
 勿論、旅先にも思い入れはある──ここは、剣崎にとって「いくつもある故郷」のうちの一つなのかもしれない。

「……」

 ふと、剣崎は駐車場の一角を見た。
 そして、独り言ちるように呟く。

「……ライ病って、今でも治る病気なんだよな」

「え? ハンセン病の事……? 今ではもう──」

「──いや、ごめん……。今言った事は、気にしないでくれ」

 真姫は、怪訝そうな顔で剣崎を見た。
 だが、当人が言うように、あまり気にする事ではないのだろう。



 剣崎は、アーチャーが消えた場所を少し見つめながら、真姫を追うようにその場を去ろうとする。

(お前は強かったよ、アーチャー……お前の弓の腕も、見てみたかった)

 剣崎が戦ったアーチャーの正体は、『無銘の弓兵』だった。
 彼は、あれだけの強さを磨きながら、ライ病が見つかり、療養所に隔離された事で戦闘が出来なかった、と言うのである。
 すなわち、戦う為に生き、戦う為に鍛え、戦う意思もあったのに、祖国や家族の為に戦えなかった英霊なのである。
 もし前線で戦えば、それこそ並みの相手では太刀打ちできない。
 全盛期の姿で顕現した彼が、真っ先に行ったのが「戦闘」だったのは、こうした理由があったというわけだ。

 そんな彼は死に際、剣崎に微笑みながら告げた。

 俺は弱かった、と。
 もしかつて戦う事が出来ていたとしても活躍はできなかっただろう、と。
 かつて自分はライを発症して戦う事が出来なかった、と。
 全ての訓練は無駄だったのだ、と。
 これがお前の聞きたかった俺が闘いたかった理由だ、と。
 これで満足か、と。
 もう俺は戦う事は諦める、と。
 これで踏ん切りがついた、と。
 お前は強い、と。
 その力で自分の戦いを続けろ、と。

 そんな、戦いに取りつかれ、戦いを終えられた怨念がアーチャーの正体だったわけだ。
 奇しくも、この病院という場所で散った無銘の弓兵。
 彼はこの戦いを遂げる事が出来て幸せそうであった……。

 彼は狂人ではなかった。
 剣崎の戦った中では、かなり尊敬すべき好敵手だった、と思う。


(お前は、俺とは違う。もうお前を囲う運命なんてないんだ。──一緒に鍛えた、大事な戦友たちの傍で眠っていてくれ……)


 剣崎は、自らが散らした無銘の弓兵の死地に微笑みかけ、その場を去った。





【CLASS】

セイバー

【真名】

剣崎一真@仮面ライダー剣(ブレイド)

【パラメーター】

基本
 筋力D+ 耐久B 敏捷C+ 魔力B 幸運E 宝具EX

※変身時のパラメーターはその際の「融合係数」により変動する。

【属性】

秩序・善 

【クラススキル】

対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:B
 騎乗の才能。
 大抵の乗り物は乗りこなす事が出来る。主にバイクの運転に特化している。

【保有スキル】

戦闘続行:A
 名称通り戦闘を続行する為の能力。
 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。「往生際の悪さ」あるいは「生還能力」と表現される。
 彼の場合、そもそも事実上、不死の体質を持ったサーヴァントである為、このスキルはAランクである。
 ただし、限度が来ると死亡とまではいかずとも、一定時間、バックルを開いたまま気を失う事はある。

変身:C
 自らのカタチを変えるスキル。
 この剣崎一真という若者としての姿もまた、ジョーカーアンデッドを真の姿とした時の偽の姿であるかもしれない。
 少なくとも、剣崎の姿とジョーカーの姿を使い分ける事は出来るが、それ以外はおそらく不可能。
 また、彼は自身の持つ『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』の宝具によって、各種のアンデッドの姿へと変身する事も出来る。
 それは、彼が不死生物アンデッドであるが故の性質であり、あらゆるアンデッドに変身できるのが彼のスキル。
 基本的に宝具なしに変身できるのは、剣崎とジョーカーの二つの姿のみ。

不死の怪物:A
 ジョーカーアンデッドである彼に与えられたスキル。
 攻撃によるダメージや疲労の蓄積は起こるが、少なくともマスターが存在する限り死ぬ事がない。

闘争本能:A
 戦闘を求め続けるスキル。
 この闘争本能の主な対象は不死生物アンデッドであるが、時として他のサーヴァントやマスターなど力ある者に向けられる。
 セイバー自身が自分の意思で鎮めているが、強者ばかりであると同時にかつての仲間もいない聖杯戦争においては、再暴走の危険も充分に考えられる。


【宝物/宝具】

『魔物飼いならす剣の紋(ブレイバックル)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~52
 仮面ライダーブレイドに変身する為の変身ベルトであり、元々は、ヒトだった頃の剣崎が所属していた「BOARD」という組織により開発された人工遺物。
 史実においては、その身を怪物へと変えた時にこの宝具を人類のもとに返還したが、後にこの宝具を再び手に取り戦ったという説話も幾つか存在する。
 何にせよ、生前これを手にして戦っていた伝説に基づいての現界が可能である。
 効果は、彼に「仮面ライダー」としての姿を与えると同時に、パラメーターを常時より大きく上昇させる事。
 ちなみにこのパラメーターは彼の感情の機微から変動する「融合係数」によって上下し、変身時の感情によって戦闘力は変化する事になる。
 当然ながら強ければ強いほどに、セイバーの意図と関わらずマスターの魔力消費も大きくなり、戦闘時に使用するアタックポイントもまた使うほどマスターの魔力を消費する事になる。
 とはいえ、普通に戦う分にはこの姿では、マスターの負担が絶大になるという事はない(融合係数やアタックポイントには限界値がある為)。
 問題は、この宝具と併用して『剣立つ十三祖との融合器(ラウズアブゾーバー)』を使用した場合の事である(後述)。


『十三祖との融合器(ラウズアブゾーバー)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~52
 仮面ライダーブレイドの更なる力を解放する為の予備ツール。これもまたBOARDに開発された人工遺物である。
 これと、『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』を併用する事でブレイドをジャックフォームやキングフォームへと変身させ、常時のブレイド以上の戦闘能力を引きだす事が可能となる。
 ただし、ジャックフォームやキングフォームへと変身するという事は、それだけ魔力消費も大きいという事である為注意が要される。
 更には、魔力を供給する関係である為、同一マスターと共にこの宝具を使用して変身する回数が13回に達した場合、マスターもまた不死生物となるリスクを持っている。
 勿論、マスターがアンデッドと化した場合、魔力の上昇と不死の体質が加算される為、聖杯戦争は一層優位になるが、下手をすれば聖杯でさえも汚染しかねない。
 また、13回に達さないとしてもマスター側の精神や聖杯を蝕み、それぞれ暴走を引き起こす可能性はゼロではない為、多用は危険な宝具である。
 尚、伝説によるとサーヴァント自身もかつてこの宝具によって、ヒトの姿を失っているとされる。


『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』
ランク:A~D 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~52
 52種の生物の祖たる不死の怪物【アンデッド】を封印したカード型の宝具。トランプと同様の52枚が存在する。
 しかし、かつての彼がスペードに該当する戦士だった事から、スペードの13枚のみが彼の宝具として存在しており、他のカードは生前使用していても現界ができない。
 剣崎一真自身も現在はアンデッドの性質を持つが、仮面ライダーブレイドに変身する際はこれらのカードに封印された獣たちの力を借りて戦う事になる。
 ちなみに、『魔物飼いならす剣の紋(ブレイバックル)』 を使用する際は自動的にスペードAのカードを使用する必要があるなど、各種カードによって能力や性質は異なる。
 13種類もあるので、各自で調べるべし。


『運命の切札(ジョーカー・アンデッド)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1(自分)
 不死生物アンデッドとしての彼のもう一つの姿と性質。
 彼が仲間との戦いの中で掴んだ「運命の切り札」であるが故、宝具として成立している。
 アンデッドとの融合を限界まで行いすぎた為に生じた為に剣崎一真の身体は完全にアンデッドとなっており、それ故に普段の彼は「不死の生命体」である。
 この運命がある限り、アンデッドとしての闘争の本能に苛まれる事となり、彼はその声と戦い続けている。
 この宝具の発動時は、『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』に封印されたアンデッドの姿を借りる事が出来る。
 また、仮に、彼がこの宝具を持ったまま受肉してしまうと、他のアンデッドが場に存在しない限り、彼の起こすダークローチ現象により人類は滅亡し、新たな種が生まれる為のバトルファイトが開始してしまう。
 彼自身はそれを全く望んでおらず、むしろ人類種がこのまま在りつづける事を望んでいる故、受肉を望む事はない。


【weapon】

『魔物飼いならす剣の紋(ブレイバックル)』

『剣立つ十三祖との融合器(ラウズアブゾーバー)』

『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』(スペードA~Kの13枚)

『醒剣ブレイラウザー』
 仮面ライダーブレイドへと変身した際に現出する剣。
 12枚の『封印されし五十二の生物祖(ラウズカード)』がこの中に収納されており、ブレイドは戦闘時にこれをラウズして戦闘する。
 しかし、無制限にカードを使用して戦闘できるわけではなく、各カードごとに消費するAPを支払わなければならない。
 このブレイラウザーの初期APは5000。

『醒剣ブレイラウザー(強化型)』
 仮面ライダーブレイド・ジャックフォームへと強化変身した際に現出する剣。初期APは7400。

『重醒剣キングラウザー』
 仮面ライダーブレイド・キングフォームへと強化変身した際に現出する剣。初期APは9600。
 ラウズが自動装填式になっている。


【人物背景】

 たいせつな友を救う為に運命を選び、仲間たちの前から姿を消した男。
 自らが選んだ運命と数千年、数万年と戦い続け、それから彼がどうなったのかはわからない。
 アフリカの内戦地では、戦災孤児たちを助けている「人とも獣ともわからぬ姿の男」がいたとされる。


【サーヴァントとしての願い】

 マスターである真姫の護衛を最優先とする。


【基本戦術、方針、運用法】

 仮面ライダーなので変身させる事が主戦法であるが、長い時代信仰を集めた存在である事や、人ならざる物である事もあり、基礎パラメーターからしてなかなか高い。
 変身時のパラメーターは基本的にはその時のセイバーの気分次第であるものの、元が熱い性格である為に融合係数も普段から高く、数万年を生きた戦闘力や忍耐力も加わって、相当強いサーヴァントだと言えるだろう。
 更には、元々が不死生物なので、どこまでも戦えるという利点があるという、戦闘に関してはほぼ文句なしの性能を誇る。

 しかし、弱点はそれを使うマスターの側にある。
 要するに、彼の力を引きだすには高い魔力が要されるが、マスターの魔力が弱ければ、負担も大きくなるという事である。
 特に、ジャックフォーム、キングフォームなどの強化形態を使っての戦闘は避けるべき。余程の相手以外には絶対に使ってはならないだろう。
 普段の通常のブレイドならば、融合係数が上昇したりAPを消費したりしてもマスターに大きな負担をかける程の魔力消費はないので、APの範囲で戦うのが吉。

 それから、更に大きな問題として、キングフォームへの変身時のリスクがマスターにも行き渡る事がある。
 使わなければ良い話とはいえ、キングフォームへの変身を繰り返すと、魔力消費だけでなく、キングフォーム自身が持つリスクもマスターに降りかかってしまう。
 その為、マスター側が暴走、不死化する可能性はゼロではない。下手をすると、マスターだけでなく聖杯まで汚染する危険性がある。
 使ったとしても、片手で数えるほどがキングフォームを使える限度(普通はそんなに使わないので問題ないと思うが…)。


【備考】

※参考としている作品は、「仮面ライダー剣」及び、小説「仮面ライダー剣 たそがれ」。
 外見等の一部設定は講談社キャラクター文庫の「小説 仮面ライダーブレイド」も参考にしているが、剣崎自身はあくまで上記の二作の出来事のみを記憶しており、それ以外の話は特に検索施設のデータ上にもない物とする。
 その他、「仮面ライダーディケイド」以降の客演、「劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE」などは、この剣崎の記憶にはないパラレルと扱う(時系列等色々とややこしくなりそうな為)。

※剣崎一真はこの聖杯戦争に再現された場において、唯一の「アンデッド」である故、本来ならばダークローチが大量発生し、人類を滅びに向かわせるリスクがある。
 しかし、聖杯側の調整でその現象は抑えられており、マスターが生存している以上はまずダークローチは発生しない。





【マスター】

西木野真姫@ラブライブ!

【マスターとしての願い】

 聖杯戦争からの脱出。
 セイバーを友人「相川始」に会わせたい気持ちも無いわけじゃないが、それは聖杯に託す願いとは別の事。

【weapon】

 なし

【能力・技能】

 ピアノなど音楽に精通し、その関係からμ'sでは作曲を担当する。
 将来の夢として医者を志望している為、常に成績優秀。

【人物背景】

 音ノ木坂学院のスクールアイドルμ'sの一員。作曲も担当。
 大病院の家に生まれた一人っ子で、将来はそれを継ぐ為に脳外科医になる予定。
 サンタさんを信じている。家族想い。
 彼女の著名なファンとして、俳優の椿隆之などがいる。

【方針】

 セイバーと協力し、聖杯戦争からの脱出を行う。



候補作投下順



最終更新:2016年03月03日 11:46