magic_xx01 @ ウィキ

年も開けて冬季休暇もそろそろ終わろうかと言うそんな時期。
実家に帰省している人も、寮で年明けを過ごした人も、反省房でもやもやを抱えている人も、冬季休暇なんて教師にはねえよ！　と血涙を流している人も、全てに等しくこの通知は届いた。

カメリア「てめぇらに朗報だ！　ネポック初の箒レース【シルバーバレットレース】の開幕が決まったぜ！」

なんでも優勝者には、校長の権限とポケットマネーで叶えられる範囲ならなんでも願いを叶えてくれるとか。

ちなみにレースに参加する場合に限り、競技中は反省房から出られるぞ！

三つの障害物があるコースと、一つのストレートなコースを飛ぶレースをするロールイベント。

飛行手段は箒でなくても構わない。絨毯でも翼でもハーピィの背中でも。とにかく飛行さえできればなんでもオーケー。

この時、コースが終わるたびに!randomを振る。つまり合計4回振る。
この合計の数値が低いほどいいタイムが出たということになる。

障害物のあるコースでは!randomの数値に余分に数値が増えることになる。

しかし、いい発想、いいロールによってはこの余分な数値を減らすことができる。やりようによっては本来の数値よりも減ることもあるかもしれない。

なお、魔法などによる妨害は相手に怪我をさせない程度なら許可されているが、怪我や命に関わる危険行為をしたものは失格。

墜落したとしてもコースに特別な術式が施されているため、安全に観客席へと転送される。

各々の願いを胸に開催されたシルバーバレットレース。
スタート地点から選手同士でバトルが勃発するものの、一同は第一の難関へとたどり着く。

第一の難関、岩柱の渓谷はシャディとのコンビネーションによりより複雑な迷宮と化した。
だが、選手たちはこれを時に避け、時に破壊し切り抜けていった。

第二の難関、回転円盤マシーンは、三つ並んだ回る円盤がそれぞれ、三つ、二つ、一つの穴が空いているという形になっていて、横ばいになる選手たちを選別する役割を持っていた。
それに加え、タウゼントによる円盤の穴をより多く見せるカモフラージュや、ウィルによる大竜巻の壁が選手たちの行く手を阻んだ。
しかし彼らは、知恵と勇気を振り絞り、この難関を突破。

第三の難関、雨乞い部による暴風雨地帯は、レイヴンの魔法による熱湯雨、そしてアルストロメリアによる多数の落雷により混沌を極めた。
阿鼻叫喚が響くも、なんとかこの難関を突破する。

最後にストレートコースが訪れた。
最後の最後に妨害合戦が起きたが、皆一様に戦い抜いた。
結果的に二人のリタイアが出ることになったが、それでも彼ら彼女らが起こした熱き戦いは値千金と言えるだろう。

そんな熾烈な戦場を戦い抜き、満身創痍ながらも見事優勝を果たしたのは、リュネスであった。
おめでとうリュネス。初代チャンピオンの栄光は君の手に。

（風に舞う一枚の紙）

君がそれを手に取ってみるなら、どうやらこれが今回のレースコースを記した地図であることがわかる。
それを目にした時、きっと君はちょっとした違和感を感じるだろう。
そのコースは、星の形をしていた。
そこまでならただそういうデザインだった、で終わるかもしれない。
しかし、その星の形は妙に歪だ。歪な星が、観客席を中心に展開されているのだ。
君は妙に釈然としない、暗雲のようにたゆたう不安を胸に、その場を後にした。