配達中の厄介事

おいおい、聞いてないぞ。
晴れからいきなりまともに前も見えないような吹雪になるなんて。
まったく、とんだ厄介事に出くわしちまったぜ。

…それに、後ろの豚と猪野郎に、前の鶏野郎もな。
ただでさえ視界が悪いのに面倒を増やすなよ…。

ちっ、雪で見えにくかったが、ミノタウロスまでいるのかよ…。
しかもアッシュラのあの化け物牛から生まれたみたいな、とびきりのガチムチのやつが。
ここ最近、オートデザイスに大陸にしかいなかったはずの強力な魔物の目撃報告が相次いでいるが、これはやりすぎだろう。
"赤い封蝋"の手紙の配達だったらともかく、普通の郵便配達だ。
まともな装備なんてしてないときにまいったな。

さて、弓が一つに、矢が30本、もしものときの火薬矢は…ついてないな、5本しか持ってきてない。
ま、郵便配達だけでそんな物騒なもんをしこたま持ってたら確実に検問で怪しまれるけどな。

肉屋に売っぱらえば郵便屋なんかより遥かにいい金になる…なんてのんきなことは言ってられないな。
一歩間違えなくても、こっちが肉塊にされてもおかしくないメンツだ。
ま、肉塊で済めばまだマシってとこだがな…。

……囲まれたか。
遠距離戦なんて絶対させてくれないなんていう、アルディナ石膏並みの固い意思すら感じられるぜ。
………連携が取れ過ぎてる。間違いなく、誰かに躾けられて訓練された魔物だ。
どこのどいつだよこんな物騒な連中に厄介な知恵を着けさせたのは…。

さて、と……それじゃあどうやってこの厄介事から逃げ出すかな。
逃げられる余地を与えてくれれば、の話だが。


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最終更新:2022年12月29日 14:05