ロクシア探究記 第二章

【やあ、私はリスリー。リスリー・ジョーンズ。この魔映写映像を見ている君は、
もっと世界のことを知りたいと思っているようだね。聞かずともわかるさ、
この映像を見ている時点で探究心が少なからずあると分かっている。
今回は、この遺跡の全貌を映していこう。これからは、この映像に出している字幕ではなく、声で喋ろう。】

「んん、おほん。改めて、私はリスリー。ちまたでは博士とか言われているが、私にまだその称号はもったいないと思う。」
「今回は、この不思議の国の遺跡の一つ、ヴィ・ガッタの祠の全貌を見せよう。」
「既に魔力供給は止まっているはずなのに、まだ動いている魔動機械など、謎が多い祠だが、」
「全ての部屋は探索され、宝などももう回収してある。不思議の国に住む魔物たちに殺されたくなければ、近寄らないことだ。」
「さて、では中に入ろう。」
こうして、リスリー博士は祠の中に進んでいった。
「うむ、いつ見ても神秘的だ。未だに動いている歯車、謎の機械…興味をそそるものばかり。」
周りを見渡せば、機械が大量にある圧巻の光景。この祠にリスリー博士が興味を持ったのもうなずける。それに…
「やはり、これは特に興味がある。マスケット銃やショットガンとも違う、壁にかけられた銃…」
そこにあったのは、ロクシアにあるはずのない、アサルトライフルであった。
「ふむ…ロックがかかっているのか、取り外せた試しはないが…いつか回収したいものだ。では、次へ行こう。」
そういうと、別の部屋に向かい始めるリスリー博士。入った部屋には、機能を停止したロボットたちだった。
「このロボットたちの腕を見てみろ。これは恐らく取り付け型の銃。古代には兵器としてロボットが使われていたことがわかる。」
「それに、この部屋には…」
すると、部屋に一人、何者かが入ってきた。入ってきたと同時に、その人物は、
「この祠に…僕の元の世界の物が…あるらしいですけど…どこかな…」
と口を開く。その言葉にリスリー博士は
「ん、君は誰だい?何か興味深いことを言っていたが…」
と返す。そうすると一瞬驚いたそぶりをしたその人物は
「あ…気にしないでください、ひとりごとです。」
と言う。しかし、リスリー博士はその人物があるものを持っていることに気付く。
「君…それは魔銃…?いや、引き金があるし…少し渡してくれ、調べたい。」
そこのことを口に出すリスリー博士。その人物は目に見えて動揺したそぶりを見せ、
「あ…こ、この相棒は渡せません…お引き取りを…」
と言い、部屋から、祠から出ていった。
気を取り直して、リスリー博士は説明を続ける。
「…ああ、そうだったね。この部屋には、何やらエネルギー発生装置のようなものがあるんだ。」
そういい、何かの発電機のようなものを指さす。そして口を開く。
「あれは、何やらエネルギーを発生させ、機械を動かすことができるもののようだ。今も動いていて、それが魔力の代わりになってるんだと思う」
得意の想像力で仮説を立てる。
「この祠はとても狭く、最初の広間とここだけしか部屋がない。と言うことで、この映像はココで終わりだ。」
「だが、本当の学びは君たちの体で行え。本や、映像を見るだけでは真の学びにはならないぞ。」
<完>



最終更新:2019年04月23日 01:18