「聖杯戦争……ですか」

広大な敷地面積を持つ研究所の一室で、1人の男が呟いた。
男はこの場に招かれた時から、既に全てを理解していた。
偽りの記憶に惑わされなかったのは、男の持つ願いの為か、それとも“体内に有るもの”の為か。
どちらにせよ男は招かれた時点で聖杯戦争に関する知識を得て、サーヴァントを召喚していた。

「目的に至る手段とその過程が変わっただけで、私の願いとやるべき事は一つですが…貴女はどうなのですか?」

左肩に乗せたハゲ人形に顔を向けて、後ろに立つサーヴァントに男は語りかけた。

「私の願いか…変わることなど無い。人類鏖殺。輪廻の輪を断ち切り、人の魂を罪の連鎖から解放する」

そう答えたのは透き通るような白いと肌銀の髪が目を引く黒衣に身を包んだ少女。外見不相応な物言いが、不思議と板についていた

「貴女の願いも終末ですか。救済が目的とはいえ私と目指すものは同じ」

変わらず人形に向かって話す男に、少女は翡翠色の瞳を細めた。

「フン、私をこのクラスで招くだけのことはある。それで、お前の目的は?」

「人類の歴史に終末を齎し人類の歴史を“完成”させる事ですよ」

「“完成”?人類の歴史など何処までも同じ、完成に至ることなく同じ愚行を繰り返し続けるだけ……」

「だからこそ終わらせるのです。物事は終わりを迎えて始めて完成します。人類の歴史も同じく」

少女は呆れた様な目で男の背を見やった、当然男には見えなかったが。

「完成など見るまでも無い、人類の歴史など終焉を迎えるまでもなく終わっている。罪の輪廻という形で……。まあ良い、お前にも見せてやろう、人類の終焉を」

「聖杯を獲る自信がお有りですか?」

少女は小馬鹿にした様な笑みを浮かべた。

「一つの世界を創り、異なる世界に住む人間を集める…。その程度なら、生前の私の七分の一の力で充分可能だ。その一人一人に英霊を宛てがうのは無理だがな。
私を招いた聖杯がどの様なものかは知らぬが、私の力と知識を超えてはいる。だが、人類鏖殺に聖杯など不要だ、私が生前の力を取り戻しさえすればな」

「しかし…その為には聖杯が要る」

「……確かにそうだな。他者の掌の上で踊らされるのは癪だが仕方が無い」

男は納得したかの様に頷いた。

「結構。では、良き終末の為に聖杯を手に入れましょう」

少女は男に応じる様に「ああ…」と呟くと、先ほどから抱いていた疑問を口にする。

「時に、どうして私に向かって話そうとしない?」

「貴女には関係ありません」

少女が僅かに怒りを露わにして男に近づくと、肩の人形を毟り取った。

「此方を向け!!」

刹那、血相を変えて男が少女に飛びかかる!!

「んん″やぁめぇろぉおおおお!!!」




【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
リーゼロッテ・ヴェルクマイスター@11eyes -罪と罰と贖いの少女-

【ステータス】
筋力:D  耐久:E  敏捷:E  幸運:D  魔力:A++  宝具:EX

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】

復讐者:B

燃え盛る復讐の心。復讐を妨げる者に対して抱く憎悪と殺意。
受けた攻撃の痛みを魔力に変える。
洗礼詠唱によりダメージを受けた場合、魔力変換量が倍増する。
アヴェンジャーの行動の動機は復讐心のみではなく、愛でもある為にこのランクに留まる。
ある宗教と関わりの深い英雄に対しては攻撃の威力が倍増する。

忘却補正:A+
その存在は忌むべきものとして記録され、その生涯は凄惨にして、ある国家と巨大宗教にとっての恥部である。
故に彼女は史書から抹消され人々に知られることは無い、記憶されることも無い。故に彼女は素性を気付かれることがなく、対峙しても別れれば記憶から薄れていき、愚かな敵が気付いた時には死命を制している。
正純な英雄に対して攻撃力を倍加させる。
姿形や戦い方、真名・スキル・ステータス・宝具の詳細も時間経過と共に忘れられていく。
ある宗教とある国家にまつわる英雄には更に効果が倍増する。

自己回復(魔力):B+
復讐を遂げるまでその命は潰え無い。復讐心が燃え盛る限りその身は立ち続ける。
魔力が自動回復する。ある宗教と関わりの深い英雄に対した時は体力も回復する。


【保有スキル】

不老不死
宝具により死ぬことが無い。斬られる端から再生し、生きながら身体が腐り、四肢もろくに動かせない状態から瞬く間に健康体になるほどの再生能力を持つ。
Aランクの単独行動スキルも併せ持つ。
宝具“虚無の魔石”が砕かれぬ限り、霊核が破壊されても再生するが、この状態からの再生にはマスター及びアヴェンジャーは莫大な魔力を消費する。
魔力が枯渇すれば当然ながら消滅する。

戦闘続行:EX
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、宝具を破壊されない限り生き延びる。

魔術:A+++
対魔力を無視して万象を飲み込み無へと還す闇精霊や、強力な炎の魔術を始めとした各魔術に長ける。

対魔力:A+
A+以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、魔術ではアヴェンジャーに傷をつけられない。
アヴェンジャーは3000年に渡って闇精霊の力を吸い続けた“虚無の魔石”を体内に有し、800年の時を生きた欧州最強最古の魔女であり、破格の神秘を有する。



【宝具】
虚無(クリフォト)の魔石
ランク:EX  種別:対人宝具  レンジ :ー  最大補足:1人

アヴェンジャーの身体に埋め込まれている魔石。3000年に渡って闇精霊を吸い続け、漆黒に染まった石は、アヴェンジャーに無限の魔力と終わることの無い命を与えた。
キャスター自身ですら破壊する方法を見つけられなかったこの石は、単なる威力では決して破壊出来ない。
次元レベルで七分割し、七つの平行世界に飛ばす魔法でも死ぬことはなかった。
神造宝具を用いるか、無限の可能性分岐からこの宝具が破壊されている可能性を拾ってくるかでもしない限り破壊出来ない。


幻燈結界(ファンタズマゴリア)
ランク:EX  種別:対界宝具  レンジ :1〜30  最大補足:50人

複数の並行世界や可能性を重ね合わせて一つの世界を形作る。異なる歴史を持つ並行世界の人間を一つに集めて、元々その結界内の世界で生きていた様に認識させることすら出来る……が、
聖杯戦争の根幹を揺るがしかねない魔術の為、此処までの効果は再現出来ない。

対象の心象や記憶を取り込むことで、精神的な傷を抉ったり対象の望む世界を創ることも可能。人の心の不可侵の領域を侵す術。
この結界を破ることは非常に困難。世界そのものを見通す眼でもない限り、結界の中だと知っていても脱出不可能。
創り上げた異界の中に対象を取り込めばまず逃げられることは無い。


奈落落とし(ケェス・ピュトス)
ランク:EX  種別:対界宝具  レンジ :100  最大補足:1000人

闇精霊の溢れる異界への門を開き、地上を闇精霊で満たす。闇精霊は万象を飲み込み消滅させる。
上空に闇精霊の塊で有る“黒い月”として現れ、地上に落ちることで発動する。
聖杯戦争においては宝具としてすら再現されないものだが、アヴェンジャーとして現界したことと、
マスターから供給される膨大な“無の力”と、マスターの願望により再現され、使用が可能となっている。
ただし本来のものとは異なり、幻燈結界を用いて対象を血の色に染まった空と闇に覆われた異界に引きずり込み、そこに“黒い月”を落とす。という形で再現されている。
この宝具を再現した為にアヴェンジャーは本来の能力を再現されず、ステータスが低くなっている。


【weapon】
無尽蔵の魔力と数百年に渡る戦闘経験。

【人物背景】
元々はリゼット・ヴェルトールトいう南仏の都市ベゼルスに暮らす信仰篤い清純な少女だったが、ベゼルスで信仰されていたカタリ派が異端とされ、十字軍によりベゼルスは陥落し、住民はリゼットを除いて皆殺しにされる。
一人生き残ったリゼットも見せしめとして各地を引き回され、凌辱され続ける日々を過ごすうちに信仰を失い、世の全てを呪う様になっていく。
最終的には病に冒され身体が生きながら腐り出してしまい、捨てられる。
そのまま朽ち果てる筈だったリゼットは、自らを賢者と名乗る男、ミシェル=マキシミリアンに“虚無(クリフォト)の魔石”を体内に埋められる。
怨嗟の咆哮を上げ、マキシミリアンの提案を受け入れたリゼットは魔石により回復する。
その後当代最高と謳われた魔術師“ヴェルクマイスター”に師事。魔術師として成長していき、師の死後、名を継いで『リーゼロッテ・ヴェルクマイスター』を名乗る。

この時には復讐心は薄れており、その後は欧州各地で陰謀を行い、混乱を引き起こし、『姦淫(ルクスリア)の魔女』『バビロンの大淫婦』の名で呼ばれる様になる。

1400年代ドラスベニアの王ヴェラードが、自身の持つ魔石と期限を同じくする『刧(アイオン)の眼』を持つと知り、これを奪うべくヴェラードに取り入るが、彼の持つ「人の罪を浄化する為の人類鏖殺」という夢想と、その罪を全て一人で背負う。という姿勢に惹かれ、彼を愛する様になる。

ヴェラードが部下の裏切りにより死亡した事により、再び復讐の心とヴェラードの夢想を成就する為に画策する。
そして1945年、『奈落落とし(ケェス・ピュトス)』発動に最適な条件を持つ日本の地に赴き、そこで禁書目録聖省の討伐部隊と交戦。返り討ちにするものの禁呪を受け、魔石を七つに引き裂かれ、並行世界に分割されて、リーゼロッテも記憶を失い水晶に封じられてしまう。
現実世界で60年が経過し、リーゼロッテの魔石の欠片を持つ者達が封じられた地に集まったことで、術式が起動、並行世界を一つに併せた世界を創り、リーゼロッテ本体がいる赤い夜に欠片を持つものたちを引きずり込む。
最終的に、七分の三の力で復活。その状態でも圧倒的な力を行使し、『奈落落とし(ケェス・ピュトス』を遂行しようとするが、ヴェラードの意志を継いだ当代の『刧(アイオン)の眼』を持つ主人公により魔石を砕かれその生を終える。


【方針】
他の主従を皆殺しにして聖杯を手に入れる。

【聖杯にかける願い】
全ての力を取り戻した上での復活



【マスター】
真木清人@仮面ライダーOOO

【能力・技能】
科学者として非常に優秀な才能を持つ。
体内に紫の“恐竜系メダル”が五枚入っている。宝具に力を吸われている為、グリード化は極めて遅くなっている。

【weapon】
キヨちゃん:
ドクター真ァ木ィが他人と会話する時に必要。これが無いと話せない。
時々勝手にポーズが変わる。呼吸をしている疑惑が有る。

【ロール】
某企業の研究所の所長

【人物背景】
両親を早くに亡くし、姉の手で育てられる。結婚を控えた姉が豹変し、彼を阻害する様になった為、姉の部屋に放火して殺害する。
この事が原因で『醜く変わる前に、美しく優しいうちに完成させる』という思想を持つに至る。
メズールを求めるガメルにこの言葉を語ったり、亡き姉に瓜二つな白石知世子との会話後にも同じ事を考えているあたり、この思想は彼なりの人類愛なのかも知れない。


【令呪の形・位置】
腹の部分(ベルトのバックルがくる辺り)に三重の黒い輪が有る

【聖杯にかける願い】
良き終末を齎し人類の歴史を完成させる

【方針】
聖杯を手に入れる。障害は全て排除。

【参戦時期】
恐竜系メダルを取り込んだ直後

【運用】
スキルと宝具の関係上、消耗と手の内がバレることを気にせずに戦えるのが強み。
だが結局はキャスタークラスに近い能力なので、あまりゴリ押しは出来ない。
対魔力が意味を為さない闇精霊が強力なのでこれを軸に戦う。
最終更新:2016年06月21日 22:07