Quest Notes News(西州新報リーン版)



第5号(2018.01.05発行)

新春冒険者団体戦トーナメント開幕 ~リーン経済の貢献に期待~

 冒険者の実力を目の当たりにできるまちおこしイベント「新春冒険者団体戦トーナメント」が、明日5日開幕する。冒険者の宿「羊のしっぽ」の協力で4チーム計12名の猛者が名乗りを上げ、熱狂的な三日間を楽しめそうだ。
 主催は商工会議所と当局などでつくる実行委員会。会場のコロッセオは主に冒険者の福利厚生的施設であったが、これに集客・収益性を持たせる試みとしての側面ももつ。
 各試合を実況で盛り上げる重責を担うのは露天商のメイファンさん(18歳)。抜擢したのは商工会議所との噂で、これを機に所謂「もぐり」対策を進めたいという事務局の思惑が透けて見える。とはいえメイファンさん自身が過去大会での入賞経験を持つ実力者であり、「一対一の戦いは、水面下の読みあいがぶつかり合う最高のエンターテイメント!会場で手に汗握る決闘を見て一緒に盛り上がろうアルよ!」と意気込みを語った。
 試合は2ポイント先取の星取り戦形式。5日、6日の勝利チームが7日の決勝戦に挑む。優勝チームを予想するトトカルチョも企画され、その収益による今後のイベントの継続も期待されている。

第4号(2017.09.01発行)

“猛獣を討った英雄”死去 ~ロアーヌ伯爵の偉業を振り返る~

  先月執行されたランドルフ・フォン・ロアーヌ伯爵の葬儀は氏に親しい貴族の方々だけでなく多くのリーン市民が会場に集い、50歳という早すぎる死を悼む感動的なものとなった。“猛獣を討った英雄”は我々の心に深く刻まれている。
 語り継がれる偉業は今からちょうど10年前、東方の村ニュンフェドルフにおける“蛮族侵攻” を発端とする。人口200名ほどの同村にオーガを中心とする蛮族軍が襲来。救援要請を受けた議会は討伐部隊の派遣を決定した。先遣隊“ヘルハウンズ”は “猛獣”の異名を持つヴィクトル隊長の指揮のもと、狼の群れの如き圧倒的な強さで死体の山を築きあげ、隊員に多数の犠牲を出しながらも数に勝る蛮族軍を圧倒。本隊の到着を待つことなく、なんと初日にてその任務を完遂したという。
 ところで “猛獣”ヴィクトルはその戦闘能力とともに強欲で暴力的な問題の多い武人としても知られていた。リーン議会はそもそもこの男を信用すべきではなかったのだ。勝利に酔ったならず者らへの次の隊長命令はなんともおぞましいものであった。背景には活躍を重ねながらいつまでも正規軍の将に出世できず、傭兵を率いるばかりの境遇に対する不満があったと分析される(己の悪行を顧みず他人からの評価を断ずる愚かしさよ!)。また、ロアーヌ卿の実弟であるオスカー副隊長が彼の目付役として長く据えられていたことへの反発もあったのだろう。
 先遣隊から遅れること2日、ロアーヌ卿率いる正規軍が見たものは、まさにこの世の地獄としか言いようのない光景だった。放火、略奪、暴行、虐殺…死体と腐臭、蛆に満ちた家々。蛮行を制止しようとして惨殺されたのだろう…オスカー副隊長の変わり果てた姿を見た卿は血の涙を流したと伝えられる。
 ニュンフェドルフの村人達と愛する弟の敵を討つため、またこの惨状が近隣の村々へと広がるのを防ぐために、ロアーヌ卿は精鋭十数名の騎馬隊を編成し“ヘルハウンズ”を追跡。追い詰めた悪鬼たちとの対決によって双方が壊滅状態となるが、卿はその片腕と引き換えに“猛獣”を討ち取ることに成功した。
 リーンへの帰還後は、無謀浅慮にヴィクトルを起用し、結果このような悲劇を引き起こすこととなった議会批判を展開。部下に多数の死傷者を出した将としての自身の責任をも追求し、傭兵だけに頼らない現在の強力な正規軍編成の礎を築いた。以来リーン周辺において大規模な“蛮族侵攻”は見られない。
 爵位を継いだ後は(オスカー氏の悲惨な最期が父伯爵の死期を早めたともされる)は幸運にも“ヘルハウンズ”の毒牙から逃れることのできた村人の一部を領地に迎え、奉公人として手厚く保護することで、傷ついた心を癒やした。伯爵による“ヘルハウンズ”の討伐及び適切な戦後処理が、ニュンフェドルフを発端とする悲劇の拡散を防いだと言えよう。
 生き残った村人の離散によりニュンフェドルフは一度その歴史を閉じた。しかし近年 “顧問官”を名乗る富豪が中心となって移住者を募り、村の復興が進みつつあるという。伯爵が健在の内に新たなニュンフェドルフを訪問されていれば、どんなにか感動的であっただろうと無念を感じずにいられない。
 伯爵の愛娘であるルイーゼ嬢が近日中にニュンフェドルフに赴き、内容は不明だが“顧問官”との会談を計画しているという。この地方の平和のために受け継がれる英雄の遺志に期待しリーン市民としてこれを心から応援していこうではないか。(了)
リーン戦史博物館
(市立図書館併設)にて
ロアーヌ卿追討記念特別展“猛獣を討った英雄”
を開催中です。

第3号(2017.07.15発行)


第2号(2017.06.15発行)

先輩冒険者の流儀~元傭兵隊長に訊く「勝利」の方程式~

 熟練冒険者のこだわりを訊く新連載!
記念すべき第1回目のゲストは、「先輩冒険者キャラ」として慕われているグレンデルさん。
たくさんの新人を育てた彼の『「勝利」の方程式』とは? 
【今日は装飾品について教えて頂けるとか。】
 あー…そうだな、今日は俺の愛用している「勝利」ルーンの付いた装飾品について話すか。身につけたらなんていうか、こう…生命力増進(HP+3)みたいな効果があるヤツだ。生命力っていうのは冒険者にとって一番大事なモンなんだぜ。
【それは具体的にどう有効なんでしょう?】
 生命力を伸ばすメリットは「剣や魔法、どっちを相手にした場合も信頼できる」こと、「耐えることのできるダメージラインを底上げできる」ことだな!ものすごく簡単に言やぁ「どんな状況でも死ににくくなる」ってことよ。いくら依頼で稼いだって命がなけりゃあ意味ねぇだろ?
【今身につけておられるの がそれですね。】
 おうよっ!三つも積みゃあチンピラの拳ぐらいなら三回は笑って耐えられるはずだ!例えるなら…腹筋ばっ
かり半年鍛えるのと同じだけの効果があると思ってくれていい。(HP+9)
【では「勝利」の装飾品を 装備しない手はないと。】
 もちろんデメリットだってあるさ。そうだなぁ…「被弾回数が増える毎に効果を感じられなくなる」こと、「他の装飾品と比べて身体能力への補完効果が薄い」ことだろうな。悩ましい部分もあるだろうが、お前らの冒険スタイルに合わせて装備に組み込んでみてくれ。…ッ、痛てて…。
【そういえばひどい怪我を されていますね?】
 …ん?この傷はなんだってか?実はさっき山賊退治に行ってきたんだけどよ、親玉と幹部以外は大した手練じゃなかったんだが、とにかく数が多くて手こずっちまった。普通なら立ってられないぐらいの重症なんだけどよ、「勝利」効果のおかげでこうして無事生還できたってわけよ。
 …お、ありゃあレ◯ャイナじゃねぇか。ちょうどいい、おーい!ヒールくれ、ヒール!…ちげぇ!そっちは…ああぁぁぁあ!!目がァァ!!!目がァァァ!!!!
【…。グレンデルさん、ありがとうございました!次回もお楽しみに!!】

監禁事件の犯人逮捕!

 法学者カミル氏が監禁・暴行され、意識不明の重体にある事件に関連して、有力貴族ベリル卿の私兵団に所属しているクラウス容疑者が治安隊に拘束された。
 容疑者はカミル氏のかつての友人であり、再会時の口論がきっかけとなって犯行に及んだとのこと。容疑者の部下であった兵士数名も関与が疑われており、ベリル卿は彼らが所属する支隊の隊長である末子マリウス氏に、一部兵士の暴走を止められなかった責を問いその身柄を治安隊に引き渡した上で再発防止と捜査への全面協力を言い渡した。
【独善の塔】


第1号(2017.06.01発行)

第一回月間ランキング戦 ~バトルマニアの祭典閉幕~

 5月1日から一ヶ月間、冒険者の相対的な単独戦闘能力を測る「月間ランキング戦」が開催された。試験的な大会ながらも、150超の試合が組まれるなど盛況のうちに幕を閉じた。会場となったコロッセオも本大会のために突貫で音響をはじめ観客を楽しませるための設備改修作業が進められるなど、リーン経済への貢献度合いも見逃せない結果となった。
 参戦した腕自慢34名の内、見事優勝(ランキング1位)の座を勝ち取ったのは騎士見習いで本大会発案者のフィリップ・レインさん(17歳)。 変則的な動きで相手を翻弄し、両手剣を叩きつけて多くの冒険者を気絶させ、リーン最強の栄誉を手にした。「俺が優勝できたのは数をこなしたから。慢心せずにこれからも精進したいなあ。模擬戦やろうよ!」と優勝者の弁。
 僅差で2位になったのは東方の国出身の中華娘メイファンさん(18歳)。布製の道着に武器を持たず堅く握った両拳、厳しい修行で身につけた体術を駆使する独特のファイトスタイルで並み居る強豪を圧倒。慣れない魔法に苦戦する場面もあったが、フィリップさん相手には全勝する健闘を見せて準優勝を果たした。「1位になれなかったのは残念だケド、入賞できて良かった!格闘だけじゃなく消火器や羽毛布団の販売もやるアル!中華娘の露天をよろしくアル!」と話した。
 大成功の結果について企画・運営責任者でもあったフィリップさんは「ただ俺が模擬戦を楽しみたくて企画したもの。付き合ってくれた皆には感謝してるよ。今回試みたように互いが条件を合意した上で、スタイルの相性差を埋めて対戦する形式が定着したらいいなあ。もっと参加し易いルールを考えて企画していくから、今後ともよろしくね!」と意気込みを語った。

みーちゃん見つかる 冒険者が猫捕獲でお手柄!

 中央広場在住市民の飼い猫みーちゃんが行方不明となっていた事件で、先週冒険者の一人が発見・保護に成功。みーちゃんに怪我はなく、無事に飼い主のコーヌさんの元へ戻された。
 捕獲したA氏(匿名)は、「冒険者の仕事にとって市民の皆さんの笑顔が一番の報酬。我々を不審者として見る方々も多いが、是非長い目で冒険者の働きを見守ってほしい」と語った。

睡眠魔法強化してた!?

 スリーピングの成立には能動的(抵抗)及び受動的(知力対抗判定)と二段階の対抗処置のクリアが必要だ。これまで受け手が意志力を込めた場合、この両方に影響するとされてきたが「能動的対抗処置にしか反映映されない」とする主張があり検証の結果これが事実であることが確認された。
 発見者の一人であるドルデン氏は「仕様変更による術者優勢は仕方がないが、冒険者の手引(攻略Wiki)に誤った記述があるのは問題でさあ」と声を震わせる。
 魔術師ギルドのコメント「我々は手引の編集に関知しておらず責任はない。魔法の素人が書いたものを妄信することこそが問題だ」。


最終更新:2018年01月04日 16:37