東の隠された島に存在する、女性だけの宮がある。
彼女らは巫女と呼ばれ、不思議な癒しの力を用い、影ながら人々を救ってきた。
癒しの力は、人が本来持つ治癒力(氣)を増幅させ回復を早める手助けをするものだが、この世界唯一の「回復術」である。
魔導術には傷を癒し病を消し去る術はなく、秘術もまた医療の範囲を越えない。だがこの巫女の力だけは、まるでその場で奇跡が起きたかのように傷を消し去り、病床の者を回復させるのだ。しかしもちろん、既に死した体を蘇らせることは出来ない。失くなってしまったものを元に戻すような再生の力ではない。
現在鳳凰宮には「天照巫女(あまてらすみこ)」を筆頭に、女性ばかりが100人ほど住まう。
ほとんどが戦災孤児や意図的に売られてきた者で、宮ですべての教養と癒しの力を用いる方法を学ぶ。
産まれてから死ぬまで外界、異性との接触を強く禁じられており、清き体でなければならぬとされている。
だが作中で新羅が「巫女は汚れてはならない。男と通じてはいけない。そうやって、君たちを癒しの巫女として宮に留め、利益を得る」と発言していることから、鳳凰宮自体が巨大な鳥籠であり、何者かの利益の為に作られたものではないかという憶測もある。
現天照巫女は千夜(ちよ)。弥生とは同じ時期に鳳凰宮に入ったらしく、彼女が宮から逃げ出した時、残された千夜に待っていたのは深い孤独であった。
最終更新:2017年01月09日 11:38