第2回(2017/4/30)

参加PC



ヴァンサスを追え

TRACKING VANTHUS
テラクニアン城にある一族の金庫の金がほとんどなくなっていた事を知り、もしかすると盗まれたのではないかと考えたラヴィニアは、城の金庫番の事務員に対して、最近誰か他の者がこの金庫を訪れていないか尋ねた。
事務員はそれに対して肯定の返事をし、彼女の弟であるヴァンサスがここ1ヶ月ほどの間に何度も金庫を訪れていると答えた。
この事務員はここ1ヶ月ほどの間、ヴァンサスが行方不明であり、ラヴィニアが彼が金庫を訪問していたことを知らなかったと言うことを知るとショックを受けた様子であった。
ヴァンサスは印章付き指輪を持っていたし、事務員は彼がヴァンデルボーレン家の人間であることを知っていたためだ。
ラヴィニアはもし再びヴァンサスがこの金庫に入ろうとしたなら、彼女に連絡をくれるようお願いをし、事務員はそのことに同意した。
金庫を出たラヴィニアはPCたちにまた別の依頼をしたいので後日できる限り早いときに彼女の邸宅を訪問してくれないかと依頼をした。

2日後、再びヴァンデルボーレン邸を訪問したPCたちは、そこでラヴィニアから弟ヴァンサスを探してくれるよう依頼を受けた。
彼女は弟との思い出を語ってくれた。
彼ら2人は、両親があまり近くにいなかったために、仲良く一緒に育ったのだという。
彼らは互いに頼りあって育ち、一緒になっていくつもの悪戯を企てたりする子供時代を過ごした。
ある時、何本ものエリクサー・オヴ・ラヴを近所の給水塔に注ぎ入れるというとんでもない悪戯がばれて、2人の子供時代は終わりを告げた。
ラヴィニアはテナラー学院(花嫁修行のための女学校。貴族地区22番)に入れられ、それからの5年間をそこで暮らした。
一方、ヴァンサスは叔父ケイラムの経営する郊外の荘園での労働に送り込まれた。
強い精神を育てることがヴァンデルボーレン家の男たるものの務めだという父親の方針のためだ。
約1年前に家族の屋敷に戻ってきたとき、彼らは2人ともすっかり変わってしまっていた。
ラヴィニアは、テナラーでの日々は恵み深いものであったと考えている。
しかしその一方で、ヴァンサスは荘園でのかなりつらい目にあった様子だった。
ヴァンサスはすっかり世をひねて、やることなすことが粗暴な手の付けられない乱暴者になっていたのである。
彼はラヴィニアとは一緒に過ごさなくなり、日中はずっと眠り、夜になるとラヴィニアが“怪しげな連中”として思い出す者たちと過ごすようになった。
ついには、彼は完全に家から出ていってしまった。
ラヴィニアは彼が青空地区に恋人を持っていると信じているが、細かいことは何も知らない。

彼らの両親が死んだとき、ヴァンサスは屋敷に戻ってきて1週間だけ暮らしたが、以前よりいっそう変わってしまっていた。
彼女が愛情を込めて思い出すことができる子供時代のユーモアのセンスは失われてしまい、ラヴィニアの背筋を凍らせるような憎しみに満ちた皮肉と病的な性質がそれに取って代わっていた。
何度も口論を重ねた後、ヴァンサスは彼女に拳を上げた。
ラヴィニアはショックを受け、しばしの間、ヴァンサスもまた同様のショックを受けたであろうと考えていたが、ただちに、彼は新たな本性を表して、しかめっ面をして脅迫じみた様子を見せたのである。
彼は自分の所持品をまとめて出て行ってしまった。それ以来、ラヴィニアは彼を見ていない。
彼女は、弟が変わってしまったことについて、どこかで何か深刻な出来事があったという事は知っているが、それが何であったのか正確には知らない。彼女は彼が悪漢たち、おそらくは密輸業者や盗賊、あるいは場合によっては殺し屋のような者たちの中に隠れ潜んでいるのではないかと考えている。
彼の態度はまるで堅気の人間のそれではなかったが、彼女はまだ遅すぎるという事はないと希望を持っており、もし彼が彼女の元に戻ってくることができるなら、彼女は彼を理解できるように対話をするつもりであり、またかつての彼を取り戻すことができると信じている。
問題は、彼女は彼がどこへ行ったのか知らないという事である。
ラヴィニアはPCたちにヴァンサスを探し出し、彼女のところに連れてきて欲しいと依頼をしてきた。

ひとまず、ヴァンサスは青空地区に恋人がいるかもしれないというラヴィニアの情報にしたがって青空地区での聞き込みを始めたPCたち。
そこでヴァンサスの恋人がブリッサ・サントスという女性だということを突き止める。
彼女は元はスリだったが、画力を買われて都市警備隊のためにモンタージュ画を描くという仕事をしているという。
しかしここしばらく彼女の姿もヴァンサスの姿もこの地区では見られていなかった。
ブリッサ・サントスの住居であるアパートも捜索したが、ここ最近帰ってきていないという。

噂話によれば青空地区では、ペリカン団という地元のワルたちが捕鯨漁師ギルドと対立しているという。
そのペリカン団が根城にしている血に飢えたペリカン亭という居酒屋で、ヴァンサスがペリカン団と一緒にいるところを見たという噂を聞き、その店へ行ってみる。
しかし、そこはつい今しがた行われた大量殺人の現場となっていた。
その居酒屋の店内で5人のペリカン団の幹部が惨殺されていたのである。
唯一の生き残り、血に飢えたペリカン亭の主人ベツロによれば、それをやったのはロータス・ドラゴン団という盗賊ギルドだという。
ヴァンサスが手引きをしてロータス・ドラゴン団を引き入れ、ペリカン団を一挙に壊滅したのである。

青空地区での情報収集の手がかりが切れてしまったので、続いて暗闇海岸で聞き込みを開始したPCたち。
町中で巨大蜘蛛(ジャイアント・ウルフ・スパイダー)やキャリオン・クロウラーと遭遇しつつもそれらを撃退し、聞き込みを進めていった。
“まだ浮いてるよ!”という名前のボートショップでヴァンサスがペンカスという名高い密輸業者と一緒にいた姿を目撃したという証言を得た。
“まだ浮いてるよ!”を訪問して、パンチという名前の店主のドワーフに話を聞くと、ヴァンサスとペンカスはボートを1艘購入して暗闇海岸から西へ向かったという。

西へ向かったという情報を元に、棍棒地区での聞き込みを開始したPCたち。
しかしそこで有益な情報はなかなか手に入らないまま時間だけが経過していった。
聞き込み開始から1週間ほどが経過したので、いったんラヴィニアに途中経過を報告しにいった帰り道、1人のみすぼらしいハーフエルフに声を掛けられる。
シェフトンと名乗ったそのハーフエルフはヴァンサスの居場所を知っているという。
金を要求してきた彼に金貨10枚を支払い、案内された先は暗闇海岸の西、棍棒地区との間にある鸚鵡島であった。


鸚鵡島の地下の脅威

PERIL UNDER PARROT ISLAND
鸚鵡島は東端部分を除いて、ほとんどが30フィートの高さの剥き出しの岩の絶壁で囲まれており、その東端部分だけは比較的容易に上陸できる狭い砂浜がある。
この島は厚い植物相に覆われており、頭上の樹冠は、何百もの騒がしく、鮮やかな羽を持つ鸚鵡たちの巣となっている。
部分的に雑草に覆われた小道が、海岸から島の中央の空き地まで続いており、シェフトンはこの小道を通って空き地までPCたちを連れていった。
空き地の南の端っこに石製の跳ね上げ戸が隠されており、シェフトンはその場所を指し示した。
戸を開くと、暗がりの中に続く5フィート幅のたて孔が現れ、壁にあるフックからロープが垂れ下がっていた。
ヴァンサスはこの地下を密輸の隠れ家に使っているのだという。
この地下へ降りていったPCたちはそこに広がるダンジョンを見つけた。
と、そこでたて孔のロープがずるずると落ちてきて、血まみれのシェフトンが孔に落下してきた。
シェフトンは背中を一刺しされてこと切れていた。
孔の上から1人の男が顔をのぞかせた。逆光で顔は良く見えなかった。
その男は「そっちにいるペンカスの幽霊に宜しく言っておいてくれたまえ!」とか、「私の姉と密通した当然の報いだ、クソ野郎どもめ」といったような事を言うと、跳ね上げ戸を閉め、上に大きな丸石を載せたようである。
PCたちはこの地下に閉じ込められてしまったのである。

やむなくこの地下トンネルを捜索にでかけたPCたち。
内部は相当に古い施設のようで、天井を支える木製の柱はことごとくが湿気でたわみ、いまにも崩れそうになっている。
レンガの壁の一部は崩落しており、外部から海水が侵入してきている箇所もかなりあるという状況であった。
そのとき、彼らは3体の死せる海賊たちの襲撃を受ける。
このトンネルに巣食っていた200年前の密輸業者の成れの果てである。
さらに別の6体の死せる海賊とそのリーダーのオリダマラの神官だった者の成れの果ての襲撃を受ける。
死せる海賊はレイヴナス・ゾンビ、リーダーはヒュクヴァと呼ばれるアンデッドである。
レイノールはヒュクヴァの攻撃から熱病を罹患し、いったんは生死を彷徨う。
この病はヒュクヴァ熱と呼ばれる業病である。
死せる海賊たちをからくも撃退したPCたちは、トンネルの奥深くでペンカスの死体を発見した。
ペンカスは奥の部屋の真ん中に倒れていた。
膨張して体液を滲み出している死体からは、うんざりする腐敗した肉の悪臭が放たれていた。
この死体の黒ずんだ、ほとんど真っ黒の肉は着用している鎧をも破ってしまいそうなほどに膨れ上がり、ちょっとでも触れたら爆発しそうであった。
病的な肉の中で、彼の肩には、花を掴んだドラゴンの複雑な刺青が見てとれた。
また彼は片方の手でしわくちゃの巻物を握り締めていた。

+ 『ペンカスの手紙』
『ペンカスの手紙』
ここにある骨はかつてペンカスという男だった残骸で、
もしあんたがこの手紙を読んでるってことは、
あの汚らしい死体野郎から感染した病気で俺は死んだって事だ!
たとえ俺が死んだ理由が肉が腐り落ちる病気だったんだとしても、
俺に破滅をもたらしたのはあの死体野郎じゃねぇ。
ついこないだまで俺がダチ公と呼んでたあん畜生のせいだって事は全く間違いねぇことだ!

ヴァンサス・ヴァンデルボーレン!
あん畜生の名前を思い出すだけで反吐が出そうだ!
あの根性なしの裏切り者のろくでなしめ!
てめぇが俺たちをここに置き去りにして殺しやがったんだ!
お前が俺をここに置き去りにして殺しやがった!
そもそも俺がお前をロータス団に入れてやったのに!
今やおめぇがお嬢に下心持ってやがることと、
俺を嵌めて追い落とそうとしてるって事ははっきりした・・・
ドサンピン野郎がのし上がろうとしやがって、
俺の後釜狙ってノタクタやってやがるのは、まるで空家の貝殻探してるヤドカリか、
それともまだ暖かい肉にたかる蛆虫みてぇなもんだ。
腐れ野郎に災いあれ!

この手紙を読んでるあんたよ。
もしあんたの魂に道義心だとか復讐心だとかいうものがちょっとでもあるってんなら、
ヴァンサスは死ぬべきやつだと知っておいてくれ!
ヤツは、剥製師ギルドホールの地下にあるロータス団のねぐらでのうのうと過ごしてるはずだ。
そこでヤツを見つけてぶち殺してくれ。
いや、ぶち殺す前に、てめぇに破滅をもたらしたのがペンカスだと言うことを、
あんたたちをヤツの元へ導いたのがこのペンカスだって事を知らしめてやってくれ。

そしてもし、残酷な運命の悪戯によって、
ヴァンサス、てめぇがこの手紙を読むなんてことがあったならよぉ、
よぉく覚えとけ。
俺は必ず地獄でてめぇを待ってるってことを。
てめぇの苦しみを地獄そのもの以上に望んでるってことを!

地下トンネルの隅から隅まで調べたPCたちは3つの宝箱を発見したが出口は見つけられなかった。
そこでヒュクヴァ熱に苦しみつつもレイノールが水没したトンネル内を捜索し、外海と繋がっている水中トンネルを発見した。
レイノールは1人で無事外に抜け出ると、ヴァンデルボーレン邸へと駆けつけ、救援を呼んだ。
PCたちは飢えと渇きに苦しみつつも、何とかトンネルから救出された。


報酬と時間経過

経験点

1人あたり487XP

金銭報酬

オウム島の密輸業者の宝箱①=7,500cpと1,500sp
オウム島の密輸業者の宝箱②=100sp入った袋が10袋、ラピス・ラズリ(10gp)×12個、バンデッド・アゲート(10gp)×10個
オウム島の密輸業者の宝箱③=翡翠の小箱(アース・エレメンタル・ジェムが入っていた箱:100gp)×1
合計161.25gp/1人あたり

入手アイテム

ポーション・オヴ・ヒーリング×3本
ポーション・オヴ・グレーター・ヒーリング×1本
ポーション・オヴ・インヴィジビリティ×1本
キオートムズ・オイントメント(2回分)×1壜
メイジ・アーマーの巻物×1枚
アース・エレメンタル・ジェム×1個

時間経過

休息時間=1日
市内聞き込み=7日
オウム島=3日
脱出後の回復とアイテム売却=3日

名声

探究者団+1
魔女看守団+1


最終更新:2017年07月12日 19:46