第5回(2017/7/30)

参加PC



クラーケン入江へ

To Kraken’s Cove
ヴァンデルボーレン家の金庫から盗まれた資産を取り戻し、ロータス・ドラゴン団を打ち破っても、PCたちはまだそのパトロンであるラヴィニア・ヴァンデルボーレンから依頼された第一の任務を成功させてはいないままであった。彼女の弟ヴァンサスは未だ捕まらないままであるが、彼女の両親の死に対するヴァンサスの関与の大きさは明らかにされ、彼を探し出して罪を購わせようというラヴィニアの望みは絶たれた。代わりに、彼女は彼をサザリン市に連れ戻し、彼の犯した犯罪について答えさせることを望んでいる。ロータス・ドラゴン団のギルドホールで見つかった書類によって、ヴァンサスとブリッサという名前の女性が、この都市を離れクラーケン入江として知られる場所に向けて旅立ち、たぶんその近辺に係留されているであろう何隻かの海賊船に略奪をしかけようとしている事が明らかになった。ラヴィニアはヴァンサスを連れ戻すことに対して金貨300枚の報酬を約束し、またジャングル探険に際して役に立つだろうということでヘルマンという人物をPCたちに紹介した。ヘルマンを新たな仲間として彼らはクラーケン入江へ旅立つこととなった。

まずサザリン市においてヘルマンの知人である地理学の専門家スローレン・ハイウォール卿を訪ね、クラーケン入江について情報を求めた。彼によればクラーケン入江は鮮血湾と呼ばれる湾内にあるという。鮮血湾の水は赤色をしているが、この色について、船乗りたちはそこに潜む怪我をしたクラーケンの血液が流れ出しているのだと信じているが、スローレンによれば、そんな馬鹿な話はなく、この湾に流れ込む鉄を含む堆積物のためだと告げる。
それはともなくとして、そこは複雑に入り組んだ暗礁地帯になっており、船乗りは近づかないという。クラーケンの噂はそこに人を近付けないために敢えて誰かが流しているのかもしれないと注意を促す。

次いで、漁業組合を訪問してクラーケン入江まで乗せていってくれる漁船を探したところ、漁師たちはクラーケン入江には行きたくないと尻込みをする。ようやくのことで1人あたり20gpで往復してくれる漁師を見つけ出し、出発することになった。

サザリン市から40マイル東にある鮮血湾までは漁船で5日ほどの日程であった。旅は順調で問題なく辿り着く。


獰猛な潮流

Savage Tide
鮮血湾入り口近くの砂浜に上陸したPCたちはそこから海岸沿いをクラーケン入江目指して歩き出した。
2時間ほど歩いた後、PCたちは苦労の末に唐突にジャングルの木々が途切れる高台の上に出る。眼下には鬱蒼と茂るジャングルが広がっており1マイルほど先には海が見えた。その中のある場所から幾筋もの真っ黒い煙が立ち上っていることに気付き、そこが入江になっていることが分かった。
そのとき、レイノールの脳裏に、突如荒涼としたどことも知れない場所にある古井戸のイメージがよぎり、その井戸の中から「逃げろ!」と警告を発する声を聞いた。その声は毎夜彼が夢に見ている何ものとも知れない人物の声に良く似ていたが、これほどはっきりと聞こえるのは生まれて初めてであるし、イメージが出てくるのも初めての経験であった。その声は虚ろに響きながらも女性的に聞こえた。
一方、メロスは、その立ち上る煙の中に4つの目を持ち、4本の触手を持つ爬虫類の姿を幻視する。この幻視は一瞬見えてすぐに消える。その幻視で見る姿は夜ごとに夢で見ているあの“悪”そのものと同じもののように思われた。
これらの事が起こった直後、煙が上がっている場所で突如緑色の閃光が発するのを目撃した。その閃光はまるで緑色の水の波と化し、その地点から一気に外に向かって爆発的に広がり出したかと思うと、とてつもないスピードで全方位に押し寄せた。PCたちはそれを見て近くの木々にしがみついたり、逃げようとしたりしたが、この津波はPCたちの足元のジャングルまでは達したものの、彼らのところまでは届かなかった。しかし、その邪悪な波動はビリビリとPCたちの全身を震わせた。
この邪悪な緑色の潮流は物理的な影響は何も引き起こさない(森の木々はそよとも動かない)が、生きているクリーチャーの本質そのものを変質させていたことに後になって彼らは気付くことになった。


狂った猿

Mad Monkey
PCたちがクラーケン入江に辿り着く前の段階で、彼らは何か悪いことが起こったことに気がついた。入江の上空に煙の柱が立ち昇っているのが、1マイルも離れたところから見て取れる。悪いことに、PCたちが近づくにつれ、鸚鵡からカモメ、猿、蛇まで、死んだ野生動物が大量に地面に転がっており、そうした死体は恐ろしく捻じ曲がり、奇形と化していた。生き残っている野生動物はほんの僅かであり、同じように奇形と化して、ひどく攻撃的であった。PCたちが入江に近づく際、動物たちがお互いを引き裂きあっている様子を目撃し、彼らが入江に到着する前のある時点で、6匹の狂った猿の一群が彼らに対して攻撃を仕掛けてきた。
この畸形の猿たちは驚くべき速さで木々の上や、地面を伝って接近してきた。彼らの大口には小さな牙がびっしりといっぱいに生えており、その体は骨質の突起物が皮膚を突き破って突き出た傷口が開いていた。中には肩口から突き出した瘤状の突起物に顔のようなものが浮かび上がってまるで双頭のように見える個体もいた。
この狂った猿たちは死んだ後も獰猛に噛みつきを行なってきて、そのままぐずぐずと溶け崩れて酸のプールを残した。噛みつかれたヨセタリは気分が悪くなり、何かの病気になったようだった。
レイノールはこの病気を診断すると、何かしらのアビスの影響を受けたものだと気付く。サイオニック・パワーでヨセタリの病気を治療して先を急ぐことにした。


業火の中へ

Into the Inferno
PCたちがクラーケン入江を見下ろす崖に到着すると、彼らを悲劇的であまりに悲惨な光景が出迎えた。
下に見える周囲から隔離された入江では、水上に地獄の業火が燃え上がっていた。幾隻かの船舶、その中には2本マストのカラベル船(快足帆船)、かなり大きなフリゲート艦、長い屋形船、そしてかつてはスクーナー船であったであろう物など、すべて炎上していた。少し離れたところに、3本マストのカラベル船が見え、炎上を免れているようであった。水面には輝く油膜が張っており、同じように炎上し、木材と炎の壁を作り出していた。焼けつくような炎の幕から熱気が湧き上がり、炎上する大渦巻のとどろきが砕ける波の音と混ざりあい、下から生じているはずの他のあらゆる音を掻き消す。しかし、煙の合い間合い間を通して、砂浜に何かが動いているのが見えた。
入江を見下ろす崖の上から入江に降りる壊れそうな歩道が続いていた。メロスとヨセタリの二人が下へ降りていくと、突如燃え上がっていたカラベル船(スリッパリィ・イール号)が係留ロープをねじ切って自由の身になり、潮の流れによって傾いたまま彼らが歩いていた歩道に突撃してきた。
間一髪でそれを免れた二人は入江の砂浜に辿り着く。崖の上でそれを見守っていた残りの4人は崖の上からロープを垂らして降りられそうな場所を探す。


獰猛な海賊たち

Savae Pirates
砂浜では畸形と化した海賊たちが待ち構えていた。彼らは底知れぬ食欲を持ってメロスとヨセタリを襲撃してきた。崖の上の4人も崖の上から支援をしつつ、6人の畸形海賊たちを撃退する。

その後、入江から続く洞窟に入りこんだPCたちは、その中で畸形化し獰猛化したコック、海賊、デイノニクス、ファナトン、クレンシャーなどを倒しつつ、またヴァイオレット・ファンガスが発生していた植物飼育室などを突破した。そうした中にはヴァンサスの恋人ブリッサの成れの果ての怪物もいて、それも倒した。
最終的に複雑に入り組んだ迷路の中で四方八方から獰猛な海賊たちの襲撃を受け、ヘルマンが同じく獰猛化してしまうという犠牲を出しつつも何とか撃退したが、もはや満身創痍のPCたちは、植物飼育室にこもって3日間の大休憩を取った。
その後、しんと静まりかえった洞窟を探索すると、豪華な部屋で魔法のレイピア(レイピア・オヴ・グリフォン)と指輪(リング・オヴ・スイミング)を発見した。さらに一番奥の部屋で一通の書きかけの手紙を発見した。

ハーリス・ジェイヴェル船長の報告書(書きかけ)

クラーケン入江の密輸基地壊滅の顛末
この悪夢のような出来事のすべては、ヴァンサス・ヴァンデルボーレンの仕業です! あの反吐の出そうな豚野郎は、ふしだらなアバズレと2人して我々の商品を見に来たと言って3日ほど前にやって来ました。ヤツは闇市場の仲買人だとか言って、何かの毛皮か鱗革製品を探しているとか言っていました。ヤツが到着してちょうど3日後にあたる今日、1隻の船がヤツの店にちょうどいい異国の商品を満載してやってくると教えてやったところ、それまでこの入江に滞在するとか言って、しばらくここで過ごしました。その間、ヤツはなかなかの役者ぶりだでした。ところが、ほんの1時間ほど前、船倉いっぱいに積んであった鯨油をぶちまけて火をつけやがったのです。私はその時、スリッパリィ・イール号の船上にいたのですが、船上であの糞ったれの2人組がこの私の持ち物を盗もうとしているのを見つけて、止めに入りました。そんなことが想像がつきますか? 2人ばかりのロクデナシどもがこのハーリス・ジェイヴェル船長の物を盗もうとするだなんて? とにかく、私は剣で目の前にいた馬鹿者を動けなくしてやったのですが、ヤツはキャンキャン犬のように泣きわめいて命乞いをしながら、その場にうずくまって、盗んだ物を投げ捨てました。あの黒真珠です! 人間の拳ほどもあろうというあの特大のヤツです! あの宝石は例のサザリン市の貴族に売りつけて相当な大金になる筈だったのに! あの野郎が投げつけたら卵みたいに割れちまいました。本当です。私は腹が立ってヴァンサスの野郎を切りつけたのですが、その剣から奴の血が割れた真珠にかかると、煮え立って閃光を放ちました。それから腐ったような、息が詰まりそうな緑色のガスが噴出して酸みたいに船の甲板やマストを焼き払いました。危険を感じた私はその真珠を引っ掴むと上甲板に駆け上がって水の中に投げ捨てましたが、そいつが水面にぶつかると爆発が起こったのです!
その後の出来事はとてもの事にこの世の出来事とは思えませんでした。緑色の霧が私の視界を覆って、なんだか変な気分になりました。誰かほかのヤツが私の頭ん中にいるうような妙な感覚です。誰か・・・誰か腹の減ったヤツです! それから怒ってる! これまで感じたこともないほどの怒りです! それからふいとそいつはいとも簡単にどっか頭の外に行っちまいました。ヴァンサスもその時までまだ船の上にいましたが、他に船の上に残っている中でまだ人間のままだったヤツは私ら2人の他には1人もいませんでした。あの黒真珠、あれが私の乗組員たちに何かをしたんですよ。アレは一体何なんですか? タダのデカイ宝石だと思って私はここまで運んできたんですよ? こんな危険なものだったんですか? これまで私があちこちに売り払った他の3つも同じ物なんですか? それともこの1つだけが? シー・ワイヴァーン号のガントレット船長もクラーケン入江にいましたが、ちょうど昨夜、彼とも黒真珠の話をしていたのです。彼も何個かあの黒真珠を売りさばいていると言っていましたが、彼の売ったヤツも同じものですか? ともかく、あの黒真珠がすべてを台無しにしてしまいました。クラーケン入江は壊滅です。
ヴァンサスと一緒にいた小っちゃなお嬢ちゃんは私の乗組員たちと一緒に化け物に変わっちまいました。ヴァンサスの野郎は自分の連れや他の連中が何か化け物に変身したのを見た途端、水の中に飛び込んで逃げていきました。私も同じように水に飛び込んで1人で海岸まで泳ぎました。そこで一等航海士のドレヴォラズが私を見つけました。あいつも変身には耐え抜いていたようです。他にも何人か乗組員がいましたが、ドレヴォラズ以外の連中は化け物になって、おぞましい地獄の饗宴を繰り広げてました。私たち2人は道を切り開いて洞窟に入り、洞窟を管理しているキグナンテ船長とここに隠れ潜みました。もっとも、キグナンテ船長は逃げ切れずに狂人どもの食糧になっちまいましたがね。化け物どもはフカみたいに船長を引き裂いてました。キグナンテ船長の自慢の魔法のレイピアもあれだけの数の化け物相手では何ともしようがなかったみたいです。
それと私もあの化け物どもにかなり噛みつかれてしまいました。どうも噛みつかれると何かの病気に感染するようです。ヤツらに咬まれた場所は焼けるように痛みます。頭もぼうっとしてまともに考えられない。この報告書を書きながらも何度も気を失いそうです。
ともかく、深紅の艦隊に敵対したヴァンサス・ヴァンデルボーレンには報復の刺客を差し向けました。あのろくでなしは私のビジネスを台無しにしやがったんですから、当然の報いです。ヤツは自分の家名を秘密にしていましたが、私はヤツが何者かをすでに情報を掴んでいます。ヤツはヴァンデルボーレン家の跡取り息子です。ヤツはサザリン市の家族の元に戻るに違いありません! 我が右腕であるドレヴォラズをヤツとヤツの家族を抹殺するために送り込みました。あのクソばかりの住む町にいるヴァンサスの姉、母親、父親、その他すべてのあのクソったれの家族や友人すべてをドレヴォラズは抹殺してくれるでしょう! 深紅の艦隊に逆らえば生命だけでなく全てを失うということを、あのガキによく知らしめてやります!
ドレヴォラズには我が艦隊と盟約を結んでいるブリーワグ部族トゥラブ・グローブ族に力を借りに行くよう指示を出しておきました。
ガントレット船長がどうなったかは・・・(ここで紙面にインクがこぼれており、先は書かれていないままになっている)


報酬と時間経過

経験点

1人あたり 1,250XP

金銭報酬

①サヴェッジ・ファナトンのナヴェッシュの所持品
銀の鎖で繋がれた金の花輪と銀の輪のイヤリング(全部まとめて50gp相当)
ルビーの指輪(120gp相当)
②キガンテ・ヴェイラロスの宝箱(ティラノサウルスの頭蓋骨のある部屋で発見)
40gp
168sp
283cp
ガーネット(各20gp相当)3つ
エメラルドのブローチ(50gp相当)1つ
真珠(各100gp相当)5つ
③サヴェッジ化したブリッサ・サントスの所持品
エメラルドの留め具の付いた紫色の絹のクローク(20gp相当)
ヴァンサスの肖像画の入った銀のロケット(10gp相当)
④キガンテの死体の所持品とその部屋にあったデスク内
レイピア・オヴ・グリフォン(下記参照)
リング・オヴ・スイミング「うぬぼれ」(下記参照)
銀の延べ棒(30gp相当)3つ

合計= 969.63gp相当(下記入手アイテム分除く)
1人あたり= 161.60gp、あまり3cp(6人割りの場合)
1人あたり= 193.92gp、あまり3cp(5人割りの場合)

入手アイテム

レイピア・オヴ・グリフォン
リング・オヴ・スイミング「うぬぼれ」

時間経過

クラーケン入江への船旅=3日
クラーケン入江探検=4日

名声

怒りの竜巻寺院

クラーケン入り江にいるサヴェッジ・クリーチャーすべてを殺害し、詳細な報告をシルヴァーメイン女卿に行う(名声+1)
シャドウ・パーツによって生じたサヴェッジ・タイドの目撃状況とハーリス船長の報告書について詳細にシルヴァーメイン女卿に報告する(名声+1)
深紅の艦隊がクラーケン入り江を拠点にしていた事実と、そこでの活動内容をシルヴァーメイン女卿に詳細に報告する(名声+1)
(いずれも9月の第7回が終わった段階で獲得)

暁の評議会

深紅の艦隊がクラーケン入り江を拠点にしていた事実と、そこでの活動内容を暁の評議会に詳細に報告する(名声+1)
(9月の第7回が終わった段階で獲得)

探究者団

クラーケン入り江のキガンテ船長の記念品展示室(ティラノサウルスの頭蓋骨のあった部屋)で発見された海図を探究者団ロッジに持ち帰る(名声+1)
(9月の第7回が終わった段階で獲得)
レイピア・オヴ・グリフォンかリング・オヴ・スイミングのどちらかを探究者団に売却する(1個500gpで買い取り)(1つにつきそれぞれ名声+1)


最終更新:2017年10月01日 10:33