第7回(2017/9/24)

参加PC


ブリーワグの先制攻撃

The Bullywug Gambit

承前 屋敷の中の蛙たち

Continued from Frog in the House
ヴァンデルボーレン邸から逃げ出したドーラは市内で警備兵たちに窮状を訴えるが、ワームフォール・フェスティバルに湧きかえる市内の秩序維持にてんてこ舞いの警備隊は彼の言うことをまともに相手してくれなかった。
仕方なく再び単身で屋敷に戻ったドーラは魔法でブリーワグの姿に変装して屋敷内に侵入。2階の部屋に隠れていた仲間たちと合流した。

一行は3階にいると思われるハーフオークとブリーワグのシャーマンの下に向かう。
隠密行動のままハーフオークのドレヴォラズとブリーワグ部族トゥラブ・グロープ族のシャーマン、ブア・ゴーグのいる部屋を発見。
そこにはラヴィニアとその召使コラ・ウィスルギャップ、翡翠の鴉部隊の2人トリン・キエンタイ、ザン・オルダヴィンの4人が捕まって、互いに背中合わせにされた椅子に縛り付けられていた。
奇襲攻撃を仕掛ける一行。
ドレヴォラズはラヴィニアの首に剣を当てて降伏を促し、ブア・ゴーグは4匹もの巨大蛙を召喚する。
メロスはこの警告を無視し攻撃を続行。ドレヴォラズはラヴィニアの首をかき切ろうとする。しかし、ラヴィニアは気絶しているふりをしているだけだった。素早く身をよじって致命傷はかわすが、出血でラヴィニアは気絶する。
そのまま戦闘は続行され、まずブア・ゴーグが倒されると、召喚された蛙たちは消え失せる。
ついでドレヴォラズとメロスが一騎打ちとなる。
何とかこれを下し、ラヴィニアたちを治療する。
残念なことに、コラはすでに絶命していた。

息を吹き返したラヴィニアとトリン・キエンタイとザン・オルダヴィンに事情を聴くと、地下からブリーワグたちの奇襲攻撃を受けたのだという。
捕まった彼らに対し、ドレヴォラズはヴァンサスが来なければ彼らを順番に1人ずつ殺していくと宣言し、まず1時間ほど前にコラが血祭りにあげられたのだという。
翡翠の鴉部隊の残る2人、リアメイ・テスリカリアとカスクス・キエルが屋敷内にいるはずだという。またブリーワグたちは他にもいる筈だという。
彼ら2人を助け出してほしいと懇願され、一行は屋敷内の捜索を開始する。
まずヨセタリが以前入手していたアース・エレメンタル・ジェムを使い、強力なアース・エレメンタルを召喚し、アース・エレメンタルを先頭に立てて進むこととした。

3階から2階と捜索するがブリーワグ2体が洗濯場にいるを発見し、排除しただけで2人の姿は見当たらない。
1階におりてそこを捜索する。
トロフィー・ルームで3体のブリーワグを見つける。
恐るべきアース・エレメンタルのパワーに圧倒されたブリーワグたちは逃走を図り、大食堂に向かう。
それを追い詰めつつPCたちも大食堂へ向かう。
大食堂にはトゥラブ・グロープ族の女ハンター、ローブ・ローブ・タブとさらに3人の部下ブリーワグがいた。
ローブ・ローブ・タブは葉巻をふかして部下たちの戦いを見学している。
しかしブリーワグたちはアース・エレメンタルの前に次々と倒されていく。
それを見たローブ・ローブ・タブは自らハンドアックスを手にして立ち向かうが、歯が立たず、倒されてしまった。

1階では翡翠の鴉部隊の残りのメンバーを発見できず、地階に向かう。
そこにはホームシックにかかっているトゥラブ・グロープ族の族長ロープスとその部下がいた。
彼らはチャンクスという名前のペットのラスト・モンスターを使い、捕えた人間の女性をいたぶっていた。
その女性こそリアメイ・テスリカリアだ。
ロープスは故郷の沼地に帰りたくて仕方ないが、シャーマンのブア・ゴーグが満足するまで帰れない。
そこでそのときまで、首長のロープスは自らの楽しみのために、リアメイに品位を落とすようなゲームをさせて暇つぶしをしていた。
彼女は、ブリーワグたちがおよそ2ダースほどの銀器を縫うように刺し込んだぼろぼろのシーツ1枚だけを身に着けることを強いられている。
首長のロープスは、もし彼女が彼と彼の仲間たちがここを去るときまで、その銀器を1つでもチャンクスから守り抜くことができたなら、彼女を解放するとリアメイに約束した。もしチャンクスがすべてのスプーンやフォークを食べてしまったなら、彼は彼女を食べると宣言した。
しかしPCたちが到着したとき、すでにスプーン3つとフォーク1つにまで食器を落としてしまっていた。
そこにPCたちが出現した。
アース・エレメンタルを使って圧倒したPCたちは難なくこれらの敵を排除し、リアメイを助け出した。

リアメイによれば、ヴァンデルボーレン邸の秘密の武器庫にカスクス・キエルが向かったはずだという。
そこは秘密の扉の裏にあった。
そこに気絶したドワーフ、カスクス・キエルがいた。
翡翠の鴉部隊の他のメンバーが捕まった後、ドワーフのドルイドであるカスクス・キエルは、何とかこの部屋に隠れることができた。
残念なことに、この負傷したドルイドは、治癒のポーションの箱がマジック・ミサイルの罠で守護されているとは知らず、逆上して中身を取り出そうとしたため罠を起動してしまい、致命傷を負ってしまった。
幸運があり、このドワーフは0ヒット・ポイントではあるが自然に容態安定化して気絶状態になるだけで済んだのだった。
ここではコンティニュアル・フレイムのかかったダガーとブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング、4本のポーション・オヴ・ヒーリングを入手した。(後にラヴィニアから正式にPCたちに譲られた)

こうしてPCたちは無事この屋敷をブリーワグとドレヴォラズの手から救ったのだった。
捕えたドレヴォラズは警備兵の手に渡された。

後日譚

Later Development
屋敷に突入する直前に襲撃してきたダイアモンドバックについて警備兵が調べたところ、彼女がケラーニ家のヘルドラス・ケラーニに雇われていたことが判明した。
ケラーニ家に対する法的措置は、残念なことに官僚的悪夢の中で処理されることになり、すぐには解決しないが、今回の襲撃とダイアモンドバックの証言はPCたちが『名誉などない』でロータス・ドラゴン団ギルドホールから発見した証拠の品々と合わせて、ケラーニ家から貴族としての地位を剥奪するのに大きな意味を持つものとなるだろう。
少なくとも、港湾長の地位は彼女の手から剥奪されることとなる。
いずれにせよ、この攻撃の失敗以後、ヘルドラスは争う相手としてPCたちが手に負えないほどに手強いことに気づき、彼らから手を引くことになる。
ドレヴォラズは海賊であることが知られており、裁判の末絞首刑に処されるだろうことが予測される。


奈落からの影

The Shadow Out of Abyss
それから1カ月後、PCたちは彼らのパトロンとなっているラヴィニア・ヴァンデルボーレンからの依頼を受けることになる。

暁の評議会での噂

Thr Rumor through the Council
近頃、暁の評議会の一部では、辺境のジャングルにおいてゾンビが出現してサザリン市の隊商が被害にあったという話が噂されている。よくよく聞いてみると、すでにいくつものオーマン人やスエル人の蛮族たちの村がゾンビの襲撃を受けていたのだという。野蛮人の村がいくつ襲われたところでサザリン市には関係はなかったのであるが、サザリン市の商人が組んだ隊商が襲われたことで暁の評議会でもこのゾンビの問題に関心が集まり出したというわけである。幸いなことに、この襲撃を受けた隊商は屈強な護衛たちを連れていたおかげでごく一部の荷物を失うだけで済み、隊員の命はひとつも失うことがなかった。サザリン市にはもっと他に懸念すべき材料が多々あるため(緋色団やシー・プリンス国との関係や“深紅の艦隊”による襲撃の問題など)、今のところこの問題は一部の者の関心をひいたに過ぎない。
しかし、ラヴィニア・ヴァンデルボーレンにはこの問題を大いに気にかけるべき事情があった。その襲われた隊商というのが叔父ケイラム・ヴァンデルボーレンのコーヒー農園に豆の買い付けに行った隊商なのである。彼らは暁の評議会に対する報告とは別に、ラヴィニアには詳細な状況を教えてくれた。
それによれば、彼らがケイラムの荘園の近郊にあるターヴィンという村に着いたとき、村人からケイラムの荘園には近付かない方が良いと警告を受けたという。村の住民や周辺の蛮族たちがここ何ヶ月も森でゾンビに襲われており、ケイラムの荘園へ向かう道はまさにそうした襲撃が頻発している場所なのだという。警告に従わずにケイラムの荘園に向かったところ、荘園は悪臭を放つ毒沼と化しており、彼らはそこでゾンビの群れに襲われたという。
確かに思い返してみれば、1年前にサザリン市に戻ってくるまで、弟ヴァンサスを預かってくれていた叔父ケイラムとはずっと音信不通である。ヴァンサスが帰ってきたときも叔父からは何の連絡もなかったし、ヴァンサスから叔父の話は一切出なかった。その後、彼女の両親が死んだときに手紙を送ったが彼からは何の返信もなかった。叔父の音信不通が気になったものの、そのときは両親の突然の死や遺産相続やヴァンサスをめぐる一連の騒動があり、そのことを深く追求している暇はなかった。
ラヴィニアとしては、事の真相を明るみにし、サザリン市で大きな話題にはなっていない今のうちに解決を図りたいと考えている。叔父ケイラムが今どうなっているのか? 叔父は事件に巻き込まれた犠牲者なのか? それともまさか事件の首謀者なのか? 荘園が沼地と化していることは事件と関わりがあるのか? ヴァンデルボーレン家が関わっていることが分かれば、この権謀術数うずまくサザリン市でどのような弱味として使われるか分からない。
ラヴィニアはケイラムの荘園へ行き、叔父の消息の確認、事件と叔父の関わり、事件の解決を依頼してくる。このとき、サザリン市にはヴァンデルボーレンが関わっていることが知られないように解決して欲しいという(特に叔父が首謀者だったりしたならなおさら)。報酬は叔父の消息と事件との関わりを解明すれば1人あたま金貨100枚であり、事件の解決まで行なってくれれば追加で100枚とのこと。

それとは別に、メロスとJMは怒りの竜巻寺院のシルヴァーメイン女卿からも同様の調査依頼を受ける。
ドーラは評議会で同じ噂を事前に聞いていた。

ターヴィン村

Turvin
ターヴィン村は、アメディオ・ジャングルのすぐ近くに位置している。ここは元々は伝統的なオーマン人の部族の村であったのだが、サザリン市からやって来る商人たちとの何十年にも及ぶ接触の結果、サザリン市と他のオーマン人部族との交易を中継する市場としての機能を持つようになってきた。現在では伝統的な生活様式に変わってサザリン市からの交易でもたらされた文明の品々を使う生活を送る者が増えている。またサザリン市からの移住者や他のオーマン人部族からもこの村に移住する者が出ているが、その交易の量は知れており、賑わっているとは言い難い。主たる産業は伝統的なオーマン人の木彫り細工やアメディオ・ジャングルで採れる稀少な薬草・毒草、そして村で飼われている豚や鶏などである。
ターヴィン村の建物は大部分が木材でできており藁葺きである。人口はおよそ200人。そのうち130人ほどはオーマン人であり、50人ほどがサザリン市からやって来た開拓民、残りがドワーフ、ハーフリング、エルフなどである。この村で唯一の石造りの建物である聖カスバートの白塗りの寺院が飾り気なく立っており、村の他の建物とは対照的である。門はないが、寺院には緊急事態用に単純武器と食料を備えた小さな倉庫が付属している。
ターヴィンの人々の多くは伝統的なオーマン人の神々を崇拝しており、特にテスカトリポカ神に畏敬の念を抱いているが、昨今はアクナーが伝えている聖カスバート寺院にも敬意を払っており、改宗する者たちも多い。現在、彼らの目の下にはくまができており、怯えに似た表情を浮かべて不安げである。子供たちですら遊ぶことを控えて家の中でひっそりと静まりかえっている。
ケイラムの荘園に最も近い位置にある村である。街道に沿ってケイラムの荘園に向かう際にはこの村を通過することになる。

聖カスバート寺院

Church of St. Cuthbert
聖カスバート寺院で話を聞くと、
  • ゾンビの噂は1年ほど前から人々の間でささやかれていたが、森の中を少人数で行動していたこの村や近隣の村の者たちが襲われて連れ去られている。
  • 連れ去られた者が再びを姿を見せたことはない。
  • ゾンビはオーマン人神官たちが操るお家芸である。信者を奪われているジェナが黒幕ではないかと疑っている。
という事をきく。

テスカトリポカ寺院

Temple of TEZCATLIPOCA
ついで村のテスカトリポカ寺院を訪問する。
古くからのオーマン人の神テスカトリポカを祭る寺院は現在ではあまり省みられなくなっていた。
かつては村の中心に小規模の石製のジグラトがあったが、50年前の戦争で打ち壊され、そのまま放棄されてしまっている(なお、ジグラトに使われていた石材は聖カスバート寺院の建設に使われた)。
現在の寺院はかつてジグラトがあった場所からかなり離れた村はずれにあり、木造の高床式の小屋であった。
そこに辿り着く、寺院の周辺に20人ほどの人々がオーマン語で祈りを捧げ、その周囲には護摩火が赤々と焚かれて黒い煙を上げており、高い位置にある小屋の中から悲鳴を上げる豚の鳴き声が聞こえてきた。そのまま見ていると、小屋の中から2人の屈強な男が縛り上げた豚を抱えて出てきて、その後ろからもう1人、頭からジャガーの皮を被り、顔を真っ黒に塗った神官(ジェナ)が出てきた。その手には黒曜石のナイフが握られており、首からは黒い鏡が吊り下げられていた。
神官は悲鳴を上げる豚の胸にナイフを突き立て、心臓を抉り出した。神官はその心臓を小屋の中にも焚かれている護摩火の中にくべて燃やした。人々の詠唱はいよいよ熱狂的になり、何人かは失神して倒れた。心臓を抉り出された豚は2人の屈強な男によって小屋に続く階段から投げ落とされる。下にいた人々がその死体に群がり、あっという間に豚は解体されていき、護摩火から移された火を使い、近くに準備されていた炉で調理され、全員で食された。
その様子をそっと見守った後、豚が供されるところに出ていってJMはそれを一緒になって食べた。
そうした中で神官に話を聞きにいったとき、突如森の中から何十本もの矢が射かけられた。

エルフの襲撃

Attack of Elves
矢を射かけてきたのは、森に住むエルフたちであった。
彼らはテスカトリポカ神官ジェナを狙っていた。
この襲撃を切り抜けたPCたちは捕えたエルフを尋問した。
彼は実に残念そうにコアロン・ラレシアンと星界の女王モーウェルの名を呼び、彼らに対して任務に失敗したことの謝罪の言葉を告げる。
尋問すると、特に強情を張ることもなく、邪悪なオーマン人が森にゾンビを解き放っているので、その首魁たるジェナとオーマン人たちを殺害して森を浄化し、捕まっているジェメリを助け出そうとしてやって来たと宣言した。

ゾンビたちの襲撃はターヴィン村にだけ被害をもたらしている訳ではなかった。周辺で縄張りを争っているグルガックの部族ベスイル族もゾンビたちの被害に苦しんでいた。つい先日、彼らの狩猟部隊が森でゾンビたちに襲われ、ジャメリという女狩人が連れ去られてしまった。
彼らはゾンビの顔が黒く塗られていること、頭に羽根飾りが付いていることなど、これらがテスカトリポカ信仰の習慣であることを知っているため、一連のゾンビの襲撃の黒幕が、ターヴィン村の邪悪なテスカトリポカの神官ジェナ・カルロブであると考え、彼とその信者たちを皆殺しにし、ジャメリを助け出そうと襲撃計画を立てていた。この計画の首謀者はジャメリの婚約者であるエメルキアであり、彼がこの襲撃部隊を率いていた。
PCたちがテスカトリポカの寺院を訪問したまさにそのとき、襲撃が実行されたのだった。

その後の展開

Development
ターヴィン村の村長のババナスは、グルガックとの関係を決定的に悪化させれば、今後この森で生きて行くことが非常に困難になることを知っているため、生存者はできる限り治療し、後日の交渉のための捕虜にすることにした。
PCたちはこのエルフたちの誤解を解くためにも事件を解決して欲しいと村長から頼まれる。

テスカトリポカの神官ジェナからは次のことを聞いた。
  • オーマン人が操るゾンビとは“歩く祖先”のことだが、邪教の徒があやつるいわゆるゾンビとは異なり、ゾンビ・パウダーという秘伝の薬を用いて生み出す。ゾンビ・パウダーは生きている者をゾンビとすることもできる。
  • かつてこの近隣で強力なゾンビ・マスターとして知られたトボリテヨトルという人物がいた。彼は10年ほど前に部族間抗争で敗れて死んだと聞く。おそらく彼がこの近隣で最後のゾンビ・マスターであった筈で、その技を受け継ぐ者も部族壊滅と共にいなくなっただろう。(「嘆かわしいことだ」と嘆息する)。
  • もし“歩く祖先”が人々を襲っているというのであれば、それはそれを操るゾンビ・マスターがいないか、あるいはゾンビ・マスター自身がゾンビに人々を襲わせているということだ。おそらくそんな事はありえず、今騒ぎを起こしているゾンビは単なる邪教のゾンビであろう。
  • ゾンビの顔が黒く塗られ、羽根飾りを付けられ、心臓を抉られているのは邪教の徒が我らに罪をなすりつけるためにやっている隠蔽工作に違いない。
  • 人々は迷信深いのでこの豚を使った儀式で不安を鎮めてやっている。本来は人間を生贄に捧げるべきなのだが、最近はアクナー・ボーンスパーといううるさい奴がいるので、然るべき生贄を準備できない。(生贄は生まれたときから聖別されて育てられた特別な存在でなければならないので、急に用意することはできない)。聖別された人間の生贄を使うことができれば、真に強力な神の力を下ろし、“歩く祖先”の問題などすぐに解決できる筈だ。豚では効果はない。

ケイラムの荘園

Kallum's Manor
ジャングルを抜けると、そこは14~20フィートほどの高さのコーヒーの木が整然と植えられた農園であった場所の成れの果てである。今やコーヒーの木は瘴気を放つ沼地に没して枯れ果てていた。
屋敷に辿り着く。
そこから地下へ降りる階段を歩むうち、JMとヨセタリの2人は不思議な幻覚を見る。
この地下室へ続く階段に一歩足を踏み出すと、階段の下から禍々しい気配を感じる。そして、これ以上進んではいけないという本能的な恐怖が湧き上がってくる。それでも先に進むことにした場合、一歩踏み出す毎に意識が薄れていくのを感じ、やがて夢うつつの中で幻覚を見始めたのだ。

幻視

The Vision
君は階段を下って地下室に下りてきた。そこには水やワインの入った樽、食品の詰まった木箱がいっぱいである。また片隅には薪が積み上げられ、燃料の油の入った樽もある。奥の北壁には大きな棚がある。棚には蝋燭、ロープ、釘、袋などのさまざまな日用品が並んでいる。
君は棚の側面にある隠しレバーを手前に引っ張った。すると棚が横にスライドし、その後ろの壁にある扉があらわになる。君は躊躇せず扉を開けて中に入っていった。
扉の向こうは研究室か何かのようである。床には大きな作業台が置いてあり、東の壁にはガラス製の実験器具や何かの生物の標本が入った戸棚がある。反対側の西の壁沿いには書棚がある。書棚にはずらりと分厚い書籍と記録類が収められている。北の壁には4本腕のデーモンが老人を引き裂いている図を描いた大きな木版画刷りが額縁に入れて飾られている。その下には「ゴーヴァシュ将軍が彼の囚人を守る図」と書かれた小さな銘板が貼ってあるのが見える。
君は書棚から1冊の本を抜き取る。それは宝石で縁取りされた白い革の表紙で装丁され、そのページの隅は黄金で縁取られた、美しい本であった。君はその本を作業台の上に載せページをめくる。そのページを開くたびにそこに書かれた呪文の知識が君の頭の中に入って来る。君は真の力とは何かについて、初めて知ったような気分になってくる。君は貪欲にその本のページをめくり続け、次から次に出てくる呪文に驚嘆し、ついにはその本の最後のページに辿り着いた。そこに記述された呪文はアビスへの転移門を開く呪文であった。すべてを読み終えてから、君は壁に架けられた額縁の中の木版画刷りを見つめた。それから呪文のパワーに対する驚きに衝き動かされるまま、この書物に書かれた強力なゲート呪文を発動することを決意した。
君が呪文を発動すると、作業台の上でそのページがひとりでに開いた。突如室内に真の闇が訪れ、ついで作業台の本が禍々しい緑色の光を放つ。空間に有毒な煙を伴う閃光が走り、引き裂かれるように空間そのものが左右に裂けていく。そこから山羊の角を生やした頭が現れる。そいつは先端がハサミになっている、隆々たる筋肉を備えた2本の腕を伸ばして裂けた空間をさらに左右に大きく開く。そのハサミのある腕の下には人間の手がついているもう少し小さな2本の腕が見えてくる。最後に蹄のついた脚で床を踏みしめると、そいつは君の方をじろじろと睨みつける。裂けた空間からはさらに何か緑色やピンク色の不気味な存在が湧き出してきて床の上でギャーギャーと叫んでいる。ゴーヴァシュ将軍は片手をぶんと振るうとそれらを蹴散らしてしまう。床に叩きつけられたそれらの大半は喚きながらぐずぐずと泡のようになって消え失せてしまう。
君は恐怖に駆られつつも、呪文の力を信じ、この恐るべきデーモンに言うことを聞くように命令する。ゴーヴァシュ将軍はおもしろい物でも見るような目つきで君の方を見てからせせら笑いをし、しばらくの間、怯える君に脅威を与えてくる。その攻撃は君に届かずすべて外れてしまう。ゴーヴァシュ将軍はにやにや笑いながら君に対して1つだけ願いを叶えてやろうと告げた。君は呪文が効いていると確信して安堵し、一気に富と権力と永遠の命を願うと告げた。
そのとき、部屋に1人の中年の男が飛び込んでくる。「何をしているヴァンサス!」と叫びながら研究室に入ってきたその男は、デーモンの姿に衝撃を受けてその場に立ちすくんだ。ゴーヴァシュ将軍はその中年の男を一撃で意識不明に陥らせた後、君の方を振り向き、願いを叶えるためには、血の生け贄が捧げられなければならないと告げた。君は躊躇しなかった。病的な歓喜に打ち震えながら、彼は自らの手でその男の喉を切り裂き、その死体をグラブレズゥの好きにするように投げつけた。ゴーヴァシュは感謝の笑い声をあげて空間のひずみの中へと消えうせる。空間のひずみは狭くなっていき、ついに消え失せるが、その消え失せる直前にその狭い歪みから何か黒い影のようなものが抜け出て部屋中を飛び回り、やがてそれも部屋の隅の陰の中に消える。
君は騙され、裏切られたと感じていた――デーモンはまだこの君の願いを聞き届けていない! デーモンに対する怒りを爆発させ、叔父を殺害したことが発覚するのを恐れた君は、屋敷に火をつけ燃え落ちるのを近くの広場から眺めた。屋敷の中には何人もの使用人たちが逃げ回っているのが見える。君はそれをニヤニヤ笑いながら見つめ、歩き始めた。

そこで幻覚は終わり、全員が階段をおりきった地下室に立っていることに気付く。幻覚を見ていた2人は、この地下室がさきほど幻覚の中で見ていた地下室であることに気付く。ただ、幻覚の中では整然と並んでいたものが今では雑然と散乱している。
その奥には幻覚で見た通りの秘密の部屋があった。(秘密の扉は開きっぱなしだった)

邪悪の残滓

The Remnant of Evil
奥の広い部屋に入った途端、何とも言えない不快感でめまいがする。北の壁には4本腕のデーモンが老人を引き裂いている図を描いた大きな木版画刷りが額縁に入れて飾られており、その下に銘板のようなものが見える。部屋の西の壁に沿って祭壇が設けられており、そこには黒曜石でできた鏡と何本かの黒い煙を上げる蝋燭が置かれている。部屋は薄暗くゆらめく蝋燭で照らされており、天井や部屋の隅に不気味にゆらめく影がまるで生ある存在であるかのように蠢いている錯覚に陥る。
祭壇の前には黒曜石とトルコ石で作られた不気味な頭蓋骨を模した仮面を被り、鳥の羽根でできた頭飾りを被った人物が立っている。その人物の周囲には同じように羽根でできた頭飾りをつけ、顔を真っ黒に塗ったゾンビと、ピンク色のぶよぶよして人間に似ているところがますます薄気味悪い怪物がいる。祭壇の前にはエルフ女性とオーマン人男性が倒れており、2人とも目を見開き、口から泡を吹いて何事かうわ言を喋っている。
このオーマン人、ゾンビ、そしてマネスに攻撃を仕掛けた。
全員を倒すと、ついで祭壇からシャドウ・デーモンが出現し、これも倒した。

冒険の結末

Conclusion
ジェメリを生きたまま連れ戻ったことで、グルガックとターヴィン村の関係は一触即発の状態は回避された。
またマジャ・タンヴァルを生きたまま連れ戻ったことで、その妻から非常に感謝された。
グルガックとのこれ以上の争いが避けられたことで、村長ババナスは金貨200枚を謝礼として出した。
グルガックは彼らに感謝の意を込めて10本の魔法のアロー(+1アロー)をくれた。
マジャ・タンヴァルは1本のポーション・オヴ・インヴァルナラビリティと1本のポーション・オヴ・ヒロイズムをくれた。
そしてこの冒険の結果を報告したことで、約束通りラヴィニア・ヴァンデルボーレンから1人ごとに金貨200枚が渡された。


報酬と時間経過

経験点

①「ブリーワグの先制攻撃」
モンスター分1人あたり 1,200XP
ミッション達成分1人あたり 500xp
②「奈落からの影」
モンスター分1人あたり 568xp
①+②の合計
2,268xp

金銭報酬

①「ブリーワグの先制攻撃」
ラヴィニアからの報酬(1人あたり)・・・300gp(7月~9月の3回分のいずれかに参加したPC全員がもらえます)

②「奈落からの影」
ターヴィン村の村長ババナスからの報酬(全員で)・・・200gp
ラヴィニアからの報酬(1人あたり)・・・200gp

①+②の合計
1人あたり= 550gp

入手アイテム

コンティニュアル・フレイムのかかった素晴らしい意匠の施されたダガー(魔法以外に6gpの価値がある)
ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング「恐竜の脚」
ポーション・オヴ・ヒーリング4本
+1アロー(10本)
ポーション・オヴ・インヴァルナラビリティ 1本
ポーション・オヴ・ヒロイズム 1本

特別報酬

今後、PCたちの生活費についてはラヴィニアが快適な生活様式に該当する費用を全額支払ってくれる。
(貴族の背景による特典と同様)
この報酬は7~9月の3回のセッションのいずれかに参加したすべてのPCが入手できます。
もともとこの特典に該当する特典を有しているPC(ドーラ)は別の特典と置き換えることが可能です。

時間経過

ヴァンデルボーレン邸=半日(前回の半日と合わせて1日分)
休息時間=30日
ケイラムの荘園(往復と冒険こみで)=7日

名声

暁の評議会

ダイアモンドバックを生きたまま捕らえ、警備兵に引き渡し、ケラーニ家との関わりを明らかにした・・・名声+1


最終更新:2017年10月01日 13:48