第22回(2018/12/9)

参加PC

ドーラ・アラバニ【Noa】
ユリア・テシャトフ【小太郎】
レイノール【ladver】
メロス【hiko】

ゾツィラハの怒り

オーマン人の村々

ファーショアは周囲の7つの村のオーマン人たちとは良好な関係を保っているものの、オーマン人たちはこの新たな入植地の防衛に自ら手を貸すことについては慎重である。
特にタナロアの村人たちはそのような援助を行なうことに躊躇しており、他の6つの村もタナロア村のリーダーシップを認めているために、同じ対応に帰結している。
もしタナロア村にファーショアへの援助を決意させることができたなら、他の6つの村々も同様の対応をしてくれるであろう。

タナロア村は南半島と“恐怖の島”本土を結ぶ地峡部の南端に位置している。
この安全に守られた半島に本土の恐るべき野獣たちが侵入してくるのを防いでいるのは、2マイル以上に渡って伸びる高さ50フィートの障壁、“巨壁”である。
1,000年以上前、古代オーマン帝国最盛期に築かれたこの“巨壁”の本来の目的は忘れられて久しい。
今日、これは重要な障壁となっており、7つの村々を北に生息するモンスターたちから守護している。

タナロア村が7つの村々の中で最重要視される一番の理由は、この村が“巨壁”に最も近いということである。
これらの村々はほぼ同じレイアウトを共有している。
等距離に配置された4つの小屋の集まりによって成っており、それらは4つの氏族の集合体であることを表しており、また寺院と町の広場として使われている中央のピラミッドを囲んでいる。
現在、4つの氏族はエイプ(類人猿)、タイガー(虎)、ボアー(猪)、そしてシー・タートル(海亀)氏族である。
氏族のメンバーは、これらの動物が彼らの内面を表すものであると考えており、それによって氏族の間で専門職化が引き起こされた。
ボアー氏族の人々は建築家にして職人であり、エイプ氏族は農民にして芸能者、タイガー氏族は狩人にして採集者、そしてシー・タートル氏族は漁師であり船乗りである。

それぞれの村の氏族には男性のリーダーがいるが、それぞれの村は女性の首長の統治下にある。
その他の重要な公人としては、村のゾンビー・マスター(あるいはミストレス)がいるだけである。
ゾンビー・マスターは首長への助言者にして、村の宗教的なリーダーである。
ゾンビー作りはオーマン人文化において重要な役割を果たしており、彼らはこの“歩く先祖たち”を作り出す行為を、彼らの地下墳墓を守護するための必要悪と看做している。
タナロア村は人口418人、その全員が人間である。
村の女首長はジェイ=カルという名前であり、ゾンビー・マスターはムヴェンビという名前である。

火の翼

タナロア村に到着すると、PCたちはまさに宗教的な儀式の最中であることに気づいく。
芯が空洞の丸太を打ち鳴らして出している脈動するリズムに合わせて、大きな怪物的なコウモリを表した仮面を着けた何十人もの戦士たちが狂ったような踊りを繰り広げている。
その間ずっと、村人たちは中央ピラミッドのふもとに組み立てられた、巨大な炎を上げる薪の中心で焼き焦がされるコウモリのトーテムに向かって祈りの大合唱を上げている。
彼らの祈りの歌にはある1つの言葉が繰り返し繰り返し出てくる。
“ゾツィラハ”と。

タナロア村全体が儀式の最中であり、PCたちが到着したとき、村人は彼らにほとんど注意を払わない。
PCたちが警戒しつつも近付いて行くと、偶像が突然閃光に包まれる。
閃光の滝と燃え上がる焚き火から放たれる炎とが村人たちから驚きの叫びを引き出す。
一瞬、火の中で偶像そのものが生命を持ったかのようにその姿が見える。
黒く短い毛皮に覆われた痩せた人型の姿が炎から立ち上がり、唸りを上げるコウモリのようなその頭部には赤い目が輝きを放っている。
その背中から生えた大きな膜状の翼がふいごのように炎を煽り、熱い灰を巻き上げる。
そのクリーチャーがオーマン語で何か短い言葉を叫ぶ。
オーマン語を解することができるドーラ、ユリアはそれを理解する。
「ゾツィラハはお前たちのすすり泣きのような祈りを聞き届けた!お前たちは“偉大なるコウモリ”をなだめたいか?ならば、盗まれし物を取り戻せ、さもなくば燃え尽きることだろう!」
さらに、メロスはオーマン語を理解できないにも関わらず、このコウモリの化け物が告げている内容を正確に理解し、自身が持ち運んでいるタモアチャンの都市で発見したコウモリの偶像こそが、その盗まれた物だと気付く。

このコウモリに似た人型の姿が炎の中に飛び込み、火の翼を持つ飛び交うコウモリの群れが偶像の上の空中に解き放たれる。
それと同時に、地面に沿ってゴロゴロと振動が響き渡り、はるかな北西の彼方に姿を見せている、“ゾツィラハの牙”として知られる巨大な2つの火山が真新しい火と煙の柱を発して爆発する。
タナロアの村人たちは火の翼を持つコウモリの出現と、このタイミングでのゾツィラハの牙の噴火によって盲目的な恐慌状態に陥ってしまう。

彼らはまさにゾツィラハ神の天罰の現場を目撃したのである。
火の中から姿を現わした火の翼を持つコウモリのクリーチャーはファイアー・バットという彼の神の使徒である。
ファイアー・バットは神の怒りを示すべく村人を襲撃し始める。
PCたちは村人を助けるために駆け込み、この14匹ものファイアー・バットを倒した。

ゾツィラハ神について

ゾツィラハはオーマン人のコウモリの神であり、夜間飛行する恐るべき存在である。
また彼はオーマン人の地底世界に影響力を持っており、病気と疫病に関連している。
ゾツィラハはこの神の地域的な別名である。
彼は他のオーマン人の居住地ではカマゾッツとして知られている。
この地域では、ゾツィラハはフフエテオトルと呼ばれる他のオーマン人の神の持つ火の権能を徐々に奪ってきている。
ゾツィラハは一部分が人間、一部分がコウモリであり、怒りを覚えると物質界にそのアスペクトを出現させる。
聖なる武器だけが彼のアスペクトに本物の負傷を負わせることができるが、敢えてそれを試みた者はいない。
彼はただ一睨みするだけで敵に恐怖を植え付けることができる。

コウモリ神をなだめる

村人たちが怯えて逃げ散ったままの状況の中、タナロア村の首長ジェイ=カルという皺だらけの老女が姿を現す。
彼女は共通語を話し、村の防衛にあたってPCたちが果たした役割に感謝の言葉を、怯えて無益に立ちすくんでいた者たちに呪いの言葉をかける。
ジェイ=カルは、PCたちのファイアー・バットに対抗する英雄的な援助は確かにその報いを受けるゾツィラハの怒りについて語り始める。
近頃、ゾツィラハの牙はこの島に断続的な地震をもたらしており、空には分厚い灰の雲を巻き上げている。
占術によって、北の火山ネクステペア(“灰の雨を降らすもの”)にある彼の社からコウモリ神の偶像が盗み出された事に対して、ゾツィラハその人が怒っているという事が分かった。
村人たちは奉納を行なうことでゾツィラハを宥めようと試みてきたが、ゾツィラハの怒りはますます盛んになっている。
もし偶像が見つからず、その社に戻されることがないなら、彼らはいずれネクテペアが大爆発を起こし、彼ら全員を滅ぼしてしまうだろうと信じているという。
もちろん、盗まれた偶像とはがPCたちがタモアチャンの遺跡から回収し、いまはメロスが所持しているあの偶像のことである。
PCたちは彼らが偶然にもそのコウモリの偶像を持っていることを村人たちに明らかにし、それを社に戻すことを約束した。

ジェイ=カルはネクステペアの低い斜面にあるゾツィラハの社の入口までの道案内として数人のタナロアの村人を提供してくれた。
ジャングルを抜け、沼地を抜けてネクステペア山まで辿り着き、その社に通じる洞窟の入口に辿り着いた。
この入口は大きな洞窟の開口部で、その縁にはコウモリの彫刻があしらわれており、たくさんの奉納用の壁龕がある。
この入口を抜けると、曲がりくねったトンネルが火山の中心部にまで深く深く突き抜けている。
オーマン人は1年に1回、この社の部屋へと巡礼を行なっている。
このトンネル内の気温は非常に過酷で、華氏110度(セ氏43度)を下回ることはまずない。
オーマン人の道案内たちはこのトンネルの中にはついて来ることはなく、洞窟の外で待つということでPCたちだけで中へ入っていった。

過酷な熱気に満ちた洞窟の中を通り抜けた末、彼らはゾツィラハの社に辿り着いた。
傾斜した溶岩トンネルの幅が広がり、岩の壁と床を穴だらけにしている亀裂から噴出した煙と灰でいっぱいの円形の部屋であった。
火の光と雷鳴のような轟音が西からやって来ており、洞窟の壁に開いたそちらの亀裂はこの活火山の喉元に直接通じている。
この洞窟の壁は亀裂が入って穴だらけであり、そのいくつかに食料、装身具、動物といった奉納物が収められているが、他は空っぽであるか灰が詰まっているだけである。
靄を通して、反対側の壁に浮き彫りにされた身の丈8フィートのコウモリがこちらを睨みつけている。
そのコウモリの翼はその頭部よりも上に伸びており、その2つの爪が、空っぽになっている奇妙な形状の壁龕のところで接している。

この社こそ、毎年オーマン人たちがゾツィラハの怒りを静めるために財宝や装身具を捧げている場所である。
オーマン人はそうする事によって、もっと破壊的な火山の爆発を引き起こさずに済んでいるのだと信じている。
ゾツィラハの恩寵と聖なる力のおかげで、この社は火山の断続的な噴火にも関わらず破壊されずに済んでいる。
壁にある壁龕には、過去数年以上にわたって原住民たちがゾツィラハに捧げた様々な奉納物が収められているようだ。
大きなコウモリの彫刻の爪のところにある壁龕は空っぽで、そここそがPCたちがタモアチャンから回収したコウモリの偶像がかつて収められていた場所だと言わんばかりであった。
突如、西の開口部から7匹のファイアー・バットを伴ってコウモリ神の化身が姿を現した。
彼は侵入者を殺害するべく姿を見せたのだが、PCたちはすぐさま盗まれたコウモリの偶像を取り出して敵対の意志がないことを示した。
アスペクト・オヴ・ゾツィラハはしばしその怒りを鎮め、彼らが元の場所に偶像を戻す時間を待った。
偶像が戻されると、ゾツィラハのアスペクトはレリーフの中で嘆息して緊張を解き、一行に向かって深く会釈をしながら、すべてのファイアー・バットを火山の中へと戻らせた。
耳障りなバリトンで、このクリーチャーはたどたどしい共通語を喋った。
「ゾツィラハは、彼の者の宝物を取り戻してくれた事について汝らに感謝している。
知るがよい、死すべき運命の子らよ、ゾツィラハは彼に尽くした者に対して報いを与えるであろう。
汝らはそれぞれ彼の宝物庫から1つの価値ある品を選ぶことができる。
もしその価値を知りたいのであれば、我に尋ねることができよう。
速やかに選べ、私が飢えに目覚める前に汝らはこの場を離れなければならぬ・・・」

コウモリの彫刻は実は巧妙に隠された隠し扉になっており、ゾツィラハのアスペクトの意志に従って開いた。
コウモリの彫刻が生命を得たかのようにゴロゴロと音を鳴らし、その翼を高く持ち上げてその向こうにある10フィート四方の部屋へと通じるアーチ門が露わになった。

ゾツィラハの礼品

次の選択肢が示され、各PCが礼品を受け取った(受け取った物については入手アイテムと特別報酬の欄参照)
  • 片面に蛇が、もう片面に王冠が描かれた古代のプラチナ貨500枚が詰まった小さな木製の箱。
  • 翡翠を嵌め込まれ、変色した王笏を手にした、象の頭部を持った人型生物の姿に彫られた象牙像。全体として3,000gpの価値がある。
  • それぞれ250gpの価値のある小さなサファイアの目を2つ持った木製の虎の彫像。
  • 100gpの価値のある1本のドラゴンの歯が取り付けられたネックレス。
  • オリダマラ神の聖印の形をした+2シールド。
  • +1ブレストプレート(任意の鎧に変更可能)
  • +2バトルアックス(任意の武器に変更可能)
  • フレイム・タン・ロングソード。
  • リング・オヴ・イヴェイジョン。
  • パール・オヴ・パワー(通常のものと異なり、4レベル呪文スロットまで回復できる。希少度はレア)
  • ストーン・オヴ・グッド・ラック。
  • アミュレット・オヴ・ヘルス。
  • 長く細い牙をその中に巻き入れた革帯。


タール穴への旅

ファーショアの入植者たちは、かつて数回に渡って、“恐怖の島”の巨大なタール穴へと小探検を行なったことがあるが、その旅はいつも悲惨で致命的なものとなって終わった。
入植者が必要とするタールについて、単にオーマン人と取引する方が遥かに容易で安上がりであった。
それでも、深紅の艦隊による大きな被害を受けてさまざまな建造物に被害を受けたファーショアはかつてない程に大量のタールを必要としている。
また、今後のさらなる発展を期すためにもそれは必須の資源と言える。
大量のタール供給を確保することは、攻撃によって入植地が被った損害を修理したり、シー・ワイヴァーン号やブルー・ニクシー号などの船舶を修理したりするのに役立つ。
この貴重な資源であるタールを供給する巨大なタール穴が開いているというのだが、オーマン人によればひとつ大きな問題があるという。
この島の中でも最も歳経り、最も凶暴である恐竜の1頭が、最近になってこの地域に移り住んで来たというのだ。
オーマン人はその怪物をテモウティ・テクアニと呼んでいる。

テモウティ・テクアニ

ここ数週間、タナロア村の人々はタール穴からタールを収集できずにおり、収集に行こうとするあらゆる者に対して速やかに同様の警告を発する。
灰色がかったティラノサウルス(地元民たちにはテモウティ・テクアニとして知られている)がタール穴周辺をその縄張りとしているようだとの事だ。
この恐竜は、タールにはまって身動きできなくなったクリーチャーを単に食べるということが非常に簡単であることを学んでおり、いまやこの地全体が彼の宴会テーブルだと見なしているというのだ。
タール穴は大きいが、この恐竜は彼の縄張りを絶え間なく見回り続けており、誰かが十分な量のタールを収集する前に、このモンスターがやって来て恐慌と無差別の暴力をもたらす。
ファーショアで必要とするタールを収集できるようにするには、誰かがテモウティ・テクアニを何とかしなければならない。

PCたちはひとまずタール穴へと向かった。
古代タナクランの崩れた街道を辿ってタール穴まで辿り着くことは容易であった。
そしてその地で彼らはこの暴力好きなディノサウルスを発見した。
彼らがタール穴の巡回を始めて1時間後には、怒り狂った咆哮と、奇妙なほどに甲高い恐怖と苦痛の叫びが空気を切り裂いた。
ジャングルから姿を現すテモウティ・テクアニの憤怒を間近に見ることになった。

このタール穴を利用している“恐怖の島”の住民はオーマン人たちと入植者たちだけではない。
ファナトンとして知られるこの島の原住人型生物の種族もまた、しばしば彼らの屋根や壁に塗る防水材のためにこの穴までやって来ている。
PCたちが到着したとき、12人のファナトンのタール収集隊がテモウティ・テクアニの脅威に晒されているところで、かのディノサウルスはこのごく小さなクリーチャーたちを夕食前の軽いスナックのように簡単に片付けてしまっている。

ファナトンはアライグマと猿の合いの子のような姿をしている。
彼らは長く、物を掴むことができる尻尾を持っており、その腕と脚の間にはひだがあり、それを使って彼らは短い距離を滑空することができる。
テモウティ・テクアニは、この島の他の捕食者たちとの無数の戦いを生き抜いてきた、ひどい古傷を持った勝ち残りである。
彼の目は片方失われており、その腕の片方も、遥か昔に他のティラノサウルスに噛み千切られてギザギザの断面を晒している。

PCたちはテモウティ・テクアニと戦うファナトンと一緒になってこの飢えて怒っている巨獣に立ち向かった。
ファナトンは次々と蹴散らされ、メロスはその巨大なあぎとに咥えこまれるも、何とかその息の根を止めることに成功した。

死んだティラノサウルスの死体を捜索すると、この獣の表皮上にある鱗組織や分厚い鱗の皮の間に何百もの矢じり、槍の穂先、その他の射出武器が埋め込まれていることに気付いた。
その中で、このディノサウルスの右足の鱗のひだの中深くに埋め込まれた+1ダガーが見つけた。
このダガーの柄にはヴァンデルボーレン家の家紋が押印されていた。
テモウティ・テクアニを倒したことで、タール穴は安全に収集できる場所になった。


ファナトン村への訪問

ファナトンのタール収集隊員の生き残りは集まって早口で喋り始め、PCたちにテモウティ・テクアニを殺してくれたことに何十回も感謝の意を表明した。
彼らは北にある彼らの村までPCたちを連れて行って歓待したいと告げた。

タール穴からファナトンの村までの旅はおよそ45マイルの道のりで、辿り着くまでにジャングルの中を数日さまようことになった。
旅の間、ファナトンたちはうっとうしいほどに、PCたちに彼らの故郷の話をしてくれるようにせみ、またその抑えのきかない好奇心でPCたちの装備品をひったくっては全員でじっくり観察して返してくれるまでに何時間もかかった。

ようやくのことにファナトンの村に到着すると騒々しいどんちゃん騒ぎが引き起こされた。
テモウティ・テクアニを打ち負かしたというPCたちの偉業が広まると、ファナトンの村人たちは喜びに満ちて感銘を受けた。
PCたちは果物と奇妙な味がする油で揚げた昆虫の即席祝宴の主賓となった。
ファナトンたちは“恐怖の島”について良く知っており、この島のあちこちの場所についての情報を提供してくれた。
彼らが示してくれた情報には次のようなものがあった:

ファナトンから得た恐怖の島に関する情報

  • ギャリヴァント号遭難場所
【恐怖の島の北岸】
“恐怖の島”の海岸において難破して沈んでいる船の中で最大級のこの巨大なガレオン船は、今やそれと同じくらい巨大な、エムラアグという名前のドラゴン・タートルのねぐらと化している。
(訳注:ギャリヴァントとは女遊びのナンパ者のこと)
  • 狂気の谷
【残り火の湖の南岸】
地元で“ロコ草”として知られる植物は“恐怖の島”の多くの場所で見受けられるが、この人里離れた谷には、この麻酔作用のある植物が最もたくさん繁茂している。
  • 霧のぬかるみ
【ブラッドウォーター湖の南岸のジャングルの中】
最近まで、この霧に包まれたジャングルの一部分は恐るべき秘密を隠していた。
トログロダイトのカルト信者たちによって何世紀も前に建設されたデモゴルゴンの社である。
ここは以前PCたちがバルルグラを掃討して浄化した場所である。
最近霧が晴れたとファナトンたちが話していた。
  • ジャガーの寺院
【ファナトン村から東】
この神秘的な寺院には、ラカスタとして知られる、絶滅した猫に似た人型生物の部族によって残された魔法の武器の兵器庫が隠されているという。
ファナトンたちは“ジャガーの寺院”の方角を指し示し、そこがかつて非常に好戦的な“猫人”たちが住んでいた場所だと説明する。
現在彼らはどこかへ去ってしまったが、彼らの武器は今でも彼らの村があった場所に隠されているだろうという。
  • スカイスカー峰
【ギャリヴァント湾の西】
“恐怖の島”の最高峰であるこのスカイスカー峰の斜面は、ルフが好む営巣場所である。
  • スコーピオン島
【恐怖の島本島の西】
このごつごつした島にはあらゆる種類のモンストラス・スコーピオンが生息しており、その中には、オーマン人やファナトンたちが“ケラッタカーサ”と呼ぶ、家ほどの大きさを持った途轍もなく大きな古代のモンスターもいる。
  • 残り火の湖
【恐怖の島北西】
その名は、この湖の深みに棲息する赤い燐光を放つ魚に由来している残り火の湖は、いくつもの水没した水路によって周囲の海とつながっている。
  • ひび割れ骸骨洞
【ファナトン村の北東の山の中】
実際には、何ダースもの洞窟が狭い割れ目でつながっているひび割れ骸骨洞には、5つの獰猛な人間の部族が生息しており、互いにいがみあっているという。
彼らはときどきこの島を覆う秘密の原始的な霧に晒されたことによって、オーマン人から先祖返りした人々であるとファナトンたちは信じている。
  • ブラックフェン(黒沼)
【ザネジオス川の河口一帯】
この沼沢地は諍いの絶えないいくつかのブリーワグ部族の縄張りであり、この蛙似の人型生物が敢えてそのぬかるんだ故郷から遠くへと出てくる事はめったに無い。
最大の部族であるバーバラーグ族は、半分沈んだ古代オーマン人の町の遺跡に生息している。
  • ブラッドウォーター湖
【タール穴の北東】
この大きな湖には、淡水爬虫類、ピラニアの大群、そしてそれ以上に性質の悪い代物を含む、危険な存在が群れを成している。この湖はその水の色合いから名付けられたのではなく、そこに生息する凶暴な存在によって名付けられたのである。
  • 立石
【ファナトン村のすぐ北】
この島にたくさんあるオーマン人の廃墟であるが、これほど巨大で壮観な立石は他に類がない。ここでは2ダースもの石が立っており、オーマン人の王子たちの失われた墓を示すものだと言われている。


ジャガーの寺院

ファナトンたちに教えられた方角へ向かい、ジャガーの寺院を捜索に向かった。
途中、沼地の中で7匹もの巨大クロコダイルに襲撃を受け、竹やぶの中で巨大蜘蛛ツリーレッグ・スパイダーに襲われたが、それを倒した。

ファナトンたちはかつてこの寺院の持ち主であった猫人ラカスタたちと友好的な関係を築いていた。
彼らはラカスタのこの寺院の場所を正確に知っており、彼らの書いてくれた地図によってPCたちは容易にその場所を発見できた。
彼らは茫々の草に覆われたラカスタの村とその石造りの寺院を発見した。
そこに、ジャングルの緑に包まれて、ずんぐりとしたジッグラトが鎮座していた。
壁には背の高い壁龕があり、そこに苔に覆われたジャガーの頭部を持った男性の像が配されていた。
蔓植物や蔦でできた分厚い天然のカーテンが、南の壁の基部に開いた幅の広い開口部を覆うように垂れ下がっていた。
ジッグラトの中へ進んで行くとき、頭上のまぐさ石に潜んでいた巨大なエメラルド・アナコンダの襲撃を受けた。
エメラルド・アナコンダを倒してジッグラト内部へ進んだ。

そこの壁や30フィート上方の天井の壊れた箇所から幾筋かの光が差し込んでおり、この崩れかけたピラミッドの内部にある大きく開けた部屋を照らしていた。
壁は色あせた壁画と浅浮き彫りの彫刻で覆われ、部屋の中央には様々な古美術的トーテム像がいっぱいで、それらは、大きな翡翠でできたジャガーの像が置かれた中央の台座の方を向いていた。
これらの像は、奇妙なことに時の経過の影響を全く受けていないように見え、知られざる彫刻家が、あたかも昨日その作業を終えたかのように、細部のラインまでくっきりと鮮やかであった。
実はこれは幻術の罠(落とし穴を幻術で隠した罠)であったが、それを看破り、穴の側面に開いた横穴からさらに奥へ進む。

なだらかな斜面をなすトンネルが、暗闇の中へと下っていた。
このトンネルの壁にはたくさんの壁龕があり、そこにある台座から見下ろすようにする古代のジャガー像が配置されていた。
それらの目には赤、青、そして緑の宝石がはめ込まれて輝きを放っていた。

トンネルの最奥部に辿り着く。
竹製の突き出し燭台にかけられた松明が、この天井の高い部屋をゆらめかせていた。
壁にはトログロダイト、ディノサウルス、その他何であるのか識別つきかねる悪魔的なモンスターたちと戦う、猫の頭部を持ち、鎧に身を固めた男女の壁画が描かれていた。
いくつかの場面では、そのキャットフォークたちは大型のサーベルトゥースド・タイガーに騎乗しており、また別のところでは、大きなピラミッドに祈りを捧げている。
葉の模様を彫りこまれた古代の柱が、20フィートの高さの天井を支えており、葦の敷物で覆われた竹製の台座の周りを取り囲んでいる。
この部屋には1000年以上の昔から1体のセレスチャルが隠れていた。
コアトルとして知られる翼を持つ聖なる蛇だ。
彼は姿を隠してPCたちの心を読み、彼らが邪悪な者ではないことを知ったうえで姿を現した。
トナティウと名乗ったコアトルはこの地を襲った悲劇を語った。

古代タナクランの権力の絶頂期に、いくつかの民族が自然の中でのより伝統的な生活習慣を求めて、都会生活の快適さを放棄した。
こうした集団の中で最も多いものは、古代の習慣を受け入れてライカンスロープと化した、いくつかのシャーマニズム的な変身生物カルトであった。
これらの集団の中の少数がジャガーのカルトとして成功した。
そしてあるとき、この島にデーモンの影響が及んだ。
タナクランに巨大なシャドウ・パールがもたらされ、サヴェッジ・タイドが炸裂したのだ。
タナクランが打ちのめされたとき、これらのカルトはその大惨事から避難し、その後も何世代か生き延びることができた。
やがて、彼らの大部分も死に絶え、この島の支配者となった獰猛で新たな捕食者たちの犠牲となった。
彼らの中で唯一、ジャガーのカルトだけが生き延びた。
さらに何世代かを経ると、これらワージャガーたちは進化し変化を遂げ、ラカスタとして知られる全く新しい種族になった。
残念なことに、“恐怖の島”は油断を赦さない場所であった。
最近、トナティウが守護者となっていたラカスタの“子供たち”は、中央高地からやって来たスキンウォーカーとして知られる悪魔的な人型生物によって、虐殺されてしまったのである。
皮肉なことに、最初のサヴェッジ・タイドを逃れることができなかったジャガーのカルトのメンバーたちは、この1,000年以上の間に、より破壊的なフィーンディッシュ種のキャットフォークへと進化していたのである。
トナティウは、ラカスタたちに迫る攻撃を予知しており、スキンウォーカーと戦うための魔法の武器を生産し、備蓄するよう子供たちに数年前から警告を発してきた。
しかし、最終的にスキンウォーカーによる攻撃が行なわれたとき、それは迅速かつ警告なしに行なわれたのだという。
ラカスタたちはこの部屋に隠しておいた武器の蓄えを手にする機会もなかった。

それ以来、トナティウはラカスタたちが残した武器が悪の手に渡らないようにここに残っていた。
もはや彼が物質界に留まる理由はそれだけであったのだ。
彼は正義のために戦うと語るPCたちの心を読み、その真意を悟り、ラカスタたちの武器を彼らに託すことを決意した。
武器庫の開け方を教えた後、彼はここを立ち去る前に、一行に自分の尻尾から3枚の明るい色彩を持つ羽根を引き抜いてそれを授与した。
もしこれらの羽根の1枚を、プレイナー・アライ呪文を発動する際に追加の物質要素として使用したなら、トナティウを指名して招請し、援助を求めることができ、通常であれば1日あたり10,000gpの支払いが求められるところを1日だけ無償で働いてくれるという。

ラカスタの武器庫

中央台座の北の側面にラカスタの武器庫を開くボタンがあった。
それを押すと、台座全体が地面からせり上がり、持ち上がった柱の内部に、武器がいっぱいの棚が並んだ空洞が露わになった。
ここにある武器は素晴らしい品々ばかりだった;
  • 40個のウォー・クロー(「ウォー・クロー」参照)
  • 20張りのロングボウ
  • 600本のアロー
  • 20本のスピア
  • 20本のパイク
  • 40本のジャヴェリン
  • ウォー・クロー・オヴ・ウーンディング(ソード・オヴ・ウーンディングと同様だが、元になる武器はウォー・クローである)
  • スキンウォーカー・ベイン(知性あるロングボウ)
  • ヴィシャス・グレートソード


ファーショア帰還

これらの冒険の成果をもっていったんPCたちはファーショアに帰還した。
タール穴との交易路が確立され、ファナトンとの友好関係が樹立され、ラカスタの極上の武器がファーショアに運搬された。


報酬と時間経過

経験点

■モンスター分
1人当たり・・・17,975XP

金銭報酬

ラヴィニアからの謝礼金・・・1人当たり100gp

入手アイテム

■ゾツィラハ神からの感謝の礼品
  • フレイム・タン・・・受取人ユリア
  • アミュレット・オヴ・ヘルス・・・受取人レイノール
  • +2ハルバート・・・受取人メロス
  • ドラゴンの牙のネックレス(100gp相当)・・・受取人ドーラ
■ゾツィラハ神が所有権を主張しなかった品
■テモウティ・テクアニの鱗の中
  • +1ダガー(ヴァンデルボーレン家の紋章付き)
このダガーについてはラヴィニアに確認すると母親のものだと判明する。おそらく母ラリッサがファナトンの友人ハトイに送ったものだという。
ハトイの物語については『The Ecology of the Isle of Dread』参照
■ラカスタの武器庫

特別報酬

トナティウの尾羽根(プレイナー・アライの物質要素)×3枚

時間経過

39日

名声

すべての勢力陣営について名声+5
最終更新:2019年01月04日 21:30