第23回(2019/1/6)

参加PC

ドーラ・アラバニ【Noa】
ユリア・テシャトフ【小太郎】
レイノール【ladver】
メロス【hiko】
JM【bpa】

恐怖の島の物語

何世紀もの昔、オーマン人の帝国はデンサック湾の隅から隅まで広がり、遠く真珠海にまで達した。
その南の境界では、最も周囲から孤立した王国タナクランもまたその最盛期を迎えていた。
オーマン人の帝国の多くが戦闘と不和とに屈してからも長い歳月の間、タナクランの王たちはその真珠色の都において大いなる成功を収め、その怒れる神々を喜ばせていた。
しかしタナクランの王国が不滅の運命を持っていた訳ではなかった。
千年の昔、大いなる悲劇がこの得意の絶頂にあった王国に降りかかり、その繁栄を極める国を今日“恐怖の島”として知られる土地に変質させたのである。
サヴェッジ・タイドとして知られるその悲劇は妖しげに輝く黒い真珠と共にもたらされた。
その黒真珠は大いなる贈り物のようなふりをして帝国中枢に運び込まれ、王権の象徴のように扱われて人々の争奪戦を招いた挙句に血塗られて割れた。
真珠から発生した不浄な潮流はタナクランの帝都のみならず、この島全土を飲み込んだ。

それから何百年もの間、広大な海の真ん中にある“恐怖の島”は僅かなオーマン人の生き残りの部族を除けば、誰も訪れず、誰にも知られていない土地であった。
この生き残りのオーマン人たちは、脅威と恐怖を発達させたタナクランの時代にまで祖先を遡ることができる。
時々、熱帯性の嵐によって航路を外れた船が、この島の周囲に広がる暗礁で難破することがあるが、そうした来訪者たちがここから逃げのびて、怪物たちに支配されるこの島の話を語り伝えることはなかった。
ほんの数十年前、ローリィ・バルバロッサという名前の恐れを知らない探検家が海図に載っていない島を発見し、その話を本土へと持ち帰るまでは、その伝説的な島の存在を証し立てる証拠が文明圏にもたらされることはなかった。
ローリィの島への最初の旅は、彼に古代オーマン人の遺跡から略奪した大量の財宝をもたらしたが、もし地元の伝説が真実であるなら、その島の深い内陸部には、もっと大量の財宝が残されている筈だと、彼は知っていた。
ローリィは二度と再び“恐怖の島”に戻ることはなかったが、彼の伝説は生き続けている。
今日にいたるまで、実に多くの探検者や冒険者たちがその島を捜し求めている。
そのほとんどは失敗に終わった。ほんの数年前までは、敢えてこの島に恒久的な入植地を建設しようなどと考える者は誰もいなかった。
ファーショアによって状況は変わったのである。


冒険への導入

“深紅の艦隊”の襲撃を生き抜き、ファーショアの人々は徐々に元の生活に戻りつつある。
PCたちはこの機会を使って、満足いくまでの休息を取り、好きなだけ休息時間の活動を取ることができる。
アメラ・ヴェンカリーに率いさせてサザリン市に送ったブルー・ニクシー号の帰還を待つこともできる。
あるいは魔法のアイテムの作成に従事することもできるし、入植地の復興を手助けすることで地元民たちの人気を取ることもできる(暁の評議会に属する者には重要な支持を得ることに役立つだろう)。
あるいは1つか2つのちょっとした寄り道の探索行を行なうことに好きなだけの時間を使うことができる。

“深紅の艦隊”の襲撃の結果、数多くの噂がファーショアに広まっており、そうした噂話はPCたちの耳にも入ってくる。
ラヴィニア・ヴァンデルボーレンの弟ヴァンサスの死と、彼の“深紅の艦隊”への関与、そして彼がデーモン化していた事実は、人々の口から口へと繰り返し語られる内に誇張されたものとなっている。
こうした話のために、入植地の住民の幾人かは、ラヴィニアが入植地の人々を指揮する権利に疑いを抱き始め、彼女の魂に隠された悪魔の穢れと、“深紅の艦隊”との関係についての囁き声が日を経るにつれて大きくなっていく。
こうした中傷を煽っているのは、主にメラヴァンチ家、特にその若き貴公子アヴナーから出ている声であることは秘密でも何でもないが、それでもラヴィニアのファーショアにおける権威は(そして敷衍して考えると、PCたちの権威も)浸食されている。

恐怖の島におけるタール穴との交通の確立、ファナトン村との友好関係の樹立、そしてラカスタの武器の獲得の探険から帰ってきたPCたちの下にいくつかの話が伝わってくる。
彼らはそのいずれを解決することにしても構わない。

恐怖の支配者の捜索

“深紅の艦隊”による入植地に対する最後の攻撃で鹵獲された航海日誌と、捕虜にした海賊たちから得た情報を総合した結果、恐ろしい事実が判明する。
そもそも“深紅の艦隊”はなぜこの島にやって来たのか?
彼らがラッツ・エンドの海賊たちから連絡を受けてファーショアを襲撃したのは、「何か別の仕事があってこの島に来るついでに」行なわれたに過ぎない。
ヴァンサスが率いていた“深紅の艦隊”の船団は、“恐怖の支配者”と呼ばれる神秘的な集団からシャドウ・パールを購入するためにこの島にやって来ていたというのだ。
“恐怖の支配者”と呼ばれる集団はこの島の北海岸の隔離された湾にいるという。
当然、これらのアーティファクトの脅威に関心を抱いたラヴィニアは、PCたちに“恐怖の支配者”と接触し、シャドウ・パールの生産に関する彼らの役割を見極め、そして可能なら、これを最後にこの危険な武器の生産を終了させるよう促す。

セラッタカーサの谷

ファーショアを最初に襲撃したラッツ・エンドの海賊たちの生き残り、レフティによれば、ラッツ・エンドをねぐらとしていた海賊たちの船長のひとりに“拳砕き”ウルガシュという男がいたという。
ウルガシュはハーフオークで、ラッツ・エンドに溜まっていた海賊たち(少なからぬ人数のオークやゴブリンたちが含まれていた)を引き連れて、伝説の“狂人”マドセン・アター船長の宝を探しにスコーピオン島に渡ったきり帰ってこなかったという。
レフティの話とオーマン人たちの伝説、アター船長の宝の伝説、そしてアター船長の一等航海士であったラリッサ・アイオムンディの娘であるラヴィニアが母親から伝え聞いていた話などから総合し、ファーショア記録保管所のジェラン・エムリカッドが結論しているところでは、アター船長の宝が眠るという禁断の谷はスコーピオン島にあるのだという。
そして谷に潜む恐るべき怪物こそ、オーマン人の言うところの七大災厄のひとつ、セラッタカーサなのだ、と。
ラヴィニアが母親から聞いていた話では、マドセン・アター船長はバルバロッサ船長の魔法のバイコーン帽を持ったまま行方知れずになったといい、彼の死地にはその帽子が残されているかもしれない。
+ 「“狂人”マドセン・アター船長の伝説」
「“狂人”マドセン・アター船長の伝説」
“狂人”マドセン・アター船長はかつて高名な海賊ローリィ・バルバロッサ船長の一等航海士であった。
バルバロッサの“恐怖の島”への航海に同行し、生きて帰還した数少ない人物の1人であり、バルバロッサのもたらした“恐怖の島”に関する情報によって出航した数多くの船乗りたちの中で、生きて島へ辿りつき、正確な海図を書き記した初めての人物であった。
しかしアター船長はその海図を生きて文明圏に持ち帰ることはできなかった。
彼の船は“恐怖の島”沿岸を航海中に船乗りたちの反乱に遭い、スコーピオン島でその命を落としたのである。
船で留守を預かっていた一等航海士のラリッサ・アイオムンディという女性が、生き残りの乗組員と共に文明圏に帰りつき、彼女はその海図を受け継ぐ数少ない者たちの1人となったのである。

バアラグロウス退治

きわめて気難しいドラゴン・イール、バアラグロウスは、オーマン人の7つの村近隣のあちこちの海岸や湾に出没すると言われているが、これまでのところその巣の位置は誰も特定できずにいる。
この海域に船を出すたびにバアラグロウスと遭遇する可能性がある。
バアラグロウスは一方的に水中から攻撃を仕掛けて来るため、その被害は甚大である。
貢物さえしておけば今のところバアラグロウスは見逃してくれている。
しかし貢物を延々と送り続けることの経済的損失とそれを倒すことに伴うリスクは十分に検討すべき内容と言えるだろう。
特にブルー・ニクシー号が帰還してサザリン市との間に定期航路が確立されることになる段階になってはこれは非常に大きな問題となる。
交通量が増えたときにこれまで通りの貢物でバアラグロウスが満足するかどうかは誰にも分からないのだ。

ノルトゥス・イナーソル神父の捜索

ファーショア礼拝所の住職であるヴェサリン・キャサリー(男性のハーフエルフ)は、精力的でぶっきらぼうな人物であり、この礼拝所の住職としてファーショアの精神的な指導者としての役割を果たしている表裏のない人物のように思われている。
しかしその実、彼には秘密の顔があり、それは一部の者たちにしか知られていない。
彼は怒りの竜巻寺院の重要なメンバーのひとりであり、恐怖の島がデーモンの影響を受けているという噂を聞いてこの地へやって来たのだという。
このことは彼の部下である4人の助祭たちですら知らないことである。
怒りの竜巻寺院のメンバーであるPCたちには彼の方から接触がされ、この秘密が明かされると共に、ここ1年ほどの間彼の良心を蝕み続けているある事柄について打ち明けられる。
それはノルトゥス・イナーソルという名前のペイロアの宣教師の運命についてである。
ノルトゥスは1年以上前に他の入植者たちとは別個にこのファーショアにやって来た。
彼はオーマン人たちの半島のあちこちで彼の信仰の教えを広めようと熱心な布教活動に務めていた。
そしてついには巨壁の向こう側にいる人々にも太陽神の教えを広めることを決意するにいたり、ファーショアで数日の間準備を整え、旅立って行ったのだという。
それ以来、彼の姿を見た者はなく、ヴェサリンは彼にほとんど何の支援もしてやることなく、ひとりで旅立たせてしまったことに良心の呵責を覚えつつ、彼の無事を祈り続けている。
恐怖の島の本土を旅するというのであれば、この行方不明の宣教師の痕跡に目を配ってくれるようPCたちに依頼してくる。
もしこの依頼を受けてくれるというのであれば、プロテクションの巻物(フィーンド)を1枚提供してくれる(パーティに1枚)。

特別報酬


時間経過


名声

最終更新:2019年01月04日 21:13