Savage Tiding 08『最悪の市場』

後ろにいる知らない奴を見張っておけ。もし友だちがいるなら、そいつらにあんたの側面と正面も見張らせるんだよ。ここは海賊たちですら“もめ事の町”と呼ぶような危険な場所だ。俺にあんたたちの道案内をさせてくれよ。俺を信じるんだ!俺ならあんたたちを・・・迷わせたりはしねぇ。
あんたたちに魔法の品物や素晴らしいお宝をたくさん見せてやるよ。ここスカットルコーヴではどんなものでも買えるのさ。海賊どもはこの町を別の名前で呼んでいる――とにかくそういう素晴らしい場所だってね。奴らはときどきここを“買戻し場所”って呼んでる。世界中のあらゆる商品が一時的にスカットルコーヴを経由していて、そうした品々がそれを手に入れるだけの力を持つ奴によって買い戻されているんだってのが奴らの言い分さ。
俺にくっついて町に入れば安心さ。俺を信じなよ。あんたたちを大喜びさせるような素晴らしい商品を見せてくれるダチ公のとこまで連れてってやるからさ。さあ来いよ。俺について来いよ。スカットルコーヴ、悪業の町へさ。
―― 典型的なスカットルコーヴでの歓迎
通常すぐ後に強盗事件となる

スカットルコーヴ市以上に暴力と犯罪の楽園と化している卑劣な場所を見ることはないだろう。その恐ろしい評判と悪しき現実にも関わらず、スカットルコーヴ市は訪問者にとっては役に立つ場所でもある:ありとあらゆるものを商う市場が存在するのだ。殺し屋のリーダーたち、闇の心を持った海賊たち、そしていかがわしい商人たち――その真に堕落しきった市民たちは言うまでもなく――に耐え抜くために、この連載記事ではプレイヤーである君たちに、強制徴募されたり、奴隷にされたり、あるいはもっと悪いことになったりするのを回避するために必要な秘訣、要領、そして小道具を提供する。『Dungeon』誌ではDMに対して『Savage Tide』キャンペーンの無数の悪漢たちの危険なプロットを提供していく一方、この『Dragon』誌では、君たちが生き残るのに必要とされる有利な状況を提供する。今月の記事では、スカットルコーヴ市の権力派閥についての概況と、その中では多少は評判の良い商人の何人かを紹介する。


君は何を知っているか:スカットルコーヴ市

スカットルコーヴ市は、文明の境界に位置する腐敗したジャングルに覆われた多島海である海賊諸島の荒れ果てた領域の中で、何とか命脈を保っている――この海賊都市そのものについて言及している文献はめったにない。スカットルコーヴ市は不正と、密輸、盗み、貪欲といった悪の中心であり、暗黒の群島の黒い首府である。
この都市は、おぞましい犯罪的行為ゆえに迫害を受け逃亡してきた神を信じぬ食人風習を持つ人々によって建設された。彼らはセコルヴィアと名付けた1つの島を発見し、その南岸部に上陸して入植し、スカットルコーヴ市を建設した。しかし今日、スカットルコーヴ市にまつわる噂によれば、町は混沌に陥っており、ここ数年間ウル・プリーストのリーダーが町を放棄してしまっているという。この都市は内戦の危機に陥っており、その掌握者のいなくなった統治権を巡って、複数の派閥が互いに合い争い、支配しようとしている。
おそらくこれらの派閥の中で最強のものは、海を超え北の文明地にまで勢力を伸ばしている海賊たちの組織、“深紅の艦隊”である。スカットルコーヴ市の輸入品の大部分は“深紅の艦隊”の船舶がもたらすものであり、彼らはこの港を盗んだ貨物の売却場所として利用している。しかしその力にも関わらず、“深紅の艦隊”はこの都市の悪徳のほんの僅かな部分しか支配できていない。他の派閥がそうした犯罪分野を支配している――邪悪なウィザードであるケドワード・ボーンはこの都市の麻薬売買に君臨しており、悪名高い“ポーフィリー・ハウス(斑岩の館)”は売春を統括している。そして奴隷売買については危険なユアンティの秘密結社“第七のとぐろ”の専売特許である。これに加えて“飢餓修道団”が存在している。5年前までスカットルコーヴ市を統治していたウル・プリーストの工作員たちは、邪悪な徴税請負人にして法の執行者であったが、彼らのパトロンがいなくなったことで見捨てられた。この暴力に満ちた都市の影で、抑圧され弾圧されているあらゆる人々を援助する反逆者たちの組織、“護民官”の噂すらある。
この都市の歴史の長い期間、ウル・プリーストによってあらゆる神格への崇拝が禁じられていた。他に類を見ない彼らの支配するこの無秩序なる都市において、彼らは自分たち自身を神々に優越する存在と位置づけ、いかなる神格崇拝をも許さなかった。彼らが姿を見せなくなったことで、墓場に咲く不気味な花のように、スカットルコーヴでは宗教活動が盛んになっている。都市のスラム街では、皮膚病感染者やホームレスの人々が病気の神インキャビュロスに必死の祈りを捧げており、地下のあちこちにヴェクナの小カルトが存在するという噂である。しかしスカットルコーヴの真の信仰は、この都市の絶望を変えうるデーモン・ロードやアーチデヴィルに対する崇拝である。
組織は人々の注意を迅速かつ容易にひくことができるが、スカットルコーヴのような場所では実物以上の評価を得ている者だけが表に出てくるようになり、この街の人々の口の端には2~3の名前がのぼる。ケドワード・ボーンはこの都市の麻薬男爵である。彼には非常にたくさんの手下、部下、そして扶養家族がおり、皆彼の懲罰を恐れて敢えて逆らったりする勇気がない連中ばかりである。彼は何百人もの人々を破滅させ命を奪ってきたにも関わらず、恐怖と嫌悪の対象として生き続けている。ティラランディは、この都市で最も悪名高い売春宿である“ポーフィリー・ハウス”の現在の所有者である。記憶に新しい所では、勇敢な冒険者の一団がデモゴルゴン崇拝のユアンティの巣窟を発見したという出来事があった。その冒険者たちが以前の所有者をその剣の餌食とした後、ティラランディは速やかに空き家となったこの建物の所有権を獲得した。現在の所有者についてはさまざまな噂がついて回っている――ある者たちは、彼女はスカットルコーヴから病気を一掃しようと努力をしている美しく慈悲深い天使と見ているが、また別の者たちは、彼女は数え切れないほどの恋人たちから生命を奪い取る魔女と見なしている。ティラランディについて確かな事がひとつだけある。彼女はこの海賊都市の出来事の中心ではめったに見られることがない謎の人物だという事である。そして最後の著名人としては、“深紅の艦隊”の残忍で悪名高いリーダーがいる。情け容赦ない殺人者にして冷酷な親方であるという“冷たい船長”ワイザーの評判はまったく的を射たものである――海の上で最も危険な海賊組織において偶然だけでトップまで登り詰めるような人物はいないのである。

「どうしてスカットルコーヴなんかに住んでるのかだって? 私に一体どんな選択肢があったって言うんだい? 奴らが言うには、腕のいい鍛冶屋は足りないんだそうだ。それが奴らが私の家族をさらった理由さ。蛇人間どもは家族は無事だと言っているが、あんたたちは、私に蛇どもがかわいそうな家族を生きたまま食らう悪夢を見続けろとでも言うのかね?」
――サダラス・クオース、スラム街に住む鍛冶屋


卑劣な売人と危険な品々

表面上は、スカットルコーヴ市は繁栄し、人混みでごった返す市場や、金や宝石に溢れ返る目もくらむ倉庫、あるいは小間物や好奇心を誘う品々でいっぱいの店舗といった場所とは程遠い。通常、エララクニの商業地区において毎日法外なショバ代を支払うことができる者だけが、大っぴらに、そして確信を持って商売をすることができる。“飢餓修道団”のモンクたちは、スカットルコーヴ唯一の市場を支配するこの掟を侵害しており、素早く、そして乱暴に取引をしている。しかしながら、海賊、盗賊、人殺し、ならず者がすし詰めになったような、この不道徳な場所では、市場は非常に儲かる潜在性を秘めており、狡賢く、巧妙、凶悪、邪悪、そして邪道に陥った売人たちの多くがスカットルコーヴを故郷と呼ぶだけでなく、「もうあと1年だけ」留まるのに十分なだけの利益を得ている。そのような場所では、どんな物にでも価格が付けられている。それがスカットルコーヴ市の中に存在しないのであれば、どんな危険に直面することも厭わない数多くの傲慢な船長たちが、金と引き換えに君たちの欲求を満たし、それを運んでくることを約束する――もし君たちがその対価を支払うことができるなら。
しかしながら、商人たちは彼らの品物を市場で大っぴらには提供しない。彼らは友人の紹介による厳選した顧客だけを招待するか、非常にたくさんの質疑応答に応えた人物だけにしぶしぶ商品を提示するか、あるいはまるっきり見知らぬ人物をその商取引の建物まで連れ込むほど自暴自棄になってしまっているかのいずれかである。しかしながら一般的に、スカットルコーヴ市の貿易商たちは好ましい顧客のリストを持っており、その人物は友人や富裕な仕事仲間のための仲介業者として勤めている。幾人かの貿易商や闇商人たちは比較的見つけやすく、便利なツテとして役立つかも知れない。しかしながら、身を潜める理由を持ち、顧客を抜け目なく選ぶ者たちもいる。
下記の商人たちのリストは、けっしてこの都市の商人を完全に網羅するものではない。スカットルコーヴ市は、虐待、肉欲、食欲に関して、またそうした不道徳なこと成しうるアイテムや携帯品に関しては、可能な限りの創造力を働かせている。スカットルコーヴ市を訪れる者たちは忘れてはならない。スカットルコーヴ市では、君たちが望むあらゆる物が――あらゆる物だ――手に入るのだということを・・・君が対価を払うことができるのであれば。
こうした商人たちとの取引は「休息時間の活動:闇市場での売買」として扱われる。まず1日をかけてそれぞれの人物を探しだすことから始める必要がある。人物毎に定められた難易度の【魅力】判定を行なうこと(判定はDMが行なう)。これに成功すればその人物がいる場所を見つけ出すことに成功するが、5以上の差で失敗すれば、彼らがその人物を探そうとしているという事が好ましからざる人物の耳に入ることになり、何らかのトラブルに見舞われるかもしれない。
下記の説明に付された地図番号については、『Dungeon #146』で入手できるスカットルコーヴのポスターマップに示された番号である。

イングラム・キャドレイディアンの魔法店

Ingram Cadgraydian’s Enchantments
イングラム・キャドレイディアンを見つけ出すには難易度20の【魅力】判定に成功しなければならない。成功すれば、首吊り廃墟広場(エリア12)を見晴らす場所に立つ腐朽した邸宅、“紙ランタンの家”において商売をしているキャドレイディアン(混沌にして悪、男性の人間)を見つけることができる。
“紙ランタンの家”の部屋は、オブジェ、彫刻、宗教的な柱に埋め込まれた鋳造金属板、アウルベアの骨格標本、その他さまざまな奇妙な道具類でいっぱいである。キャドレイディアンは広場を見下ろす屋上バルコニーを持ち、通常そこで、彼は日暮れ時にワインで死体に乾杯をしている。
キャドレイディアンは大柄な男であり、その驚くべき胴回りと背の高さとは、彼の血筋にいくらか巨人の血が混じっていることを示唆しているようである(しかしながら彼の顔にはそういった様子は見られない)。キャドレイディアンは恐ろしげで、非常に印象的な人物である。
彼は相手を脅しつけるように、その太い胴回りを利用し、ずけずけとした言い回しで話をすることを好む。原則として、彼は彼が尊敬に値するとみなした人物とだけ仕事をする。キャドレイディアンは彼のキャッチフレーズで知られている。すなわち、「率直に話しをしたい。私は率直な物言いに容易に腹を立てるほど馬鹿ではない。」
最近、キャドレイディアンがサーペント・シンボル(下記参照)と呼ばれるユアンティにとっての神聖なアイテムを手に入れ、それを“第七のとぐろ”の敵に売り渡そうとしたため、彼が“とぐろ”を敵に回したという噂がある。その結果、最近キャドレイディアンは蛇人間たちから身を守る方法を発明することにその才能の多くを費やし、身を守るための独自のポーションを作り出した。
キャドレイディアンは、スカットルコーヴの腐敗と恐怖に影響された彼の才能を利用して、彼独自の恐るべき種類の魔法を編み出した。彼のサービスは安くない。「才能は・・・」彼は言う「・・・最も素晴らしい商品だ。」彼は『Dungeon Master’s Guide』に記載されているアイテムのうち「表:魔法のアイテムA~C」に記載されているアイテムの大部分について作成方法を修得しており、時間と作成に必要なコストの3倍を支払えば依頼に応じてアイテムを作成してくれる。常時手元に置いているアイテムについて「表:キャドレイディアンの魔法店の商品」を参照すること。表の「個数」の欄にはある特定の日(PCたちが訪問したとき)に店にある在庫の数を示している。この個数はDMが適切と判断したときに更新される。
表には『Dungeon Master’s Guide』に掲載されていない下記に示す独自のアイテムも含まれている。
表:キャドレイディアンの魔法店の商品
品名 市価 個数
ポーション・オヴ・ヒーリング 50gp 2d10
ポーション・オヴ・グレーター・ヒーリング 200gp 1d10
呪文の巻物(初級魔法)[呪文毎に] 25gp 1d10-2
呪文の巻物(1レベル)[呪文毎に] 50gp 1d8-2
呪文の巻物(2レベル)[呪文毎に] 250gp 1d6-2
呪文の巻物(3レベル)[呪文毎に] 500gp 1d4-2
ポーション・オヴ・クライミング 120gp 1d8
バッグ・オヴ・ホールディング 1,200gp 1d6-1
ドリフトグローブ 1,200gp 1d8-1
魔法のアイテム表A~Cにある上記以外のアンコモンの消費型アイテム 800gp 1d6-1
魔法のアイテム表A~Cにある上記以外のアンコモンの恒久型アイテム 1,500gp 1d4-2
魔法のアイテム表A~Cにある上記以外のレアの消費型アイテム 8,000gp 1d6-2
蛇咬薬 600gp 2d6
インシディアス・シーウィード 10,000gp 1
キャドレイディアンズ・ウェルカム・エンブレイス 500gp 1d10
フィギュリーン・オヴ・ワンドラス・パワー(ポーフィリィ・スネーク) 16,000gp 1
サーペント・シンボル 非売品 1(?)

蛇咬薬(錬金術アイテム)

Snakebite(Alchemical Item)
蛇咬薬には苦味のあるリンゴの風味と、ナツメグとショウガの芳香を持つ。これは耐毒剤の改良品である。これを摂取すると、毒に対するセーヴィング・スローに“優位”が与えられ、[毒]ダメージに対する抵抗を得る。加えて、蛇咬薬が効果を及ぼしている人物に噛みついたあらゆるユアンティ、蛇、あるいは蛇に類するクリーチャーは、難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1d6[死霊]ダメージを受ける。セーヴに成功するとダメージを受けずに済む。
キャドレイディアンは蛇咬薬1瓶を600gpで提供する。

インシディアス・シーウィード

Insidious Seaweed/陰険な海草
その他の魔法のアイテム、レア
このもろい、乾燥した海草をより合わせた物質は、ざらざらした質感とちょっと潮っぽい臭いがする。
これを手に持ってアクションを使って合言葉を唱えると、それは速やかに何倍もの大きさになり、あたかも君のいる地点を中心とし、君と共に効果範囲が移動し、1分間持続するエンタングル呪文に似た効果を生み出す(セーヴィング・スローの難易度は13)。この効果に精神集中は不要で1分間持続する。君がこれを手に保持している限り、自分自身の持つインシディアス・シーウィードが作り出したからみつく植物の影響を受けることはない。もし君がインシディアス・シーウィードを手から離したなら、君も通常通りにそのからみつく植物の影響を受けることになる。もう一度アクションを使って合言葉を発声することで、この植物の保持者は持続時間終了前にこの効果を終了させることができる。もし拘束状態のクリーチャーがいる状態で君が移動し、そのクリーチャーが効果範囲の外に出た場合、即座に拘束状態は解除される。
いったんこの植物を起動したなら、次の夜明けが訪れるまでは再びそれを使用することはできない。
キャドレイディアンはこの海草を10,000gpで提供する。

キャドレイディアンズ・ウェルカム・エンブレイス

Cadgraydian’s Welcome Embrace/キャドレイディアンの歓待の抱擁
その他の魔法のアイテム、アンコモン
この上等な外套は深い色合いの良質な羊毛で作られており、よく見ると漠然と蛇の姿が織り込まれている。
着用すると、この外套は3つのスウォーム・オヴ・ポイゾナス・スネークスに変化し、即座にその着用者を攻撃する。スウォームに変化すると同時に、この外套は破壊される。
キャドレイディアンはこの外套を500gpで提供する。

フィギュリーン・オヴ・ワンドラス・パワー

(ポーフィリィ・スネーク)
Figurine of Wondrous Power (Porphyry Snake)/不思議な小像(斑岩の蛇)
その他の魔法のアイテム、レア
この石製の暗い赤紫色をした翼の生えた蛇を象ったフィギュリーン・オヴ・ワンドラス・パワーは、あたかも攻撃の構えを取っているかのようにとぐろを巻いており、ポケットに入るくらいの大きさの小像である。
もし君がアクションを使って合言葉を唱え、この小像を君の60 フィート以内にある地面に投げつけると、小像は生きたポーフィリィ・スネーク(斑岩の蛇)と化す。もしそのクリーチャーが出現するはずの空間が他のクリーチャーや物体によって占有されているか、そこにそのクリーチャーが出現するのに十分な空間がないなら、小像はクリーチャーにならない。
このクリーチャーは君と君の仲間たちに友好的である。それは君の言語を理解し、君の言葉による命令に従う。もし君が何の命令も与えないなら、このクリーチャーは自分自身を守るが、他には何もアクションを取らない。ポーフィリィ・スネークは翼の生えた毒蛇であり、データとしてはジャイアント・ポイゾナス・スネークに60フィートの飛行移動速度を与えたものを使用する。
このクリーチャーは最大で6時間まで存在する。その時間が経過すると、元の小像形態に戻り、2日間が経過するまでは再び使用することはできない。
キャドレイディアンはこの小像を16,000gpで提供する。

サーペント・シンボル

Serpent Symbol/蛇の聖印
その他の魔法のアイテム、ヴェリー・レア(同調必要)
この銀の円盤は、あたかも丸のみにしようとばかりに大きな口を開き、とぐろを巻いている蛇に巻き付かれた世界を表現している。これはアナテマ・カルトによって使われている聖印であり、破壊への彼らの献身と、その見返りに何らかの具体的な魔法の能力を付与してくれることを象徴化したものである。
この装置はユアンティ・クレリックにとって通常の聖印の代わりに呪文の焦点具として使うことができる。
1日1回、サーペント・シンボルに同調してそれを着用しているユアンティは、アクションを使って合言葉を唱えることで、パワー・ワード・キル呪文を発動することができる。この効果はユアンティの手にあるときにだけ機能するが、盗賊のアーキタイプを持つ13レベル以上のローグは、“魔法装置使用”の特徴を使ってユアンティのふりをしてこの装置を使用することができる。
キャドレイディアンはこのアイテムをPCたちに売るつもりはない(あるいはすでに他の誰かに売ってしまっている)。このアイテムの初出は3.5版用のサプリメント『Fiend Folio』である。

リオーダン・ダークリィ、蛇を魅惑する毒

Riordan Darkly, Snake Charmer Poisons
ノイヤロ川の東岸にあるこの都市のスラム街がリオーダン(混沌にして中立、男性の人間)の住処であり、彼の毒つくりの作業場となっている。難易度20の【魅力】判定(生活様式が貴族的な者はこの判定に“優位”を得る)によって、この情報と、さらに彼の下に直接辿り着く方法が判明する。リオーダンはいくつかの建物の地下室をつなぎ合わせて作られた小さな研究室で作業をしており、そこへはスラム中の至る所に散らばる小屋や、トール・ハウス(エリア5)近くにある廃屋に新たに取り付けられた秘密の扉を通ることによってのみ辿り着くことができる。リオーダンはケドワード・ボーンが提供している麻薬の中毒患者となっている青白く、神経質な男である――時々、彼は麻薬王の下を訪れて彼に助言を与えている――ポーションを作る仕事と毒を作る仕事はしばしば重なる部分があるのだ。彼はまたティラランディとも繋がりを持つという噂があり、“斑岩の女主人”は彼の最新の事業への出資者である――ユアンティに特別良く効く毒をいくつか開発するという事業である。

Poisons
リオーダンはいくつもの新しい種類の毒を蒸留濃縮しており、そのいくつかはユアンティにだけ限定的に効果を及ぼすため、通常の毒よりもいくらか危険性が低くなっているものがある。また、いくつかは毒でありながら、[毒]ダメージや毒状態以外の効果を及ぼすため、通常はそれらに完全耐性を有するユアンティにも効果を及ぼすことができる。非ユアンティに対する毒の効果の如何に関わらず、リオーダンはそれぞれに蛇に関する関連性を思い起こさせるような名前を付けている。
これらの毒はいずれも致傷型の毒であり、『Dunegon Master’s Guide』の第8章にある通り、[斬撃]か[刺突]ダメージを与える武器、矢弾、罠の構成要素、その他の物品に塗布することができ、負傷を与えるか拭い去られるまで効果を維持する。
表:新しい毒
種別 1回分の市価
鱗腐れ毒 致傷型 600gp
硬皮毒 致傷型 700gp
脱皮毒 致傷型 1,500gp
鱗痘毒 致傷型 960gp
鱗腐れ毒/Scalerot(致傷型):この毒に侵されたユアンティは、鱗の間にひどい感染症を引き起こし、醜い傷跡を生じさせる。この毒はユアンティに対してのみ影響を与える。この毒の目標となったユアンティは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、24時間の間1レベルの消耗状態を被る。また1ラウンド間無力状態に陥る。
市価:600gp
硬皮毒/Skinvice(致傷型):皮膚や鱗を硬化させて麻痺を引き起こす。この毒の目標となったクリーチャーは難易度16の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、失敗すると1分間麻痺状態に陥る。このクリーチャーはその各ターンの終了時にこのセーヴィング・スローを繰り返し行なうことができ、成功すればこの効果は終了する。
市価:700gp
脱皮毒/Skinshedder(致傷型):激痛と共に犠牲者の皮膚を細切れに剥ぎ取り、あたかも火傷を負ったかのように肉に水ぶくれを引き起こす。この毒の目標となったクリーチャーは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、28(8d6)[火]ダメージを受け、成功するとその半分のダメージを受ける。
市価:1,500gp
鱗痘毒/Scalepox(致傷型):この毒は蛇人間の鱗をぼろぼろと剥ぎ落とす。この毒はユアンティに対してのみ影響を与える。この毒の目標となったユアンティは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならない。このセーヴに失敗すると、そのユアンティの鱗の大部分が剥げ落ち、そのユアンティの次のターンの開始時、そのACは1d4減少する。すでにこの毒によってACが減少しているユアンティが再度この毒を受けてセーヴに失敗した場合、再度1d4をロールして減少値を決定するが、その効果は累積することはなく、以前よりも高い結果が出た場合にだけ減少値が置き換わる(最大で4減少)。セーヴに成功した場合、何の効果も受けない。この鱗は24時間経過すると再び生えてくる。鱗の剥離の過程はそれ以外ユアンティを傷つけることはない。
市価:950gp

モラン、ゴーレム夫人

Morann, The Golem Madam
難易度20の【魅力】判定(生活様式が質素かそれより悪い者は自動的に5以上の差で判定に失敗した者と見なされ、貴族的な者は判定に“優位”を得る)によって、“部品は部品屋”(エリア2)のすぐ裏手にある、モラン(真なる中立、女性のノーム)の住居兼汚い作業場となっている“狭い切り妻造りの館”を発見できる。難易度25の【魅力】判定によって、モランが死体の断片を販売している商人レームス・カルダカーと邪な関係を共有しているという噂を耳にする。
モランは内科医にして癒し手という振りをしてゴーレムを作っているが、多くの人々は彼女の真の仕事を知っている――あるいは、少なくとも疑いを抱いている。目下、モランは地下室にある施錠された鉄製の扉の奥に5体のフレッシュ・ゴーレムを保有している。これらグロテスクな作品のうち3体は標準的なフレッシュ・ゴーレムであるが、特別に恐ろしげな容貌をしている:それぞれ藪睨みの目をしていたり、歪んだ狂人の顔をしていたり、船乗りの胴体、そしてハーフデーモンの爪の生えた手を有している。しかしながら、2体の特殊なゴーレムは、大部分が彼女と彼女の秘密の恋人レームスが手に入れたユアンティの肉体を素材にして作られている。これら2体のフレッシュ・ゴーレムは標準的なフレッシュ・ゴーレムと同じように移動し、行動するが、その外見はほとんどユアンティそのもののように見える(1体はピュアブラッドに、もう1体はタイプ1のマリソンに)。難易度20の【知力】〈捜査〉判定に成功すれば、調和の取れていない偽のとさかや、このクリーチャーに全く生命の徴候が見られないことなどに気づく。
モランは人間を基にしたフレッシュ・ゴーレムについては20,000gp、ユアンティを基にしたフレッシュ・ゴーレムについては25,000gpの値をつけて売ってくれる。その死体の部品を発見することが困難な事と、明らかに優れた職人技といえるそのゴーレムの見た目の出来映えゆえに、追加料金が発生している。

テヴァナン・クエイン、香料商

Thevanan Quain, Perfumer
クエインの香料店は良く知られており、難易度13の【魅力】判定に成功すれば、エララクニの商業地区(エリア17)の裏手にあるその場所が判明する。彼が蛟毒(はみどく)を取り扱っているという事を知るには、君は“第七のとぐろ”か、ケドワード・ボーンの商人組合と友好関係を築いていなければならず、さらに難易度20の【魅力】〈説得〉判定(生活様式が貴族的なものはこの判定に“優位”を得る)を成功させなければならない。
白髪のクエイン(中立にして悪、男性の人間)は商業地区の裏手にある小さな店舗で香料を販売している。彼の調合薬の多くは、オスススラ油を基材としている――それはユアンティによって作られた毒物で、火をつけると彼らの能力を強化し、他の者には毒として作用する。彼は独自のルートで大勢のユアンティと繋がりを持ち、彼らが作り出すこの油を手に入れ、その調合の才能によって、他の場所では目にすることもできない、いくつかのオイルを作り出している。クレインによって作られる特殊な可燃性のオイルは、オスススラ油の効果を反転させたり、場合によっては変化させていたりするものである。彼はこれらのオイルを蛟毒(はみどく)と呼んでいる。
特殊な容器の中で蛟毒に火をつけると、蛟毒から吐き出される煙は発生源から半径10フィートの球形に広がり、その範囲に効果を及ぼし、10ラウンド間煙を発生させる。軟風(風速10マイル以上)はこの煙を4ラウンドで吹き飛ばす。強風(風速20マイル以上、ガスト・オヴ・ウィンド呪文など)はこの煙を1ラウンドで吹き飛ばす。
|>|>|表:蛟毒と毒保持器
アイテム 市価 重量
毒保持器 20gp 1ポンド
オスススラ枯らし 1,200gp 1/10ポンド
オスススラ潰し 400gp 1/10ポンド
蛇の窒息 750gp 1/10ポンド

毒保持器

Toxin Holder
毒保持器は真鍮の先端を持つ鉄のロッドであり、ランタン用の油1パイントと蛟毒1回分を別々に保持することができるようになっており、また手元に1つのスイッチが付いている。ランタン用の油には通常のランタンと同じように火をつけることができ、20フィートの範囲に明るい光を、そこからさらに20フィートの範囲に薄暗い光をもたらし、1パイントで6時間燃え続ける。このようにして火をつけている間に、ボーナス・アクションを使って手元のスイッチを押すと、蛟毒が火に注がれて10分の間、蛟毒の煙を発生させる。このようにして蛟毒の煙を発生させると、ランタン用の油1時間分の燃焼時間が失われる。もし元々1時間未満の燃焼時間しか残されていないのであれば、通常通りに煙は生じるが即座に火が消えてしまう。
油や蛟毒を毒保持器に注入するにはそれぞれアクションを必要とする。蛟毒については同時に1回分しか保持できない。もしこのロッドを落としたとしても、保持器の火は消えない。別のアクションを使って消すことができる。
市価:20gp。重量:1ポンド。

オスススラ枯らし

Osssra Blight
この蛟毒の油の深紫色の煙の中には、踊るように太く黄色い筋が入っており、湿った土と油の臭いがする。この油は任意のオスススラ油の効果を反転した効果をユアンティに与える。
実際にはオスススラ枯らしは元になるオスススラ油ごとに別々の効果を持つ。個々の効果については下記に示す。
市価:1,200gp。重量:1/10ポンド。
アマススタルタエ枯らし:この油から生じる煙を浴びている間、ユアンティは自分のターンの開始時に難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローを行わなければならず、セーヴに失敗すると1d12[死霊]ダメージを受ける。セーヴに成功すればダメージを受けずに済む。またこの煙からダメージを受けたユアンティは、大休憩を取り終えるまで小休憩を取ってもヒット・ダイスを使うことができなくなる。
ウラズラススス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、この煙を浴びている間とその後の10分間、[火]と[冷気]に対する脆弱性を得る。一度セーヴに成功すれば1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。
エクザリススス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、体が重くなり、地上移動速度は5フィートになる。この効果は煙を浴びている間だけ持続する。一度セーヴに成功すれば1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。
ジャラススス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、あらゆる心術呪文に対するセーヴィング・スローに“不利”を受けるようになり、また[精神]ダメージに対する脆弱性を得る。この効果は煙を浴びている間とその後の1時間持続する。一度セーヴに成功すれば1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。
ダスラーハスス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、2d6[精神]ダメージを受けて気絶状態に陥り、悪夢にうなされる。誰かがアクションを使って揺り起せば目覚めるが、そうでなければ1時間の間眠り続ける。一度セーヴに成功すれば1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。
バッタススス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、精神集中を維持する呪文の精神集中ができなくなり、すでに精神集中をしているのであればその集中を失い、呪文の維持に精神集中を必要とする呪文を新たに発動した場合には発動に失敗するようになる。この効果は煙を浴びている間だけ持続する。一度セーヴに成功すれば1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。
フールーンド枯らし:この油から生じる煙を初めて浴びたか、この煙の中でターンを開始したユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければならず、さもなければ10[酸]ダメージを受ける。セーヴに成功したならダメージは受けずに済む。
フェイレ枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、【耐久力】セーヴィング・スローに“不利”を受けるようになる。この効果はこの煙を浴びている間だけ持続する。
ラエリススス枯らし:この油から生じる煙を浴びたユアンティは、【敏捷力】セーヴィング・スローに“不利”を受けるようになる。この効果はこの煙を浴びている間だけ持続する。
ルウススタンタル枯らし:この油から生じる煙を初めて浴びたか、この煙の中でターンを開始したユアンティは、難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、ヒット・ポイント最大値が1d12だけ減少する。この効果は大休憩を取り終えることで終了する。一度セーヴに行ったなら成否に関わらず1時間の間はこの煙に完全耐性を得る。

オスススラ潰し

Osssra Bane
この蛟毒の油によって作り出される黄土色の煙は樟脳の臭いがする。この毒は効果範囲内のオスススラの煙の効果を中和する効果があり、それによってユアンティには利益を失わせ、他の者には毒の効果を無効にする。
市価:400gp。重量:1/10ポンド。

蛇の窒息

Hissing Choker
この蛟毒から発生する濃く苦い煙にはタールの臭いがある。火をつけると、この油はオスススラの効果に反作用し、その効果を反転させ、それらをユアンティに有害なものに変え、蛇人間たちが人間であるかのように効果を与える。この効果範囲内にいるユアンティはあたかも人間であるかのようにオスススラの毒の効果に対してセーヴを行なわなければならず、その種類に応じたダメージを被る。その際、ユアンティの有する生来の[毒]ダメージに対する完全耐性と毒状態に対する完全耐性は無視される。非ユアンティは反転されたオスススラの毒の効果を全く受けない。
市価:750gp。重量:1/10ポンド。


オスススラ油

Osssra
ユアンティの呪文の使い手の創作物であるオスススラ油は、燃えるときには刺激のある、色鮮やかな煙を生じる物質の混合物である。オスススラ油は3.5版用のサプリメント『Serpent Kingdom』で紹介されたものであるが、ここでは5版用にコンバートしたデータを参考として掲載しておく。これらはテヴァナン・クエインやその他のスカットルコーヴの商人から入手することが可能であるかもしれない。
また、この記事において“鱗を持つ者”(Scaled One)として表記されている場合、すべての爬虫類(リザード、スネークなど)、ディノサウルス、それらに類する人型生物や人造が含まれるが、ドラゴンは含まれない。『Monster Manual』に記載のあるクリーチャーでは次のクリーチャーが該当する:アロサウルス、アンキロサウルス、ウィングド・コボルド、ガーディアン・ナーガ、コアトル、コボルド、サラマンダー、スピリット・ナーガ、ティラノサウルス・レックス、トリケラトプス、トログロダイト、バシリスク、ヒュドラ、ファイアー・スネーク、プテラノドン、プレシオサウルス、ボーン・ナーガ、マリリス、ユアンティ・アボミネイション、ユアンティ・ピュアブラッド、ユアンティ・マリソン、リザード・キング/クイーン、リザードフォーク、リザードフォーク・シャーマン。またPC用種族の中では、ドラゴンボーンは“鱗を持つ者”として扱われる。
オスススラの煙は“鱗を持つ者”には利益をもたらすが、それ以外のあらゆるクリーチャーにとっては吸入型の毒として機能する。いくつかの場合では、その利益を受け取るために、点火した状態か点火していない状態のどちらであれ、この油に直接接触することが必要とされる。
ユアンティは一般的にまるまる4日間に渡ってオスススラ油に10ポンド分の薪を浸漬しておき、煙を生み出すためにそれらを燃やす。油1瓶を使って漬けこんだ10ポンドの薪に点火すると、4時間に渡って煙を発生させるが、薪ではなく油に直接点火した場合、発生する煙は僅か5ラウンドしか持続しない。
薪にせよ油にせよ、オスススラ油に点火すると、色鮮やかな煙の雲を吐き出し、その煙は発生源から半径60フィートの球形に広がる。この球形は角を回り込み、その効果範囲は軽度の隠蔽となる。オスススラの煙は濃密な臭気を持つが、咳や窒息を引き起こしたり、空気汚染や空気欠乏による他の何らかの効果を引き起こしたりすることはない。
異なる種類のオスススラの煙の効果が重なり合うときにはいつでも、それらは互いの効果を打ち消し合うため、ユアンティはこれらを組み合わせることを避ける。点火していないオスススラ油がオスススラの煙と触れたとしても、それらの影響を受けることはない。2つの点火していないオスススラ油を混ぜ合わせると、両方ともが台無しになってしまい、爬虫類にも非爬虫類にも何の特別な効果もない、ただの可燃性の混合油と化してしまう。
もし2つの異なるオスススラ油が点火している状態で一緒に混ぜ合わされると、それを吸入したあらゆるクリーチャー(ユアンティも含む)にとって毒性のある、濃厚で強烈な臭気を持つ煙を生じる(“混合した燃えるオスススラ油”参照)。
オスススラ油の製法の秘密はユアンティ部族の長老たちによって守られており、大部分の人間はそれらを個々に識別できるほどの知識はほとんど持ち合わせていない。官憲の眼がほとんど光っていない大都市や海賊の港では、商人たちがしばしば“調理油”や“香水”と称してオスススラ油を販売している。一部の売人はちょっとした実演販売を行なっており、彼らの商品の正確な効果をデモするための実験台として奴隷や年老いた荷役獣を用いる。
一部のオスススラの効果は呪文のものに極めて似ているが、これらは魔法の効果ではない。従って、これらは解呪したり、アンティマジックの効果範囲の影響を受けたりすることはない。
表:オスススラ油
アイテム 市価 重量
アマススタルタエ 750gp 1/10ポンド
ウラズラススス 1,500gp 1/10ポンド
エクザリススス 1,250gp 1/10ポンド
ジャラススス 1,000gp 1/10ポンド
ダスラーハスス 2,000gp 1/10ポンド
バッタススス 1,000gp 1/10ポンド
フールーンド 1,500gp 1/10ポンド
フェイレ 2,500gp 1/10ポンド
ラエリススス 300gp 1/10ポンド
ルウススタンタル 750gp 1/10ポンド

アマススタルタエ

Amasstattae
この油から生じる緑色の煙には、あちこちに火花に似た、チラチラとする銀色の金属的な小片を伴っている。その臭気はしばしば「鼻を突き刺すような刺激臭」といった説明をされる。アマススタルタエ油はシルヴァーソーン草の葉の樹液と、任意の塩水魚から取った鱗を砕いて煮込んで抽出した抽出物を混ぜ合わせて作られる。
アマススタルタエの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。初めてこの煙の中に入ったときと、この煙の中でターンを開始したとき、この毒の対象となったクリーチャーは難易度12の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1分間毒状態に陥り、このようにして毒状態である間、麻痺状態でもある。セーヴに成功すると毒状態に陥らずに済む。効果を受けたクリーチャーは自分の各ターンの終了時にこのセーヴを繰り返し行なうことができ、成功すればこの毒状態を克服できる。いったんセーヴに成功すると、1時間の間この毒に対する完全耐性を得る。
アマススタルタエ油の1瓶を風呂に注ぎ込み、最低でも1時間その混合液の中に浸かって小休憩を取った場合、“鱗を持つ者”は、その小休憩で消費したヒット・ダイスのロール結果で1の出目を2として扱うことができる。また、小休憩を取り終えた際にヒット・ダイス1つを取り戻すことができる(その小休憩で消費したダイスであっても1つだけは回復する)。
市価:750gp。重量:1/10ポンド。

ウラズラススス

Ulathlasss
この油によって生じる鈍く重い緑色の煙は床に流れ出し、それからまるで怠惰な蛇であるかのように壁や家具を登っていく。その臭気は炙ったボア(イノシシ)のような臭いに似ている。ウラズラススス油はキャリオン・クロウラーとセンティピードの両方の体液から作られれる。
ウラズラスススの煙は、“鱗を持つ者”に[火]と[冷気]ダメージに対する抵抗を付与する。また、この利益は“鱗を持つ者”がこの煙に接触している間と、その後10分間持続する。
点火したウラズラススス油そのもの(薪では不可)に接触すると、燃えている油に接触した事によって5[火]ダメージを受ける(このダメージは[火]ダメージに対する抵抗を無視する)、煙に接触したのと同じ効果が“鱗を持つ者”に与えられるが、その効果は油との接触が終わってから1時間持続する点が異なる。
ウラズラスススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度17の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると10分間毒状態に陥り、同時に麻痺状態でもある。セーヴに成功すると毒状態には陥るが、麻痺状態には陥らずに済む。最初のセーヴに成功したにせよ失敗したにせよ、そのクリーチャーは自分の各ターンの終了時にこのセーヴを繰り返し行なうことができ、成功すればこの毒状態と麻痺状態を克服できる。いったんこの毒状態から回復したなら、1時間の間はこの毒に対する完全耐性を得る。
市価:1,500gp。重量:1/10ポンド。

エクザリススス

Ektharisss
この油によって生み出される暗紫色の煙は、ときおり若干それよりも明るい青色をした膨らみが生じている。その臭気は生のまま切ったレモンかライムを思わせるものである。エクザリススス油はナイトシャドウ・ジャングル・プラントの樹液から蒸留されたものであり、その植物は盾ほども大きな、明るい紫色の葉で容易に見分けることができる。
エクザリスススは、その煙に触れた“鱗を持つ者”は、呪文スロットも物質要素も消費することなく回数無制限でレヴィテート呪文を発動できるようになる。ただし、目標となるクリーチャーや物品も、エクザリスススの煙と接触していなければならない。ユアンティはしばしば、宝物庫のある区画へ通じる高い岩棚、扉、あるいは開口部へと到達するためにこの能力を使う。また一部はそれを使って、邪魔者や敵対的な存在の手の届かない高みで休憩したり、学習したり、仕事をしたりする。しかしながら、エクザリスススの煙との接触が失われるや否や、即座に通常の重量が戻ってきて落下するということが起こるため、細心の注意を必要とする。この呪文の効果を受けることに同意しないクリーチャーが行なうセーヴィング・スローの難易度を決定するための“鱗を持つ者”の呪文発動能力は【魅力】である。
エクザリスススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1d6[毒]ダメージを受ける。セーヴに成功するとその半分のダメージを受けるだけで済む。初めてこの煙の中に入ったときと、この煙の中でターンを開始したときには毎回このセーヴを行なわなければならない。
市価:1,250gp。重量:1/10ポンド。

ジャラススス

Jalasss
このオイルはほんの短時間だけ現れては消える玉虫色の虹に似た筋が点在する、白い煙を生じる。その臭気は絵画を燃やしたときの臭いや、強烈な繊維染色のような臭いである。ジャラススス油は砕いたカタツムリとローンティーン――野生植物の生える熱帯地方を原産地とする食用植物――の樹液の蒸留物である。
ジャラスススの煙は瞬間的かつ恒久的に、それと接触した“鱗を持つ者”の精神から全ての心術呪文の効果を消し去り、さらに接触が終わってから1時間の間、あらゆる心術呪文に対する完全耐性を与え、また[精神]ダメージに対する抵抗を与える。1ラウンド間点火したジャラススス油と直接接触することで、この持続時間を4時間に延長できるが、燃える油によって10[火]ダメージを受ける。
ジャラスススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1分間あらゆる“鱗を持つ者”に対する魅了状態に陥る。セーヴに成功すると魅了状態に陥らずに済む。初めてこの煙の中に入ったときと、この煙の中でターンを開始したときには毎回このセーヴを行なわなければならない。
市価:1,000gp。重量:1/10ポンド。

ダスラーハスス

Duthlah’hass
この油は焦がした海草や燃やした苔のような臭いを持つ、明るい琥珀色の煙を生じる。人型生物はときにこの臭気を「燃えるような」とか「鼻がすっと通るような」臭いと表現する。ダスラーハスス油はミント、特定の種類の熱帯性樹木の樹皮、そして大きなジャングルの巻き付く蔦の樹液から作られる。
“鱗を持つ者”にとって、ダスラーハススの煙は夢見る眠りへと導く――彼ら自身の潜在意識か、ときには彼らの神格によってもたらされる幻視を受け取る、深く、寛いだ眠りである。夢を見て眠っているユアンティは、極めて明瞭な記憶を受け取る(遥か昔にどこにどうやって何かを隠したかとか、偶然にも漏れ聞いた会話の内容など)。こうした記憶は本人が全く経験した事のない事柄の記憶であるかもしれないし、かつて経験したが忘れてしまっている事柄の記憶であるかもしれない。夢を見て眠っている者は何らかのダメージを受けると即座に目覚める;そうでなければ、この眠りは最初にダスラーハススに接触してから8時間持続する(煙がなくなっているかどうかに関わらず)。
ダスラーハススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗するとそのクリーチャーの【知力】と【魅力】の値は1になる。このような状態である間、そのクリーチャーは呪文を発動すること、魔法のアイテムの起動、言語の理解、そしてあらゆる種類の明瞭な意志疎通ができなくなるが、友人を識別したり、その後について行ったり、彼らを守ったりすることは可能である。この効果は10分間持続する。セーヴに成功すると何の効果も受けずに済み、1時間の間この毒に対する完全耐性を得る。
市価:2,000gp。重量:1/10ポンド。

バッタススス

Battasss
この油によって吐き出されるルビー色をした煙は無作為に暗くなる“糸”を揺らめかせており、焦げた牛乳のような臭気を持つ。バッタススス油はヤシ油と落雪花として知られる小さな白い野花の花弁から作られる。
“鱗を持つ者”によって吸入されると、バッタスススの煙はその精神に極度の明敏性をもたらし、精神集中に卓越した能力を与える。この間、“鱗を持つ者”は精神集中を必要とする呪文を維持している間にダメージを受けた場合の【耐久力】セーヴィング・スローについて、習熟ボーナスを加算できるようになる。元々【耐久力】セーヴィング・スローに習熟している場合、呪文の精神集中を維持するためのセーヴについては2倍の習熟ボーナスを加算できるようになる。
バッタスススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度14の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1時間の間、毒状態に陥る。5以上の差で失敗した場合、この毒状態である間気絶状態でもある。誰かがアクションを使って揺すり起こせば目覚める。セーヴに成功すれば毒状態に陥らずに済み、以後1時間の間この毒に対する完全耐性を得る。
市価:1,000gp。重量:1/10ポンド。

フールーンド

Hooloond
このオイルは、ところどころに炎が一舐めするかのように一瞬現れる赤い煙の噴流を伴う、黄緑色の煙を生じる。フールーンドの煙の臭気はしばしば生のままカットしたジャングルの蔦類やメロンのようなミントっぽい香りに似ているが、それよりもずっと強烈である。フールーンドの油はコンストリクター・スネークの血液とヴァイパーの毒液で作られている。
フールーンドの煙と接触している間、“鱗を持つ者”が最低でも1ヒット・ポイントを有するのであれば、その各ターンの開始時に10ヒット・ポイントを回復する。
ユアンティはしばしばフールーンドの煙と接触し続けながら戦うことができるように戦場を計画する(たとえば、屋内をこの煙の雲で満たしたり、部屋の中に煙を充満させたりする)。
フールーンドの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1d6[毒]ダメージを受ける。5以上の差でこのセーヴに失敗すると、1分間気絶状態に陥る。誰かがアクションを使って揺すり起こせば目覚める。セーヴに成功すれば[毒]ダメージを受けずに済む。ターンの中で初めてこの煙の中に入ったときや、この煙の中でターンを開始したときには、毎回このセーヴを行なわなければならない。
市価:1,500gp。重量:1/10ポンド。

フェイレ

Faele
このオイルはところどころに明るいエメラルド色のリボンのような線が入った暗青色の煙を生み出す。その臭気は腐った人間かエルフの肉のような病的に甘ったるい“死の臭い”に似ている。フェイレ油は人間かエルフの血液を煮込んだボア(イノシシ)の脳みその抽出物と混合したものである。
フェイレの煙に接触した“鱗を持つ者”は、1時間の間、【耐久力】セーヴィング・スローに“優位”を得る。またその間、[殴打]、[斬撃]、[刺突]ダメージに対する抵抗を得る。一度この利益を得た者は、大休憩を取り終えるまでは再びこの煙の利益を得ることはできない。
フェイレの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度15の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると8d6[毒]ダメージを受ける。セーヴに成功すればその半分のダメージを受けるだけで済む。一度セーヴに成功すれば、1時間の間この毒に対する完全耐性を得る。。
市価:2,500gp。重量:1/10ポンド。

ラエリススス

Laerisss
この油によって生じる茶色の煙はオリーブを燃やしたような臭いがする。ラエリススス油はある特定の昆虫を砕いたものと、複数の沼地の浮き草の根からできている。
ラエリスススの煙は“鱗を持つ者”に素早い反応を生じさせ、10分間、【敏捷力】セーヴィング・スローに“優位”を得る。一度この効果を得た者は、小休憩を取り終えるまでは再びその利益を得ることはできない。
ラエリスススの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1d4[毒]ダメージと1d4[酸]ダメージを受ける。セーヴに成功すればそれぞれ半分のダメージを受けるだけで済む。この煙の中でターンを開始したときには毎回このセーヴを行なわなければならない。
市価:300gp。重量:1/10ポンド。

ルウススタンタル

Ruusstantar
この油によって生じる緑色の煙には紫色の蒸気のリボンが点在し、その臭気は新鮮なブドウを砕いたような臭いである。ルウウススタンタル油は蛇皮と砕いたドラゴンの骨の蒸留物でできている。
ルウウススタンタルの煙と接触したあらゆる“鱗を持つ者”は1d12ポイントの一時的ヒット・ポイントを獲得する。点火した油を全身に注ぎかけた“鱗を持つ者”は代わりに2d12ポイントの一時的ヒット・ポイントを獲得し、この燃える油からはダメージを受けない。通常のルール通り、一時的ヒット・ポイント同士は累積しない。いったんルウウススタンタルの効果を受けると、“鱗を持つ者”は煙であれ油であれ、まるまる大休憩を取り終えるまでは再びその利益を得ることはできない。
ルウススタンタルの煙は“鱗を持つ者”以外のクリーチャーには吸入型の毒として機能する。この毒の対象となったクリーチャーは難易度16の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると1d8[毒]ダメージを受ける。セーヴに成功すればその半分のダメージを受けるだけで済む。この煙の中でターンを開始したときには毎回このセーヴを行なわなければならない。
市価:750gp。重量:1/10ポンド。

混合した燃えるオスススラ油

Mixed flaming osssra oils
もし2つの異なるオスススラ油が点火している状態で一緒に混ぜ合わされると、それを吸入したあらゆるクリーチャー(ユアンティも含む)にとって毒性のある、濃厚で強烈な臭気を持つ真っ黒い煙を生じる。この混合した燃えるオスススラ油から生じる煙は軽度ではなく重度の隠蔽をもたらし、発生源から半径60フィートの球形に広がり、この球形は角を回り込む。
この煙は吸入型の毒となり、この毒の対象となったクリーチャーは難易度20の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、セーヴに失敗すると4d8[毒]ダメージを受ける。セーヴに成功すればその半分のダメージを受けるだけで済む。5以上の差で失敗すると1分間気絶状態に陥る。この煙の中でターンを開始したときには毎回このセーヴを行なわなければならない。この毒は“鱗を持つ者”が有する生来の[毒]ダメージに対する抵抗と完全耐性を無視する(魔法のアイテム、クラス特徴、あるいは呪文など、別の要因から別途得ている完全耐性や抵抗は適用される)。
市価:さまざま。重量:さまざま。
最終更新:2019年06月02日 12:47