用語集

A~Z


F


FEP

  • 四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体。化学名パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)。
 いわゆるテフロン樹脂のひとつ(正確にはデュポン社のPTFEやPFAを含むフッ素樹脂類の商標がテフロン)。
 SLA・DLP機でUVを照射しないインターバル時間であるOfftimeの設定があるのは、紫外線を照射されたUVレジンが硬化する際に発生する熱の影響がFEPフィルム(や液晶パネル)に対してあるため。

I


IPA

  • 2-プロパノール。第二級アルコールの一種で光の作用により空気中の酸素と反応し過酸化アセトンを生じる。危険物
  • 消}防法第4類危険物アルコール類に該当。酒税がかからない。
  • 引火点11.7℃のため常温で引火する。熱や火花、高温のものといった着火源から遠ざけること。
  • アセトン合成の中間原料やグリセリンの合成材料としても知られる。
  • 高濃度の場合、アクリル樹脂やゴムを膨潤させ劣化させる性質を持つ。
  • 70%~50%に希釈し消毒剤としても使用されるが、エタノールに比べ毒性が強く、手指や器具の消毒程度が目安。
  • 印刷・文具用インクの基材。
  • 自転車用チェーン・パーツクリーナーの主成分。レンズクリーナーのクリーニング液やコンタクトレンズの洗浄液としても使用される。
  • 水と油の両方と親和性があるため、燃料用水抜き剤の主成分としても使用される。

  • 飲み込むと有害のおそれ(経口)、呼吸器への刺激のおそれ、飲み込み気道に侵入すると有害のおそれ、皮膚に接触すると有害のおそれ、生殖能・胎児への悪影響の恐れの疑い、中枢神経系、腎臓、全身毒性の障害、呼吸器への刺激のおそれ、長期又は反復ばく露による血管・肝臓・脾臓の障害のおそれ
  • 【安全対策】
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 使用時に、飲食又は喫煙をしないこと。
 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙
 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。静電気放電や火花による引火を防止すること。
 個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
 保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 容器を密閉しておくこと。
  • 【保管】
 容器を密閉して涼しく換気の良いところで施錠して保管すること。
  • 【廃棄】
 内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
  • 応急措置
 吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
         医師の手当、診断を受けること。
 皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
            医師の手当、診断を受けること。
            汚染された衣類を脱ぎ、再使用する前に洗濯すること。
 目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。
          次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
          眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 飲み込んだ場合: 医師の手当、診断を受けること。
          口をすすぐこと。
 予想される急性症状及び遅発性症状: 高濃度のばく露では、目、鼻、のどに刺激を引き起こす。
                   眠気、頭痛、協調運動不能を引き起こす。
                   皮膚への長期のばく露では、脱脂性があり、乾燥、ひび、皮膚炎を引き起こす。
 応急措置をする者の保護: 火気に注意する。有機溶剤用の防毒マスクが有ればそれを着用する。
  • 火災時の措置
 消火剤: 小火災: 二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤
      大火災: 散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤
 使ってはならない消火剤: 棒状注水
 特有の危険有害性: 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
           加熱により容器が爆発するおそれがある。
           火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
           引火性の高い液体及び蒸気。
 特有の消火方法: 散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。
 引火点が極めて低い: 散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。
            危険でなければ火災区域から容器を移動する。
            移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
            消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
 消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

O


Offtime

  • スライサーの種類によってはLight-off Delayとも。
  • UVレジンを硬化させるための紫外線照射のインターバル。
  • 安全衛生法では有機則 第二種有機溶剤等に定められている。
  • 主剤と硬化剤の2液を混合させるタイプのレジンとUVレジンの違いの一つは、主剤であるベース樹脂に硬化剤としての役割を果たす光重合開始剤がすでに混ぜられている点である。
  • 光重合開始剤が紫外線照射により分解活性してベース樹脂(や溶媒にもなっている反応希釈剤)と反応することで重合等の化学反応を起こし硬化が行われるが、硬化が化学反応である以上当然発熱を伴うことになる。(発熱による影響が見られやすいのはレジンアクセ作りのようなジャンルで顕著)
  • そこで、紫外線照射を一定時間停止することで、硬化に伴って熱を持ったUVレジンと、UVレジンに接する液晶パネルやその保護ガラス等の部品群の冷却を行い、UVレジン自体の硬化反応に調整をかけたり3Dプリンタの部品に与える負荷・ダメージの抑制を行う。
  • インターバルである以上、発熱量に対し長すぎれば出力時間が必要以上に伸びる等の影響が出るし、短すぎれば発熱による影響で出力品に影響が出たり液晶パネル等にダメージが出たりするため、使用するUVレジンそのものの物性、UV照射時間や積層ピッチ・出力品の面積(≒硬化反応を起こし発熱するUVレジンの量)といった諸々の条件を鑑みて調整をかける必要があると思われる。
  • 0~4秒だと変化ないものの、9秒ほどに設定しUVレジンの冷却時間を長くとると、極小の鎖の出力でもパーツが太らず鎖が分離した形状で出力される、という事例が紹介されている(クラフトラボ3Dによるツイート、UVレジンにはMIRACLP製xULTRARTホワイトを使用)
  • また、硬化状態ではないUVレジンは粘性を持った液体(あるいはUVの露光漏れで中途半端に半硬化したゲル)状の物質のため、出力品の剥離に伴うビルドプレートの上下動の際ビルドプレートや出力途中の品に纏わりついたレジンが流動しきってレジンタンク内の液面がなだらかに落ち着くまでには、レジンの状態にもよるものの多少のインターバルが必要となる。
    • そのため出力時間の短縮化を図る目的でビルドプレートの上下動(リフト)速度を上げたり移動距離を短くしたりすると、砂山のように出力品直下の液面が盛り上がったままの状態でビルドプレートが降りてくるため、ビルドプレートが不均一な液面のレジン液を(液面がなだらかになった状態よりも)不均一に高い負荷で押し広げる形になる。Photonが普及しだした時期に報告のあった保護ガラスに守られた液晶パネルが破損する事例は、これが原因と考えられる。
    • また、そうでなくとも出力品に残ったレジンがUVに露光し部分的な出力太りが起きる、気泡が残ったまま硬化してしまうといった問題点もあるために、レジンの流動が落ち着くまでの余裕を見てofftimeを長めにとるというテクニックも紹介されている。(SKショーコのツイート)、(印刷を失敗したときに見る項目(初心者向け)内 色ごとの調整項目の解説)、(同、chituOSにおけるオフタイムって結局なんなのよ!?
      • つまり、UVレジンを層ごとに硬化し出力する現行の方式の光造形では、出力品質と出力にかかる時間のトレードオフがどうしても起きてしまう部分が存在している。このため、レジンに当たるUVの光量が強く出力時間の比較的短いDLP式やモノクロのLCDシャドウマスク方式においても、UV露光時間の短縮化がそのまま出力時間の短縮には直結しておらず、設定の調整が必要な余地が大きく残っている。
      • なお、前述のレジンの流動をしやすくする目的で、ビルドプレートに穴を空けたものや、ビルドプレートの形状を工夫したものも商品として存在している。
      • こういったレジンの流動出力不良を招く現象は英語圏の3Dプリンティングコミュニティによりbloomingと名付けられている。AMERLABSの記事で紹介されている解決法でも1秒以上の消灯(と出力品の断面積を可能な限り小さくすること)が紹介されている、(AMERLABS、英語)

S


SLA

  • Stereolithographyの略。Lithographyとはリトグラフ(石版画)、Stereoは「固い」「実体的」「立体的」といった意味でギリシャ語のστερεόςを語源とする。言葉のニュアンスとしては立体版画といったところか。
  • もともとは1980年に名古屋市工業研究所に所属していた小玉秀男氏による、新聞の版型制作で使われていた感光性樹脂とネガフィルムを使い版下を何枚も重ねる立体図形作成装置が原点。積層ピッチは当時2mmで、作れたのは「丸太小屋みたいなレベルの家の模型」だった。(日経ビジネス)(minsaku)
  • 1984年に3D SYSTEMSのChuck Hullによって特許取得されたものは、大型のレジンタンク上部から紫外線レーザービームを照射し、液面のUVレジンを硬化させるというもの。UVレジンが硬化した出力品を支えるビルドプレートは、出力が進むごとに底面にむけ下がっていくトップダウン方式。(3D SYSTEMS)
  • Form2などのようにレジンタンク底面からレーザーでUV光を当て、ビルドプレートを引き上げるボトムアップ方式も、前述のChuck Hullのものに倣いSLA式と呼ばれるのがデファクトスタンダードになっている。
  • UVレーザー光を使用する場合、X軸とY軸2枚の鏡により反射角を微調整するガルバノミラーを用いてレーザー光を層ごとに一筆書きの要領で描いてUVレジンを硬化させる。そのため曲面部分でもなだらかに造形可能な反面、一筆書きであるがゆえにレーザーの移動距離に比例して硬化時間が長くなってしまう。また、最小造形面積(≒精細さ)はレーザー光の直径に比例する。
  • ガルバノミラーの構造が複雑なため、光源にレーザーを用いたものは後発の方式と比べても高価な部類になる。
  • 一方、DLPプロジェクターを光源に用いたDLP式光造形機や、タブレットやスマートフォン用の高精細なRGB液晶パネルを流用あるいはそこから派生したモノクロ液晶パネルを使用したLCDシャドウマスク/MSLA(Masked Stereolithography)式光造形機のような面ごとに出力可能な方式も、出力品は「立体版画」であることには変わりないため、広義ではSLAに含まれるようで、2021年現在の現状ではSLAが光造形出力という方式・ジャンルそのものの代名詞となっていると思われる。

あ~ん


コメント

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2021年09月22日 20:06