DLP機トラブルシューティング

L3D.ieの投稿より(和訳)

訳者側での追記は[ ]で表記。

Wanhao D7、Anycubic Photon等、DLP3Dプリンタのトラブルシューティング


DLP式3Dプリンタによる出力は、ノウハウを知っていればとても簡単です!
このガイドでは、DLP式3Dプリンタの出力でみられる一般的な問題のいくつかについて説明したいと思います。

もし他の問題がおありの場合は、喜んでお伺いしますし、他の人の助けになるようブログに追加いたします。

問題1:出力品がビルドプレートに定着しない(何も出力できていない、あるいは部分的に剥がれている)


ビルドプレートに定着しない3Dプリンティングの理由として考えられるもの

  • DLP機における永遠の課題は、(出力する)層と層の間で、出力品がレジンタンク底面のFEPフィルムから剥離することを要求されることです。
 したがって、3DプリントはFEPフィルムよりも、常にビルドプレートに密着しているかについて確認する必要があります。

  • 紫外線光は先にFEPフィルム側に曝されるレジンを、数秒遅れてビルドプレート側に曝されるレジンを硬化させることに注意してください。 なので、最初の2層は非常に薄く、とても長い成形時間を伴いますが、まずUVレジンのFEPフィルム側の硬化が優先的に始まることについては、あまり重要ではありません。 関連して簡単に起こりえる問題は、汚れまたは先の出力で残った小さな破片によって、ビルドプレートが(出力を開始する)第一層の位置への移動を止められることです。

  • 最後に、FEPフィルムが使用される主な理由は、ビルドプレートがレジンタンクから上昇し、(新しい層を形成するための)隙間をつくるために出力品から剥がれることを目的とした柔軟な層を作ることで、プリンタがうまく動作していない場合、固くなってしまったFEPフィルムを使っている可能性があります。 また、FEPフィルムがたわみすぎていると、出力品をFEPフィルムに密着している状態から引きはがすだけの高さが(プログラムで決められている移動量では)不十分になってしまう可能性もあります。

ビルドプレートに出力品がくっつかないことについての解決策


解決策1:ビルドプレートとFEPフィルム、レジンを掃除する
 これはよく見落とされがちな、一般的な問題です。もし出力に問題がある場合、中に混ざっているであろう(レジンタンク内で硬化したUVレジンの)かけらを取り出すために、UVレジンを茶濾しにかけてください。 ビルドプレートも綺麗にし(私は普通、自分のビルドプレートを綺麗にするために刃物を使います)、FEPフィルムを調べ硬化したレジンが残っていないことも確認してください。


解決策2:ビルドプレートを水平にする
 一般的に、お使いの3Dプリンタのマニュアルでは、お使いの機種に対してどのように(水平出しを)行うべきか詳しく書かれていると思います。
 良い例としてWanhao D7の動画を紹介します。


解決策3:最初の出力層の設定を調整する
もちろん、プリンタごとに異なるでしょうが、以下のような極端な設定を行うことを提案します。
これにより、ビルドプレートに最大限定着する可能性を手に入れられますし、いつでも後からもう一度設定を元に戻し調整しなおすことが可能です。

  1. 層の硬化時間を150秒に増やす。
  2. 「最初の層」[訳注:スライサではBottom Layers等の表記をされていたりする]の数を6層に増やす。
  3. 最初の層の高さを約20~40μm[0.02~0.04mm]に減らす。
  4. 最初の層のリフト速度を下げる[リフト速度の調整可能なスライサのみ]
  5. リフト距離を10mm程度に増やす[リフト機能の調整可能なスライサのみ]

解決策4:ブリントベッド/ビルドプレートの表面を粗くする
警告!:[面を]不均一にしすぎてしまわないよう注意してください。

ここにビルドプレート[の出力面]を研磨する方法を提案します。
  1. #120かそれ以上の番手の紙やすりを手に入れ、そのうちの1枚を平らなテーブルの上に置いておきます。 [訳注:番手は上限#300程度か。#80程度で研磨するケースも存在する。失敗するリスクを下げたい場合、鏡なども含めガラス製の板を当て板にするとより高い平滑性を確保できる]
  2. ビルドプレートをサンドペーパーの上に置きます。
  3. ビルドプレートが完全に平らになっていることを確認するには、(ビルドプレートが塗装されている場合)全ての塗装が剥げるまで、または表面がよりマットな仕上げになるまで、円運動でビルドプレートを研磨してください。(均一になるようビルドプレートの持ち方を時々変えてください)1~2分の研磨でおそらく十分だと思います。

解決策5:FEPフィルムを交換する
仮にFEPフィルムが傷ついていた場合、FEPフィルムはビルドプレートよりも出力品により固着するという結果になるかもしれません。
もしFEPフィルムが伸ばされていれば、(出力が)不安定になります。
誤ってFEPフィルムとレジンタンクを傷つけてしまった典型的な損傷の画像をご覧ください。


また、(出力する)層が薄すぎる/厚すぎるかもしれません。
これが問題の一部であると疑われる場合は、レジンタンク用の新しいFEPフィルムを購入されることをお勧めします。
異なる厚さのFEPフィルムを購入することができます――もしお使いの3Dプリンタの製造元が使用するFEPフィルムを指定していない場合、100μm~200μm(0.1~0.2mm)の間のいずれかのものをお勧めいたします。
薄い層で出力しやすくしたり、かつ/あるいは出力の品質を向上させたい時ですが、注意してください――FEPフィルムに穴をあけてしまわないよう気を付ける必要があります。

プリンタの製造元は明記するお使いの3DプリンタのFEPフィルムを交換する方法を必要がありますが、もし無い場合は、以下のように対処してください。まだよくわからない場合は、私たち[訳注:このブログ記事の英語原文の筆者であり3Dプリンタ用品販売業者L3D.ieのこと。メールアドレスはnoel@L3D.ie]にメールでお問い合わせください。可能であれば、お手伝いします。


問題2:DLP方式の3Dプリンティングにおけるレイヤー分離の問題


DLP出力層の分離の症状:

  • 出力はいくつかの層に分かれているけれども、出力が完全にそのまま(の状態で止まってしまっている)か、
  • 出力は途中まで行われており、レジンタンクの底に硬化したUVレジンの塊がある


DLP方式の出力による層の分離の理由:

  • 出力は常にビルドプレート(状態の良いもの)のとしっかりくっついているべきですが、しばしばFEPフィルム(状態の悪いもの)としっかりくっついてしまい、出力品の脆弱なエリアを[ビルドプレートから]引きはがしてしまうことがあります。

  • 積層ピッチが高くそして/あるいは硬化時間が比較的短いことです。 これは層自体がうまく硬化しているけれども、お互い[の層と層の間で]は硬化していないということを意味している可能性があります。

  • 関連する問題としては、FEPフィルムの表面がもはや紫外線光を透過しない、そして/またはべとついていることかもしれません。

  • 出力品のいくらかがちゃんと保持されていない。出力品それ自体が各層ごとにFEPフィルムから剥離することが必要とされるということが、レジンの海の底で起こる永遠の戦いであることを覚えておいてください。 もし薄いあるいは脆弱な部分が出力品にある場合、FEPフィルム[が硬化したUVレジンにくっついてしまい]ひとつふたつの戦闘で勝利を決めてしまう可能性があります。 一般的な例では、サポート材が出力品に触れる部分が小さすぎるため、その出力品がサポート材から引きはがされてしまうかもしれない、ということです。

DLP方式の3Dプリンティングにおける出力層の分離の解決法

解決法1:出力設定を変更する
積層ピッチを減らしたり、おそらく硬化時間を増やしたりするのが効果的でしょう。
これは層と層がしっかりとくっつくのを確実にする手助けになります。
また、レイヤー間での[ビルドプレートの]リフト速度を下げてみてください。

解決法2:FEPフィルムを交換してください
FEPフィルムを点検し、まだちゃんと透明で、曇りや凹凸、破れがないか確認してください。
もしあれば交換してください。お使いのプリンタをより優しく扱うために、もっと薄いFEPフィルムを使うことも検討してみてください。

解決法3:3Dモデルを変更してください
出力品がはがれている部分に関して、出力用デジタル造形データの修正と改善をし、サポート材をより太くしてください。
影響を受けた領域の出力品の壁の厚みを増やしたり、出力品の出力方向を変えたりするということも考えてみてください。


問題3:出力品が脆い

レジンによる3Dプリントが脆い症状について

  • 出力品は断片を切り出すのがとても簡単です。


レジンによる3Dプリントが脆い場合の理由

  • 通常、レジンか過剰に硬化したレジンのいずれか[の状態]です。 ほとんどの場合、最初の数層は、ビルドプレートにしっかりとくっつかせるためにレジンが意図的に過剰硬化されているため、わずかに脆くなっています。

  • さらに、いくつかのレジンは機械的性能よりも審美的に最適化されるように設計されています。

レジンによる3Dプリントが脆い場合の解決法

解決策1:レジンを変える
  • ご使用されているレジンの種類を確認し、有効期限を確認してください。 例えば、「タフ」なUVレジンを使用していて、品質の低下を疑う理由がないとき(プラスチックは経時劣化します)、私ならおそらく出力設定を見直すでしょう。 もしお使いのレジンに問題があると考えられる場合、
あなたのニーズに合ったレジンの種類を探したり、あるいはL3Dで私たちと話してください。喜んでお勧めいたします。

解決策2:硬化設定を変更する
  • 硬化時間を減らしてください。 私の考えでは、とにかく早くスムーズな出力につながるので、多くの場合に有効な作戦です。 もちろん、不十分な硬化にならないよう[紫外線を照射しレジンを硬化させる時間の長さについて]バランスを微調整する必要があります。 個人的には、長い硬化時間からはじめて、出力の間で[露光・硬化時間を]2~3秒程度短く調整していくのほうが良いと思います。

  • 優れた出力品を脆くすることにも大きな影響を与えるため、後処理硬化時間を減らしてください。 これには、日光に出力品をどれだけ長く晒しておくかということも含んでいます。

問題4:表面が波うつ

使用するSLA式3Dプリンタで出力品が裂ける・波うつ症状について

  • 出力部分の高さ方向に沿って全体が波うっています。 以下にその例を示します。


  • 全体的には波うっていませんが、下に示すように層がはっきりと変化して/目立っています。


使用するSLA式3Dプリンタで出力品が裂ける・波うつ理由

  • 「Z-wobble[Z軸方向のぐらつき]」はSLAやDLP式3Dプリンタだけではなく、多くの3Dプリンタに共通の現象です。 基本的に、ビルドプレートを上下に動かすスライド[機構]が少しゆったりしていてグラつくことがあります。SLAおよびDLP式3DプリントでZ-wobbleが起こるとどうなるかというと、層と層の[出力の]間でビルドプレートがFEPフィルムから離れますが、出力品が次の層の出力のためレジンタンクの底に着地する際、正確に同一の位置に着地しなくなるということを繰り返します。

  • もちろん、もし出力品それ自体が多少グラつく(例:もし柔らかいレジンをお使いだったり、あるいは[出力品へのサポート材による]支持が不十分だったりする)と、同じような効果が起きてしまう可能性があるということを心に留めておいてください。通常なら、最初にプリンタを分解し修理を試みれば、普通により満足いく[結果を得られる]ことでしょう(╹◡╹)

  • 状況によっては、Z-wobbleあるいは部分的ながたつきは問題にならないかもしれません。 上記の2番目の例の立方体では、注意してエッジに目を向けると、実際にはとてもまっすぐであることがわかります。 こういった問題は、もし3Dプリントで層を過剰に硬化させたとき、Z-wabbleのように実際には出力にFEPフィルムと層の関係が必要とされるような、もっと他の切り分けにくい関係がある場合に出くわしたときに発生する可能性もあります。

使用するSLA式3Dプリンタで出力品が裂ける・波うつ場合の解決法

  • Z-wabbleが問題であると疑われる場合、通常は1つまたは2つ(あるいはその両方)[の原因]によって起こります。

まず、リニアレールのキャリッジ[=台車部分][のネジ]を締めることをお勧めします。
別の機種では同じことを行うための様々なアプローチがありますが、幸いなことにYoutubeで記録化されています! 以下にAnycubic PhotonでZ軸の締め具合について調整する方法を示します。


  • Z-wobbleが発生する第二の理由は、リードスクリュー[シャフト]が曲がっているか、センターから外れているためです。 Z軸シャフトの交換方法の良い例が、以下のWanhao D7の動画で紹介されています。

  • もし出力品が比較的まっすぐに見えるけれど、まだはっきりと波うっている場合、出力品の硬化設定を微調整すること――おそらく実際に実験してみる必要がありますが、私の推測では硬化時間を短縮する必要があると思います――をお勧めします。 積層ピッチを減らすことで、表面の仕上がりをよりよくすることも可能です。

  • Z軸シャフトに過剰なバックラッシュ(緩み)があり、出力中にぐらつきのような線ができることがあるため、[Z軸シャフトを固定する]ナットを見る必要があるかもしれません。 通常、そのナットには補助用の[反発でバックラッシュを打ち消すための]バネを組み込んだナットがあり、もし正しく取り付けられていない(あるいは摩耗している)と問題が生じる可能性があります。 とりあえず、Wanhao D7を正しく組み上げなおす方法の例として、3番目の動画を以下に紹介します。



問題5:出力品がゆがむ

SLA式3Dプリンタによる出力品がゆがむ症状

  • 下図のような画像を使い、まさに詩的な表現をすることをお許しください――これはDLP機による出力ではありませんが、当該の点を表しています。 場合によってはエッジがゆがんだり、全体的にはっきりと歪んだりするような可能性もあるでしょう。 ゆがみの診断はわかりやすいです。


DLP機による出力が歪む理由

  • 備品につけるサポート材が不十分だと、[層の]各硬化サイクルの間において、出力品がFEPフィルムから引きはがされる間に、出力品の形状が[物理的にFEPフィルムに]引っ張られるることがあります。

  • 部品がFEPフィルムから引きはがされる時に、おそらく未硬化で歪曲している可能性もあります。

  • DLP機の出力においては一般に、[LEDランプが光源の]紫外線光は出力範囲の端にいくほど強くなくなるため、大きな部品は特に歪みの影響を受けやすいでしょう。

  • 後処理硬化もまた部品をゆがませます。もし長時間IPAの中に漬け置かれていて、かつ/もしくは熱が関係している場合は特に、です。

DLP機による出力が歪む理由の解決策

  • 出力工程の間、部品が十分に[サポート材で]支持・拘束されていることを確認してください。

  • 各層の硬化時間を延ばし、各層を持ち上げる前の停滞時間[Off timeのこと?]を増やしててください。

  • 幅広になるよりも高さが出るよう出力方向を変更してください。

  • もっとやさしく後処理硬化に取り掛かってください。

  • 希釈されたIPA(IPAを70%、水を30%)を短時間使用し、よりまぶしくない光源(できればより遠くに置く)を使うか、または短時間で硬化させるかしてください。

  • 問題が起きる前に、後処理硬化時に部品をを押さえつけることについて考慮する価値があります。形状を保持するのに役に立つかもしれません。

  • 異なるレジンを選ぶことも考慮してください。いくつかのレジンは、別ので人よりも収縮しにくく、[そのレジンの物性が出力品の歪みを軽減させることに]役に立つことでしょう。

問題6:穴や細かく作りこんだ部分が埋まっている

レジンが詰まる問題の症状

  • 出力品の細部にその部品を貫通する穴がありましたが、その穴の部分が塞がっていました。

  • 細かい作りこみがのっぺりしているように見えます。

レジンの埋まり/細かい作りこみが損なわれる理由

  • 出力品の一部にある小さい穴や隙間では、何らかの方法でレジンが解放されない限り、硬化していないレジンが[細部の]穴に真空下で居座ってしまいます。 つまり、出力品の一部に追加されたどの穴に対ししても、実はレジンを流れ出させるための通気孔が必要になるのです。 こう考えてください。 もし飲み物用のストローの片端を閉じて、飲み物の中から引き上げたら、ストローの中の飲み物はそのままにしておけますよね。

  • 出力品の出力方向は[を変えても]、層と層の間の部分[積層面]からレジンを流れ出させるようなことにはつながりません。

  • レジン粘度はまた、細部を出力するうえで重要な役割を果たします。 レジンの「水っぽさ」には大きな違いがあります。 よりドロっとしたレジンはまったく細部の出力には役立ってくれません。

解決策

解決策1:うまくいくための出力の設計を立てる
  • どんな穴や差し込まれた形状でも中にレジンが溜まらないように部位を設計してください。 例えば、貫通していない穴にレジンを流れ出させるような小さな通気孔があることを確認したり、そういった重力により出力品からレジンが流れ出してくれるような形状や面の向きであるか確認したりしてください。

解決策2:より適切なレジンを使う
  • あなたが達成しようとしているものに最も適切なレジンを、フォーラムやデータシートやほかの場所で探してみてください。 もちろん、L3D.ieにもお問い合わせください。 喜んで提案いたします。

この記事であなたになにか得られるものがあることを願っています。時間がたつにつれて追加される可能性がありますので、3Dプリント中になにか問題が起きた場合、お気軽にお問い合わせください。また、もしこの[問題]点が大規模な3Dプリントコミュニティに関係する場合は、記事を更新いたします。

もし3Dプリント用品が必要な場合は、オンラインショップで3Dプリント用品や消耗品を一緒に販売しています。
オンラインショップはこちら!



免責事項:

私たちは経験に基づいてアドバイスをしますが、私たちのアドバイスはあなたにとって都合良くはたらくものであることを保証するものではありません。

この記事であなたにどんな問題が起きたとしても、私たちはいかなる法的義務や責任を負いません。

あなたには、プリンタの製造元によって異なる許可/推奨[設定]変更の範囲内において、確実に安全な作業を行うための行動をする責任があります。

コメント

  • シャッフル - 名無しさん (2019-06-10 16:35:46)