積層痕にはいくつかの条件が複合的に関係していると思われる。
現在よく言及される現象としては以下のものがある。
○出力品の断面(XY平面)形状が急激に変形すると積層痕が出る(出力品を斜めに配置するのは断面形状の変化が急激にならないようにするため)
また、O字状からC字状、あるいはその逆に断面形状があった場合などの場合でも積層痕が出る。
○同時に複数の異なる高さの出力品を配置した場合、ある出力品の出力が終わった高さで積層痕が出る
○小さい・細い出力品を出力する場合、サポート材だけでなく壁になる保護材を付近に配置しておくと積層痕や歪みが出にくい
○レジンタンク底面のFEPフィルムは太鼓のように張っていると良く、FEPフィルムに傷や凹みがついていたり貼り具合が緩んでいると(硬化したレジンがFEPフィルムに食いつく力が、機械的に引き剥がす力を上回るため)サポートから外れやすかったり、ラフトごとビルドプレートから外れたりして出力不良になりやすい
また、FEPフィルムが太鼓のようにレジンタンクに張られている関係上、中央部がもっともたわみやすく、外周部がもっともたわみにくい。
このため、中央部と外周部では引き剥がしやすさに違いが出てくる。
さらにパラレルLEDではないLED光源の場合は中央部と外周部でULレジンの硬化のしやすさに差が出る。
また、当然ながらレジンが硬化する形状はFEPフィルムと接する面の状態によってXY平面方向だけでなくZ軸方向にも変化する。
加えて、二次硬化処理が必要なように、3Dプリンタで出力した直後の状態は「固まりかけ」なので、変形しやすい
したがって、
「ある場所に配置した出力品を、ある層で出力品をFEPフィルムから引き剥がす際、その場所のFEPフィルムの貼り具合がそれより前の層と大きく変わる場合、当該箇所の硬化しかけのレジンをFEPフィルムから引き剥がす力に変化が出て変形具合がそれまでの層と近似しないため、積層痕が出やすい」
と考えられる。
なので、FEPフィルムの貼り具合ができるだけ急に変化しないよう
●必要に応じて手動での(出力を見越したモデリング段階での)サポート付け
●出力品のサイズや強度、あるいはUVが照射される強さに応じた配置場所の吟味
※類似例としてシールを剥がす時、貼付け面がつるつるなものとざらざらなもののどちらが、
あるいは固いものからと柔らかいものから剥がすのと、どの場合がはがしやすいのか?を想定すると考えやすいかもしれない
●FEPフィルムの貼り具合を制御するための出力品周囲への保護材の配置
●できるだけ一度に同じ形状の出力品だけ配置するような出力方法の検討
…といったノウハウの蓄積が必要であると思われる。
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最終更新:2019年06月09日 18:10