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世界の情勢は急速に変化していた。
ドイツの新戦術の前にフランスは降伏。
ついに欧州大陸はドイツ率いる枢軸諸国の物となった。 そして、一人残されたイギリスは、その覚悟を決めていた。
北アフリカでも連合国は劣勢だった。
イタリア・ドイツ・オスマンの快進撃を許し、 北西地域の殆どを枢軸に奪われていた。 しかし、東に追われ、負け続けても、 落日を認めないイギリスの騎士達は、 降伏を認めないフランスの衛士達は、 残された地にて、共に旗を掲げていた。
欧州を手中に収めたドイツは熱狂に包まれていた。
残るはイギリス、勝利は確実であった。 しかし、熱狂に包まれたドイツは、己の限界も知らず、 赤き大妖怪へ銃口を向けようとしていた。
大日本帝国の快進撃は止まらなかった。
西へ、東へ、その歩みが止まる事は無かった。 連勝に次ぐ連勝、今が大日本帝国の絶頂であった。
枢軸国の躍進。連合国の劣勢。
最早大勢は決したと、ある者は歓喜を、またある者は絶望と共にこの世界の結末を受け容れようとしていた。 ―――――彼の国を除いては。 アメリカ合衆国。その白き頭を持つ大鷲は、 巨大な翼を広げ、今こそ世界に飛躍せんとしていた。
人類よ、全ての終結は近い。新しい時代がやってくる。
誰も望まぬ新時代が! |
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