学術文書


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フィネア地方における最新の研究成果をリポート。



政治学

帝国統合論

レシトリア帝国の学者ナディル・ローズを主唱者とする政治主張。
騎士制度によって分権化が進めば、対蛮族戦争における兵力運用に支障をきたすとする主張を軸とする。
実際、分権化が進めば中央の兵力を前線に投入しづらくなり、局所的な投入兵力は減少する。
そのため蛮族戦争全体を指揮する統帥権を皇帝から地方公爵に移譲するのは時期尚早だと論じるのである。
人間の生存領域を早急に拡張し国土を復興、さらにダーレスブルク公国領を復古する戦争を扇動している。
当初あまりに現実離れした徹底抗戦姿勢が受け入れられなかったが、新皇帝の即位と同時にその地位は一変する。
新皇帝ロンバルトは即位と同時に帝国統合論を取り入れた演説を実施。
蛮族の危機をことさらに強調し、再び力ある帝国の統合と蛮族戦争の完遂を訴えた。
以降、新皇帝ロンバルトの主導する統合派と、分権を重視する諸侯の間で対立が発生した。

民主分治論(臨時帝国論)

レシトリア民主共和国が帝国化した初期から、帝国の漸次民主化を訴える主張が存在した。
その主張では、皇帝権限が蛮族戦争のための非常事態対応にすぎず、あくまで主権は議会にあるとされる。
法制上は実際そのように定義されているが、すでに民主共和国としてのレシトリアは機能しておらず、帝政機構が優位にある。
現在の封建制レシトリアの実現は民主政治への移行段階と考えられ、前線を持たないレシトリア西部で再民主化運動が活発化している。
各地の封建君主は、皇帝ロンバルトの統合主義に抵抗するべく、この派閥を支持母体として取り込もうとしている。
政治的目的から民主派を囲い込んだ典型的な封建君主として、アイラット候コリンズを挙げることができる。


魔動機工学

魔動エンジンの製造原理について

フィネア地方民の夢、魔動エンジンの製造がついに実現する。
昨年、蓄積したマナを周期的に炸裂させるプラグの機構の解析が終了し、現実味を帯びていた魔動エンジンの“生産”。
今回の研究でマナを気密容器内から透過させない特殊な金属の加工法が明らかになり、帝国マギテック協会はいよいよ試験生産を発表した。
すでに研究室レベルで生産された魔動エンジンが公開されており、フィネア市民の生活が魔動エンジンのうなり声とともに300年のくびきを乗り越える日も近い。


生物学

大型海洋生物の分類学

南西諸島に遭難していた人々は、どうやらテラスティア大陸からの漂流者である可能性が高い。
テラスティア大陸にも〈大破局〉を生き延びた人々が生存しているようだ。
人族の血路ともなる海路開拓のためにも、航海に支障をきたす大型の海洋生物の生態及びその分布を明らかにする必要がある。
ついては調査船団を組織し、海洋生物の本格的調査を実施する旨の要望書を帝国政府に提出するに至った。

アイラット地方の有害植物分布調査計画書

アイラット開拓計画に伴い、周辺の草原の調査を実施したところ、広範囲にわたって有刺蔦状植物の分布が確認された。
開拓計画を指揮するフロンタ・ラトヴィック卿の許可を得て、早急に分布調査を行い、これを討伐する必要がある。

レシトリア赤化土壌の成分分析

〈大破局〉以降荒廃したレシトリア近辺の土壌を分析した結果、妖精の魔力が完全に枯渇していることが明らかになった。
植物を生み出す土の精霊も、水の精霊も見当たらず、完全に生物が生育する環境でなくなっている。
直ちに元の土壌に戻すためには神に近しい能力を持った妖精使いが必要だが、人並みの力でも80年ほどをかけて復旧できるかもしれない。


経済学

帝国独占型経済の経済学的誤謬

帝国政府および帝国商会による独占的中央統制経済を痛烈に批判した論文。ダインハイト公国の政務官アダム・スミソアが発表した。
国土全体の発展を促進するために効率的な富の分配を実施するために公設商会により商業を管理するというのが帝国の主張であった。
これに対し「すべての交換を知ることができるのは神だけである」として管理経済の限界を指摘した。
スミソアによれば、政府の持つ役割は水道整備や農地開拓、教育機関の運営といった生活基盤の構築のみであり、交易までも統括する必要はないとされる。
このような主張の背後では民主派の一派である自由主義思想が強く影響しており、高まる帝国批判の材料として出版された側面も強い。

管理経済における介入と計画

帝国商会の事務局長に就任したジョン・クインズが提出した論文。
現在の帝国による中央管理経済を否定せぬまでも、その経済政策実施の効率化を求めた。
議論の特徴として、数式を活用した経済学理論の数学化が挙げられる。
国民総生産と税率、国家財産などを明示的に算出することを追求しており、高度に発達した官僚機構が前提とされている。
実際、商業を国家が統括管理している帝国方式の国家経済にとっては非常に有用である。
その一方、拡張が続き国民資産の管理がおぼつかないダインハイトでは実効性の薄い理論である。

魔動機占有による経済独占と労働者の権利1

ダインハイト陥落後に発表された論文。レシトリア帝国の図書館に所蔵されている。著者はキャロル・マークス。
魔動機都市ムートランドで行ったマギスフィア流通調査の結果に基づいて、生産手段の占有状況を明らかにした。
すべて商品はその再生産に必要な価値をもつとする生産価値説を展開。富の再分配や占有を行う帝国商会を激しい言葉で批判した。
また冒険者への依頼費用の高騰も攻撃対象としており、現在の相場の半値以下で冒険者労働の再生産が可能であると指摘している。
総じて、直接的に勤労している農民や労働者への正当な報酬が帝国商会の収奪(これを搾取と呼んだ)によって妨げられているとして、
帝国商会の打倒を目標とした市民革命の必要性を強調している。
なお著者のキャロルはこの著作を遺作として病死した。このため続巻の刊行は絶望的だ。


歴史学

慈雨神フェトルとフィネア地方

フィネア地方で慈雨神フェトルの信仰が盛んになったのは、もっぱら〈大破局〉以降のことである。
魔剣〈クラウ・ソラス〉とも関わりの深い神と伝わってはいるものの、信仰としてライフォスやティダンに勝ることはこれまでなかった。
信仰の流通は、〈大破局〉によってレブダ山脈が隆起したことをきっかけに、フィネア地方の降雨量はおよそ3倍に膨れ上がったことと関係している。
そもそもフェトルの教えは苦難を耐え抜くことで豊かな実りを得られるという農民のための教えだった。
しかし今やその教えは蛮族との戦争という人族共通の苦難を乗り越える意思を象徴するものとして、広く信仰されるようになった。
蛮族の登場と時を同じくした豊穣の雨。市民がそこに慈雨神フェトルの存在を感じ取るのも、無理のない話なのかもしれない。


物理学

重力原理とマナ力学