Cloud Layer v2

Node Type: Atmosphere

ノード説明と目的:

『Cloud Layer』ノードは、レンダリングを高速化するために3Dシェーディングをシミュレートした2D、またはレンダリング時間は長くなりますが極限のリアリズムを実現するためのフルボリュメトリック3Dのいずれかを使用する事で、惑星全体に広がる雲の層を作成します。雲層の配置は、主に雲層の高度と深さによって定義されます。どのような実世界の雲タイプをシミュレートするために、雲層の全体的な外観を微調整するための多くの補足設定が提供されています。

新しい雲層を作成する最も簡単な方法は、トップツールバー【Atmosphere】に移り、ノードリスト上部にある"Add Cloud Layer"ボタンを使用する事です。これにより、いくつかの雲のプリセットから選択する事が出来ます。雲層を作成すると、雲の全体的な形やパターンを定義する密度シェーダの『Density fractal(Cloud fractal shader)』ノードが自動的に作成されます。

複数の雲層を使用して、異なる高度、異なる種類の雲を作成する事が出来ます。 雲層の数に制限はありません。

設定

Enable 有効 チェック時、ノードが有効になります。
Enable primary プライマリを有効 主に霞として現れる大気の主な視界(鮮明度)をコントロールします。未チェックの場合、プライマリが主として効果を際立たせるものなので、雲や大気はカメラから見えなくなります。
Enable secondary セカンダリを有効 大気の影や反射がレンダリングされるかどうかをコントロールします。未チェックの場合、夕焼けの薄暗さなどの雰囲気はなくなり平面的な絵に仕上がります。
Move textures with cloud 雲と共にテクスチャを移動 雲形は、クラウドノード内の"Density Shader(密度シェーダ=入力ノイズ関数)"で定義したノードにより形成されます。この雲層を"Localise"のパラメータをアニメーションさせて変動させても、入力ノイズ関数の位置は変わらないため形状は一定のままです。そこでこれにチェックを入れる事で、シェーダ全体に影響するようになるため、変動が可能となります。しかし、推奨する一般的なアプローチは"Density Shader"にデフォルトで定義されている『Density fractal』ノードの間に『Transform input shader』を使用する事です。つまり、『Density fractal 01』の出力端子が『Transform input shader』の入力端子に関連付けられ、"Density Shader"にその『Transform input shader』を定義します。この入力ノイズ関数のパラメータをアニメーションさせる事で、雲形が形成され移動を始めます。さらに"translate"のY値を増大させる事で、雲の成長をシミュレーションさせてリアリズムな時間の経過を可能とします。

Mainタブ

Cloud altitude 雲層高度 雲層の高度を設定します。
Cloud base altitude 雲底高度 Cloud altitude - (Cloud depth / 2) によって算出した高度値を表示します。設定する事は出来ません。
Cloud depth 雲層の深さ 雲層の深さを設定します。深さは雲層の高度を中心にしています。例えば、雲層高度1000mで深さが200mの場合、雲底は900mとなります。
Localise ローカライズ チェック時、雲層に座標位置のパラメータを追加します。"Centre"で設定した位置を中心に、"Radius"で設定した半径となる球状のエリアに限定されたサイズを形成します。雲層はエリア外には現れません。3Dプレビューでは、ローカライズエリアを示す2つの破線の円が描かれます。
基本的に、ローカライズは雲形ではなく雲の陰影に影響を与えるので、例えば雲層を移動させても『Density fracta』で設定したノイズ関数の"位置情報"は変わりません。そのため、雲形と雲の陰影を合わせて移動やアニメーションさせる場合は、『Cloud layer』ノードと『Density fractal』ノードの間に『Transform input shader』を入れる事で雲の見た目を変えることなく移動が可能となります。

上記画像は、左画像の雲層をX軸に1000メートル移動した際、単に1000メートル移動した画像(上段)と『Transform input shader』ノードを追加した画像(下段)を比べました。上記画像の雲層の陰影を見ると、元画像の陰影位置から動いていない事と、下段は雲の形状、陰影共に移動している事が分かります。
Centre 中心位置 ローカライズエリアの中心位置を設定します。
Radius 半径 球状のローカライズエリアの半径を設定します。
Falloff (0..1) フォールオフ このパラメータは、ローカライズエリアの中心から端までの雲の密度をコントロールします。雲の端に近づくにつれて雲の密度を薄くさせるためのカーブ演算が適用されます。0はフォールオフの効果はなく、雲は球の半径をくっきり型取る事を意味します。値が大きくなるにつれ、雲は球の端に向かって徐々に消えていくようになります。
Value at radius (-1..0) 半径の代価 ローカライズエリアの境界で"Density Shader"の値を置き換えます。フォールオフエリアでは、"Density Shader"の値は元の値と"Value at radius(半径の値)"のマスクによって置き換えられます。マスキングは、境界からローカライズエリアの中心に向かって処理されます。
Density shader 密度シェーダ 雲に基本パターンや形状を与える密度シェーダを指定します。密度シェーダは、新しい雲層を追加する時に自動的に『Density fractal』ノードが作成されます。
雲層は、密度関数に適用するバイアスを高度に応じて変化させるため、密度関数は雲頂と雲底部で、明確な雲密度を生成するために中央よりもはるかに高密度にする必要があります。密度関数を変更する時は、バリエーションの1つとして雲の外見上の"Cloud altitude"と"Cloud depth"を変更する事です。しかし、それは直線的な関係ではありません。そうであるなら、雲の雲頂部分でスパッと切り離された雲の作成が簡単になります。雲の雲頂部で鮮明な輪郭を得る事は出来ますが、密度関数は非常に高くなければなりません。『Cloud Layer』ノードに組み込まれているプロファイル(デフォルトの一般的な雲の外郭)は、関連付けられるシェーダや関数設定の事前知識がないため、妥当な雲形を提供するように設計されています。これらのプロファイルには、"Invert profile"や"Flatter base"のオプションを使用して簡単に変更を加える事が出来ます。
Edge sharpness 雲縁の鮮明さ この値が高いほど雲の縁を鮮明にし、値が低いとぼかします。積乱雲などはこの数値を高くする事で、輪郭をはっきりとさせることが出来す。輪郭が鮮明になるという事は、雲の先端まで密度が高くなるという意味で、この効果は雲全体に影響します。
Cloud density 雲の密度 雲全体の密度をコントロールする事が出来ます。雨雲のような真っ黒な雲は密度を高くすると良いでしょう。ただし、TGのスライダーや入力値は"通常の"結果のための妥当な範囲の設定を示唆するように設定されています。他パラメータもそうですが、このパラメータの場合、スライダーでの最小は0、最大は1です。ここで妥当的数値を超える高い値を入れてもほとんど効果は得られません。効果の範囲は主に値の範囲において下位値に集中しています。効果を探求する場合は、例えば0.06と言った小さな数値から調べていくといいでしょう。"Cloud density"の場合、最大値は5に近づく位を提案します。また、このパラメータは、"Edge sharpness"のような他のものと相互作用して、異なるレベルで異なる効果を生み出します。

雲の密度が高くなるほどレンダリング速度は遅くなります。
Coverage adjust 雲が覆う量 雲が空を覆う量の調整をコントロールします。このパラメータでの設定は、『Cloud Layer』ノードの入力端子に関連付けられたすべてのノイズ関数の覆う範囲をコントロールします。そして、関連付けられたノイズ関数内で設定された"Coverage adjust"は、それ自身の覆う範囲のみをコントロールします。それぞれの"Coverage adjust"の設定が相互作用で両方の組み合わせの効果が得られます。


Colourタブ

Cloud colour 雲の色 雲の色を設定します。例えば夕焼け前のピンクがかった雲など、自然界に起こる奇跡のようなシーンも直接雲に色を設定する事で実現する事が可能となります。
Max albedo 最大アルベド アルベドとは、太陽放射をサーフェスが反射する拡散反射の尺度を言います。明るい色の表面は太陽光線の大部分を大気に戻します(高アルベド)。暗い表面は太陽からの光線を吸収します(低アルベド)。
"Cloud colour"で設定した値によって、任意の雲の色がどれ位のアルベドに対応しているかを示す指標が表示されます。雲の密度が十分に高い場合には、100%のアルベドが得られます(容積測定の色がTGで較正されるため)。100%は現実世界で可能な最大のアルベド値なので、100%を維持するのであれば0.25に設定する事を推奨します。
Scattering colour 散乱色 雲の内部で計算されるグローバルイルミネーションにのみ影響し、遠距離での散乱をシミュレートするのに適しています。0の場合、散乱光はありません。また、雲の密度が高いと散乱光は失われてしまいます。


Lightingタブ

Sun glow amount 太陽の輝量 太陽の輝量は太陽の光が値が大きくなるほど広く影響を与えるのに対し、太陽の輝力は、太陽の光が値が大きくなるほど強く雲に浴びせます。"Sun glow amount"との違いは、このパラメータは範囲が広くなるほど輝力の影響が減少します。これらの太陽の輝量・輝力は、設定する雲層とそれに関連付けられた雲にのみ反映されます。この効果は太陽、またはその他の光源に依存するため、太陽の方向へカメラが向いていないと効果を判断する事が難しいです。

Sun glow power 太陽の輝力
Light propagation 光伝搬 太陽光など、雲の粒子の中をどれだけ光が浸透するかを設定します。そのため、この設定は太陽を雲が覆っている状態で効果を発します。数値が大きいほど透過しますが、リアルさは失われます。これは同雲層の内部にて光が透過するだけで、別の雲との間を透過するものではありません。雲層から別の雲層に光が伝搬する手段はGIキャッシュが担います。
Light propagation mix 光伝播の混合 "Light propagation"の効果と、"Fake internal scattering"の効果のバランスをコントロールします。値を0.5にすると、光伝搬は50%散乱し、偽内部散乱も50%散乱します。この時、偽内部散乱はより前方散乱のために、薄い雲を輪郭付近の大部分を明るくします。濃い雲の場合は、より多くの後方散乱があるため暗い輪郭が存在します。値を1にすると偽内部散乱は前方散乱と後方散乱を均等に分布させます。
Fake internal scattering 偽内部散乱 雲の内部に模造粒子があると仮定し、それらがどれだけ光を散乱するかを調整します。これはどの要素よりも「Main」タブの"Cloud colour"で機能しますが、雲が各ポイントでどのくらいの密度であるかによって明るさが変わります。0にする事でこの機能を無効にする事は出来ますが、直接照明(太陽など)によって作動するためデフォルトでは2です。ただし効用度を上げると"油絵"のような仕上がりになるため、その場合はGIから受ける影響を無効にする事で対処する事が出来ます。
"View from space" shading model "宇宙からのビュー"シェーディング・モデル 主に非常に高い高度からの見た目が、通常の見た目と変わらない問題を回避するために様々なパラメータの挙動を変更します。チェック時、惑星を覆うような広域の雲層には非常に有用です。
Enviro light 環境光 数値が高いほど雲層が受ける環境光が強調されます。幾重にも重なる雲層によって影が出来たり、付近の発光源によって影響を受けます。『Enviro light』ノードとは違い、これは設定する雲層のみに影響します。
Enviro light tint 環境光の色合い 環境光の色を設定する事が出来ます。"Cloud colour"とは違い、環境光を受ける部分にのみ設定した色味に変わります。
Darker unresolved scattering どす黒く適正に決められない散乱 雲はプレパス内のGIサンプルによって適正に決めるには短すぎる距離で、より少ないGI光を散乱させます。未チェックの場合、しばしば雲の暗い部分の内部があまりにも過度にぼやけます。
Anisotropic enviro light 異方性環境光 これはより正確な光散乱シミュレーションが可能になるため、デフォルトで有効です。チェック時、環境光(GIまたはアンビエント・オクルージョン)の寄与は、薄い雲の場合、後方視界方向よりも前方視界方向により強く強調し、濃い雲の場合は前方視界方向よりも後方視界方向により強く強調します。"Fake internal scattering"のパラメータは、薄い雲の前方散乱から濃い雲の後方散乱への変化をコントロールするだけでなく、濃い雲に直接光源の寄与を明るくします。"Anisotropic enviro light"が有効時に"Fake internal scattering"が0の場合、雲密度は環境光の寄与に影響を及ぼさず、主に前方散乱になります。"Sun glow"の設定は、前方散乱と後方散乱を強調付けるコントラストにも影響します。


Functionsタブ

ここでの設定は雲ノード"Functionタブ"のチュートリアルで詳細の機能効果を確認する事が出来ます。
このタブにある"Depth modulator"について、以下の定義( Topic: Depth Modulation & Coverage Adjust )があります:

空間の各位置は、束ねた機能に従って、そのXYZ位置で計算された雲密度を有しています。例えば雲層が高度500、深さ1000(Cloud Layer V2 / V3の場合)とした場合、これは、高度0から成長し高度1000メートルに及ぶ雲のボリュームを定義します。そのボリュームのどの位置であっても、密度は0以上であるかもしれません。"Density Shader"の入力端子に差し込まれた3Dフラクタルは、空間が変化する密度値を計算するために使用されます。"Taper top and base"を無効にし、"Coverage adjust"を0に設定した場合、密度シェーダは雲のある場所と存在しない場所を正確に示します。密度シェーダが0未満の場所には、雲は存在しません。密度シェーダが0以上の場合、その位置の雲の密度は0以上になり、密度シェーダからの値に比例します。実際の密度は、"Edge sharpness"と"Cloud density"によってさらに影響を受けます(正確には、1を超えないように固定してから"Edge sharpness"を乗算し、さらに"Cloud density"を乗算します)。"Coverage adjust"は、それ以上の処理が行われる前に密度シェーダからのすべての値に加算されたオフセット値なので、"Coverage adjust"の変更は、フラクタル自体の変更と同じ効果があります。これは、雲の縁がどこに変わるかを単に変更するだけで、0に固定される前にこの値に定数を追加する事で、雲が現れるしきい値を効果的に変更します。

このような雲を構築すると、ボリュームの雲頂と雲底(0メートルと1000メートルの高度)で切り離された雲を得るでしょう。それを避けるために、デフォルトで有効になっている"Taper top and base"という機能があります。これにより、雲が現れるしきい値を変更する組み込みのプロファイル機能が有効になります。それは、"Coverage adjust"のようにちょっとした作動をしますが、単なるオフセットではなく、雲頂と雲底の密度を乗算します。これを有効にすると、密度シェーダとして3Dフラクタルを使用するだけで、雲を計算しているボリュームが完全な雲頂と雲頂に達する事を防ぎ、丸みを帯びた雲頂と雲頂を持つ雲を得る事が出来ます。

多くの場合、雲の上部にくっきりとした縁(ハードエッジ)を得ているのは、上記の計算で何が起きているのかによるものです。

そして"Depth modulation"の役割です。空間のいずれの場所においても身長が1000メートルのボリュームを使用する代わりに、この高さを変更する事が出来ます。"Center"が0(デフォルト)に設定されていると仮定して、雲頂がどこにあるかが変更されます。"Depth modulation"が0.5の場合、雲底から500メートル上まで下げた雲頂を導き、0.1の場合は100メートルになります。内蔵のプロファイルもこの範囲内に収まるように押し潰されます。

非常にゆっくりと変化する"Depth modulation"を使用している場合、予測可能な結果が得られるはずです。フラクタルの種類と同じように素早く変化するものがあれば、"Density Shader"に関連付ける事で、密度シェーダ(『Density fractal』)を必要とせずに良い積雲を得る事が出来ます。これは、雲のボリュームの雲頂と雲底がどこにあるかという新しい定義に従って、空間内のすべての位置を計算出来るためです。しかし、それが動作する方法は非常に具体的です。その目的は、内蔵プロファイルを計算するために使用される高度、および雲の最大の潜在能力を引き出す可能性のある所の範囲を変更する事であり、密度シェーダによってさらに変更する事が出来ます。

Altitude offset function 高度オフセット関数 雲固有の垂直縦断面を相殺するために3D空間内で多様化する事の出来る関数やカラーシェーダを取り入れます。関数はFunctionのノードで作成された高度に基づく関数であったり、カラーシェーダとしては『Power fractal shader』や、『Constant colour』ノードを使用します。
Function multipliter 関数の乗算 "Altitude offset function"の効果に乗算します。単位はメートルです。
Depth modulator 深さのモジュレータ 雲固有の垂直縦断面の高さを増減させて3D空間内で変化させる機能またはカラーシェーダを必要とします。基本的には"Altitude offset function"と同様に設定して使用する事が出来ます。この機能を雲の深さの乗数として考えるのが適切です。例えば、『Constant colour』ノードを「X」の値を持つ雲ノードの"Depth modulator"の入力端子に接続した場合、雲層の深さは次のようになります:
[ X * cloud depth ]
0.1の値を設定した場合、深さは0.1倍になるので10倍薄くなります。
「マスク」と「モジュレータ」は数学的に同様で、どちらとも乗数です。"Depth modulator"は、深度(雲底から雲頂までの高度)の乗算に対し、マスクはある地点での密度の乗算となります。どちらの場合も、0値は雲の出現を防ぎます。
Centre (0..1) 雲層が定義された雲の範囲内で、深さを乗算する軸位置を設定してどこに雲を出現させるかを定義します。
Final density modulator 最終密度モジュレータ 3D空間内で多様化する雲の最終密度を増減する事が出来る関数やカラーシェーダをまたはカラーシェーダを取り入れます。これは、他のビルトインのクリッピングやカットオフが適用された後に計算されます(他の雲の関数など)。
この機能は、例えば高度または距離に応じて雲の密度を変化させる事を可能にします。また、この機能に『Power/Cloud fractal shader』を関連付ける事で、密度のバリエーションを追加する事も出来ます。クランプを外された関数/フラクタルの場合、最終密度は、雲ノードの「Main」タブで実際に設定された密度よりも高く調整する事が出来る事を心に留めておいて下さい。
ここに、『Distance shader』を関連付ける事で、雲層が全休を覆う範囲(距離)を設定する事が出来るので、水平線近くだけの雲を残す、または地平線近くの雲だけを除く事も可能です。 Topic:Cirrus only on Horizon, not Covering close Sky
Direct light modulator 直接光のモジュレータ 雲層の色を直接変える事や、直接光、周辺光、環境光の量や色を微調整するための関数やカラーシェーダを取り入れます。これによりより詳細な陰影をコントロールする事が出来ます。
"Enviro"は環境光に対して雲がどのように影響を受けるか言うのに対し、"Ambient"は一定量の照明を雲全体に加減します。通常は、他のすべての照明効果によってリアルな結果を得られますが、この" Ambient"を使用すると発行物を生成したり輝かせたりする事も出来ます。
Enviro light modulator 環境光モジュレータ
Ambient light modulator 周辺光モジュレータ
Shadow function 陰影関数 これは、雲層のどの部分が影になっているかを定義する代理方法を提供します。雲層の特定のエリアに影が必要であっても、レンダリングが遅くなる可能性があるため"Received shadows from surfaces"を有効にしたくない場合に非常に有用です。例えば任意の高度以下のすべてを影にする場合に、高度に基づく関数と『Simple shape shader』ノードを組み合わせてレンダリング時間を節約する事が可能です。


Tweaksタブ

Ambient 周囲の色 雲層だけでなくその周囲にも雲の粒子が拡散して色付けるための無指向性で均一な光レベルを設定する方法を提供します。その統一性と方向性の欠如が特にリアルな結果を生むことはなく、その使用は発光体を生成する時や輝かせたい時などに限られています。

カラーを赤に設定した事で、雲の拡散色が赤く染まり、その周辺の地形にも"Ambient"による発光が影響を与えています。
Fake dark power 偽暗がりの強調 太陽や環境の光を全く無視して、単に雲を暗闇がかった色に変化させる事が出来ます。
Fake dark sharpness 偽暗がりの鮮明さ 雲層の明暗をPhotoshopの色調補正「明るさ・コントラスト」処理を掛けたような効果を得られます。
Improved lighting model 改善された照明モデル チェック時、拡散光で「白飛び(本来明るさの強弱がある所が、強い光で白一色になる症状)」してしまう問題を改善したライティング計算を使ってレンダリングします。未チェックの場合でも、上記の"Ambient"や"Fake dark power"などを設定し詳細に調整する事が出来ます。また暗いシーンでは未チェックにする事で有用な場合もあります。

左画像は"Improved lighting model"が有効。中央画像は"Improved lighting model"が無効。右画像は同じく無効ですが、"Ambient"、"Fake dark power"、"Fake dark sharpness"を設定して有効時と同じような効果を得る事も出来ます。
Taper top and base 雲頂と雲底のテーパー化 これは、"Density function"に何が関連付けられていようとも、リアルで徐々に先細りしていく雲を生成するため、デフォルトで有効になっています。この機能を無効にする場合は、関数を使用して雲頂と雲底に「テーパー(徐々に先細りして消えていく)」を作成するための手法を理解する必要があります。この高度な関数を組み合わせて効果を生み出す方法を知っていれば(高度なノイズ関数を使用して雲層の雲頂と雲底の雲密度をフェードアウトする)有益で強力ですが、関数の組み合わせが難しい場合は有効にしておく事を推奨します。

チェック時においても、雲頂部の密度が高いと完全な処理が出来ない場合があります。
Flatter base 平らな雲底 運層の底部分を平らにします。また、雲底を平らにするため雲全体の密度を下部に引き寄せるために、雲の高度にも影響を及ぼします。実際の雲も、雲の種類によって雲底の形状に違いはありますが、積雲や積乱雲のほか、層積雲、高積雲、高層雲は平らで地面と平行な雲底をしている事が多くあります。逆に強い下降気流によって出来上がる雲などは雲底がでこぼこする事があるため、代表的な乱層雲は雲底が低くでこぼこしています。
Base wispiness 雲底の束ね 日本語では表現しにくい機能ですが、これは密度関数のフラクタルに変更を与えます。雲底付近により小さな構造を作成して、塊部分を細分化で散らしながら徐々に雲頂点付近で通常の状態に戻す作用をしますが、雲のすべての部分に影響を与える可能性もあります。雲全体的に掛かる変化なので、雲底は雲頂に比べて大きく雲の裾が広がって見えます。
Base softness 雲底の柔らかさ 雲の形成は基底部分から成り、徐々に上方へと押し上げられていきます。高度が高くなるにつれ雲の成分は水分から氷に変わり固くなりますが、下部は水滴なので形状が常に可変するためぼやけて見えます。"Edge sharpness"で高い値を設定すると、雲全体が鮮明になるためリアルさが欠けてしまいます。この"Base softness"は、積乱雲のように輪郭のはっきりした雲の作成時などに有用です。この作用は元の輪郭を柔らかくぼかすだけなので、"Base wispiness"の効果を加えると、雲底の柔らかさがより自然になります。
Invert profile プロファイルの反転 雲の形状などのプロファイル情報を反転します。この場合、反転したプロファイル情報に基づいて雲が形成されるので、そのまま画像が垂直方向に反転するのではありません。また"Base wispiness"や"Base softness"の作用も反転するため、雲底ではなく雲頂に効果が施されます。
Coverage gamma ガンマ補正 雲層の作成時に密度関数で様々な設定を行いますが、フラクタルでノイズ加工を行うとスペックルと言う散乱光による斑点模様が生成され、それが細かな雲の細かなゴミのように見えてしまいます。このガンマ補正によってノイズ除去を行います。数値の大きな変動は、雲の容積自体に影響を及ぼし、新たなスペックルを生成する場合があるので注意が必要です。


Qualityタブ

Rendering method レンダリング方法 雲のレンダリング方法を選択します。容積雲が必要ない場合は、「2.5D(2D)」雲でレンダリングする事が出来ます。これは"3D"のように陰影付けされていますが、実際には体積の無い雲なので、高さ/容積が目立たない高高度の上層雲などに適しています。これにより全体的なレンダリング時間を短縮し、必要に応じて非常に有用な要素を使用する事も出来ます。例えば、高高度の2D雲がある場合、低高度でローカライズされた雲層を使用して完全な3D容積雲を使用して雲の勾配を埋める事が出来ます。
-2D: 高度6000メートルを超える上層雲の巻層雲や中層雲の高層雲などが変面に近い雲の種類として分類されます。2Dを選択すると、各種パラメータの深さなどが無視されてレンダリングされます。
-3D (volumetric): 高度6000メートル以下の中層雲の乱層雲や対流雲の積乱雲などの容積の高い雲は、この3Dを選択します。
Quality クオリティ このスライダーは、最終的な雲のクオリティ(ノイズレベル)を決定するために、アンチエイリアスのサンプル数に寄って作用する相対的なクオリティの調節器です。例えば、高いアンチエイリアス値として6以上を使う必要がある場合、この値を少し下げて(ノイズが発生しない範囲内で)補う事が出来ます。アンチエイリアスが4-6程度においては、"Defer atmo/cloud"が有効である限り、地形のない雲だけのシーンでは通常十分ある事を覚えていて下さい。
Sample jitter サンプル・ジッタ バンディング(雲のハーフトーン部に出現する帯状の濃度ムラ)や斑点、染みはこのサンプル・ジッタの値が低いと出現しやすくなります。通常は1にします。大気中や雲の中に"目につくもの"が無い場合は値を減らす事も出来ますが一般的ではありません。1以上の数値も設定出来ますが、レンダリング時間はより長く掛かります。
Step optimisation ステップ最適化 値を大きくすると、負の密度値を持つより大きなエリアをスキップする事によって、雲層をより速くレンダリングする事が出来ますが、値が高すぎると人工物が発生する可能性があります。これは、通常の雲のシーンやアニメーションでの使用は絶対に推奨しない設定です。狂ったボルグ惑星のような物体をレンダリングしていない限り、値を0のままにしておく事を推奨します。
Receive shadows from surfaces サーフェスから影を受ける 雲の上に、地形やその他のサーフェスによる目に見える投影が必要な場合や、サーフェスの後ろで光源の輝きを隠す場合にのみ、チェックを入れて有効にします。例えば、雲を突き抜ける標高の高い山峰やバベルの塔などが、太陽の光を浴びて雲面に影を落とすシーンなどに有用です。


Optimisationタブ

レンダリング時間を短縮するために、このタブで使用出来るいくつかの最適化設定がありますが、すべてシーンの必要条件に大きく依存しています。
Acceleration cashe アクセラレーション・キャッシュ 雲のクオリティをレンダリング時間で調整します。多くの場合、"Optimal"や"Conservative acceleration"でクオリティに問題なくレンダリング速度を節約する事が出来ますが、雲の設定に依存するため、場合によっては四角い境界線が描画される事があります。このアクセラレーション・キャッシュは雲のレンダリングにのみ適用されます。テスト用レンダリングなどに活用すると作業効果を高める事に有用です。
-None (最高のディティール): アクセラレーション機能を使わない事で、最高のクオリティを保つ事が出来る事と、雲自身による影のピクセル化を避ける事が出来ます。また、レンダリング方法を2Dにした場合、鮮明なぼんやりした影を回避する事が出来ます。
-Conservative acceleration: クオリティを重視して控えめに加速させます。
-Optimal: 雲のクオリティと時間を均衡に調整した最適なレンダリング速度を提供します。
-More acceleration: クオリティを多少犠牲にしてレンダリング速度を高めた設定です。
-Aggressive acceleration: クオリティを必要としないアニメーションや、レイアウトや雰囲気を見るためのテスト用画像のために最高のレンダリング速度を提供します。
Use 2D shadow map 平面のシャドーマップを使用 非常に大きなローカライズされた雲で使用する場合、同等のクオリティを維持するために大量のメモリが犠牲になりますが、ローカライズされた雲のレンダリング速度を節約します。ただし、雲が水平線まで続くようなシーンには、がうまく機能しない可能性があります。これは雲の3D形状から影を計算するのではなく、雲を真上から見た平面状の影(シャドーマップ)を落とすため、リアルな影とはかけ離れますが、特に拘らないシーンなどに置いては有用です。
Shadow map resolution シャドーマップの解像度 シャドーマップの解像度を設定します。四角平面と捉え、幅×高さとして設定します。
Shadow map blur radius シャドーマップのブラー半径 シャドーマップの輪郭のぼかしの範囲を設定します。値が高いほど影全体に影響を与えます。
Use voxel buffer ボクセルバッファを使用 ボクセルバッファは、制限された解像度で雲の形状を計算し、計算されたエリアへの雲の陰影を制限します。この機能は、XZ平面からあまりにも遠くに傾いている雲層ではうまく働きません。粗い解像度で入力ノイズ関数からボクセル準備を生成し、これを陰影境界として使用する事で、シェーディングアルゴリズムの作業をさらに制限するのに役立ちます。画面全体に広がる雲で覆われたシーンでは、この機能は有用ではありませんが、ローカライズされた雲では役立ちます。解像度を高める主な効果は、ボクセル境界での入力ノイズ関数をより正確に表すので、結果として生じる雲のディティールを増やす事になります。これは、陰影領域が増えてボクセルバッファ自身のメモリ使用量が増えるため、時間がかかりますのでバランスが取れています。
Millions of voxels 何百万ものボクセル ボクセル数を設定します。ここで設定した数値で、"Voxel buffer resolution"の解像度が決定されます。スライダーでは最高が1ですが、入力でそれ以上の値を設定する事が出来ますが、限度を超えた値はレンダリング結果を台無しにする場合がありますので加減を調整して下さい。
Voxel buffer resolution ボクセルバッファの解像度 雲のボクセルバッファ解像度は、可能な限り均一にスケーリングされるボクセルを生成する事を目的とした"Millions of voxels"パラメータによってコントロールされるため、X、Y、Zの解像度の値は表示されますが、編集は出来ません。
Acceleration empty space 空きスペースのアクセラレーション ボリューメトリックな雲には凸凹形状による隙間が生成される事があります。その隙間(データとして存在しない空きスペース)の計算を省略してレンダリング時間を節約します。これもシーンに依存するため、良い結果が得られるかはテストしてみないと判断出来ません。
Visualise voxels ボクセルの視覚化 ボクセル計算された結果の形状を雲として生成します。"Millions of voxels"の値が低いと元の雲から破綻します。
Use voxels for shadows ボクセル陰影を使用 チェック時、雲のディティールを増やしてクオリティを向上させて、ちらつき/ドットの飛散を抑える効果が上がりますが、同時にレンダリングの時間が長くなります。ちらつきなどが目立たない場合は無効にする方が良い場合があります。ノイズの低減や全体的なクオリティを上げる必要がある場合は有効にして結果を確認して下さい。
Transition dist. (voxels) 変遷距離 "Transition distance"の略。ボクセル単位で雲の陰影部分を変遷します。陰影の付き方は変わりますが、環境光などから受ける光によって出来る影と真逆の方向に変遷する事はないのでリアルさを損なう事はありません。
"God-ray(ゴッドレイ)"は雲の背後の太陽の光線が、雲の隙間から地上に差し込んでいる有様を呼ぶ通称で、"後光"とも"薄明光"とも呼ばれています。これは高高度で密度の高い雲層、そして光が差し込むまばらな穴が必要です。何より大事な事は、太陽が雲層の裏側に配置されている事です。そして、光線をきれいに描画させるためのクオリティ設定、これらを連携させる事によってリアルな"ゴッドレイ"を作る事が出来ます。
最終更新:2020年12月03日 15:46