『テウルギア』の世界

■「テウルギア」の世界


テウルギアの世界は、現実の世界の遥か未来です。
その「遥か未来」に至るまでの経緯を、判別している範囲で列挙していきます。


■国家世界終末と「仮想人類」


世界規模の経済危機や人種・宗教・経済など、山積していた様々な問題が最悪の形で積み重なり、大きな戦争が起こりました。
そのきっかけとなったのが、とある小国が秘密裏に研究していた、ある技術でした。

その「ある技術」とは、大規模な量子コンピュータに膨大なる「市民データ」を登録・統合することで
あらゆる人種・人格・性別・思想を統合した、完全なる人類の平均的人格……「仮想人類」を作りだすというものでした。
それは人類の「指標」となり、戦争と貧困を根絶し、平等なる世界を作りだす……と当時の人々は期待していました。
そんなものに頼るしかなくなるほど、当時の人類は疲弊していたのです。

しかし、結果的に人類は絶滅の危機に瀕する事になります。
なぜその戦争が起こり、どうやって終わったか……その記録は今もって見つかっていません。
大国の指導者が「仮想人類」による統治を恐れたとも、「仮想人類」は完成しており、その命令に従った結果だとも言われています。

あらゆる国家は持てる全ての力を振り絞って戦い、勝者なき戦争は、国家という枠組みを破壊してなし崩し的に終わりました。


■戦争終結と「混沌」

戦争によって世界は破壊され、環境は汚染されました。
人類……地球上の全ての生物は大きく数を減らし、瓦礫と、命を育まない不毛な大地が続く死の星へと姿を変えたのです。
しかし、ようやく生き残った人類は、安堵していました。
戦争の原因となった「国家」が滅び、彼らを苦しめ、抑圧するものがいなくなった事で、彼らは新しい生き方を模索しはじめたのです。
あんな愚かな戦争を起こした国家はもう要らない、苦しくとも、人間が平等に生きられる社会を……。誰もがそう思っていました。

そんな彼らを待っていたのは、戦争時代が懐かしくなるほどの死と暴力の世界でした。
僅かな物資は人々に分配するには余りにも少なく、独占しようとするものが現れては市民によって斃され、
分配しようとするものが現れては枯渇し死に絶えました。

「すでに人類は、縦に構築する社会を失っては生きられない生物なのではないか?」
数多の指導者と自由主義者が死んだ後、人々は漠然とそんな思いを抱きはじめました。
しかし、王は王で、かつての戦争のように我々を死へと導くだろう……。

そうして生まれたのが「経済」を王とする新たなる社会体制でした。


■原始企業と「回帰」

ある地域に、いくつかの物資集積所が生まれた。
あるものを分配し、足りないものを交換し……極めて原始的な物々交換が、奇跡的に回転していた。
今より少しでもマシな生活を求めていた、死に瀕する人々はその偶然に縋るしかなかった。
そうして拡大した奇跡を安定させるため、その集積場の人々は、ありとあらゆる手を尽くした。
やがて物々交換は歪な貨幣経済へと推移し、かつて彼らが行ってきた通貨による経済活動へと変化していった。
価値あるものに値をつけ、資産を備蓄し、貨幣を循環させ……。

そうやって生まれたのが「企業」という支配体制でした。

企業はそれを求める人々を取り込み続け、瞬く間にひとつの社会へと成長しました。
そうやって企業がその影響範囲を広げていくと、やがて周囲に「自らと同じような存在」がいくつも存在する事に気付きました。
「原始企業」の乱立は企業同士の対立と軋轢を生んでいきます。
「あちらより豊かに」「あちらより強大に」……。
かつて自分たちを滅ぼした国家が熱に浮かされたように呟いていたようなセリフを、人々自らが口にしはじめていました。
利益による圧倒や、独占による流通の停滞、買収、賄賂……そういった方法で周囲の企業を解体し、より多量の物資を得る。
再生と復興、そして巨大化の誘惑は人々を熱狂させ、その理性の箍をはずしていきました。


■企業支配体制と「拮抗」

武力による衝突。
もっともシンプルに他社を屈服する方法に手を伸ばした企業は、その暴力性を隠す事もなく、その手を大きく広げていきました。
治安の維持のための自警隊がやがて対外攻撃能力を得、凄まじい速度で「企業軍」へと変貌していきました。
そして再び、戦争と利益の世界へ人類は容易く回帰していくことになります。

大が小を吸収し、より大きな大になる。より大きな大は、さらに大きな大に踏みつぶされる……。
それを繰り返し、やがて2つの企業が生まれました。

軍事力と莫大な生産人口によって荒野に覇を唱えた巨大コングロマリット、クリストファー・ダイナミクス。
清浄な水源と農業を中心とした経済力によって莫大な富を築く、EAAグループ。

矮小な企業が軒並み淘汰され、2つのグループによる大規模な軍事衝突が幾度となく行われるようになると、
徐々に勢力の差でEAAが押されるようになり、趨勢はクリストファー・ダイナミクスに傾くようになっていきました。

しかし、突如その攻勢は挫かれることになります。
両企業が領地として手を伸ばしていなかった山間部を中心に、密かに勢力を伸ばしていた第3の巨大企業グループ「アレクトリス」。
彼らはこれまでとは戦闘能力において一線を画す新型兵器「テウルギア」を用い、主にクリストファー・ダイナミクスへ軍事的圧力をかけはじめました。
少数ながら強大な戦闘力を発揮した「アレクトリス」のテウルギアは、クリストファー・ダイナミクスを一時的に退けると突如侵攻を停止し、両企業への停戦を要求しました。

「テウルギア」の圧倒的戦闘力を目の当たりにした両企業……特にEAAは、その戦力に目をつけ、アレクトリスと独自に接触を持つ事に成功しました。
その中で「テウルギア」を開発した謎の独立研究機関「テオーリア」の存在が露見すると、EAAは積極的に彼らとの販路を広げ、EAA内に独自に「テウルギア」部隊を設立。クリストファー・ダイナミクスとの再度の衝突に備えるようになりました。

対してクリストファー・ダイナミクスも「テウルギア」の戦闘力を欲しましたが、その勢力の巨大さ故に腰が重く、「テウルギア」の研究や配備はなかなか進みませんでした。
そのうちに、他の2企業との軍事力の差は少しずつ縮まっていきます。
また、クリストファー・ダイナミクスで大規模な食糧難が起きると、EAAは主要生産物の農作物を高価でクリストファー・ダイナミクスに輸出するようになり、互いに軍事的敵対しながらも経済面では依存するという、歪な形で2社は睨み合う事になります。

残るアレクトリスはややEAAよりの中立というスタンスで沈黙し、それぞれがそれぞれの思惑を持って、三社が並び立つ三大企業支配時代へと移っていきました。

その間も「テオーリア」は、「テウルギア」の技術を求めるものに惜しまず与えていきます。
三大企業の軍事バランスは、膨大な通常兵器と、それらを凌駕する少数の「テウルギア」によってひとまず安定しているように見えました。

少なくとも、表面上は。


■そして、現在へ

小〜中規模の衝突や領域の奪い合い、あるいは大きな局地戦闘が起こりつつも、三大企業は決定的な抗争を避けるような姿勢を見せていました。
かつて起こった地獄のような終末戦争の記憶が、際どいところで彼らに決定的な引き金を引かせないように働いていたのかもしれません。

そんな中、アレクトリスは突如大規模な軍事行動を予感させる動きを見せるようになりました。
軍備の拡張、部隊の再編、そして多くの挑発的行動……どれもがこれまでにないものでした。

各社が緊張の色を強める中、彼らは各企業に向けて、ある声明を発表しました。

『平らかなる神の御言葉のあるがままに、我らは過去へと回帰する』

誰もがその意味を測りかねていました。
ただ間違いないのは、アレクトリスのが間もなく何かしらの軍事行動を起こすであろうということ。
そして、長く続いたクリストファー・ダイナミクスとEAAの間にあった軍事的均衡も、そう長くは持つまいという事実だけでした。


■身もふたもないまとめ

  • 「テウルギア」の世界は、現実と地続きです。
  • 経済の悪化などから大きな戦争が起き、国家は亡びました。
  • 国家が滅びた後、「企業」が国家の代わりに社会を作りました。(企業標準歴0年)
  • 「企業」は対立と吸収を繰り返し、大きな2つのグループ(CD:クリストファー・ダイナミクス、EAA)へとまとまりました。
  • CD社とEAA社はやがて対立するようになり、軍事力で勝るCD社が優勢に戦闘を進めました。
  • しかし突如山の中に身を隠していたアレクトリス社が参戦、「テウルギア」という人型兵器を投入して戦況を引っ掻き回しました。
  • 「テウルギア」の性能のおかげでCD社とEAA社の戦闘は休戦状態になり、両社ともに「テウルギア」の技術を欲するようになりました。
  • 「テウルギア」は「テオーリア」という研究所の技術が不可欠でしたが、「テオーリア」は各社にその技術を提供しました。
  • 「テウルギア」によって各社の軍事力が拮抗すると、食糧問題を抱えていたCD社にEAAが食糧を輸出するようになりました。
  • これによりCD社もうかつにEAAを攻める訳にはいかなくなり、いっそう睨み合いが続くようになりました。
  • しばらく睨み合いが続いた後、アレクトリスが突然軍事行動を起こすようになりました。
  • そして今に至ります。