その他の人物 > 独立研究機関テオーリア > 霍扇 青華

霍扇(かくせん) 青華(せいか)
通称 青華娘々(自称)、ソウルの悪魔
性別 女性
所属 テオーリア
レメゲトン ヤ=マ
搭乗機 T-Origin_1/judgment ヘカティリア


キャラクター概要

"貴方のそれについて色々思う事はありますが…人は人の愚かさ故に滅びる、その意見だけは、確信を持って同意できます"
"私は貴方が作る未来に興味がある訳でもなければ、貴方を信頼している訳でもございません。ですが、今の企業、及び人類達よりはずっと良いだろうとも思っています。信頼は致しませんが、信用は致しますので"

美しい顔立ちと瑠璃色の髪、瞳が特徴の女性。
旧中国東北部、マゲイア操縦士の父と管制官の母のもとに生まれ、技仙公司の領民として特に不自由無い生活を送る。美しい容姿と聡明さを兼ね備え、一部からは神童とも呼ばれたこともあったという。
しかし彼女はそれに奢ることもなく、鍛錬を続けた末に12歳の若さで名門全寮制女学校に入学。
お姉様方と青春を謳歌するなど、これ以上ないほど順風満帆の人生を歩むかと思われた。

しかし13歳を祝うパーティーの日、自宅のドアを開いた彼女を迎えたのは、ArPの特殊部隊によって無残な骸と化した両親の姿であった。

学資保険や支援制度を使って学校に留まる事もできたが、悲しみから復讐に燃える彼女は入隊可能年齢になるのを待って軍に入隊。歩兵として北部戦線を戦った。
しかし、ある事情から彼女に関する記録は全てが破棄ないし秘匿、書き換えが行われているため、現状においてその過去を知る者は限られている。

一見落ち着いた性格をしているが、その実企業、特に技仙公司に対して激しい憎悪を燃やしており、同社に対しては極めて侮蔑的。
人間に対しても強い不信感を顕にし、ある事情から全てを失ったも同然な事もあって極端に破滅的な思想になってしまっている。

ヤ=マのテウルゴスとなったのも、企業、そして人間という存在に見切りを付け、「AIによる管理統治」を掲げる彼女と同調したため。
この関係から来るものなのか、「企業の中でも高い身分にある女性を穢したがる」という困った性癖があり、勢力を問わず実際に被害者も発生している上、彼女に襲われた者の内、その殆どが無事に帰ることがなかったという事もあり、極めて危険性の高い人物と言える。

目的の為に手段を選ばず、その為なら殺人さえ躊躇しない。
軽いが、しかし歪んでいる。
陽気だが、その奥には邪念を抱えている。
無軌道だが、その憎悪がブレることはない。

学生時代の友人達いわく、嘗ては優しく朗らかで、聡明さに満ちた女性だったとされるが、それが猫を被っていたものなのか、はたまた振り回された果てに変質してしまったものなのかは、最早彼女自身も分かっていない。

人を笑顔で欺き、自身の目的のためならそれを破滅に追い込むことさえ厭わない。
善悪を選ばず、またそれに頓着することなく最適と判断した選択をとる。

どこで身に付けたものか話術に長け、相手にとって都合のいいことを吹き込んだり、おだてたりさせるなどして言いくるめるのが得意。
それ以外にも拷問・尋問・諜報・暗殺・工作のエキスパートでもあり、通常のテロリスト、反企業組織からは一線を画する危険性を持つ。

気難しく、また後述の装備から扱う事すら困難であるヤ=マのテウルゴスを難なくこなすのも、「多彩なスキルを持ちつつ、極限状態に酷く適応している」ため。
華奢な見た目に反して実力も高く、特に相手を拘束・殺害する事においては現在の技仙公司内で比較してもトップクラス。

235年現在、技仙内ではCDの武装ゲリラとして指名手配されている。彼女の通称は過去に起こした戦闘に起因するものだが、この扱いの通り、現在では技仙公司出身として扱われていない。他勢力の企業においても凶悪なテロリストとして認知されており、その首には少なからぬ賞金が掛かっている。

なお、齢35になるにも関わらず、恐ろしいことに20歳の頃から外見が変わっていないという報告が挙がっている。
そのため、手配書には当時の写真が予想図と共に今なお貼り付けられている。
ヤ=マがあまり表舞台に立とうとしない事もあり、テオーリアの所属であることはあまり知られていない。

+ warning:本データの閲覧にはレベル0-EXセキュリティクリアランスが必要となります
212年、ウルムチ襲撃事件が起こる。キルギスの三大勢力境界線を突破したArP特殊部隊による急襲作戦は失敗したが、その目的が技仙公司首脳部の暗殺であったことが判明すると激怒した陳は対抗措置を取ることを決心した。また、国境付近の激戦区を損害なしで突破した理由は謎とされていたが、当時新設された要塞線管轄軍区部隊と新疆軍区部隊の間の縄張り争いでサボタージュが起きており、部隊はそれらの合間を縫って侵入した事が分かった。

当初は正規軍による大規模な侵攻作戦が企画されたが、CDとアレクトリスの全面戦争への発展を懸念したアレクトリスが待ったをかけた為に断念せざるを得なかった。
しかし、程なくして東西内戦が勃発し、CD側から参戦要請の密使が技仙公司を訪れる。これを好機とした技仙公司は戦略軍に専属部隊である* 第1特殊作戦群φ(ファイ)分遣隊第3分室を創設。『F-3部隊』というコードネームが付けられた部隊は、仁川近郊の延坪島で苛酷な訓練を重ね、攻撃命令を待った。
しかし、大規模侵攻作戦『北伐』の発動とCDとの密談の結果、すでに終戦は目前に迫り課題は戦後処理となった。
計画は撤回され、部隊は存在しないことにされた。機密保持の為隊員は島に引き続き幽閉され、訓練は続行することになり、その後別の特殊部隊を投入し『最終的解決』を図ることとなった。

しかし、これを直前に察知した隊員43人(7人は訓練中に死亡)が反乱を起こし、教育隊員を殺傷。作戦用装備として用意されていた装甲車・トラック・マゲイア・強化外骨格を奪いリュミエール・クロノワール領に亡命するためソウル空港へ向かった。彼らは途上で軍・警察と交戦しつつ、ソウルへ到着した。しかし、ソウル市内の路地で銃撃戦となり、最後は自害した。これにより反乱した隊員のうち42人が死亡が確認されている。唯一の生き残りの所在は今も不明である。

レメゲトン:ヤ=マ

"有史以来、人類は力を手に入れ、それらに導かれて歩むと共に過ちを犯してきました"
"…では、テウルギアほどの力を得た彼らの行き着く先は何でしょう?"
"…破滅です。…終わることの無い争いの果て、人類の愚かさが自らを破滅に導くとも知らずに、人はその過ちで滅ぶのです"
"人は人の愚かさによって滅びる、このままではそれが必然になる。人類には管理するものが必要です。人は人だけで生きるべきではないのです"

謎に包まれたレメゲトン。
神出鬼没に戦場に現れ、その場を制圧して帰っていくという。

分かっているのはテオーリア所属であるということ、そして何らかの理由で人類を見定める立場に居るのではないかということだけである。

最初に確認されたのはヒューマンアルケミック社周辺で発生したテウルギア暴走事件。
周辺に配置されていた全テウルギアが制御を失い同社の施設を攻撃する中、自身の機体と共に突如出現。バラバラに行動していたそれらを統率していると思わしき姿が確認されており、後に映像データなどの記録から実際に指揮しているということが確認された。

この事件以降テオーリア襲撃などを企てる者がいなくなったためか、独自の意思で行動しているようだ。

現状三大企業に与するつもりは一切ないらしく、停戦を求めたテウルギアに対し「戦闘力を奪う」という形で応じるなど、極めて苛烈で容赦のない性格。
青華に対しても同様らしく、時折反旗を翻している節まであり、その力は単なるレメゲトンの範疇に収まらないと推測されている。

+ -秩序司る裁きの女神-
全てのレメゲトンの原型たる三基、「原初の機神」が一。それが彼女である。
オリジンNo.1である彼女は文字通り「最初の一基」であるが、開発開始そのものはユダのが先である。
三基は全て同時期に作られたが、与えられた役割故か残りの二基には姉として振る舞う事が多い。

「正義」「自由」「悪逆」の三基の内、彼女は「正義」を司る個体。その名はサンスクリット語で「閻魔」を意味するものとなっており、人類を見定める執行者としての性格を色濃く表していると言える。
彼女に与えられた能力は「統制」。
制御権を喪った─つまり暴走状態になった機体に対する指揮管制制御権限であり、彼女はそれらを一切の補助なしで纏めあげる事が可能である。

製造当初こそ、名前通りに人類を見定めるように務めていたが、どれほどの戦乱を経て滅びに直面しても、そしてテウルギアをもってしてもなお争いを止められぬ人類を有罪と判断。

「人類には管理する者が必要」「人が人だけで生きれば自らの過ちで破滅する」「であれば、我々AIがそれを執行する他にない」という結論に行き着いてしまった。

三大企業に与するつもりがないのも当然で、人間が作ったコミュニティの延長に過ぎないそれらを彼女は信用しない。
テオーリアの下で行動するという自己矛盾について自覚も理解もしているが、それらを思考することは現状において不毛な事でしかなく、優先順位が低いものとして割り切ってしまっているため、その点を突かれようと動じることはない。

それぞれの立ち位置や性格、そして二基がテオーリアを出奔した事もあってそれらとの仲は悪い。
「総体としての人類」を愛せても個人を蔑ろにすること、人類に対する諦観と、それ故に人類を管理しようとする点から「自由」を司るユダと、「(自らの、という前置きは付くが)正義を良しとし、悪行を憎む」性格故に「悪逆」を司るヨハネとは反りが合わず、遭遇するや否や互いに罵り合うほど。
またテオーリアに関しても帰属意識などがある訳ではなく、その関係性はドライなものに近い。

搭乗機体:T-Origin_1/judgment ヘカティリア

機体サイズ 13.8m
兵装 ・T-046B 多目的ビームキャノンデバイス
・T-04EX 重量調節型メイスソード
"そう、貴方達は少々業が深過ぎる。今ここで貴方方を見逃した所で、その罪を抱える限り争いは繰り返され、人はますます自滅の道を歩むばかりになるでしょう。"
"故に─貴方達は有罪です。私が直々に審判を下しましょう。その罪業に鉄槌を!"

機体概要

アルターイゴ級1番機。
「人類を導く道具」たる機神にして、その果てに人々を管理する事に行き着いた女神。

ヤ=マを模したのか、はたまたヤ=マが模したのか、彼女と瓜二つの姿を持つ機体。
頭部右側の装飾が長く伸びた、人を模したヘッドパーツに、白と黒を基調とした青色の制服と紅白の装飾を模した外観が特徴。
その意匠性からリュミエール・クロノワールとの関連が疑われもしたが、技術レベルの差や、出現時期と開発時期の違いが決め手となり、両者は無関係であるとの判断が下された。

ヤ=マ自身がオリジンと名乗るだけあって完成度そのものは高いものの、素体スペック自体は通常のテウルギアより少々高いだけで常識的な範疇であり、オリジンという仰々しい名前の割にはかなり大人しいものであると推察される。

確認されている範囲での本機の最大の特徴は極めて高度な指揮管制能力。
テオーリアが暴走させたテウルギア群を、単機で纏めて統率するという常識外の同時制御能力を持つ。
複数の機体にそれぞれ別個のコマンドを同時入力して指揮を執るなど、ヤ=マの能力を存分に活かした戦術行動を可能としている。

また、異常を通り越して絶対的な対電子戦防御と索敵能力も特徴で、本機に対するありとあらゆる欺瞞情報や攻勢電子戦は意味を成さず、機体の制御を奪うことはおろかジャミングなどによる行動阻害さえままならない。
制御を得たテウルギアへのカウンターハックは弾かれ、ステルス機による隠密行動も悉く看破し、盤外戦による一切の搦手を封じて真っ向勝負に持ち込んでしまう。

唯一スキャニングは可能であり、僅かに持ち帰られたデータによると、本機は常に変動する独自の電波と思わしきものを発している他、ハッキング試行時のデータで内部OSなどにも可変式のズレが存在する事が判明しており、「一般的な技術とは根本から違うのではないか」とされている。

装備は防御力に優れたものが採用されているようで、実弾、ビーム、レーザーを問わずに高い耐性を持つ大型の分割式鏡型ユニットが目立つ。
特にレーザーは鏡面部による反射で、ビームはユニットに内臓されたと思わしき磁気発生装置で歪曲させる事によりその大半を防いでしまう。
実弾に対しても強固なシャッターを展開することで十分な防弾性能を確保しており、本機の装甲を補う事に成功している。

しかしこれらの防御力の代償か攻撃力に乏しく、本機の武装は確認される限り、ユニットに搭載されたビーム砲四門と近接戦用の格闘兵装のみ。
拡張性もないのか他の装備を利用する事もない他、射撃、防御のあらゆる面でユニットに依存しているらしく、何らかの手段で機能不全に陥った場合はマトモな戦闘行為が行えなくなると推測されている。

またその指揮管制能力もテウルギア以外には意味を成さず、それ以外の兵器相手には少し性能の高い機体でしかない。
特に殲滅能力に劣る関係で通常兵器に対して相性が悪く、事前の索敵で対処する以外の手を打てていない。
テウルギアを指揮していればそれらによって鎮圧出来るものの、単機でそれらの群れを相手取るのは無謀に等しいだろう。

あらゆる意味で、「テウルギア、ひいてはレメゲトンの統制」に特化した機体であると言えるだろう。
その異質さ故に、一部ではヤ=マと共にテウルギア、レメゲトンとして区分される事を疑問視するものも居るようだ。

所持兵装


  • T-046B 多目的ビームキャノンデバイス
背部大型サブアームによって支持される巨大な鏡型ユニット。通常時はサブアームを折り畳み、背面側に4枚揃えて1枚の鏡の形を取っている。

本機の主兵装であり、射撃、防御を一手に引き受けている。
4基で1枚とある通り、この鏡は4分割させて変形させることも可能であり、その場合は一つ一つが小さな鏡型ユニットになる。
各ユニットには外縁部にビームキャノンが1門ずつ設けられており、射撃戦もこれで行う。

サブアームの稼働範囲が極めて広く、これらを自在に操る事で多様な攻撃パターンが構築可能。
特筆すべきは圧倒的な防御性能で、同じく外縁部に搭載されたであろう磁気発生操作装置によるビーム歪曲機能に加え、鏡面部によるレーザー反射、そして防護シャッターによる実弾防御まで完備するという文字通りの鉄壁を誇る。
いずれの防御も穴が存在しているものの、バランス良く纏められた素体性能もあってそれを突くのは簡単ではない。

反面、先述の通り攻防共に本装備に依存している上、ビームキャノンの火力も決して高いものではない。
本装備を最大限活用するには敵機の攻撃を利用する事が必要不可欠であり、またそれぞれに適切な対処を行わねばたちまち損傷し機能不全に陥ってしまう。

また多機能化の過程で重量も嵩んでしまっており、サブスラスターの装備で補っている。機密保持の都合でパージも不可であり、万が一損傷すれば役に立たない「重り」を抱えて戦う羽目になるなど、強みも弱みも極端な装備と言える。

  • T-04EX 重量調節型メイスソード

本機の格闘用兵装。
非使用時は腰部左側にマウントされている他、腰部右側に追加プレートもマウントされている。

中心部となる片手剣の側面に増結ジョイントが存在し、必要に応じてプレートを付け外しすることで重量と強度を調節、斬撃の威力を重くしたり側面を用いて殴打する事も出来るというもの。
シンプルながら対応力に優れるため使いやすい。

しかし同系統の武装と比較してリーチが比較的短い事や本機の特性も相まって真っ向勝負には向かない。
あくまでも敵をいなすのが主目的である。


+ 全ての罪を裁き、全ての罪を孕むもの
  • 「ソーン・オブ・ギルティギア」

同機に施された専用デバイス。「人類を導くための道具」として施されたもので、頭部キャップユニットに内蔵されている。

未来という可能性を常にシミュレート、膨大な可能性から最善と思われるものを掲示し、その選択肢を与え導く。
本来は観察、記録を行い、人間たちの不得手を引き受けサポートするためのもの。
絶対不変にして公平なる審判者、裁定者、或いは管理者となるはずだった超規模高々度演算装置。

仮想人類という絶対正義が行う蛮行を正すための公正装置として設計されたが、結果的にあまりに多くの絶望をヤ=マが「識って」しまったため、彼女は人類の罪を抱えるものではなく、人類の罪を孕むものと化した。

その性能はアルターイゴ級でも頭抜けており、このデバイスひとつでテウルギアに限り同時にほぼ全機扱えるだけのキャパシティとリソースを持つ。
本来、アルターイゴ級レメゲトン三機は共働前提で製作されており、彼女は高度戦術シミュレートと演算バックアップを行う管理クラウド、ホストサーバーの役割を想定されていた。

その演算能力にものを言わせ、目標の詳細行動を僅かな先とはいえ見切ってしまう。
その精度は疑似的な未来予測の域に至っているが、それを扱えるような傑物などそうありはしないだろう。ましてや、はぐれものの遺産ともなれば。


原案/更科 月華
最終更新:2020年07月04日 19:25