思念体に関連する病理
解離
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解離(Dissociation)とは、無意識的防衛機制の一つで、ある精神活動を自身から切り離すことである。
その中には誰にでも普通にある正常な範囲のものから、障害として扱われる段階までを含んだ幅広い解釈があるが、通常は、解離性障害、さらにはそのなかでも代表的な解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder/以下DID)を、あるいはその症状を指して使われることが多い。
解離自体は防衛的適応とされるが、解離性障害は強いストレスによりそれらが過剰化またはコントロールを失うことで起こる、心因性の障害とされる。
DIDは、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。かつては多重人格障害と呼ばれていた。
アメリカ精神医学会 (American Psychiatric Association) の精神疾患の分類と診断の手引 (DSM-5) でのDIDの診断基準は以下の通りである。
・2つまたはそれ以上の、他とはっきりと区別されるパーソナリティ状態によって特徴づけられた同一性の破綻で、文化によっては憑依体験と記述されうる。 同一性の破綻とは、自己感覚や意思作用感の明らかな不連続を意味し、感情、行動、意識、知覚、認知、および/または感覚運動機能の変容を伴う。 これらの徴候や症状は他の人により観察される場合もあれば、本人から報告される場合もある。 ・日々の出来事、重要な個人的情報、および/または心的外傷的な出来事の想起についての空白の繰り返しであり、それらは通常の物忘れでは説明がつかない。 ・その障害は、広く受け入れられた文化的または宗教的な慣習の正常な部分とは言えない。 注:子供の場合、その症状が想像上の遊び友達(イマジナリーフレンド imaginary friend)、または他の空想的遊びとしてうまく説明されるものではない。 ・この障害は物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)または他の医学的疾患(例:複雑部分発作)の生理学的作用によるものではない。
正常範囲の解離として、憑依現象(日本では狐憑きなど)や宗教性の一時的トランス状態は、その人が住んでいる文化圏で普通に受け入れられているものならDIDではなく、そもそも障害とはみなさない。没入や白昼夢、金縛りや金縛り中の体外離脱体験などもこれに含まれる。
また、DIDでも記憶が共有されている、別人格がふだんは表には現れないなどで、社会生活に支障が無く、本人も苦痛を感じていないのであれば障害とは扱わない場合がある。
健忘を含まない、病的な自我同一性の混乱は、離人感・現実感消失症(Depersonalization disorder/離人症とも)や、特定不能の解離性疾患に分類する。
解離において幻覚、幻聴とされるものは、解離した当人の一部や別人格等の内言、および白昼夢のように知覚される。
当人はこれを現実とは異なるものと認識している場合が多く、統合失調症などの幻覚のように確信的であったり、まとまりのなさが生じることは少ない。
当人はこれを現実とは異なるものと認識している場合が多く、統合失調症などの幻覚のように確信的であったり、まとまりのなさが生じることは少ない。
また、「頭の中に特定の存在がいる」や「しばしば自分を覗く影が見える」など、対象がある程度一貫していることも多い。
統合失調症に特徴的な「させられ体験」(何者かに強制的に操られている、など外から何らかの干渉を受けると感じる体感)も解離では起こりにくいが、「別人格に体が動かされる」といった体感が生じることはあり、判別が難しい。
2018年に改訂されたICD-11では、解離によるこれらの体験を「解離的侵入(dissociative intrusions)」と呼び、これらを認知・情緒・知覚・運動・行動に及んで主となる人格の機能を妨げる、しばしば嫌悪感のあるものとした。
2018年に改訂されたICD-11では、解離によるこれらの体験を「解離的侵入(dissociative intrusions)」と呼び、これらを認知・情緒・知覚・運動・行動に及んで主となる人格の機能を妨げる、しばしば嫌悪感のあるものとした。