ストーリーの相違点3

戦場での行動

原作
スレイはマーリンドで知り合った傭兵団、ルーカス達と合流する為に戦場を移動。
しかし傭兵団の奇襲は失敗、ハイランドの兵士は彼ら傭兵団を見捨てて撤退してしまう。ルーカス達を助ける為に神依化し、手加減をしながらローランスの兵士を退ける為に力を振るうスレイ。導師の存在を知らないローランス兵はスレイの超常的な力に怯え、化け物だ、悪魔だと逃げ惑う。
ローランス兵を退けることには成功したものの、味方であるルーカス達にも怯えられる結果となり、スレイは悲しげに彼らのもとを去る。ミクリオ達に「彼らもいつかわかってくれる」と励まされ、スレイも「まだ役目は終わってない」と前を向いた。

スレイは戦場の中心部に向かい、ローランス兵の恐怖心を煽る為、あえて導師の力を誇示するかのように振る舞う。歩くだけで地面が噴き上がる様子を見たローランス兵はその異常さを恐れ一斉に退却。ローランス軍を退けることに成功した。
撤退するローランス軍になおも追い打ちをかけようとする師団長に対し、スレイはアリーシャの解放を要求して戦場から離れる。そこへ、突如として現れた邪悪な領域を感じ、膝をつくスレイ。ライラはこの強大な穢れの主を「災禍の顕主」であると断定する。
穢れにあてられ正気を失い争い始める兵士達。スレイは争いを止める為に走り出すが、ライラは「今の私達が敵う相手じゃない」と止めようとする。しかしスレイは「わかってる。みんなの命も預かってるから」無茶をしないことを約束し、穢れの中心へと向かった。

補足:戦場に行く前のスキットにてライラを始めとした天族達は、相手を退ける為とはいえ人を傷付けることで心を痛め、スレイが穢れてしまうかもしれないことを心配している。
また、スレイも自分が穢れると契約している天族にも危険が及ぶということを考慮し、お互いを案じている描写がある

アニメ
アリーシャ率いるハイランド兵に従軍する形で戦場に向かうスレイ。「オレはオレのやれることを…」と戦場の中心部へ。ハイランド、ローランスの区別なく浄化の為に兵士達を斬りつけるスレイ。神依化して技を放ち、派手に兵士を倒して武力行使で戦争を鎮めていく。
その場にいた兵士全員を無力化し、戦争を止めたのだと喜んだのも束の間、新たな穢れを感じて走り出すスレイ。そこには更なる戦火が広がっていた。
不意に、強大な穢れの領域を感じ取り戸惑うスレイ達。そこへ現れたのは「災禍の顕主」と呼ばれる存在だった。
その存在が人間の憑魔であることに気が付いたスレイは災禍の顕主に向かって駆け出す。ミクリオもそれを追い、残ったライラも「行きましょう」とエドナと共に後を追いかけた。

疑問点:原作にあったような導師と天族が互いを配慮するような描写はなく、スレイは天族達と次々に神依し、浄化する為とはいえ兵士に対し無差別に攻撃を仕掛けている
原作ではあくまでもローランス軍を退けるのが目的であり、超常的な力を見せつけることで脅威性を示し、撤退を促す為の行為であった
また、災禍の顕主の危険性を懸念し接触を止めようとする原作と違い、アニメのライラはスレイを止める素振りを見せない

アニメ独自のアリーシャの行動

戦場に辿り着くと既に戦は始まっており、今から両軍に割って入っても戦の仲裁は難しいと判断したアリーシャはランドン師団長と話を付ける為に司令塔へ向かう。
途中ローランスの兵士からの攻撃を受け、自軍の兵士が弓で撃たれるがアリーシャは部下に庇われ無傷。その場を部下達に任せ、ロゼを従えて抜け道を行く。ランドンと対峙したアリーシャは停戦命令を下すが、バルトロ大臣から戦場における全権を預かっているというランドンはその命令を拒否し、逆にアリーシャを捕えるよう兵士達に命令する
次々と向かってくる兵士達に致命傷を与えないよう躱し続けるアリーシャとロゼ。本気で剣を向けてくる相手に焦るロゼだが、アリーシャは頑として相手を傷つけることを許可しない。
業を煮やしたロゼは正当防衛と称し相手を殺そうとするが、アリーシャはそれを制し、その隙を突かれて背後から自軍の兵士に刺され倒れる。自分を刺した相手「血を拭いておけ、剣が錆びるぞ」と相手の武器の心配をするアリーシャ。二人の危機に、風の天族デゼルが力を貸す。

疑問点:アリーシャの行動は「最初の犠牲者になる」という宣言からは反しているが、作中でロゼからの指摘はない
また、不殺の信念を貫き味方であるロゼを危険に巻き込み、自身は敵を庇って刺されるなど、自身の理想を追求し周りが見えていない様子も見られる

原作のアリーシャは王位継承権が極めて低い分家の出身だったが、アニメでは国王の側室との子供であり、直系の娘という設定に変更されている
原作とは違い身分が向上している可能性のあるアリーシャが戦場に赴くこと、たかだか「戦場での全権を任されている」というだけのランドン師団長が王族であるアリーシャの命令を拒否し、そのうえ捕縛命令を出せることなど疑問を感じる部分が多い
また、ロゼに宣言したように自分が犠牲となった場合「復讐によって生まれる更なる犠牲を考慮し報復を禁ずる」という命を下していたが、国王直系の姫であるアリーシャがローランスとの戦争で命を落とすようなことがあれば、両国間に更なる亀裂が生まれかねない事態である
アリーシャの目的は両国の和平であるはずだが、目先の事態に囚われすぎているせいか少々整合性のない言動が目立つ
最終更新:2017年03月22日 19:51