197 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:43:16.37 ID:+Rl6fyMf0
とある休日...
俺「ただいまー。」
俺は用事を済ませ、家に帰ってきた。
ワンワン
家の中から鳴き声がする。
俺は声のするほうへ行ってみた。
ワンワン
アライちゃん「く、くゆなーーーーー!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
冷蔵庫を背にしているアライちゃんに対して、うちの犬が吠えていた。
犬は、ゴールデンレトリバー。
少しやんちゃな3歳のオスで、名前はゴン。
ワンワン
アライちゃん「きゅるるるるる!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
アライちゃんは、泥まみれになっており、怯えながら喉を鳴らしてゴンを警戒していた。
アライちゃん「ア、アライしゃんはなぁ、つ、つよいんりゃぞぉ!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
ゴンが軽く吠えただけで、悲鳴を上げるアライちゃん。
口だけにも程がある。
アライちゃん「ア、アライしゃんはなぁ、い、いりゃいなんだぞぉ!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
アライちゃん「おおきくなったら、お、おかーしゃんみたいに、こりょもをうんれ、てんかをとるゆめがあるんりゃぞぉ!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
まだ舌足らずでビビリのアライちゃん。
俺はこのままでは埒が明かないと思い、ゴンの元へと近づいた。
俺「ゴン、おすわり。」
ゴンは俺のほうを見た後、腰を下ろした。
ハッハッハッ
俺「よしよし。」
アライちゃんはゴンに威嚇することが必死だったようで、俺の存在にようやく気づいたようだった。
アライちゃん「ヒトしゃん!? いつからいたのりゃ!?」
俺「ついさっきだよ。」
そもそも、何故アライちゃんがいるのだろうか?
戸締りはちゃんとしていたはずだ。
俺「お前はどこから侵入したんだ?」
アライちゃん「アライしゃんはしんにゅうなんてしてないのりゃ!!」
アライちゃん「ここはアライしゃんがさきにみつけたばしょなのりゃ!!」
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
話にならないな。
俺「ゴン、そいつを見張っててくれ。俺は家の中を見てくる。」
ワンッ
俺はどこから侵入したのか調査するため、家の中を見回った。
結果としては、こうだ。
トイレの窓が開いていてそこから進入し、台所まで来たところでゴンに見つかった、というところだろう。
泥が線のように残っていたため、あっさり解決してしまった。
俺は、トイレの窓を閉めて他にも開いてないところがないか確認してから、台所に戻った。
198 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:45:43.19 ID:+Rl6fyMf0
ゴンは言いつけどおり、アライちゃんを監視していた。
一方のアライちゃんはブルブル震えながら、喉を鳴らしてゴンを威嚇していた。
俺「さて、不法侵入ということで死んでもらうしかないな。」
アライちゃん「おかしいのりゃ! アライしゃんはわるくないのりゃ! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
ゴンが吠えるたびに悲鳴を上げるアライちゃん。
殺処分する前に俺は気になっていたことをアライちゃんに尋ねた。
俺「つか、お前のお母さんや他の姉妹はどこにいるんだ?」
すると、アライちゃんは俯いて肩を震わせていた。
アライちゃん「もともと、おやまれたのしくすごしてたのりゃ。」プルプル
アライちゃん「れも、おかーしゃんも、おねーちゃんも、いもーとも、みんな、ひとにつれてかれちゃったのりゃ。」プルプル
つまり、捕まったわけだな。
アライちゃん「アライしゃんはなんとかにげて、ここまできたのりゃ。」プルプル
俺「つまり、家族を見捨てて町に来て、この家に不法侵入したわけだな。」
アライちゃん「そんなことないのりゃ!!」フゥー
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
俺「結局、偉大なお母さんは捕まってるし、そんな家族を見捨てて生き延びてるなんて、お前は大したこと無いな。」
アライちゃん「うるさいのりゃ!! これからアライしゃんはすごくなるのりゃ!! (≦д≧ )」ブルブル フゥー
ワンッ
アライちゃん「ぴぃ!! (≦д≧ )」ビクッ
業者を呼ぶにしても、時間がかかるだろうし、どうしようかなぁ...
199 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:46:16.24 ID:+Rl6fyMf0
俺「君は強くて偉大なんだよね?」
アライちゃん「そ、そうなのりゃ!!」フゥー
ふと、俺はあることを思いついた。
俺「じゃあ、この子と勝負して勝ってみてよ。」
俺「そうしたら、見逃してあげるよ。」
俺はアライちゃんに一つの提案をした。
ゴンを汚すわけにはいかないが、まぁ、大丈夫じゃないかな?
ゴンはアライちゃんより、一回り以上大きいからなぁ。
アライちゃん「もし、もしなのりゃ!!」プルプル
アライちゃん「アライしゃんが、か、かてなかったら、りょ、りょうするつもりなのりゃ!!」プルプル フゥー
俺「強いのに、負けたときの心配?」
アライちゃん「うるさいのりゃ!!」フゥー
俺「うーん、そうだなぁ。負けたら、業者に連絡して処分してもらおうかな。」
アライちゃん「ぴぃ!! しょぶんはやなのりゃ!! (≦д≧ )」プルプル
どうやら、以前のことを思い出したようだ。
ものすごく体が震えている。
ま、どっちにしろ処分はされるんだけどね。
俺「でも、アライちゃんは強いんだろ? だったら負ける心配は要らないんじゃないかな?」
俺はアライちゃんを煽る様な言葉をかけていった。
アライちゃん「あ、あたりまえなのりゃ! アライしゃんはつよいのりゃ!」プルプル
体が震えていることからも分かるように、虚勢を張っていた。
俺「よし、じゃあ、勝負始め。」
俺は勝負の合図を出した。
200 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:47:50.50 ID:+Rl6fyMf0
アライちゃん「もうはじめるのりゃ!?」プルプル
心の準備が出来ていないのか、アライちゃんはいきなり始まったことに戸惑っていた。
俺「別に構わないだろ?」
アライちゃん「う、うるさいのりゃ!」プルプル
俺「ゴン、まずは相手の様子見だ。よし、って言うまでそのままおすわりしててくれよ?」
ワンッ
ゴンは俺のほうを見て吠えた後、アライちゃんのほうへと視線を移した。
俺「強くて偉大なアライちゃんの攻撃を見せてくれよ。」
俺は半笑いになりながらそう言った。
アライちゃんとしてはその態度が気に食わなかったようで、今まで震えてい体がピタリと止まった。
アライちゃん「ばかにするなぁ!!」ヨチヨチ
ヨチヨチ歩きでそのままゴンの右足にぶつかった。
アライちゃん「りょうりゃ!」ドヤァ
アライちゃんは満足そうに見上げた。
所詮ヨチヨチ歩きのため、亀ほど遅いとは言わないが、生物的に見たら遅い方だ。
そのため、その程度ではダメージらしいものは無い。
アライちゃん「なんで、たおれないのりゃ!?」ビクン
アライちゃん「おかーしゃんのたいあたりはすごくつよかったのりゃ!! りゃからまねしたのにぃ!!」
成体のアライさんと比べるほうが間違っている。
あっちは二足歩行のため、それなりの速度がある。
だからこその威力だというのに、それが分かっていないようだ。
アライちゃん「こうなったら、これならこれなのりゃ!!」
アライちゃんが手を振りかざした。
それを見た俺は思わず止めに入ろうとした。
アライさんは、病原菌のデパートと呼ばれるアライグマのフレンズ。
少しの傷口から感染症を引き起こし、死んでしまうケースが何件も確認されている。
ゴンが汚れても大丈夫かも、って思っていたときはそのことを忘れていたが、アライちゃんの爪を見て思い出したのだ。
しかし、爪をよく見てみると、先端が丸くなっていたり、無かったりと傷を負わせれるような状態でないことが確認できた。
アライちゃん「のりゃ! のりゃ! のりゃ!」
アライちゃんの必死の攻撃に、ゴンは動じる様子も無く、ただ見下ろしていた。
ハッハッハッ
アライちゃん「~~~!! りょーして、たおれないのりゃ!!」
どうやら、逃げてくるときにいろんなトラブルがあったのだろう。
そのせいで、爪が傷ついてしまい、丸くなったり折れてしまったりしたのだろう。
まぁ、傷は無いにしても、念のため動物病院には連れて行くか。
201 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:49:53.69 ID:+Rl6fyMf0
俺はあることを思い、台所の棚からあるものを取り出した。
俺「アライちゃん、ちょっといいかな?」
アライちゃん「なんなのりゃ!! アライしゃんはいそがしいのりゃ!!」
大きなダメージを与えることが出来なくて苛立つアライちゃんに対し、俺は箸を差し出した。
古くなって買い換えようとしていたものだ。
俺「これに攻撃してみてくれない?」
アライちゃん「アライしゃんはこいつをたおすのにいそがしいのりゃ!」
俺「業者を呼んじゃおっかなぁ?」
アライちゃん「わかったのりゃ! ヒトしゃんのゆうとおりにするのりゃ!」
アライちゃんは渋々、箸に向かって手で攻撃をし始めた。
何回か攻撃した後、俺はアライちゃんを制止して箸を確認した。
無傷だった。
両手でひたすら攻撃したにもかかわらず、だ。
試しに、噛んでもらってみた。
どうも噛み付く力が弱く、歯の痕がうっすらとしか付いていなかった。
俺「体当たりは効かない。」
アライちゃん「...」プルプル
俺「爪がボロボロで引っ掻きが出来ない。」
アライちゃん「...」プルプル
俺「歯が未発達で噛み付きも出来ない。」
アライちゃん「...」プルプルポロポロ
俺「攻撃方法が無い状態で、どうやって倒すの?」
俺の言葉に体を震わせていたアライちゃんだったが、
アライちゃん「のあーーーーーん!! こんなはずじゃなかったのりゃーーーーー!! 。(≧д≦。 )」ビエーン
とうとう泣き出してしまった。
202 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:50:52.51 ID:+Rl6fyMf0
アライちゃんの心を砕いたところで、トドメを刺してあげよう。
俺「ゴン、そいつを抑えて。」
ゴンは俺の言う通りに、前足でアライちゃんを押さえつけた。
アライちゃんは、うつ伏せの形で為す術も無いといったところだ。
アライちゃん「もういやなのりゃーーーーー!! おうちにかえるのりゃーーーーー!! 。(≧д≦。 )」ビエーン
俺「さてと...」
俺は屈むと、アライちゃんの尻尾を掴んだ。
もちろん手袋は装着済みだ。
アライちゃん「ヒトしゃん!? アライしゃんのかわいいかわいいしっ」
ブチィッ
アライちゃん「ぴゃーーーーー!! いたいーーーーー!! 。(≧д≦。 )」ジタバタビエーン
ゴンの押さえつけが弱いのか、アライちゃんが大きく暴れていた。
俺「ゴン、もっと強く押さえて。」
ワンッ
ゴンは俺の言うとおりに力を入れた。
アライちゃん「ぐぇ!!」
押さえつけている場所が背中のため、結果としてアライちゃんの肺を圧迫する形になり、泣き止んだ。
アライちゃん「の、あ...」ピクピク
うまく息が出来なくなっているアライちゃんに、引きちぎった尻尾を見せてみた。
アライちゃん「あ、あ... アライしゃんの、たいせつなしっぽ...」ウルウル
目に涙を浮かべて尻尾を大事そうに見ているアライちゃん。
俺「さて、終わりにしようか。」
俺「ゴン、もっと力を加えて。」
ワンッ
俺の言うとおりに、ゴンはさらに前足に力を入れた。
骨の軋む音が聞こえ始め、そして、アライちゃんの体は一気に潰れてしまった。
アライちゃんは舌をだらしなく出し、死んでしまった。
俺「ゴン、手を離していいよ。」
その後、俺はアライちゃんの死体や泥まみれの廊下などを掃除し、業者に連絡したのだった。
203 :つよくていだいなアライちゃん? [saga]:2018/08/17(金) 20:51:19.15 ID:+Rl6fyMf0
ちなみに、動物病院で検査してもらった結果、ゴンは感染症にかかっていなかった。
しかし、先生からはこっぴどく怒られてしまったのは言うまでも無いだろう。
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage ]:2018/08/17(金) 21:06:26.44 ID:naHfCB+I0
エクセレント。
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 22:44:47.19 ID:tRgZvYB90
おっつ乙
無力さを痛感させてからの駆除は良いですね
最終更新:2018年08月28日 00:32