アライさん殲滅物語・その1

290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 22:22:41.88 ID:im6i/2x60
アライさん殲滅物語

便利屋「ふう・・・ 畑仕事はきついなあ」

おかん「おつかれさん。午後は害虫駆除の仕事でしょ?」

便利屋「あ!そうだった!」

俺は、急いで害虫駆除の準備に取り掛かった



都会に就職して数年働いていたのだが、実家の父親が腰を悪くして農家を手伝うために辞めた

需要は少ないものの害虫駆除の仕事やほかの雑用もすることにした

都会で暮らしていたころよりも収入がいいのは何という皮肉か・・・

しかし、この農家の日々が嫌いというわけではない

むしろ性に合っているようにも思える

忙しいながらも充実した日々を過ごしていた・・・ のだが・・・


291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 22:27:26.33 ID:im6i/2x60
便利屋「アライさん?」

おとん「そう、アライさんだよ。害獣のアライグマのフレンズの」

おとん「お隣さんの畑に出たらしくてな。お前、害虫駆除の仕事もやってるからついでにやってくれよ」

便利屋「やだよ。あのキモイやつだろ?」

おとん「金は払う」

便利屋「ご利用ありがとうございます」

俺は金に釣られてアライさん駆除をすることにした

ガキの頃にも悪さをしているところを石を投げて追い払ったことがある

まあ、ちょっと小突けば済むだろう


292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 22:35:04.01 ID:im6i/2x60
~翌日~

俺はアライさんを探しに山の中を歩いていた

山の空気はきれいだなあとのんきなことを考えていた

すると、

???「おい、そこのお前!ここはアライさんの縄張りなのだ!」

耳に障る声、一人称が自分の名前、えらそうな口の利き方・・・

そう、アライさんである

便利屋「おい、ころすぞ。人里に現れるな」

アライさん「な、なんなのだお前!いきなり何を言っているのだ!」

アライさんに突っ込まれた


293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 22:56:18.27 ID:im6i/2x60
便利屋「んなことどうでもいい。おまえだろ?畑荒らしている害獣はさ」

アライさん「アライさんは害獣じゃないのだ!畑って何なのだ?アライさんはお野菜食べただけなのだ」

便利屋「荒らしてんじゃねえか あれは人間様のものなんだよ」

アライさん「あれはアライさんが見つけたのだ!アライさんのものなのだ」

こいつと喋っても時間の無駄だ 適当に小突いて人間様の偉大さを叩きこんでやる

便利屋「ちょこざい!」ブン

アライさん「タコス!」ゴチーン

便利屋「さっさと消え失せるんだな お前にも家族がいるだろう(いたらころす)」

アライさん「こんな悪事ゆるせないのだ!たあ~」ドタドタ

お決まりのタックル・・・ 余裕でカウンターができる アライさんの顔面にこぶしを叩きこんだ
アライさんのタックルで無駄に加速がついているから威力もそれなりだ

俺は右手首を痛めた


294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 23:04:22.85 ID:im6i/2x60
便利屋「くっそぉ~・・・ いってー・・・」ジンジン

俺は右手首をさすりながらアライさんの無様な姿を眺めた

アライさんはギャグマンガみたいに両方の鼻の穴から血を流している

顔はよく見ると体毛でおおわれている 肌と思っていたところは肌色の毛でおおわれている

どうやら素肌だと思っていた部分はすべて体毛でおおわれているようだ 気持ち悪い

口の周りはなんだかわからない汚れや食べかすが付いている

服?にもついている

アライさんがしゃべっている間ずっと変なにおいがしていると思ったらこれが原因のようだ

本当に不快な生き物だ

アライさん「ゆ・・・ゆるせないのだ」ワナワナ

便利屋「おだまり!」

俺はアライさんを踏んづけた

アライさん「のだ!きゅるるるるる!」ガブ

便利屋「あいってえええええええーーーー!」

何と害獣がかみついてきやがった


295 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 23:10:26.23 ID:im6i/2x60
俺はのたうち回った

傷口をみると血があふれてきた

腐ってもアライグマか

アライさん「まだおわりじゃないのだ!」ザク

便利屋「ぎゃあああ!!」ザシュ

アライさんに引っ掻かれた

尋常じゃなく痛い 服だけじゃない 皮膚まで切られた 血が地面に滴り落ちるほど流れてきた

あれ?やばくね?つーかアライさん強くね?

あ・・・ 俺が追い払ったのアライちゃんだわ

道理で簡単だったわけだ

便利屋「いちちち!アライさんストップ! そうだ!話し合おう!」

アライさん「ころすと言って襲い掛かってきたやつと話すことなんて何もないのだ!」

ごもっともである

アライさん「とどめなのだ!たあー!」どたどた


296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 23:16:23.83 ID:im6i/2x60
アライさんが除草を付けてタックルをかまそうとする

俺は慌てて地面に何かないか探った

左手が何かをつかんだ

俺は無我夢中でアライさんに振った

アライさん「ぎゃん!のだああああ!!」ジタバタ

顔をあげてアライさんを見ると右目に何かが生えている

木の枝である

アライさんが痛みにもがくたびにブンブンと振り回されている

便利屋「ひいい!」

俺は恐怖のあまりはたいた 

ブチッと嫌な音がして木の枝が落ちた

先端には眼球が突き刺さっていた

アライさん「あああああ!逃げるのだああああ!」ダッ

アライさんは逃げ去った


297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 23:32:25.38 ID:im6i/2x60
その後、逃げ帰った俺は親父にこっぴどく叱られた

農家ならアライさんの厄介さは痛いほどしているはずだ

それなりの装備をしろ 害虫駆除の仕事をしているんだからあるだろう

それ以前にコンビニに買い物に行くような恰好で行くなんてあほか、と・・・

完全に油断していた・・・

脛、腕併せて五針縫った

寄生虫や狂犬病の危険性はないが本当に痛い目にあった・・・

ちゃんと準備するべきだったのだ・・・



つづく


298 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/29(木) 23:47:09.40 ID:sXfUp9cpO
乙です!
手に汗握る、緊張感溢れる戦いでした
圧勝はできないけどギリギリで勝った、好きなパワーバランスです


299 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 00:10:24.82 ID:NPJuXrido

逃げたアライさんがどうなるか気になる


最終更新:2019年01月13日 22:04