刑期を終えたアライさん

32: 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/09/26(水) 00:46:10 ID:geh9IAiU
他の方のSSのような楽園送り制度がある。人に反抗したアライさんは容赦なく殺処分だが、比較的人間に反抗しなかったアライさんをペット用アライちゃんの母体として拘束し、産む機械としていた。

その中の一アライさんが、ようやく数年の任期を終えた。その頃には抵抗する気力もなければ素早く動くための筋肉もなかった。

後は殺処分を待つだけなのだが、奇跡的に一つも罪を犯していないアライさんに、簡単な願いなら叶えてやると温情を与えた。アライさんの欲に関する研究のためだ。

アライさん「チビに会いたいのだ…今までたくさん産んできたけど、その中の一人でいいから会わせてほしいのだ…」

一番新しく生れたアライちゃんはなんとか行方が分かった。飼い主の了承も得られた。

アライさん「やったのだ…!いっぱい可愛がっておちちをあげるのだ…!」


33: 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/09/26(水) 00:48:15 ID:geh9IAiU
親子の再開当日、飼い主の家の前には黒服と、念のためハンターが待機している。

アライさん「お邪魔しますなのだ!」

アライさんは家に上がって、アライちゃんと飼い主のいる部屋でテーブルを囲んだ。アライちゃんはテーブルの上だ。

アライさん「チビ…やっと会えたのだ…」ウルウル

アライちゃん「うゆー?だれなのりゃ?」

アライさん「アライさんなのだ!チビのおかあさんなのだ!ずっとずっと会いたかったのだ!」

アライちゃん「おかーしゃん…ってあらいしゃんをうんだあらいしゃんなのりゃ!?」

アライさん「そうなのだ!今までずっと辛い目に遭ってきたけど、やっと解放されてチビに会いにきたのだ!」

アライさん「おいニンゲン!親子の絆を見せてやるのだ!一緒においでおいでしてチビがどっちに来るか勝負なのだ!」

アライさん「チビー!おいでーなのだー!おちちあげるのだー!」


34: 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/09/26(水) 00:49:03 ID:geh9IAiU
結果



アライさん「どうしてなのだ…チビ…」

アライちゃん「かいぬししゃんしゅきしゅきなのりゃ~!しらないひとしゃんとあらいしゃんについてっちゃだめなのりゃ!」

アライさん「うぅ…」グスッ

そのとき、外で待機していた黒服が面会時間の終了を告げに入ってきた。

アライさん「!!??時間制限だなんて聞いてないのだ!まだチビに触ってもいないのだ!抱かせてほしいのだ!撫でさせてほしいのだ!」ジタバタ

アライさんは両腕を捕まれて連れて行かれた。処分場へ…


35: 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/09/26(水) 00:50:25 ID:geh9IAiU
アライさん「待つのだー!もっとチビと一緒にいたいのだー!これから親子の絆を深めていくのだー!」ガシャン

アライさんは、次の世代の糧となるため大型のミキサーに入れられた。

アライさん「アライさんを閉じ込めてどうするつもりなのだ!」

普段ならアライさんの命は一瞬で肉片に変わるのだが、従業員の鬱憤を晴らすために弄ばれることとなった。彼らのささやかな楽しみだ。
従業員はスイッチをONにしてすぐOFFにした。
アライさんはズタボロになった

アライさん「ぎびぃぃぃぃぃぃ!?いだいのだぁぁぁぁぁ!」フゥー!フゥー!

体中の肉が裂け、血がドバドバ流れているが、生きている。

アライさん「やめてほしいのだ…ここを出て…チビのおうちに行って一緒に暮らすのだ…」フゥ…フゥ…

クソみたいな野望は叶えさせてはいけない。
従業員は今度こそミキサーのスイッチをONにしたまま、アライさんにしては善良だったアライさんの末路を眺めていた。
善良と言っても、罪を犯す機会が無かっただけだったが。

おしまい


37: 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/09/26(水) 21:09:18 ID:RvMZMxvg
乙です。
楽園送りがあるってことは数年後にはこのアライちゃんも…と思うとまた楽しい物語ですね



最終更新:2019年04月09日 00:15
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