ハンターという職

「クッ...!」ハァハァ

クソ、害獣を狩りに来たはずなのに取り乱してしまった...。
目の前の獲物に集中しすぎたせいで、害獣の住処へと案内されてしまったのである。元々、発見した1匹のみを狩った段階で引き上げるつもりであった。だが、そのまま森を突き進み危険地帯へと足を踏み入れてしまった。猟犬を一緒に連れてきていたのだが、森の途中でアライさんの攻撃を受け気絶してしまった。狩りは一人では不可能に近い。そのため最低でも猟犬をつける。

アライさん1「ここまで来たら人間もただの餌なのだ!」
アライさん2「今日は餌がたーっくさん集まるのだー!」スリスリ
アライさん3「ちびたちの栄養になるのだ!」スリスリ
アライさん4「よそものは殺すのだ!アライさんたちの餌になるのだ!!」

現在、4匹のアライさんを正面に対峙している。俺は、狩りの主役である猟銃の水平二連式のダブルバレルのショットガンを持っている。飛び道具を持っているこちらが圧倒的有利のはずであるが、相手は4匹だ。撃ち切った後の再装填が出来たとしても、間合いを詰められそのまま餌食になる可能性が高い。

アライちゃん1「わゆいにんげんはしねなのりゃー!」シッポフリフリ
アライちゃん2「あらいしゃんたちのえさになるのら!」ヨチヨチ
アライちゃん3「あらいしゃんのおかーさんはいだいなのらー!!」シッポフリフリ
アライちゃん4「なのらー!!!!」スリスリ
アライちゃん5「あらいしゃんはいだいなのらー!!」
アライちゃん6「あらいしゃんうんちすりゅのらー」ブリュブリュ
アライちゃん7「くそにんげんはしにゅのだぁ!!」シッポブンブン

こうなったら一か八か試すしかない。俺はアライさんに猟銃を向けた。カチャッ

アライさん2「そんな棒切れでアライさんを倒せるわけないのだ!!大人しく死ぬのだー!!」ダッダッダッ!
アライさん3「アライさんたちの餌になるのだ!」ダッダッ!

アライさんは2匹そのまま向かってくる。飛び掛ろうとした瞬間。

バァン!

アライさん2/3「だぁー!??」グジャァ!!

2匹のアライさんは腹に大きな穴が開き、臓物が露出した。
ただアライさんの生命力は人間を遥かに上回る。この状態でも時間をかければ皮膚を戻すには時間がかかるが、体内組織を司rる臓器は元通りに戻るほどに自然治癒力も優れている。これはフレンズ化の際のサンドスターの能力のおかげである。

アライさん2「い、痛いのだ..グボボ...ゴポォ!」

アライさん2は激しく吐血している。

アライさん3「」ビクビクン!ビク!ビクビク!

アライさん3は激しく痙攣を起こした。

よしっ!同時に飛び掛り、2匹が射線に覆いかぶさる瞬間、俺はこれを狙っていた。持っているダブルバレルショットガンに装填されているのは12ゲージのバックショット弾である。バックショット弾は、そのまま発射と同時にバレルから拡散し命中、2匹まとめて1発で致命傷を与えることが出来た。

アライさん1/4「よ、よくも仲間に手をだしたなーー!!絶対生きては返さないのだ!!!」ダッダッダッ!!!!

2匹のアライさんはそのまま走り攻撃を仕掛ける。今度は1匹はそのまま突進を仕掛け、もう1匹はそのまま飛び掛るようだ。

まずい、あと1発でこれを仕留める事は難しい。俺はすぐに策を考え、それを実行に移した。

バァン!

アライさん1「...ぐあっ!!」グシャ!!
アライさん4「のだあああああああ!!!」

俺「させるかよっ!!」スッ!

そのまま腰に掛けていたナイフを取り出し、アライさん2の突進をかわしながら首元を刺した。

アライさん4「のだあああああ!!!ああああああああ!!!!!!」プシャァァァ!!!!

首の血管を切り裂いたことで勢いよく鮮血が噴出す。そのままアライさん4は突進のエネルギーを保持しながら地面へ転げる。そのまま転げたアライさん4は激しく痙攣している。

俺「はぁはぁ...。」

久々にハードな狩りをしたおかげで体力を消耗した。もっともこれは自業自得だが。

俺「...さて、後は赤子を捕獲して退散するか。」ザッザッ...

最初にショットガンで腹に穴を開けたアライさん2にナイフで止めを刺す。

アライさん2「グボボボボ....ガガガボボバァ」

アライさん2は激しく吐血している。このままでも出血多量で死ぬだろうが出来るだけ手早く片付けたかった。首の血管を切り裂き、血が止まったのを確認すると大きな籠にアライさん2/3の2匹を入れる。

アライちゃん3「お、おかーしゃああああん!!おきりゅのだぁ!!」シッポブンブン
アライちゃん4「おきてぇー...ありゃいしゃんはまだおかぁしゃんとおわかれちたくないのりゃあ!」スリスリ

2匹のアライちゃんは親であるアライさん3の前で悲しんでいる。こんな自己中な害獣どもの親子愛を見てると吐き気がする。今すぐにでも踏み潰して殺してやりたい。

アライちゃん5「あ、あぁ.......」ジョボボボボ
アライちゃん6「お、おかぁしゃん.....い、いきかえりゅのだぁ....」ピッピィ...

次はアライさん3に2匹が群れている。

アライちゃん1「に、にげりゅのだー!」ヨチヨチ
アライちゃん2「に、にげりゅのだー!」ヨチヨチ
アライちゃん7「あたらしいおかぁしゃんをみつけておおきくなりゅのだぁ!おかぁしゃんしゃよなりゃなのりゃぁぁ!」ヨチヨチ

母親であるアライさん1と4が用済みになった以上、アライちゃんに親のことは関係なくなったようだ。まだ幼獣であるアライちゃんは4足歩行でナメクジのようにゆっくりと逃げ出す。

俺「おぉっと、そうはいかねぇぜ」

先回りをし、アライちゃん1/2/7の3匹の目の前に立った。

アライちゃん1「あらいしゃんは、なにもわゆいことしてないのりゃ。あらいしゃんはいだいなのりゃ。いましゅぐどけなのりゃ」ヨチヨチ
アライちゃん2「しょうなのりゃー!どけなのらー!!」シッポブンブン
アライちゃん7「はやくどけなのりゃー、あらいしゃんがすすめりぇないのらー」シッポフリフリ

3匹のアライちゃんはそれぞれ自己中心的発言をした。いや、それしか出来ないのだ。アライさんの子供である以上、その自己中心的性格を受け継いでいる。
親を目の前で殺されたのに、たった数分でこの物言いが出来るのには心底関心するよ。

俺はアライちゃん1の尻尾を掴み上げた

アライちゃん1「なにするのらー!!はなすのりゃ!!」シッポブンブン
アライちゃん2「そうなのらー!!」

俺「よーしよし、ここから逃げたいんだなー?」

アライちゃん1「そうなのりゃ!おまえあらいしゃんのけらいになるのら?ならはやくここからにがしてくりぇなのりゃー」シッポフリフリ

俺「よーし分かった。なら...」スッ

俺は腰のナイフに手を掛けた。そして...

ザシュッ!!

アライちゃん1「のりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ブシャァァ!!!

アライちゃん1の頭「」ポロッ..

ナイフの鋭い切れ味によりアライちゃん1の首は切れ、身体と頭が別れを告げた。

アライちゃん2「おねーしゃああああん!!!!」ピィィィィ!

アライちゃん2は叫んだ。だが...。

アライちゃん2「ふん!あんなくそおねーしゃんなんかしらないのりゃ!はやくにげてきれいなおかーしゃんとかわいいおねーしゃんにめんどうをみてもらうのらー!」ヨチヨチ

俺「そうはいかねぇんだな。お前らには少し仕事に付き合ってもらうぜ」サッ

アライちゃん2と7の尻尾を掴み上げ籠の中に勢いよく放り投げた。

アライちゃん2「いたいのら!!わゆいにんげんはあらいしゃんになにすりゅのら!!!」プンプン
アライちゃん7「くそにんげんめーかくごすりゅのら!!」シッポブンブン

さて、後は2匹のアライさんの前で泣き崩れているアライちゃんを籠に入れて終わりだ。手早く終わらせよう。

俺「さーさーそこのアライちゃん達ー」サッサッサッ

手際よくアライちゃんを籠に積め、アライさんを違う籠へ積める。

そして、森へ来たルートを戻り、猟犬と合流した。幸いにも、足に軽い怪我を負ったようで済んだようだ。
このまま森を抜け、山道に止めてある軽トラックへ向かう。そのまま捕獲した獲物の籠を荷台に積めていると

アライちゃん2「そもそもおまえのおかーしゃんがよわっちかったからこうなってるのら!!」シッポブンブン
アライちゃん5「そんなわけないのらー!そっちこそおかーしゃんがくそざこがいじだからこうなったのりゃー!」

アライちゃん2「そこまでいうがいじはあらいしゃんのなかまじゃないのらー!」ガブッ
アライちゃん5「のらあああああ!!このくそがいじをなんとかするのりゃー!!!」ペシッペシ
アライちゃん6「おねーしゃんにてをだすななのらー!」ポコッペシッペシ!
アライちゃん7「がいじはそっちなのりゃ!!」ガブッ!

アライちゃん3「すぅ...すぴー...ぴぃぃ」
アライちゃん4「すやすや...」スー...

低レベルな論争を繰り広げていた。俺はそんな論争に耳を貸す暇などない。さっさと保健所へつれていって一服したい。
そのまま軽トラックに乗り込み、エンジンを掛けた。そのとき

???「ピィィィィィィィ!!!!ピイイイイイ!!」

俺「あぁ!?なんだ??」

軽トラックを降りてエンジン部分を見てみると1匹のアライちゃんが巻き込まれていた。ただ、もうそのアライちゃんに助かる道はないだろう。上半身と下半身は既にエンジンによって分断され、下半身の断面からは腸が伸びていた。

俺「うっわ、きったねぇ。掃除しねぇとエンジンが動かせんな...ほんと頭ガイジの害獣だぜ...」

結局、保健所に付く頃には日が暮れていた。

ドゴォォォォォン!!!!!

それは半年前の出来事である。静丘の埠寺山が大噴火を起こした。この噴火による犠牲者はいなかたった。火山からは虹色の立方体状の塊が降り注いだ。
「サンドスター」である。これは動物がフレンズ化できる成分が主であり、これを受けた動物はフレンズ化するのだ。過去に、フレンズを観察できるジャパリパークという動物園があった。そこには、球洲地方の火山である「亜蘇山」があった。その火山は約50年前に噴火を起こし、ある地帯にフレンズ化を起こした。これがジャパリパーク創設に繋がった。
だが今回のサンドスター噴火は違った。亜蘇山と埠寺山のサンドスターは同じサンドスターでも成分が違い、一部の動物のみフレンズ化するというものだった。その一部がアライグマであり、稲作や人への被害が増加している。数もフレンズ化時に3から5匹に分裂しフレンズ化をする。そのため、フレンズ化したアライグマは大発生し各地方に散らばった。現在はとある組織により、駆除が開始されているが被害は増す一方であった。

プルルルル!プルルルル!
スマートフォンの呼び出し音が鳴った。

スーッ
俺はスマートフォンの電話マークをスライドさせた。

俺「もしもし、ミミズク害獣処理組織の『ワヅツミ』です。」

???「丁度よかったのです。話があるのです。」

俺「...組織長でしたか、話とはなんでしょう?」

組織長「最近、駆除の依頼があとを絶たないのです。それどころがアラジビ用のアライさんを捕獲しろという依頼も来るのです。組織長もアラジビには興味があるのです。おいしいアライさんを持ってくるのです。」

俺「...アラジビ用のアライさんの捕獲...ですか?」

組織長「す、すまないのです。話が逸れたのです。とある依頼がワヅツミ宛で来ているのです。確認しに来るのです。待っているのですよ。」

そういうと電話は切れた。

アラジビ...ねぇ...。
アライさんを生きたまま料理して食うアラジビはよく美味いと聞くが、見た目が最悪なものが多い。実際食べる気は起きなかった。害獣だとしても見た目はあくまで中学2年生程度の身長をした少女だ。それを生きたまま料理するなんてキチガイも居るもんだ。まぁその害獣駆除が楽しく感じてる俺は人のことは言えねぇが。

俺「そんじゃいっちょかましにいきますかねぇ!」

やる気を振り絞って所属している組織の建物へ車で向かった。



最終更新:2019年06月02日 23:50