392: 名無しさん (ワッチョイ bfc8-c32c) :2019/07/22(月) 23:41:25 ID:D2DSP8Hs00
つい先日の選挙戦期間中、珍事件が起こった。
ある駅前広場で、ケモノ耳の少女のような風体の人物が突然踏台を置いて、その上で演説を始めた。
汚い手書きのタスキには「あらいしんとう」と書いてある。
「今回の選挙であらい新党を立ち上げたアライさんなのだ。他のフレンズはちゃんと権利を与えられてるのに
アライさんだけは何もなくて、みんなにいじめられてるのだ!おかしいのだ!
だからアライさんはアライさんたちのために、新党を立ち上げたのだ!」
アライさんは朗々と自らの苦しい生活を語り、聴衆も引き込まれていく。だが、調子に乗ったのか、風向きがあやしくなりはじめる。
「けも◯レ2の撮影の時、えらい人からは、やらなきゃ意味ないよ、と言われてむりやりセルリアンにタックルさせられたのだ」
「もういやだって言ったら、アライさんをクビにする力は俺にはあるんや、って言われたのだ」
聴衆は、ん?聞いたことあるフレーズじゃね?といぶかしい視線をアライさんに向けた。お前、話作ってるだろ、と。
393: 名無しさん (ワッチョイ bfc8-c32c) :2019/07/22(月) 23:50:10 ID:D2DSP8Hs00
聴衆の一人がヤジを飛ばした。
「アライさん、そもそも戸籍ないのに被選挙権あるわけないじゃん」
その一言で聴衆全体に、また害獣にしてやられた、という空気が一気に広がる。
「アライさんを解散総選挙してやれ!」
怒号が飛ぶと、運動部員らしき若い男たちが7人アライさんに群がる。
「な、なにするのだ?アライさんはアライさんの主張をしてるだけなのだ!むぎゃっ!離すのだ!」
7人の男たちはそれぞれ、アライさんの両手足、尻尾、両耳を一人一人が握ると、
「せーの!アライさんの解散総選挙だ!」
と掛け声とともに引きちぎった。
ブチブチブチッ!
「ひぎゃぁぁぁ!痛いのだぁぁぁ!」
アライさんの絶叫が響き渡る。男たちは引きちぎったアライさんのパーツを燃えるゴミ用のゴミ箱に捨てるとその場を去った。
それを合図にしたように聴衆はあっというまにいなくなった。
血を流しながらモゴモゴうごく奇怪な生き物を残して。
「ひ、ひどいのだぁ……アライさんは…アライさんは…」
小一時間もすると、その変な塊はピタとも動かなくなった。
最終更新:2019年07月29日 23:39