アライちゃんのウンコ争奪戦

253 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スップ Sd82-ZH6f)[sage] 投稿日:2017/11/16(木) 16:58:09.94 ID:GMUNu8jld [1/2]
#アライちゃんのウンコ争奪戦
恐るべき繁殖力でどんどんその数を増やしていく、まさに人間社会にとっての害獣アライさん。
しかし数が増えれば増えるほど、自然の摂理でどうしても食いっぱぐれるアライさんの家族が増えてくる。
そういったアライさんは、育てきれなくなったアライちゃんを口減らしのために捨ててしまうのだった。

アライさん「チビ、今日はお前と遠くまで食べ物をとりに行くのだ。他のチビたちはお留守番してるのだ」

アライちゃん「わーいわーい!おでかけなのらー!」

数時間後

アライちゃん「ビエエーン!おかーちゃ、おかーちゃ、どこいったのらー。おなかちゅいたのらー」

こうやって山中に捨てられたアライちゃんは外界に対する知識も警戒心も持たないため、人里に降りてきて住み着く事がほとんどだった。勿論、大半はあっという間にカラスや野犬の餌になるか、人間によって駆除されてしまうのが常である。

とある街中を流れる川沿いの土手の上を舗装した道路にも、そんなアライちゃんが顔を覗かせていた。
このアライちゃんは、生まれつきなのか左耳の先端が垂れ下がっていた。

タレ耳「おなかちゅいたのらー」

タレ耳アライちゃんは道路脇の草むらから顔を出し、キョロキョロと辺りを見回して食べ物を探していた。
夕暮れ時の土手の上の道路には、沢山のヒトがいた。歩いて何処かへ向かう者、乗り物に乗って素早く走る者、そして犬の散歩をさせている者。

タレ耳「あっ、あったのら!」

アライちゃんが嬉々として見つけたのは、散歩の途中でしたのであろう犬のウンコだった。この辺りは土地柄が良くないのか、愛犬のウンコを片付けない飼い主が少なくなかった。
親がおらずロクに食べ物を見つけられない野良のアライちゃんにとって犬のウンコは貴重な食料である。アライちゃんはまだ新しい犬のウンコに飛びつくと迷う事なくそれを口にした。
アライさんの体内にはごく微量とはいえサンドスターが存在し、あらゆる病原体からその身を守っている。そのためアライさんは生まれた時から腐った生ゴミはおろか排泄物を口にしても平気なのである。

タレ耳「うーむ、まったりとしてコクがありながらそれでいてしつこくない、ふかくてせんさいなあじわいなのら」クッチャラクッチャラ

何処で覚えたのやらソムリエのような感想を呟きながら、アライちゃんは久々の食事を味わっていた。
しかしいつの間にかその横で、もう一匹のアライちゃんが犬のウンコを貪っていた。このアライちゃんには、何かにぶつけたのか左の頬に小さな青アザがあった。

青アザ「これはなかなかのあじなのら。アライちゃんはこーきゅーしこーなのら。そこらへんのイヌのウンコではまんぞくできないのら」クッチャラクッチャラ

タレ耳「あっ!おまえなんでかってにウンコをたべてるのら!」

青アザ「このおいちーウンコはアライちゃんがみつけたからアライちゃんのものなのら!」

タレ耳「ぐぬぬぬー!ウンコどろぼーはきょあくなのら!」

青アザ「やるのら?かかってこいなのら!」

尻尾の毛を逆立てて2匹の小さな害獣がお互いを威嚇しはじめた。
しかし一触即発の睨み合いを打ち切ったのは、太いリードに繋がれた一匹の大型犬だった。
飼い主と共に歩いてきた大型犬は、腹に響くような低い唸り声でアライちゃん達を威嚇した。野生の感覚でアライちゃんを、自分や飼い主に対して害をなす存在だと見抜いていたからだ。

タレ耳「ぴぎっ!」

青アザ「のわぁ!」

慌てて道路脇の草むらの中に逃げ込む害獣2匹。
しかし脱兎の如く遠くへと逃げた訳ではなかった。そう、あれだけの大型犬ならば当然大量の排便をする。アライちゃんの狙いはそれであった。
コソコソと草むらの中から大型犬の後をつけるアライちゃんたち。
そのうち大型犬はソワソワと同じ所を回り始め、すぐに少し腰を下げて脱糞しだした。

青アザ「うおー、ピカピカのおたからいっぱいなのら」

ヨダレを垂らしながらボトボトと落ちる犬のウンコを見ている青アザに、突如タレ耳が飛びかかって押し倒した。

タレ耳「フハハ!あのウンコはアライちゃんのものなのら!」


254 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スップ Sd82-ZH6f)[sage] 投稿日:2017/11/16(木) 16:58:52.23 ID:GMUNu8jld [2/2]
馬乗りになって青アザの顔をめちゃくちゃに引っかきまくるタレ耳。

「まずはおまえのきたならしいかおをきれーにしてやるのら!」

あっという間に青アザの顔面は、その青アザも見えないほど血まみれのズタズタになった。
しかし青アザもまけじと、自分の顔を引っかいているタレ耳の親指に噛みついて躊躇なく食い千切った。

タレ耳「ぴぎゃー!あ、アライちゃんのゆびくわれたのらぁ!」

青アザ「うゆー!このー!」

ひるんだタレ耳の顔を、下から青アザが思い切り引っかいた。鋭い爪がタレ耳の左の目、眼球をザックリと切り裂く。

タレ耳「ぴぎぃぃっ!めっ、めっ、めがぁぁぁっ!」

顔を押さえて倒れ、のたうち回るタレ耳。

青アザ「フハハ!つぎはおまえのヘタれたマヌケなみみをなくちてやるのら!」

青アザはタレ耳をうつ伏せに押さえつけると、その左耳に噛みついて一気に食い千切った。

タレ耳「ぴぎゃー!み、みみ!みみー!のらー!」

青アザ「フハハ!これがてんばつなのら、フハハ!」

しかし転げ回るタレ耳の身体が青アザの足にぶつかる。勝ち誇って馬鹿笑いをしていた青アザがモロに顔から転んだ。

青アザ「のぎゃっ?!」

タレ耳は転んだ青アザの腰にしがみつくと、その尻尾の付け根に思い切り噛みついた。

青アザ「いたいのらー!ま、まさか、おまえ、やめるのら!」

悲鳴も意に介さず、青アザの尻尾の付け根の肉を食い千切るタレ耳。そして立ち上がると青アザの腰を片足で踏みながら両手で尻尾を掴み、大根でも抜くかのように渾身の力を込めてもぎ取った。

青アザ「ぴぃぎゃああー!!」

幼いアライちゃんでも本能的に理解している事だが、アライさんの尻尾は二足歩行のためのバランサーの役割を果たしている。その尻尾を失えば、もう二度とまともには歩けない。せいぜいヨタヨタと数歩進んで転ぶのが関の山、走るなど夢のまた夢といった具合である。

青アザ「ひっ、ひいーっ!ご、ご、ごめんなさいなのらー」

土下座して青アザが謝る。アライさんの世界では謝る事は敗北を意味する。

タレ耳「フハハ!アライちゃんのかちなのらー」

引き千切った尻尾を、土下座している青アザの後頭部に投げつけてやる。
片耳と片目と指一本を失ったものの、タレ耳アライちゃんは勝利した。
顔面を切り裂かれた上に尻尾を失って歩けなくなった青アザは敗北した。
そしてこのウンコ争奪戦における勝利者が振り向いた時、大型犬のウンコは消え去っていた。

タレ耳「のわ?! ウンコ、ウンコどこいったのら…?」キョロキョロ

大型犬の飼い主は良識ある人で、とうの昔に愛犬のウンコを片付けて立ち去っていたのであった。
四つん這いの青アザも必死で地面の臭いを嗅いでいたが、ついには泣き出した。

青アザ「ウンコないのら、ウンコないのら…ビエエーン!」

タレ耳「ビエエーン!アライちゃんの、アライちゃんのウンコがぁ、ビエエーン!」

夕暮れ時の道の上には、深傷を負って泣きじゃくる2匹の小さなアライちゃんがいるだけだった。


数日後

小学生A「おい見ろよ、カラスがアライちゃん食ってるぞ!」

青アザだったもの「」

小学生B「あっちのは内臓食われてるぞ!」

小学生C「うげーグロっ!あれまだ動いてない?」

タレ耳「あ、アライちゃんの…なかみ…もう、だちゃないで…ほちぃ…の、らぁ」ピクッピクッ

小学生A「あ!ヤバい遅刻だ!急がなきゃ!」

小学生B「おい走れって!」

小学生C「写メ撮りたかったなぁ」

小学生B「また見れんだろ。この辺アライちゃん多いし」

小学生たちが走り去った後、草むらの中から1匹のアライちゃんが顔を出した。

アライちゃん「おなかちゅいたのらー」


最終更新:2018年04月06日 22:37