アライさんvs農家

34 名前:アライさんvs農家 (ワッチョイ 84ba-ra9f)[sage] 投稿日:2017/07/17(月) 23:50:04.84 ID:QDWamaCo0 [17/28]
農家A「クソ、またやられてるぞ!」

農家B「なんだって? また荒らされたのか?」

農家A「ああ、うちのネギが根こそぎだ! ふざけやがって、あの害獣!」

農家B「この前はCのところのジャガイモ、そのさらに前はうちのスイカ、今度はお前のネギか。あのアライさんとかいうやつ、グルメなのは認めてやるが……」

農家A「そんなことを言ってられる場合か! 死活問題だぞ!」

農家B「とはいっても、フレンズに対する傷害は法律が固く禁止するところだ。どうすることもできない」

農家A「おい、お前このまま泣き寝入りするつもりか?」

農家B「最後まで聞けよ。法律で禁止されてるからなんだっていうんだ? ばれなきゃいいんだよ」

農家A「おお……そこまで言うからには、何かいい策があるんだろうな?」

農家B「もちろんさ。いいかい、よく聞いてくれ……」

農家A「ふんふん……そんなことでいいのか?」

農家B「ああ、これなら問題ないはず。さっさと実行に移すぞ」

35 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 84ba-ra9f)[sage] 投稿日:2017/07/17(月) 23:50:25.97 ID:QDWamaCo0 [18/28]
アライさん「なんだか今日は、変なものがたくさん貼ってあるのだ」

いつも通り農作物をあさるため、住み家にしている空き家から外へ出たアライさんはそう呟いた。
普段はない『クマ出没!』『空き家を寝床にしているため、罠をしかけています。ご注意を』といった注意書きが書いてあった。

アライさん「まあどうでもいいのだ。今日もチビ達のために、おやさいさんを拾ってこないとだめなのだ」

拾ってなどと言っているが、その野菜は人間が生活のため、真心を込めて作り上げている努力の結晶体である。
自分は苦労せず他人のものを横からもらい、繁殖だけは一人前以上にこなす。それがアライさんの特徴だった。

アライさん「昨日のはまずかったのだ。今日は、この前食べたまんまるにするのだ」

アライさんはそんなことを言いながら、スイカ畑の方へ歩いていき……いきなり、後部に強い衝撃を受けてすっころんだ。

36 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 84ba-ra9f)[sage] 投稿日:2017/07/17(月) 23:50:52.23 ID:QDWamaCo0 [19/28]
アライさん「痛いのだ! なんなのだ!」

農家A「この……クソ害獣が! 俺のネギが不味いだって!?」

農家B「見る目があるじゃないか。うちのスイカをもう一度狙いに来る辺りもな」

アライさんが受けた衝撃は、農家Aが金属バッドでアライさんの頭をフルスイングしたものだった。
アライさんの後頭部からは血が噴き出しているが、応えているようには見えない。その化け物じみた様子を見て、農家Aは恐怖を覚えた。

アライさん「お前たちは……えっと……ヒト! ヒトなのだあ!」

農家B「そろそろもう一度、俺のスイカ畑をあさりに来る頃だと思っていたぞ。畜生の行動パターンなんて簡単に想像できる」

アライさん「畜生? 畜生ってなんなのだ?」

37 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 84ba-ra9f)[sage] 投稿日:2017/07/17(月) 23:51:37.24 ID:QDWamaCo0 [20/28]
農家Bは何も言わず、手にした黒い物体をアライさんへ向けた。拳銃である。正確には、市販されているガスガンを改造したものだった。
それを左右の手に一丁ずつだ。引き金を引くと、銃弾がアライさんの足に食い込んだ。

アライさん「痛いのだあ!」

あまりの痛みに、アライさんは逃げ出した。いつも通る道を走り、チビ達の待つ空き家へ帰りつこうとする。
入り込んでチビを抱え込み、そのまま町から逃げ出してほとぼりが冷めるのを待とうとしているのだ。
だが、アライさんの逃げ道の前にヒトが割り込んできた。アライさんは、急きょ向きを変えて別の方向へ逃げ出す。
ヒトは無理に追ってこない。アライさんの俊足には、ヒトごときでは追いつけないのだ……などと傲慢に勝ち誇っている。
アライさんは、やがて一軒の空き家へ迷い込んだ。アライさんは鼻を動かしてから叫んだ。

アライさん「なんかいいにおいがするのだあ!」




最終更新:2018年04月02日 21:30