占いとキリスト教

キリスト教では、一般的に占いは強く忌み嫌われる。
この占いには、手相、占星術、タロットなどが含まれる。

旧約での占いの禁止

ユダヤ教の戒律を定めたレビ記には次のようにある。(レビ記19:26)
あなたたちは血を含んだ肉を食べてはならない。占いや呪術を行ってはならない。

民数記では、モアブ人の王バラクは、その頃アモリ人を撃退したイスラエル人を占い師であるバラムに呪わせようとするが、そのバラムは神より信託を受け、イスラエルには占いは存在しないことを語った。(民数記23:23)
ヤコブのうちにまじないはなく
イスラエルのうちに占いはない。神はその働きを時に応じてヤコブに告げ
イスラエルに示される。

申命記では、「占い」は他の神を信じることと同一視され、禁じられることをモーセが告げる。(申命記13:1-10)
あなたたちは、わたしが命じることをすべて忠実に守りなさい。これに何一つ加えたり、減らすことがあってはならない。預言者や夢占いをする者があなたたちの中に現れ、しるしや奇跡を示して、そのしるしや奇跡が言ったとおり実現したとき、「あなたの知らなかった他の神々に従い、これに仕えようではないか」と誘われても、その預言者や夢占いをする者の言葉に耳を貸してはならない。あなたたちの神、主はあなたたちを試し、心を尽くし、魂を尽くして、あなたたちの神、主を愛するかどうかを知ろうとされるからである。
あなたたちは、あなたたちの神、主に従い、これを畏れ、その戒めを守り、御声を聞き、これに仕え、これにつき従わねばならない。その預言者や夢占いをする者は処刑されねばならない。彼らは、あなたたちをエジプトの国から導き出し、奴隷の家から救い出してくださったあなたたちの神、主に背くように勧め、あなたの神、主が歩むようにと命じられる道から迷わせようとするからである。あなたはこうして、あなたの中から悪を取り除かねばならない。
同じ母の子である兄弟、息子、娘、愛する妻、あるいは親友に、「あなたも先祖も知らなかった他の神々に従い、これに仕えようではないか」とひそかに誘われても、その神々が近隣諸国の民の神々であっても、地の果てから果てに至る遠い国々の神々であっても、誘惑する者に同調して耳を貸したり、憐れみの目を注いで同情したり、かばったりしてはならない。このような者は必ず殺さねばならない。彼を殺すには、まずあなたが手を下し、次に、民が皆それに続く。

新約での占いへの扱い

新約聖書では新しい契約であるから旧約聖書の内容を文字通り守る必要はない(「旧約と新約」を参照)が、新約聖書でも、パウロ一向が迷惑な行為を繰り返す占い師の女から霊を追い出した話が載っている。(使徒言行録16:16-19)
わたしたち(ルカら)は、祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った。この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた。彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。ところが、この女の主人たちは、金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場へ引き立てて行った。
このように、もし占いが人に悪い行いをさせるのであれば、許されないのである。

占星術とキリスト教

しかしその一方で、イエスの生誕を祝い訪れたマギたちは、星を見てイエスの元へやってきた。かれらは占星術師だったのである。
マタイ2:1-2(新共同訳)
イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」

マタイ2:7(新共同訳)
そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。

口語訳ではマギは博士と訳されているが、博士だとしても星を見てベツレヘムに来たのだから、結局は占星術師である。
マタイ2:1-2(口語訳)
イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。

マタイ2:7(口語訳)
そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、

旧約聖書で占いが禁止されていることもあり、占星術は古代においては忌み嫌われたが、中世になってからはその考え方にも変化が現れた。例えば、偉大なスコラ学者トマス・アクィナス(1225-1274頃)は、キリスト教の神学と和解させることが可能な範囲の占星術を認めていた。アクィナスは、占星術を天の星が地上の事物へ物理的な影響を与えるという意味での「自然占星術」と、個人の運勢を判断する意味での「判断占星術」とに分け、前者を肯定し後者を否定するという考えを見せた。この時代は天文学と占星術が不分離だったためでもある。そして結果的には、ニュートンの万有引力の法則の発見などにより、「判断占星術」を避けたこの判断は正しかったことがわかったのである。詳細は天文学とキリスト教を参照されたい。
最終更新:2017年06月27日 22:41