ペトロ行伝

新約外典の一つ。ペテロのシモン・マグスとの戦いにおける勝利,クオ・ウァディス物語,そしてペテロの逆十字架の処刑などの内容を持つ。2世紀末に小アジアで執筆されたもので,巷間の伝承を集めた信徒のための読物。《パウロ行伝》および3世紀前半の《ディダスカリア》はこの《ペテロ行伝》を用いていると思われる。当時の教会では好んで読まれたようであるが,4世紀初めの教会史家エウセビオスは,その証言の価値を否定している。

ペテロがイエスの受難のときに3度否認したことから回心して、ローマにわたって宣教し、アグリッパの奸計で十字架刑で処刑され高挙するまでが描かれる。主題は魔術師シモンとの奇跡対決。シモンはグノーシス主義者であるのだが、思想対決はなく、スペクタクルな見世物ばかり。"QUO VADIS, DOMINE?(主よ、どこへ?)" のエピソードが有名である。

内容

ペトロが魔術師シモンとローマの公衆の前で対決する物語である。ペトロは死人を蘇らせる奇跡で勝利をおさめ、市街へ出ようとすると、市内へ向かってくる主イエスの幻に出会う。「主よ、どこへ行かれるのですか」と尋ねると、イエスは「そこで再び十字架につけられるために」と答える。ペテロは急いで引き返し、逆さ十字で処刑される。

最終更新:2017年09月10日 10:36