ヤコブによる原福音書

イエスの幼年時代の物語を述べる外典福音書の一つ。原文はギリシア語で、この書に最初に言及しているオリゲネスでは「ヤコブの書」と称され、「マリアの誕生・ヤコブの啓示」「ヤコブの物語・神の母聖マリアの誕生」「われらの主と聖母マリアの誕生」などとも呼ばれる。

『ヤコブ原福音書』の主人公は母マリアである。物語はマリアの誕生の次第から始まり、神殿へのご奉献、ヨセフとの邂逅(かいこう)、ヨセフとの生活、荒野におけるイエスの出産、そしてヘロデ大王による幼子の虐殺物語で結ばれている。マリアはダビデの血統から生まれ、汚れなき教育と成長を経て、すでに子持ちのヨセフと縁組みをする。やがてイエスを洞窟で出産するが、彼女の処女膜は破れないで残っていたと言う。

この内容から推測して、著者は母マリアにとても関心を持っていた人だと言えるだろう。事実、カトリックにおける聖母像はまさにこの福音書と共通のものといってよい。まだ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「洞窟の聖母」など、後世に影響を与えている。

構成

  • マリアの誕生まで
    • ヨアキムの神殿からの逃避(1章)
    • アンナの悲しみ(2-3章)
    • アンナとヨアキムへのお告げ(4章)
  • マリアの誕生から3歳での奉納まで
    • マリアの誕生(5章)
    • マリアの成長(6章)
    • マリアを神殿への奉納(7章)
  • 12歳のマリアの結婚
  • イエスの降誕
  • イエスの誕生後
    • 東方三博士(21章)
    • ヘロデ王によるザカリアの殺害(22-23章)
    • ザカリアの代わりにシメオンの選定(24章)


最終更新:2018年02月08日 16:17