ソクラテス『教会史』

5世紀に活躍した教会史家ソクラテス=スコラスティコス Sokrates

ソクラテスは 380 年頃コンスタンティノポリス(現在のトルコ・イスタンブル市)で生まれ,学術教育を修めて法律家 scholastikos となった.『教会史』Historia Ecclesiastica は彼の著作のうち唯一現存するものであり,全 7 巻が 439年から 450 年の間に執筆された.内容はディオクレティアヌス帝が退位した 305 年からテオドシウス2 世の治世である 439 年までの時代を記し,カエサレアのエウセビオスが書いた『教会史』の続編として企図されたと言える.全体として客観的な歴史叙述がソクラテスの特徴とされ,アタナシオスの著作や公会議議事録などを参照して構成されており,当該時代に関して,特にアレイオス派論争や初期修道制についての重要史料とされている.ソクラテスの生涯についてはわからないことも多く,その最期についても明らかではない.

最終更新:2017年01月29日 12:29